ハーフムーン街の殺人



    ※タグの編集はログイン後行えます

    【この小説が収録されている参考書籍】
    オスダメ平均点

    7.00pt (10max) / 1件

    7.00pt (10max) / 1件

    Amazon平均点

    4.25pt ( 5max) / 4件

    みんなの オススメpt
      自由に投票してください!!
    1pt
    サイト内ランク []C総合:1908位
    ミステリ成分 []
      この作品はミステリ?
      自由に投票してください!!

    0.00pt

    74.00pt

    17.00pt

    0.00pt

    ←非ミステリ

    ミステリ→

    ↑現実的

    ↓幻想的

    初公開日(参考)2020年03月
    分類

    長編小説

    閲覧回数677回
    お気に入りにされた回数0
    読書済みに登録された回数1

    ■このページのURL

    ■報告関係
    ※気になる点がありましたらお知らせください。

    ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)

    2020年03月06日 ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)

    十九世紀末のロンドン。テムズ河畔で相次いで死体が発見された。ウェストミンスター病院で解剖医の助手を務めるレオ・スタンホープは、二人目の死体を見て驚く。娼婦のマリアだった。マリアは、牧師の娘として生まれながら男として生きるレオのよき理解者だった。嫉妬によるマリア殺しの容疑でレオは警察に留置されるが、翌日何かの事情で突如釈放される。その後マリアの葬儀で出会った産婆のモローから、マリアが軍人とつき合っていたと知らされたレオは真犯人捜しを始めるのだが―。英国推理作家協会(CWA)ヒストリカル・ダガー賞最終候補作!(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    ハーフムーン街の殺人の総合評価:8.20/10点レビュー 5件。Cランク


    ■スポンサードリンク


    サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    トランスジェンダーの素人探偵、しかも19世紀末!

    デビュー作にして2019年の英国推理作家協会(CWA)のヒストリカル・ダガー賞候補になったという歴史ミステリーである。ホームズが活躍していた19世紀末のロンドンを舞台に、トランスジェンダーの素人探偵が殺人事件の謎を解くという凝った構成で、歴史ミステリーとしてはもちろん本格謎解きミステリーとしても高レベルな作品である。
    ロンドンの解剖医の助手を務めるレオは、運び込まれた死体を見て失神するほど衝撃を受ける。頭を殴られ、テムズ河岸に捨てられていた死体は、レオが愛し、いつかは一緒に生活したいと願っていた娼婦のマリアだったのだ。厳格な牧師の次女・シャーロットとして生まれながら心と体の違和感に苦しみ、15歳で家出してロンドンで男として生きているレオは、その秘密を知りながら偏見なしで接してくれるマリアに、娼婦と客以上の関係を夢見ていたのだった。ショックで仕事を休んでいたレオのもとに刑事が訪ねてきて、マリア殺害容疑で逮捕されたのだが、翌日、名前も知らない有力者の力によって釈放される。マリアのためにも真相を明らかにしたいと願うレオは、なりふり構わず真犯人を追いかけるのだった。
    同性愛はもちろん異性装さえ犯罪とされていた時代に、主人公がトランスジェンダーで、常に男性としてふるまうことを余儀なくされているという設定が衝撃的かつユニーク。女であることがバレただけで終わってしまうレオの焦燥感がビリビリと伝わってきて、全編のサスペンスを盛り上げている。また、フーダニット、ワイダニットもきちんと書かれており、本格的な謎解きミステリーとして評価できる。さらに、19世紀末のロンドンの社会風俗も興味深い。
    歴史ミステリーだけではない面白さを備えており、幅広いジャンルのミステリーファンにオススメしたい。

    iisan
    927253Y1
    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.4:
    (4pt)

    続編の翻訳望む。さらなるレオの活躍を期待。

    19世紀末ホームズが活躍していた頃のビクトリア朝ロンドンで、解剖医の手伝いをする若者レオ・スタンホープが殺人事件の犯人探しに奔走する。
    ただ彼大きな秘密があって……。

    本書の外カバーにもAmazon商品サイトの概要にもこの“秘密”の内容は記載されている。
    それにより、興味を持った人が読むか否か選択しやすいようにはなっている。
    また、読み始めてすぐに主人公が隠していることが判明するのでネタバレではないものの、読者が驚く機会を奪っているのは否めない。

    そもそもこの人物設定、ありがちなストーリーに個性と彩りと深みを与えているが、ミステリ小説上必要だったかといえば疑問だ。

    しかしながら、いささか強引に感じる設定ながら、モデルになった人物が実在したとのこと。
    また作者自身もこのことには悩んだらしく当事者団体に相談したとのこと。そこで了承されたというなら、これ以上ごちゃごちゃいうまい。

    そこで、秘密部分を除いた主人公の人物像だが、純粋が故、猪突猛進、かなりの無茶をする。それが災いして心身共々大きな打撃を受けるが、最終的に功を奏して事件を解決。
    この事件を通じて、得たものより失ったものの方が大きかったように思えるが、レオが人間的に強くなり、“探偵”進化したのは明がだ。さらにパワーアップしたレオの活躍が見たい。
    続編は既に出ているそうなので翻訳版を望む。
    ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)より
    4094066101
    No.3:
    (5pt)

    トランスジェンダーの切なさを感じるミステリ

    とてもおもしろかった。
    まずミステリとして最後になってわかる真相が予想外のもので、その裏切られ方が心地いい。
    そしてトランスジェンダーである主人公の切なさにも胸を突かれる。
    続編があるらしいので、ぜひ邦訳してほしい。
    ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)より
    4094066101
    No.2:
    (4pt)

    確かな筆力により実現された19世紀ロンドンに生きるトランスジェンダー・ミステリー

    やれやれ、この作家、よくもここまで難度の高い小説を書きあげたものだ。主人公は、体は女性だが心は男性というトランスジェンダー。現代であればありがちな設定なのだろうけれど、なんと舞台は19世紀1880年のロンドン。難度に難度を重ねるチャレンジングな設定。

     今年読んだ『探偵コナン・ドイル』の設定が本書とほぼ同時期で、ホームズが登場し、切り裂きジャックが夜を掻き回していた時代であり場所である。同じ、ロンドンの夜は、本作でもかなり手強い暴力や殺意に満ちており、怪しい霧に包まれて真相がなかなか見えないところも、やはり同じである。

     当時の警察権力の粗暴さが際立ち、その犠牲になる誤認逮捕など珍しくもないみたいな世界で、マイノリティである検視官助手の男装の主人公レオ・スタンホープの活躍が光る。活躍と言っても体は女性であり、家族とも切れた孤独な生活なので、腕力も財力もてんでない。街の薬品店の二階に格安で住まわせてもらっている様子、そこの父娘の生きるバイタリティが微笑ましかったりする中で、極悪な犯罪の連環がレオを襲う。

     ハーフムーン街の娼婦の館を舞台にした連続殺人事件。その一人は、レオが通い詰める娼婦マリアで、彼は検視局で彼女の遺体と対面することになる。売春宿の女主人、オーナー、帳簿係に加え、謎のキツネ似の男、陸軍少佐など、宿を流れるマネーや色欲、暴力と愛憎の迷路がページと共に闇をより深くより濃く演出してゆく。

     女性の体をもつが自分を男と認識する若者の一人称で描く難物のミステリーだが、筆力が素晴らしい。登場人物の誰もが活き活きと印象深い。当時のロンドンの雰囲気にマッチした薄暗い霧を纏う事件の本質は、裏のまた裏へと展開し、複雑に絡み合う人間模様を解いてゆく後段は見ごたえがいっぱいである。

     謎だけではなく主人公レオの経験する、異質であるゆえの痛み、絶望感は並大抵のものではない。最後まで謎を秘めているかに見える女性キャラの深さもなかなかの味わい。シリーズ化された二作目三作目と原作は上梓されているとのこと。翻訳が楽みな期待のシリーズの登場である。
    ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)より
    4094066101
    No.1:
    (4pt)

    不自然さが少ない緻密なプロット

    1888年、英国が舞台のパズラー「探偵コナン・ドイル」を読んだ直後、1880年(ヴィクトリア朝後期)、英国、ロンドンが舞台のもう一つのパズラー「ハーフムーン街の殺人 "The House On Half Moon Street"」(アレックス・リーヴ 小学館)を読むことになりました。
     主人公レオは、ある病院の解剖医の助手として働く、性同一性障害あるいは「トランスジェンダー」の探偵役です。彼は、「女性」である自分に違和感を感じていましたが、15歳の時、ロッティからレオと名前を変えて「男性」として生きることを選択します。その「秘密」を持ち、慎重に振る舞いながらも彼は毎週、娼館のマリアに会いに行くことを生きがいにしており、次第に彼女を愛するようになります。(中略)ある日、その病院の解剖室に「変わり果てた姿」のマリアが運ばれてくることになります。直前、テムズ川の船着き場では男の溺死体が発見されますが、(男が泳ぎが得意だったにも関わらず)その事件は「事故」として処理されてしまっています。果たしてそれは本当に「事故」だったのか、そしてマリアは一体誰に殺されたのか?
     想像が困難な時代であるにも関わらず「リアリティ」を感じさせながら、「トランスジェンダー」の主人公の特異性とその「弦月」のような弱さが、逆に読者に「真実」を曖昧にするよう謀られたミス・ディレクションの役割を担っているような気さえします。そして、いつかしらさり気なく置かれた布石が、しっかりと回収されて物語はある結末を迎えることになりますが、不自然さが少ないとても緻密なプロットを創造しています。
     レオは本当に痛めつけられ、繰り返し「底を打ち」ながらも粘り強く犯人を追い求めていきます。地味で、暗く、でもそこはかとないユーモアも漂い、いわく言い難いところもありますが(笑)、アンドロギュノスでありながら「等身大」の希望を感じさせるようなキャラクターは、かなりユニークだと思います。
     「ボタンはすべて同じでなければならない」こともない。
    ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:ハーフムーン街の殺人 (小学館文庫)より
    4094066101



    その他、Amazon書評・レビューが 4件あります。
    Amazon書評・レビューを見る     


    スポンサードリンク