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黄金旅風
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黄金旅風の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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中世南海貿易冒険譚かと思いきや、外交と長崎を乱す豊後の大名の告発を江戸で行う、陳情物語がメイン。戦後民主主義的人間観を維新の群像に描こうとした司馬、サラリーマン的悲哀を小藩の下級武士に描き込んだ藤沢同様、時代小説というのは常に現代社会のアレゴリーとして描かれるものだ。この小説で延々と描かれる陳情物語は、55年体制下の地方自治の姿そのものであり、城山三郎の官僚小説を読んでいるような気さえする。中央官僚に話を通すタイミングを計る苦労、通したら通したでコントロールが利かず当初の意図を外れた上位下達が行われる現実、等など、この作者は「世間」というものを本当によく知っていると感心させられる。が、普段このせせこましい「世間」で働いている僕にとって、たまに読む大衆小説の中でまで、こんなチマチマした「日常」には追っかけられたくなかったのが正直なところだ。「壮大なスケール」「娯楽巨編」といった言葉が踊る売り文句と内容のギャップが気になる。 もう一つケチをつけると、アカデミックな歴史研究を念頭に置くなら、江戸時代の社会システムというのは分かっているようで謎だらけである。例えば故・網野善彦によると、「年貢」一つとっても、「年貢が高い」という一揆はあっても、「年貢を無くせ」という一揆は一件も記録が無いという。武士と農民の間の不思議なコンセンサスは、今の時代にイメージされる単なる階級支配を超えたものがあったと推測されているが、こういうよく分かんない関係は地方と江戸幕府の間でもあったようだ。(特にここに描かれているような、初期徳川時代。)現代に生きる我々の想像も及ばない社会が江戸時代だったのであり、そういう現代人の常識の間隙を突くような驚きにこそ僕は「時代小説」のロマンを描いてほしいので、星は渋目につけた。 | ||||
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たしかに魅力的な人物、設定だし、いいシーンもたくさんあるんですけど、物語としては弱いと思う。 | ||||
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