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蒼穹の昴



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蒼穹の昴の評価: 4.60/5点 レビュー 268件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.60pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全268件 221~240 12/14ページ
No.48:
(5pt)

清朝末期を描いた屈指の大作。歴史文化の描写も見事。

舞台は中国の清朝末期であり、有名な西大后が権力を牛耳る腐敗した政治に列強の侵略がじわじわと始まる内憂外患の時代。二人の主人公のうち一人は、極貧の名もなき少年、春児(チュンル)、そしてもう一人は、春児と同じ村に生まれた名家の型破りにして明晰な頭脳の持ち主の青年、文秀(ウェンシウ)。この二人がそれぞれ力一杯生きて出世してそして歴史に翻弄されていく姿を綴った傑作である。トータル1500頁近くになる大作であるが実に面白いのは、史実とそして中国文化の克明な描写である。 宦官ができあがる様は、その背景から手術の様子まで描かれておりおもわず読みながら顔をしかめてしまう。また、科挙の仕組みとそして実際の試験を受ける部屋の様子や受験者の追い込まれた精神状態の描写は見事としかいいようがない。主人公二人をとりまく人物達は、太平天国の乱、日露戦争、そして香港租借にかかわった大将軍、李鴻章や、欧米化のための公羊学を説いた康有為とその弟子で任侠に生きた譚嗣同は実在の人物であり、それだけに描写に厚みがある。自らイタリアから中国へ宣教師として出向くという運命を受け入れた異色の登場人物である画家、ジュゼッペ・カスチリョーネも実在の人物であることもあとでわかった。台湾の故宮博物院にその作品があるらしい。 実在の人物といえば乾隆帝は皇帝のなかでも別格であり神格化されており西大后の心のよりどころとして、伝説のような存在でありながら、血の通った人物として描かれている。皇帝の家系に伝わる葉赫那拉氏の呪いの伝説も興味深い。フィクションの人物達は実在の人物達に対し、作者の意のままに自由闊達に動くのでこの作品に小説としての醍醐味を与えている。特に、王朝を、欧米と日本の目から観察する新聞記者の岡圭之助とトーマス・バートンは、混沌として内部としての中国と、列強と近代化という外部を結びつける重要な役を与えられている。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.47:
(5pt)

すすめられて読みました

あまり本を読まないので4巻全部読むのは大変でした。でも読んだ後、視野が開けたような幸せな気分になりました。がんばって最後まで読んで良かった。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.46:
(4pt)

時は清朝末期。壮大な歴史小説の始まりはじまり!

文庫本で4冊ある『蒼穹の昴』の第1巻には、主要な登場人物になる(たぶん)少年と青年が登場します。少年の名は春児(チュンル)。馬の糞を拾って生活の糧にしている貧しい境遇のなか、占い師から「汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう」と予言されました。 幼なじみの兄貴分・文秀(ウェンシウ)も都で栄達することを予言され、その第一歩として科挙の試験を首席で及第しました。文秀が出世するのを待てない春児は、財力も学問もない人間の最後の手段である宦官の道を選び、文秀と決別します。 第1巻では、物語の進行に伴って、中国王朝独特のシステムである宦官と科挙の実態が描写されています。 特に文秀が経験した科挙の場面では何十年も浪人している受験生が登場し、人生を翻弄される秀才たちの悲劇、試験システムの厳格さに目を見張ります。 時は清朝末期。西太后や張作霖が活写される小説の始まりはじまりです。 第1巻から、ひとつトリビアをご紹介。 科挙の答案には、四書五経を前提にした高度な内容が求められますが、内容だけでなく、升目の埋め方も定められた形式に準じていなければなりません。 まず答案用紙の上2格を空欄にして書き始め、皇帝が関係する言葉は、上に突出させて記述します。こうした書式を「擡頭」といいますが、単に特別な言葉を突出させるだけでなく、前行の末尾に空白を作らぬよう工夫しなければなりません。常に字数を計算し、「也」や「矣」などの助辞を駆使して行を埋め、擡頭の敬語がちょうど次の行頭に現れるようにする。 この前行をぎっしりと最後まで埋めることを「徹底」と呼ぶそうです。 「徹底」がこういうところから来ているとは知りませんでした。もちろん、広辞苑にも載っていません。 ふ~ん……。(← 「へーへー」と言わんかい!)
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.45:
(5pt)

科挙と宦官

文庫本で全4巻で描かれる清朝末期の中国。当時、日本は維新によって既に立憲君主体制を整えていたが、中国も西洋の圧迫から国家体制の変革を迫られていた。日本の明治維新は西洋列強に食い物にされる清を見て早まったともいわれる。中国の歴史は実に5000年。6世紀、隋の時代から続く科挙という学力試験により登用された官僚による政治体制も実に1300年の歴史を持つ。この体制を変革するということは途方もないことであった。まさに太陽の軌道が変わるくらいの変化である。今の中国は急激な工業発展をしているが近代に入っては長らく途上国の位置づけにある。しかし、中国というのはこの1世紀程はそういう状態にあるがそれ以前は人類史において最も長い期間進んだ文化を持つ国である。支配者は変わっても中国は変わらない。この物語はその中国の維新ともいえる時代を数奇な運命をもった主人公によって描いている。実に面白く中国の魅力に触れられる。第一巻では、科挙と宦官という中国王朝の謎めいた部分の描写が行われている。日本でも受験戦争など言われたが、さすがに中国。スケールが10桁ほど違っている。死人まで出てくる猛烈な受験戦争が科挙。そして男性を捨てることによって王宮の奴隷となる他国から見れば奇怪な風習である宦官。しかし宦官たちが中国文化の担い手であったことも確かで、中国という国の独特の色彩を創り上げたと思える。重厚な作品。中国清朝に関心のある方にはお勧め。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.44:
(5pt)

価値観を変えられた小説

私はずっと漫画が大好きであった。子供のころからたくさん漫画雑誌を買い、コミックもいっぱい持っていた。なので、小説というものは滅多に読まず、読んだとしてもライトノベル程度だった。そんな私が書店で偶然見つけ、自分でも大して意識せずなぜか買ってしまったのが「蒼穹の昴」である。私があの時、自分の趣味とは全く違うこの本をなぜ購入したのか、いまだに分からない。しかしそれは運命的な出会いであった。一度読み始めると、今まで感じたことの無い夢中さで必死にページをめくり、寝る時間を惜しんで読書をし、頭の中が完全に支配され、仕事も手につかなくなった。読み終わった後のなんとも言えない感情・・。充実感もあるのだが、もう終わってしまったという喪失感もあり・・・。そして自分の本棚にあった漫画たちを見て、私はいままでこんなものがおもしろかったのか?と自分の中に大きな変化が生まれた。漫画では絶対にこの面白さは表現できない。今ではまったく漫画というジャンルに興味がなくなり、毎日本ばかり読みふけっている。「蒼穹の昴」は私の価値観を完全に変えてしまったのである。ただ、その後相当数の本を読んでいるがいまだに本書を越える作品には出会っていない。可能性があるのは続編の「中原の虹」ぐらいである。ただ、まとめて一つの物語とも取れるし・・・。すこしオーバーに聞こえるかも知れないが、私にとって本書はバイブルである。この作品に出会えたことは人生の財産だと思っているし、一生心に残る作品であるのは間違いない。浅田次郎に心からお礼を言いたい。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.43:
(5pt)

渾身の1作だと思う。

筆力ある職業作家として、ある程度なんでも書けてしまう浅田次郎の、渾身の1作。自分はこの第1巻がいちばん好き。張られた壮大な伏線、出だしからキャラクター/魅力を振り撒く登場人物、たった4巻で終わってしまうのが寂しくなるほど壮大な物語、清朝末期の雰囲気に飲み込まれる。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.42:
(4pt)

好みの問題でしょうか。

ハードカバーの発売当初から文庫化を待ち焦がれてました。(ハードカバーを買えってか)飽きることも疲れることもなく一気に読める作品です。魅力的なキャラクターに溢れ、読みながら常に映像を思い浮かべることのできる、酔える小説だと思います。・・・ただし、人間ドラマとしてはやはり「浅田次郎」かな。ところどころ直球すぎて、苦笑してしまいます。「鉄道員」で泣けない、と、思った方はやや注意が必要です。それを差し引いても読む価値は間違いなくあり、この時代に興味のない人にこそ、読んで頂きたいです。一気に読んでください。酔えます。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.41:
(5pt)

歴史解釈

悪名高き西太后。権力を乱用し、恐怖政治を行い、栄華を極めた。結果、清は疲弊し滅んだ。だがそれは果たして真実だったのか? 国が滅ぶときどうしても悪役は必要になる。人々の怒りや悲しみを受け止めるために...この本に書かれていることが全て真実とまでは言うつもりはないが「西太后は悪人」というたいした根拠もない固定観念を持つよりは良いかもしれない。 などという小難しいことを考えずともこの本は面白く読める。NHKの大河ドラマに似たのりで、物語りは進み飽きさせることが無い。宦官、科挙、日清戦争,李鴻章、袁世凱、毛沢東...散りばめられた数々の宝石を繋ぎ終えたとき、壮大な歴史絵巻は完成する!
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.40:
(5pt)

物語としての面白さと宦官と科挙の制度のディテール

4冊トータルのレビューとします。映画「ラスト・エンペラー」で描かれた清朝末期の姿とその仕組み。スケールの大きさと物語としての圧倒的な面白さに引き込まれ、徹夜で一気に読まされた、という感じです。私は歴史が好きですが、この作家の歴史の徹底的な調査に関心もし、このディテールが物語の面白さを支えていますと思います。とりわけ、映画ではほとんど表現されていなかった宦官と科挙の制度の仕組みにもっとも興味を抱きました。それとともに、「眠れる獅子」清朝(あえて中国とはいいません)の腐敗堕落と崩壊の過程がリアリティをもって描かれたおり、滅びるべくして滅んだ王朝と思えました。この物語はたかだか100数十年前の話です。日本の幕末から明治にかけての時代です。この小説を読んで私の浅田次郎氏へのイメージが一新しました。新刊のとき、一度読み、文庫本でさらにもう一度読みました。傑作小説であることは間違いありませんが、読後感としては、私は中国のことをほとんど知らないと感じたものです。いま、騒がれている「反日問題」の理解のためにも、いま中国の歴史に関するものを読んでいます。読めば読むほど、同じ漢字を使い、多くの文化が中国から日本に伝わってきた国でも有りますが、私たちの国、日本人とはまったく異質な国と思えるようになりました。この本はそんな興味、関心を抱くキッカケを私に与えてくれた小説でもあります。いろんな読み方があるとは思いますが、誰が読んでもその面白さは変わらない、著者が渾身の力で書いた小説であることは間違いありません。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.39:
(5pt)

壮大な絵巻物のよう

中国の清時代、国のために運命を翻弄されながらも必死に生きた人々がいた。日本の幕末のような壮絶な人々の人生がこの中国にもありました。昴の星の元に生まれた春児は、この国のまさに希望の星でした。「私はあなたたちを愛しています。だからあなたたちも僕のことを愛してください」一番印象に残った言葉です。
蒼穹の昴(3) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(3) (講談社文庫)より
4062748932
No.38:
(5pt)

泣かせの作家・・・うなずけます

直球勝負というフレーズはだてじゃない!文庫発売時に、朝日新聞の記事で、「それまでの極道作家のイメージを一新した作品」とでていましたが、全く、期待を裏切らないすばらしい作品でした。なじみのあるようでない、中国大陸でのあまり遠くはない歴史の壮大なドラマ、西太后や李鴻章などの新しい解釈など色々と触れるところはたくさんありますが、何より、李春雲、いや春児の件には涙なくして読めませんでした。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.37:
(5pt)

活字がでかい

ルビをふるためか、活字がでかく、ほいほい読み進めれた。分厚い2冊でもよかったような気がする。読了して、損はない本であり、結果としては感動もの、時代考証もしっかりとできていると思う。が、しかし、登場人物のその後が気に懸かる。登場人物各個人のその後はどうなるのだろうか?といいながら☆5つです。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.36:
(5pt)

物語として文句なくおもしろい!

浅田作品は、プリズンホテルが娯楽作品としてテンポもよくおもしろいと思う以外は、あまり好きではありませんでした。書いてあることがストレートすぎて裏があまりないというか、書きすぎてしまっているというか、そんな風に感じていて。ただ、本作の印象はまったく違う。この物語には脇役なぞ存在しないが、ほぼ全ての人物設定の深さが半端ではない。様々な局面を迎えても、各人はぶれることなく非常に魅力的に描かれており、その性格故の歯痒さは感じても、違和感を覚えることなく一気に読み進めることができた。
蒼穹の昴(上)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.35:
(5pt)

魅力的な人物多し

浅田次郎はこの本が初めてでした。本好きサイトで辛口の批評家が、揃って面白いと太鼓判を押していたので、読んでみました。中国歴史ものということで、読みづらいかと思いきや、物語の面白さに引きづられて夢中で読みました。魅力的な人物が多くて、登場から最期まで丁寧に描かれています。天命を信じ続けて西太后のお側までかけのぼった春雲が好きな人は多いと思いますが、彼をそこまで育て上げた老公胡同に住む人達が好きでした。中でも黒雲丹の登場は格好良かったです。考えさせられることも多くて、読んでよかったと思える作品でした。
蒼穹の昴(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(4) (講談社文庫)より
4062748940
No.34:
(5pt)

著者渾身の作品

私にとって浅田次郎氏の作品は、あまりにもあざとすぎてあまり好きにはなれないのですが、この作品だけは別です。 田舎豪族の次男・梁文秀とその友達で貧農の倅・春児の二人を主人公とする、清朝末期(映画・ラストエンペラーの時代の直前)を舞台にした物語です。 前半はこの二人が、片方は科挙に挑んで高級官僚に登りつめ、もう片方が宦官に身を投じてその世界の中で出世をしていくサクセス・ストーリーであり、後半は腐敗した清朝を立て直そうとしてお互い対立する陣営に所属しながら、政変に巻き込まれていく大河小説となっています。 はっきりいって、おもしろい。大作に仕上がっているのですが、読み始めたら最後、一気に読破してしまいそうな勢いでひきつけられてしまう魅力がこの作品にはあります。 ただ、難があるとすれば、この作品に出てくるいくつかのエピソードには、元ネタがあることです。例えば文秀が科挙を受験した際の試験場でのエピソードは、宮崎市定先生の名著「科挙」に出てくる内容そのままです。まあ、巻尾に参考文献として載せていますし、それほど目くじらを立てるほどのことではないのですが、もし読んでいて自分が知っているエピソードに出くわすとAすこしテンションが削られてしまうかもしれません。 あと、日本の映画界は、このような優良コンテンツがありながら、なぜ活用しないのでしょうか。まあ、ものすごく長いお話でスケールも大きいので、今の斯界の現状を見るに、これを映画化するに当たって必要な金も人もひねり出すことが出来ないのでしょう。 ともあれ、浅田次郎氏の他の作品は別にして、この作品は一読の価値ありです。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.33:
(5pt)

人には運命というものがあるのだろうか。

極貧の身の上の子供に大きな希望が降り注ぐ。いずれ、お前は人々の「昴」になる。もし、私が春児だったらどう反応しただろう。そして、どう行動しただろう。彼のように、ひたむきになれただろうか。彼のように宦官になろうとまでしただろうか。純粋な心は美しい。梁文秀もまた、運命に導かれ進士への道を進んでいく。生きていく上での大切な事がこの小説にはある気がした。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916
No.32:
(5pt)

翻弄の時代を生きる人の勇気

中国清王朝の末期の歴史的人物のドラマをダイナミックに描いています。上巻では春児という少年が糞拾いから、宦官になっていく模様が痛ましい。下巻では清王朝の崩壊を目前とした政治の闇が描かれている。あの残虐で有名な西太后の母の心や、政治をつかさどる巨人の心・・・恐ろしいだけでは語りきれない切ない面もかいまみれて意外かもしれません。中国という莫大な国土と民の数は、その中心にいる人々を魑魅魍魎に包み込み、翻弄していきます。中国の歴史の長さと深さにあっぱれと思いました。
蒼穹の昴(上)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.31:
(5pt)

浅田本でも最高レベル

中国ものなので、ちょい難しいかと思って読み始めましたが、ぐんぐんと夢中で読みました。特に下巻に入るとまさに寝ずに読んだという感じです。色んな人物が登場する上に、それぞれのキャラが生きてます。最初は硬い調子でしたが、西太后登場あたりから、ちょいとくだけたプリズン調になったのは、笑わせてくれます。浅田小説の最高傑作のひとつではないでしょうか。
蒼穹の昴(上)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(上)より
4062074974
No.30:
(4pt)

すごくよかったけど・・・

すばらしいお話でしたが、3巻の第5章 謀殺での小梅と王逸の1シーンで浅田次郎氏の人間としての未熟さ故の残酷さに涙が出そうになった。聴覚障害者の小梅の声を「言葉も獣のほえ声に似ている」と表現していたので、自分の声を確認できない聴覚障害者はこの文章を見てどのように思うだろう?自分の声も「獣」だろうか?と悲しむに違いない。ハンセン病患者についての表現が同じく文中にあったが、それは、病気にかかってしまったため、お城を追われたという理由付けになっている。しかし、聴覚障害者の声についてはストーリーに何の意味もなさない。その部分だけ最低。人間として最低。できれば修正してもらいたい。
蒼穹の昴(3) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(3) (講談社文庫)より
4062748932
No.29:
(4pt)

ファンの怨み買うこと覚悟で、あえて苦言(ネタバレ少々)

浅田次郎は、エッセイ数冊と「地下鉄に乗って」を読んだことがあるだけだった。エッセイは楽しめたけど、「地下鉄~」はコレデモカ、コレデモカと涙腺を刺激してくるあざとさが苦手で、それ以降手が出なかった。でも、唯一気になっていたのが、傑作の評判高かったこの作品。文庫化を機に、思い切って読んでみた。ナルホド面白い。一気に読み終えた。他の人にも薦めよう。 でも、どこを見ても賞賛・賞賛なので、「・・・ちょっと待って。瑕がないわけじゃないゾ」と思い、嫌われること覚悟で文句をつけてみたい。思いつくまま。 物語の前半と後半が、やはりうまくつながっていない。前半は梁文秀と春児の出世物語を追う構成だが、そこで組み立てられた2人のキャラクターが後半で生かされているとは思えない。ヤクザな梁文秀が状元で進士になるまでの話は一種のピカレスク・ロマンの味わいだが、後半の彼はピカロどころか憂国のマジメ人間。というより、強烈なキャラたちに埋もれて、存在感薄れまくり。春児にしても、役者として西太后に取り入るまでは、これもピカロの成り上がり物語なんだが、宮中に入り込んでからはイエス様になっちゃう。何がどうしたんだ! 舞台回しの女占い師・白太太。面白いキャラだとは思うけど、登場の仕方がかなりご都合主義。要のところでどこからとなく現れて、重要な予言をし、物語の行方を方向付ける。特に梁文秀の命乞いをするところ、そしてその命乞いがアレヨアレヨと成就する展開は、アレアレ?っという感じ。それに白太太は嘘の予言をしない設定になっていて、それは予言を口にしている間は我を失っているからという理由付けもされるのだが、だったら春児のときだけ、どうして嘘がつけたんだろう。 西太后のキャラも、私としてはあまり説得力を感じなかった。プライヴェートな会話はあまりに蓮っ葉で、そこらのネエチャン。しかもろくでなしの昔の恋人の甘言さえ見抜けない女が、清朝の滅亡の苦悩を一人背負っているというのは、ウッソーの世界。王朝の滅亡を成就するために敢えてする悪行の数々って、そんなの必要ないんじゃない? ま、言い出すとキリがないのでこの辺にします。怒らないでください。付け足しみたいですが、李鴻章の人物造詣は魅力的でした。
蒼穹の昴(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:蒼穹の昴(1) (講談社文庫)より
4062748916

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