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ネイティヴ・サン: アメリカの息子



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【この小説が収録されている参考書籍】
ネイティヴ・サン: アメリカの息子 (新潮文庫 ラ 20-1)

ネイティヴ・サン: アメリカの息子の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

読み通すのが辛いけど、読み通す価値あり!

1940年に出版された「20世紀アメリカ文学最大の問題作」と言われ、日本では「アメリカの息子」の邦題で出版されながら長らく絶版になっていた作品の新訳版。貧しい黒人青年が偶発的に富豪の娘である白人女性を殺害して逃走、逮捕、裁判にかけられ死刑になるまでの黒人差別を犯人視点で語り尽くした、熱情あふれる社会派ミステリーである。
大恐慌下にあった1930年代のシカゴ、失業中の黒人青年・ビッガーは運転手として雇われた不動産業の富豪・ドルトン家で働き始めたその日に、一人娘のメアリーを殺害する事態に陥った。恐怖に駆られたビッガーはメアリーの遺体を暖房炉で焼いて証拠隠滅を図ろうとする。さらに死体が発見される前に身代金を取ろうとして脅迫状を届けた。しかし、事件は発覚し、警察に追われて必死で逃走したものの逮捕され、群衆の憎悪の嵐の中で裁判にかけられる…。
黒人青年はなぜ殺害したのか、死体を焼こうとしたのか、何を考えながら逃走し、勾留中はどのような心理だったのか? 制度や法として黒人差別が当たり前だった時代に生きる黒人の恐怖心がとてつもなく重い。「自分の意志が、この恐怖と殺人と逃亡の日夜ほど自由であったことはなかったのだ」というビッガーの独白の救いのない重苦しさは、現在のアメリカ(に限らないが)の人種差別を考えると、ほんの少しも軽くなっていないことが恐ろしい。アメリカの読書界を震撼させたというのも納得できる力作である。
780ページ超の重厚長大作だが絶対に読む価値ありとオススメする。

iisan
927253Y1

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