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THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ
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THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全55件 21~40 2/3ページ
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チャンドラーの「長いお別れ」のプロットを借りながら、組織人として働く二村刑事の設定はマーロウとは異なるし、彼が追いかけている事件そのものも本家とはまったく別物。そして、そこに在日米軍や華僑という横浜周辺ならではの要素が盛り込まれ、過去の二村永爾シリーズの登場人物も現れて整合性も保ち、底流に現代日本への批評を織り込みながら、最終的には「長いお別れ」のパロディとしても成り立つようにしている。日本の(少なくとも)他のハードボイルド小説とは段違いの格。矢作俊彦と同じ時代に生きていてよかった。 | ||||
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チャンドラーの「The Long Goodbye」に明らかにタイトルがあるので興味を持ち、初めて二村永爾シリーズに出会った。チャンドリアンとしては実に楽しい読書体験。LAの詳細でなく横須賀の詳細が描かれ、誰かいつかギムレットを飲むのかなと疑問をもちつつ、物語の最後までテリー・レノックスのことを思いだされてくれる。登場人物のウィットに富んだ会話もいいが、在日米軍を絡め、軍を利用して金儲けを企む人達を登場させるのも興味深い。 | ||||
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チャンドラーの「The Long Goodbye」に明らかにタイトルがあるので興味を持ち、初めて二村永爾シリーズに出会った。チャンドリアンとしては実に楽しい読書体験。LAの詳細でなく横須賀の詳細が描かれ、誰かいつかギムレットを飲むのかなと疑問をもちつつ、物語の最後までテリー・レノックスのことを思いだされてくれる。登場人物のウィットに富んだ会話もいいが、在日米軍を絡め、軍を利用して金儲けを企む人達を登場させるのも興味深い。 | ||||
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’04年、「このミステリーがすごい!」国内編第4位、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第8位に輝いた、神奈川県警の二村刑事を主人公にした、19年ぶり3作目のハードボイルドである。 二村は、世紀末の6月のある日、ビリー・ルウという日系アメリカ軍パイロットと出会った。ビリーと酒を酌み交わした彼は奇妙な友情を感じ始める。しかし、女の他殺死体が入ったトランクを、ビリーによってそうとは気づかぬうちに運ばされたため、彼は捜査一課からはずされ、閑職に左遷されてしまう。その直後、ビリーの操縦する小型飛行機が台湾で墜落したらしいという報せが届く。 一方で二村は、退職した先輩刑事からあるヴァイオリニストの養母の失踪捜査を頼まれる。ビリーの死を信じられない彼は、失踪人の捜索を進めるうちに、ふたつの事件が深いかかわりを持っていることを知るのだった・・・。 一種独特な雰囲気を持つ世紀末の横浜、横須賀を舞台に、街の人々、NHKの記者、怪しげな華僑、軍隊マフィアなどさまざまな人物が登場し、夜の街が描かれるだけでも魅力的だ。また短く切り詰めた文章と、粋で、時にはユーモラスな二村たちの会話のフレーズはクールである。 レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』の枠組みを借り、そのオマージュに満ちた、男が友と飲み、そして別れるだけの物語だが、登場人物の造形、時代背景、セリフのひとつひとつに矢作ハードボイルドのオリジナルを堪能することができる。 | ||||
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’04年、「このミステリーがすごい!」国内編第4位、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第8位に輝いた、神奈川県警の二村刑事を主人公にした、19年ぶり3作目のハードボイルドである。 二村は、世紀末の6月のある日、ビリー・ルウという日系アメリカ軍パイロットと出会った。ビリーと酒を酌み交わした彼は奇妙な友情を感じ始める。しかし、女の他殺死体が入ったトランクを、ビリーによってそうとは気づかぬうちに運ばされたため、彼は捜査一課からはずされ、閑職に左遷されてしまう。その直後、ビリーの操縦する小型飛行機が台湾で墜落したらしいという報せが届く。 一方で二村は、退職した先輩刑事からあるヴァイオリニストの養母の失踪捜査を頼まれる。ビリーの死を信じられない彼は、失踪人の捜索を進めるうちに、ふたつの事件が深いかかわりを持っていることを知るのだった・・・。 一種独特な雰囲気を持つ世紀末の横浜、横須賀を舞台に、街の人々、NHKの記者、怪しげな華僑、軍隊マフィアなどさまざまな人物が登場し、夜の街が描かれるだけでも魅力的だ。また短く切り詰めた文章と、粋で、時にはユーモラスな二村たちの会話のフレーズはクールである。 レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』の枠組みを借り、そのオマージュに満ちた、男が友と飲み、そして別れるだけの物語だが、登場人物の造形、時代背景、セリフのひとつひとつに矢作ハードボイルドのオリジナルを堪能することができる。 | ||||
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’04年、「このミステリーがすごい!」国内編第4位、「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門第8位に輝いた、神奈川県警の二村刑事を主人公にした、19年ぶり3作目のハードボイルドである。二村は、世紀末の6月のある日、ビリー・ルウという日系アメリカ軍パイロットと出会った。ビリーと酒を酌み交わした彼は奇妙な友情を感じ始める。しかし、女の他殺死体が入ったトランクを、ビリーによってそうとは気づかぬうちに運ばされたため、彼は捜査一課からはずされ、閑職に左遷されてしまう。その直後、ビリーの操縦する小型飛行機が台湾で墜落したらしいという報せが届く。一方で二村は、退職した先輩刑事からあるヴァイオリニストの養母の失踪捜査を頼まれる。ビリーの死を信じられない彼は、失踪人の捜索を進めるうちに、ふたつの事件が深いかかわりを持っていることを知るのだった・・・。一種独特な雰囲気を持つ世紀末の横浜、横須賀を舞台に、街の人々、NHKの記者、怪しげな華僑、軍隊マフィアなどさまざまな人物が登場し、夜の街が描かれるだけでも魅力的だ。また短く切り詰めた文章と、粋で、時にはユーモラスな二村たちの会話のフレーズはクールである。レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』の枠組みを借り、そのオマージュに満ちた、男が友と飲み、そして別れるだけの物語だが、登場人物の造形、時代背景、セリフのひとつひとつに矢作ハードボイルドのオリジナルを堪能することができる。 | ||||
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2005版このミス 4位 2004年文春ミステリーベスト10 7位 正直、もう少し面白いかと期待したのだが、残念ながら私の好みにはあわなかったようである。 全体として、登場人物の相関図がつかみづらい印象を受け、なかなか読書のスピードが上がらず、読破に3週を要した。 この作品は、longとwrongの違いはあるものの、読み始めればすぐに(読み始める前からでさえ)チャンドラーの「長いお別れ」へのオマージュであることは容易に想像がつく。となると、作品中の主要な謎解きについては、当然結末も予測がたってしまうわけでその部分での興味がそがれることになった。 もちろん、たとえばキングの「呪われた町」のオマージュとしてかかれた「屍鬼」のように、作品の流れがわかっていても、十分に楽しめる作品はたくさんある。しかしながら、この作品にはそのような魅力を感じなかった。 未読の方がいたら、まず、村上春樹の新訳で話題の本家・「ロング・グッドバイ」をお薦めしたい。 | ||||
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矢作俊彦のチャンドラーへの傾斜ぶりは周知のところでしょうが、この本歌取りは(あまりに本歌に近すぎて)成功しているとは思えません。厄介な謎解きは不要としても、もう少しプロットを吟味して、小道具を生かし(横浜も様変わりしたので情景描写に味がなくなりました。これは著者の責任ではなく街の責任でしょうが)、代わりにお得意のレトリックを減らしたほうが面白く読めると思います。著者の特徴としてデビューから現在まで殆ど文体が変わっていないのですが、昔は大人っぽいと思ったものが最近ではガキっぽく感じられます(ブリオやレオンの記事みたいに)。同じ文体を貫くなら「真夜中へもう一歩」を超えてくれることを望みます。 | ||||
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矢作俊彦のチャンドラーへの傾斜ぶりは周知のところでしょうが、この本歌取りは(あまりに本歌に近すぎて)成功しているとは思えません。厄介な謎解きは不要としても、もう少しプロットを吟味して、小道具を生かし(横浜も様変わりしたので情景描写に味がなくなりました。これは著者の責任ではなく街の責任でしょうが)、代わりにお得意のレトリックを減らしたほうが面白く読めると思います。著者の特徴としてデビューから現在まで殆ど文体が変わっていないのですが、昔は大人っぽいと思ったものが最近ではガキっぽく感じられます(ブリオやレオンの記事みたいに)。同じ文体を貫くなら「真夜中へもう一歩」を超えてくれることを望みます。 | ||||
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神奈川県警捜査一課の二村永爾が知り合った酔っぱらいの「撃墜王」ビリー・ルウのためにとある事件に巻き込まれてしまう。「誰も彼も他人の人生を生きているみたいだ」……たまらん!設定から最後の一行まで「長いお別れ」にオマージュを捧げられたスタンダード・ハードボイルドだが、そのコクと味わいたるや絶品。横須賀という特殊な土地柄、密入国者、米軍基地、ヴェトナム戦争まで関わる複雑さと猥雑さ。キャラもすべて個性がしっかりと立っているし、台詞もカッコイイ。難点を言えば車とミリタリーの蘊蓄・雑学ネタが多いところ。興味のないものには置いて行かれる。まぁ、あまり重要ではないが。 | ||||
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神奈川県警捜査一課の二村永爾が知り合った酔っぱらいの「撃墜王」ビリー・ルウのためにとある事件に巻き込まれてしまう。「誰も彼も他人の人生を生きているみたいだ」……たまらん!設定から最後の一行まで「長いお別れ」にオマージュを捧げられたスタンダード・ハードボイルドだが、そのコクと味わいたるや絶品。横須賀という特殊な土地柄、密入国者、米軍基地、ヴェトナム戦争まで関わる複雑さと猥雑さ。キャラもすべて個性がしっかりと立っているし、台詞もカッコイイ。難点を言えば車とミリタリーの蘊蓄・雑学ネタが多いところ。興味のないものには置いて行かれる。まぁ、あまり重要ではないが。 | ||||
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矢作俊彦はもちろん、ベテランの作家である。1950年生まれで、高校生のときに既に漫画家デビューしている。普通、ベテラン作家の作品というのにはどこかしらに「馴れ合い感」とか「熟れすぎ感」があったりするのだけど、この作家の場合は、どの年代の著作を読んでもデビュー作のようにみずみずしい。作家としての気概、時代に流されない反骨精神のようなものを感じる。前作の『ららら科學の子』の主人公は中国の山奥で現代日本を知らずに過ごした男で、『ロング・グッドバイ』の主人公は、いまどきにもなって携帯電話も持っていない男である。刑事なのに。 作家の時代意識は、冒頭にひかれたヘミングウェイの言葉にもあらわれている。 <現代生活はしばしば人に機械的抑圧を与える。酒はその唯一の機械的解毒剤なのである> 原語の「Relief」を、矢作はわざわざ「解毒剤」と訳している。要するに、矢作にとって現代は「毒」なのだ。そういえば、盟友の大友克洋の『AKIRA』の中の現代/近未来も相当毒々しかった。 ところで『ロング・グッドバイ』が名作であるとすれば、それは、「毒」ではなく「解毒」に焦点があるからでる。要は、ヘミングウェイにあやかって酒を飲むシーンがとても多いわけだが、全編を通じてそこに強い解毒作用、カタルシスがある。 | ||||
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矢作俊彦はもちろん、ベテランの作家である。1950年生まれで、高校生のときに既に漫画家デビューしている。普通、ベテラン作家の作品というのにはどこかしらに「馴れ合い感」とか「熟れすぎ感」があったりするのだけど、この作家の場合は、どの年代の著作を読んでもデビュー作のようにみずみずしい。作家としての気概、時代に流されない反骨精神のようなものを感じる。前作の『ららら科學の子』の主人公は中国の山奥で現代日本を知らずに過ごした男で、『ロング・グッドバイ』の主人公は、いまどきにもなって携帯電話も持っていない男である。刑事なのに。作家の時代意識は、冒頭にひかれたヘミングウェイの言葉にもあらわれている。<現代生活はしばしば人に機械的抑圧を与える。酒はその唯一の機械的解毒剤なのである>原語の「Relief」を、矢作はわざわざ「解毒剤」と訳している。要するに、矢作にとって現代は「毒」なのだ。そういえば、盟友の大友克洋の『AKIRA』の中の現代/近未来も相当毒々しかった。ところで『ロング・グッドバイ』が名作であるとすれば、それは、「毒」ではなく「解毒」に焦点があるからでる。要は、ヘミングウェイにあやかって酒を飲むシーンがとても多いわけだが、全編を通じてそこに強い解毒作用、カタルシスがある。 | ||||
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「日本語で書かれた、最も美しいハードボイルド探偵小説」のうたい文句に 「なるほど」と思う事しきり。確かにそれはその通りかもしれないと思います。 ですが、リーダビリティと相容れないその回りくどさは、私には馴染めない ものでした。時間がかかりすぎて正直ストーリーと人物関係が頭に入ってこ ない体たらく。 これは決して作品を貶めるものではなく、私自身の素養のなさを責めている だけですから誤解されぬよう。 横浜で生まれ育った私は、作品の中の地理的な描写はほとんど頭に浮かびます。 それこそ遊び場だった伊勢崎町界隈の路地の一本一本まで。 そのノスタルジックが何とか読了させてくれました。 | ||||
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「日本語で書かれた、最も美しいハードボイルド探偵小説」のうたい文句に「なるほど」と思う事しきり。確かにそれはその通りかもしれないと思います。ですが、リーダビリティと相容れないその回りくどさは、私には馴染めないものでした。時間がかかりすぎて正直ストーリーと人物関係が頭に入ってこない体たらく。これは決して作品を貶めるものではなく、私自身の素養のなさを責めているだけですから誤解されぬよう。横浜で生まれ育った私は、作品の中の地理的な描写はほとんど頭に浮かびます。それこそ遊び場だった伊勢崎町界隈の路地の一本一本まで。そのノスタルジックが何とか読了させてくれました。 | ||||
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2005版このミス4位 2004年文春ミステリーベスト10 7位 正直、もう少し面白いかと期待したのだが、残念ながら私の好みにはあわなかったようである。 全体として、登場人物の相関図がつかみづらい印象を受け、なかなか読書のスピードが上がらず、読破に3週を要した。 この作品は、longとwrongの違いはあるものの、読み始めればすぐに(読み始める前からでさえ)チャンドラーの「長いお別れ」へのオマージュであることは容易に想像がつく。となると、作品中の主要な謎解きについては、当然結末も予測がたってしまうわけでその部分での興味がそがれることになった。 もちろん、たとえばキングの「呪われた町」のオマージュとしてかかれた「屍鬼」のように、作品の流れがわかっていても、十分に楽しめる作品はたくさんある。しかしながら、この作品にはそのような魅力を感じなかった。 とりあえず、また「長いお別れ」を読んでみるとしよう。 | ||||
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2005版このミス4位2004年文春ミステリーベスト10 7位正直、もう少し面白いかと期待したのだが、残念ながら私の好みにはあわなかったようである。全体として、登場人物の相関図がつかみづらい印象を受け、なかなか読書のスピードが上がらず、読破に3週を要した。この作品は、longとwrongの違いはあるものの、読み始めればすぐに(読み始める前からでさえ)チャンドラーの「長いお別れ」へのオマージュであることは容易に想像がつく。となると、作品中の主要な謎解きについては、当然結末も予測がたってしまうわけでその部分での興味がそがれることになった。もちろん、たとえばキングの「呪われた町」のオマージュとしてかかれた「屍鬼」のように、作品の流れがわかっていても、十分に楽しめる作品はたくさんある。しかしながら、この作品にはそのような魅力を感じなかった。とりあえず、また「長いお別れ」を読んでみるとしよう。 | ||||
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誰も彼も他人の人生を生きているみたいだ」 神奈川県警の刑事二村永爾シリーズのハードボイルドだ。 大好きな矢作で、舞台は横須賀、日本帝国軍のベトナム侵攻から、アメリカのベトナム戦争介入まで。そうして現在の横須賀ま継続する、関係性。上記の「」は本の腰巻きにも書かれた文章だけれど、それ以外に、あまりあまり感心するところは無かった。かつて、ぼくもハードボイルドを愛好し、チャンドラーの同名のタイトルの小説が当然脳裏に浮かん出来て、このタイトルを使用する矢作の決意に好感を持ったけれど、矢作のロンググッドバイにおいては、別れに対する深さが、つまりはそこにいたる関係の道程の必然があまり感じられ無かったよ。ハードボイルドのスタイルに忠実であろうとするがために、返って二村から何処か自然な必然を奪っているようにも感じられたよ。 でも読みやすく、気楽にさわりだけ読もうとしていたら、一気に入って言ってしまったのだけれど、途中からは様々なエピソードにも矢作特有の切れや、シニカルさが影を潜めていたような気がする。 ハードボイルドのスタイルが、そう生きたいと思う姿が、あるいは既に時代に取り残されたものななのかもしれない。それは男の生き方、矜持というもののあり方で、ロバート・B・パーカー(初秋)の言葉を借りればそれが「マチズモ」であり、その存在意義はフェミニズムの終焉とともに、失われて行ってしまったのかも知れない。 「優しくなければ、生きて行く資格がない。自己があると生きて行けない」それが現在か。 | ||||
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誰も彼も他人の人生を生きているみたいだ」神奈川県警の刑事二村永爾シリーズのハードボイルドだ。 大好きな矢作で、舞台は横須賀、日本帝国軍のベトナム侵攻から、アメリカのベトナム戦争介入まで。そうして現在の横須賀ま継続する、関係性。上記の「」は本の腰巻きにも書かれた文章だけれど、それ以外に、あまりあまり感心するところは無かった。かつて、ぼくもハードボイルドを愛好し、チャンドラーの同名のタイトルの小説が当然脳裏に浮かん出来て、このタイトルを使用する矢作の決意に好感を持ったけれど、矢作のロンググッドバイにおいては、別れに対する深さが、つまりはそこにいたる関係の道程の必然があまり感じられ無かったよ。ハードボイルドのスタイルに忠実であろうとするがために、返って二村から何処か自然な必然を奪っているようにも感じられたよ。 でも読みやすく、気楽にさわりだけ読もうとしていたら、一気に入って言ってしまったのだけれど、途中からは様々なエピソードにも矢作特有の切れや、シニカルさが影を潜めていたような気がする。 ハードボイルドのスタイルが、そう生きたいと思う姿が、あるいは既に時代に取り残されたものななのかもしれない。それは男の生き方、矜持というもののあり方で、ロバート・B・パーカー(初秋)の言葉を借りればそれが「マチズモ」であり、その存在意義はフェミニズムの終焉とともに、失われて行ってしまったのかも知れない。 「優しくなければ、生きて行く資格がない。自己があると生きて行けない」それが現在か。 | ||||
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二村さんに会って早20年余り、「真夜中へもう一歩」とか 時々読み直して「若かった頃の二村さん」と若かった自分自身を 重ね合わせて感慨にふけっていたりします。 さて、本書読んだ感想ですが、題名からして「マーロウ」の「テリーレノックス」との 出会いから始まる物語とラップしており、最後のオチは予想通りでした。 「矢作さん」は「二村さん」に長いこと言いそびれていた「別れ」を 告げたかったのだと思います。 しかし素直に「グッドバイ」と言えない「矢作さん」はWRONGを付けて しまったのでしょう。 辛くて苦いショートホープの様な後味が残りました | ||||
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