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悪逆



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【この小説が収録されている参考書籍】
悪逆

悪逆の評価: 9.00/10点 レビュー 2件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

悪逆の感想

かなり面白かった。
総ページ数500P超。ハードカバーで少々厚い。
冒頭に登場人物の一覧が出ている。
なんと、総人数は40人を超えているではないか。
こりゃ、読むのに難儀しそうだなと恨めしく思った。
ところがである。読み始めると何のことはない。
主要人物は僅か3名。
犯人箱崎、追いかける大阪府警刑事玉川(玉さん)と舘野(たーやん)
あとはざっくり頭に入れておけば問題ない。
大変分かり易い。
しかも心情描写や情景描写は極めて少なく、各場面での会話で物語の大半は進行する。
故により分かり易く読み易い。
あっと言う間に読み終え、楽しむことが出来た。

登場人物のキャラ。
箱崎は極悪人なのか。正義の一面も被っているのか。
この扱いが絶妙に上手い。
仕事ぶりも冷静沈着。まるでTVの必殺シリーズに出ていた仕事人「中村主水」のような切れ味である。
「そう、おれはシリアルキラーじゃない。サイコパスでもない。犬や猫を殺したことはないし、庭に・・・」
興味を引く独白である。
立て続けに3名もの殺人。犯行の動機が気になる。純粋に金(カネ)?それとも?

追いかける刑事2人組。
黒川氏の著書はさほど多くは読んでいないが、「悪果」シリーズの堀内・伊達のような雰囲気である。2人の漫才のような掛け合いが面白い。
食事の支払いのコイントス。美味しそうな名物料理の紹介。
「堀内・伊達シリーズ」の二番煎じのようだが、軽妙でノリが良い。
しかし、捜査の過程は前述シリーズより、緻密で細かい。リアルである。

また、情報屋・道具屋・金塊ブローカーなど怪しげな業種の輩の登場は、興味深いアクセントとなりストーリーに花を添える。上記3名のキャラとこやつらとのやり取り、駆け引きは絶妙で、生々しくかつ可笑しい。

▼以下、ネタバレ感想

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マッチマッチ
L6YVSIUN
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

これまで読んだ黒川作品では最高傑作!

2021年〜23年の週刊誌連載に加筆修正した長編小説。大阪府警の刑事が犯人と知恵比べする、従来通りの舞台設定だが犯人のキャラクター設定が素晴らしく、これまでの大阪府警シリーズのイメージを打ち破った傑作ノワール・サスペンスである。
莫大な金を稼いだ詐欺師、マルチ商法の親玉、新興宗教の教祖を次々に襲って殺害し、大金や金塊を奪う強盗殺人事件を引き起こす探偵会社代表の箱崎。元切れ者の刑事だっただけに警察捜査の裏側を知り尽くしており、周到な計画と厳密な注意力で警察に全く尻尾を掴ませなかった。特別捜査本部でコンビを組んだ府警捜査一課の舘野と箕面北暑のベテラン玉川は、次々と手口を変える犯人に翻弄されながらもあの手この手で情報を入手し、乏しい証拠をかき集め、ようやく犯人に追い付いたと思ったのだが…。
黒川氏の大阪を舞台にした警察小説というと、ユーモラスで緩い捜査官と悪辣な小物の犯罪者の騙し合いのイメージが強いが、本作は全く異なっている。何より犯人・箱崎のキャラクターが秀逸で日本のハードボイルド、ノワールではトップクラスのインパクトがある。さらに現代の捜査手法の緻密さ、刑事コンビの地道で粘り強い仕事ぶりもリアリティがあり、最初から最後まで緊迫感がある。もちろん、大阪府警シリーズならではの会話の妙、ちょっとズラしたユーモアも健在で、サスペンスフルなストーリーの良いチェンジ・オブ・ペースになっている。
黒川作品はそれなりの数を読んできたが、現時点でのナンバーワンのエンタメ作であり、黒川ファン、ハードボイルドファン、ノワールファン、日本の警察ミステリーのファンならどなたにも自信を持ってオススメしたい。

iisan
927253Y1

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