フィルムノワール/黒色影片
- 拳銃 (222)
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久し振りの二村永爾シリーズ。 作家デビュー間もない頃、1972年の短編に於いて神奈川県警の刑事として登場した二村永爾は、矢作俊彦としては異例で、他に類を見ないことなのだが、その後長らく登場することになった人物だ。 三作の短編を経て、1978年に長編一冊目が刊行されたが、レイモンド・チャンドラーを意識したと思わせる様な文体を持ったその作品たちは実に魅力的だった。 二村シリーズは、2004年に刊行された長編三冊目から暫くご無沙汰であったが、10年間を経た2014年に刊行されたのが本書だ。 年齢を重ねても尚、スターであり続けている大女優との会話から物語は始まる。この辺りもチャンドラーっぽい。 刑事を辞めたものの、再雇用プログラムにより、今では神奈川県警の嘱託になっている二村永爾だったが、女優に相談を受けた捜査一課長の指名により、彼女がオフィスにしているホテルニューグランドのスィートルームに訪れた。そこで二村は、映画監督であった彼女の父親についての話を聴く。戦前からパリや満州で活躍していた監督は、戦後は日本に戻り、日活でアクション映画を撮っていたが、香港でもメガホンを握り、そのまま20年近く居着いた末に死んだ。 タイトル不明のプリントフィルム全9巻。父の最後の一本。このフィルムがオークションに出品されたものの、突然取り下げられた。そこで出品者に連絡をつけ、事務所の若い男が直接買い付けに出掛けていったが、消息を絶ってしまった。香港にいる筈の彼を探して欲しい。そしてフィルムも手に入れて欲しい。それが依頼だった。 一旦は断る二村ではあったが、町田駅で起きた射殺事件と、連鎖的に発生した殺人事件に関連しているらしいことを悟った二村は、消息を絶った男を探しに、被害者支援対策室という閑職を離れて香港へと飛ぶのであった。 どうやら本作は、日活映画100年記念としての作品らしく、全編を通して日活のみならず様々な映画ネタが散りばめられ、矢作俊彦お得意のフィクションとノンフィクションが混然と同居し、虚実の境が判然としない世界が展開される。 女優の父親が最後に撮ったフィルムは香港に実在したエースのジョーという殺し屋を扱ったものらしいし、なんと作品上に堂々と当時存命していた宍戸錠が登場する始末だ。 元より日活無国籍アクション映画と矢作俊彦との縁は切っても切れない。スクリーン上に映る石原裕次郎や渡哲也に憧れを抱いていた矢作氏は、銀幕の斜陽を嘆き、なんとかしなければと奮い立ってシナリオをしたためた程だ。そのシナリオを、「これじゃまるで小説だ」と評されたものが、デビュー作『抱きしめたい』となったのだ。 さて本作は、570ページもあるだけにプロットは複雑だし、そもそも矢作作品は読者に対する説明はあまり親切ではなく、二村のひねくれた科白も相俟って、なかなか細部が繋がらないことがしばしばあって何度か遡って読み返したりしていたが、途中からはもうこうなったらじっくり矢作流を楽しもうと腰を据えて読み進めた。 そんな訳で読了には時間がかかったが、それだけに堪能もし得たのである。 | ||||
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2021年6月購入したけれど、初版本でした。一人称主人公の二村氏の「年齢を感じさせない」活躍に少々引いてしまいました。何しろ、初めてのクリケットで大活躍、凶悪な殺し屋を仕留める、女と金には極度に潔癖といったスーパーマンぶりです。文中「宍戸錠(1933生)より3回り若い」ことになっているので、1969年生まれ、2010年で40歳ですね。デビューの頃は義務教育年齢ですよね(がきデカ?小林少年?)。サザエさんやゴルゴ13のように時間(年齢)を固定するなら、空間(横浜 香港)や人(宍戸錠)も架空のものにしないと不自然ですよね。シンディ シャーマンも最近のセルフポートレートでは自らの老いをテーマとしています。次回作では「脳梗塞でデイケアに通いながらスマホで事件解決」する二村氏を登場させてください。 | ||||
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脚を組み直したとき、彼女がストッキングを履いてないことに気づいた。 この出だしでKOでした。 矢作さんの作品とりわけこのシリーズに登場する女性はどうしてこんなに素敵なんだろう。前作の海鈴さんもかっこよかったけど、本作のアリアーヌ・ヤウさんもすごい。また、映画好きの私には答えられない作品だった。 前作に続いて感じられるのは古き良きものへのオマージュ。 筋もろくに追えないのにだけど良かったのだ。 | ||||
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昔のハリウッド映画や日本映画の小ネタが散りばめられています。 全てわかる人は少ないと思います。 語り口がいつも通り、隠喩や暗喩だらけでまどろっこしいのですが、そこが魅力です。 ストーリーは平板でカタルシスもないのですが、そこが魅力です。 そう言えば数十年前、著者と代官山の駅のホームですれちがった事があります。 何となく声かけにくかったです。 | ||||
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翻訳小説ような文体。チャンドラーのような人物描写。 若かりし頃『マイクハマーの伝言』『神様のピンチヒッター』『ヨーコに隙だと言ってくれ」などを読んでいた頃の感動が甦って来た。 そして本作を読み、もう一度かつて読んだ作品をすべて読み返したくなった。たぶん30年前に読んだときは、その表層的なカッコよさにばかりに目がいっていたような気がする。還暦まじかで再読すれば、違う味がするに違ない。 | ||||
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