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ザ・ボーダー



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【この小説が収録されている参考書籍】
ザ・ボーダー 上 (ハーパーBOOKS)
ザ・ボーダー 下 (ハーパーBOOKS)

ザ・ボーダーの評価: 8.50/10点 レビュー 2件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.50pt

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(9pt)

勝利なく終わったアート・ケラーの40年戦争

「犬の力」から始まったアート・ケラーの麻薬戦争三部作の完結編。総ページ数3800を超える超大作の終わりを飾るにふさわしい壮大な犯罪小説である。
シナロア・カルテルのドンであるアダン・バレーラを殺害したアート・ケラーはアメリカ麻薬取締局局長に就任し、これまでの麻薬流入防止・カルテル殲滅作戦とは異なる方針で臨むことを決意し、ごく限られた信頼できるメンバーとともに密売組織に囮捜査官を潜入させる作戦を開始した。一方メキシコでは、首領の中の首領アダン・バレーラ亡き後の空白を埋めるようとシナロア・カルテル内部だけでなく、様々なカルテルが加わって血で血を洗う戦争が始まっていた。麻薬戦争はメキシコとの戦いではなく、アメリカ内部での戦いであると認識するケラーが麻薬資金の流れを追いかけると、アメリカ大統領もかかわる政財界の構造的な腐敗が見えてきた。40年の麻薬戦争の末にケラーが行き着いた決断は、命を賭けた告発だった。
最初から最後まで力がみなぎるパワフルな犯罪物語である。50年以上の年月と膨大な公的資金、人材をつぎ込みながらアメリカはなぜ麻薬戦争に勝てないのか。その答えは世界最大の違法薬物消費国に甘んじているアメリカ社会の中にあり、戦うべき相手はメキシコの麻薬カルテルではなくアメリカ社会の腐敗であるという訴えがビンビン伝わってくる。
三部作なので「犬の力」から読むのが一番だが、本作からさかのぼって読んでも十分に楽しめる。骨太の社会派犯罪小説のファンに絶対のオススメだ。

iisan
927253Y1

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