ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女
評判
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女の評価:
8.27/10点 レビュー 11件。 S ランク
感想一覧
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全8件 1〜8 1/1ページ
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外国の小説を読む場合、アメリカやイギリス等といった我々にとって馴染みの深い大国を除いてその国に関する多少の下調べは有意義だ。主要な都市や人口、経済規模、その国特有の文化や特徴程度は抑えておいたほうが楽しく読書できると思う。
本作の舞台スウェーデンに関する世間一般のイメージはどのようなものか。日本人からすると、経済水準が高く高税率高福祉の社会民主体制や、世界でもいち早く女性の参政権を認めた点等から男女平等の意識が比較的強い国、といった印象の人が多いのではないだろうか。よく北欧諸国の政治は模範のように扱われ、日本も彼らの年金制度を模倣しようとしていると言った話を耳にする。そんなスウェーデン(少なくとも私はスウェーデンについて良い点しか耳にしたことがなかった)にも様々な問題があり陰となる面も当然ある。そんな部分を浮き彫りさせる社会派といった印象を本作から受け取った。
主人公でありジャーナリストのミカエルは、ある富豪実業家であるブルムクヴィストに関するデマを掴まされ名誉棄損で禁固刑を言い渡される。そこからブルムクヴィストの弱点を握っているこちらも実業家のヘンリック・ヴァンゲルの依頼を引き受ける。彼の依頼は失踪した親族の行方を調べて欲しいとのこと。
そして衝撃の展開からまさかまさかの連続。上下2冊の大作であるが、正直に言って面白くなってくるのは下巻に入ってからだった。それまではただのミステリーとしか思っていなかったが、先ほど書いたような社会派の印象が強くなっていくのが下巻からだ。
私が本作の特徴に感じたのが、女性に暴力を振るう男性がたくさん出てくることだ。各部の冒頭にはスウェーデンにおける女性の○○%が〜といった挿入があるが、決して意味のない物を書いたりはしていない。経済水準が高く幸福度が高いと聞くスウェーデンでも日本と同様に、もしくはそれ以上に悲しい犯罪が起きているのかもしれない。どれだけ行政の体制が良くても、そこに暮らす人々は個々に自我を持った人間であり、社会に縛り上げられているわけではないといった印象を受けた。
作者であるスティーグ・ラーソンは人権派のジャーナリストであったようだが、ミカエルにも同様の印象を受けた。ジャーナリストがこれほどかっこよく映る作品に出会ったのは初めてかもしれない。
あとがきにはしっかりと3部作であると書かれていた。第1部だけでも十分に面白かったが、謎は残っており完結していないとのことだった。この続きを読むのもそれほど後にはならなさそうだ。