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ハーフムーン街の殺人



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【この小説が収録されている参考書籍】
ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)

ハーフムーン街の殺人の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

トランスジェンダーの素人探偵、しかも19世紀末!

デビュー作にして2019年の英国推理作家協会(CWA)のヒストリカル・ダガー賞候補になったという歴史ミステリーである。ホームズが活躍していた19世紀末のロンドンを舞台に、トランスジェンダーの素人探偵が殺人事件の謎を解くという凝った構成で、歴史ミステリーとしてはもちろん本格謎解きミステリーとしても高レベルな作品である。
ロンドンの解剖医の助手を務めるレオは、運び込まれた死体を見て失神するほど衝撃を受ける。頭を殴られ、テムズ河岸に捨てられていた死体は、レオが愛し、いつかは一緒に生活したいと願っていた娼婦のマリアだったのだ。厳格な牧師の次女・シャーロットとして生まれながら心と体の違和感に苦しみ、15歳で家出してロンドンで男として生きているレオは、その秘密を知りながら偏見なしで接してくれるマリアに、娼婦と客以上の関係を夢見ていたのだった。ショックで仕事を休んでいたレオのもとに刑事が訪ねてきて、マリア殺害容疑で逮捕されたのだが、翌日、名前も知らない有力者の力によって釈放される。マリアのためにも真相を明らかにしたいと願うレオは、なりふり構わず真犯人を追いかけるのだった。
同性愛はもちろん異性装さえ犯罪とされていた時代に、主人公がトランスジェンダーで、常に男性としてふるまうことを余儀なくされているという設定が衝撃的かつユニーク。女であることがバレただけで終わってしまうレオの焦燥感がビリビリと伝わってきて、全編のサスペンスを盛り上げている。また、フーダニット、ワイダニットもきちんと書かれており、本格的な謎解きミステリーとして評価できる。さらに、19世紀末のロンドンの社会風俗も興味深い。
歴史ミステリーだけではない面白さを備えており、幅広いジャンルのミステリーファンにオススメしたい。

iisan
927253Y1

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