リンゴォ・キッドの休日
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舞台は横須賀、銃はトカレフが一丁、死体は三つ。 その事件を巡って、警察に公安、ヤクザ、暴走族、夜の女、情報屋、記者などと絡み合いながら、休日に所轄署の署長から内々の依頼を受けた主人公 二村永爾はドブ板通りを渡り歩く。 非番の刑事を主人公にしたことで、普通の刑事物ではなく、また、日本では成立させ難い探偵物風の筋立てにしているところはなかなか珍しい。 初出は、早川書房の単行本で1978年。もう40年以上も前になる。 流石に時代背景、風俗や情緒などは、現代からするとなかなか想いが届かないだろうが、なんとなく昔はそうだったんだろうと想像で補える。 そういうハンディはあった上でも心配は無用だ。不必要な説明をしていない為にやや難解ではあるが、優れた比喩、スタイリッシュな文体、あまり刑事らしく見えなく、そして腐肉屋な主人公の台詞回しなどが面白く読み進める助けとなってくれる。 本作は、著者のごく初期の作品から顔を出していた神奈川県警の刑事、二村永爾を主人公としたシリーズの第一弾である。中編小説の二本立てとなっている。 そして、二村永爾シリーズはその後も散発的に刊行されている。 1985年『真夜中へもう一歩』 2004年『THE WRONG GOODBYE-ロング・グッドバイ』 最新刊の『フィルムノワール/黒色影片』は2014年。 著作の数々の中で、最も息の長い登場人物なのである。 | ||||
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スタイルを貫き通すための、誇りがあって、けっしてマッチョさんのいわゆる俺様が1番ではない(=ジャイアンみたいな存在の事です、俺様が1番!だから周りは言う事聞け〜、オマエのモノは俺のものだ〜、というただの幼稚なわがままさんの事。そういった願望が透けて見える人のなんと多くて困ったことか!しかも最近そういったことを隠そうともしなくなってきた!俺様はビックになる!とか平気で言える無神経さ!!)、時には自身の誇りをも譲れる強さを持ち、スタイルを維持する事にかかる負荷を「あえて」(ツラくてキツイ事であっても)自分が望んでする事だから引き受ける覚悟を持つ、というところに、オトナへの社会人としての通過儀式のようなものがあると思います。社会人やオトナとして生活するうちに忘れてしまったり、薄らいでゆく規範のようなモノであるとも思うので、惹かれる人が多いのではないかと。 ちょっと話しが広がりすぎたかも知れませんが...。 中でもこの「リンゴォ・キッドの休日」のストーリーは良いです、とても好きです。矢作さんはきっとチャンドラーが大好きなのだと思います。構成も伏線も小道具も「キメ台詞」も最高にイカシテます。ロマンチストだけど、ただのロマンチストではない、警察という組織に属していて、なおかつ今だけフリーというとても曖昧で奇妙な存在が、二村永爾をまた魅力的にします。二村の行動や言葉やスタイルに重みと魅力があり、やせ我慢だけど、あえてそれでもするやせ我慢に意味を見出せる、そんな人にオススメ致します。そんなやせ我慢が必要な人(私を含めてなんと多いことか!せめて自覚したい)、ルールじゃない規範の、しかもモラルじゃない縛りの重要性を考えてみたい方にも、ただカッコイイ事は何か?を考えてみたい人にもオススメ致します。我慢を必要としなくなってきた事に、我慢させる事を「商売として」無くす事をあまりに進めてしまった現代に重要な何かがあると私は感じましたし、そのうえカッコイイのですから。 普通「お金」ってちょっと泥臭くて、生々しい、けっして美しいものではないと、私は思うのですが、最後の最後に出てくる「お金」のなんてチャーミングな(あえて古いと言われようとも、ここはチャーミングです!)事!!「お金」がここまでチャーミングに見えたことは今までで無いです、是非オススメ致します。 | ||||
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二村永爾シリーズ第一弾。ぼくが生まれた年に書かれているから、もう相当古い作品なんだけれども、今読んでも十分かっこいい。 <私はベッドにねそべり、部屋の中をながめていた。ときおり、自分がどこにいるのかさえ、忘れてしまいそうだった。 コーヒーの罐は空っぽになっていたし、シャワーはバルブが壊れ、水一滴出ようとしない。おまけに、今日は新聞も来ていない。だから、部屋をながめているのだった。> こうやって小説は始まる。 コーヒーの罐とか、シャワーとか、新聞とか、そいうった現実的なこまごまとしたものに囲まれていないと、ぼくたちはときどきどこにいるか忘れてしまう。コーヒー罐とは違う次元のもの、思想とか、芸術とか、主義とか主張とかそういう形而上のものは、やっぱり生活には役立たないのだし、そういうものに飽きてしまった70年代の人たちにこういう小説はうけたのだと思うし、人々の気持ちは2000年を過ぎた現在でもあまり変わっていないのだと思う。 空っぽのコーヒー罐と、水の出ないシャワーとで囲まれた、貧相な生活からでも美意識は生まれるし、そういう美意識の方が、大所高所から語られる美とかよりもかっこよく見えたりするのだ。 | ||||
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以前、矢作氏の「ららら科学の子」のレビューでも書いたが、アマゾンが星を100個まで設定できないというのはいかがなものか。 いや矢作俊彦の本に限ってだけでよいのだけど。 だって、本書だけでも、単行本が出版されたときに1冊、最初に文庫化されたときに1冊、引っ越して紛失した後で古本屋で単行本を一冊、「ロンググッバイ」を読んだ後で、また「リンゴォキッドの休日」を読み直したいなぁと思っていた矢先に書店でこの文庫を見つけて1冊、と4冊は買っているんだから。その権利くらいあるぜ。 本書はさまざまな矢作作品で活躍している二村英爾警部のデビュー作。 ストーリーテラーぶりもさることながら、最後まで一気に読ませる筆力が憎い! もうその一挙手一投足から目が離せない。ひと言ひと言にやられっぱなし。 とりあえず、「ロンググッバイ」で矢作作品をはじめて読んだ人は全員読むべし。 ワケは読めばわかるから。いやきっと。 | ||||
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二村英爾警部が活躍する記念すべき第一作、 『リンゴォ・キッドの休日』が、長い時を経ていよいよ復活。 新潮文庫のダディ・グース(矢作俊彦)画も良かったが、今回の 『ライオンを夢見る』でも手を組んだ宮澤大の表紙も捨てがたい。 内容の方だが、そう多くを語る必要はないだろう。 日本の生んだ屈指のハードボイルドを、どうぞご堪能頂きたい。 | ||||
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