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疑惑のスウィング プロゴルファー リーの事件スコア4



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疑惑のスウィング プロゴルファー リーの事件スコア4の評価: 5.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

いよいよゴルフ・ミステリか!と思いきや…

若き女子プロゴルファー、リー・オフステッドのシリーズも早や4作目。4作目にもなるとシリーズの世界も広がってきて、一層面白味を増してくる。

2作目で出演したスキップ・コクランとメアリー・アン・クーパーの2人がテレビの解説と進行役で再登場することも世界の広がりを感じさせるシーンだ。この2人は今回登場人物表に名前が記載されていないのでまさにシリーズ読者のみぞ知る演出だ。

さらに作中で登場するゴールドスタインの詐欺の相関性の法則とは、これはもしかしてスケルトン探偵シリーズの名脇役だったエイブ・ゴールドスタインのことか!?と思わず笑みがこぼれたが、どうも実在の人物でしかも実際にある法則らしい。う~ん、さすがにそこまでのファン・サーヴィスはないか。

さて今回の謎はアメリカチームのキャプテンを務めるロジャー・フィンリーのキャディの殺人事件と、ロジャーのショットの不振の原因である。

実は殺人事件の捜査に関してはいわゆる通常のミステリにありがちな緻密な警察捜査が語られるわけではない。あくまで本書はプロゴルファーのリーが中心になって物語が動いていくため、終始彼女の周囲にいるプロゴルファーたちとのやり取りやゴルフの試合のこと、そしてロジャーの不振の原因探しがメインになってくる。

とこのようにミステリ部分については薄口だが、このシリーズで興味深いのはやはりゴルフにまつわるエピソード。
例えば古参のキャディは専属のゴルファーが調子悪くても決して陰でバカにしてはならないという鉄則があるようだ。それはゴルファーが彼らを食わしてくれているからだ。日本のサラリーマンは上司の陰口を酒の肴にして溜飲を下げる風潮があるのに、なんという気高さだろう。

またスチュワートカップに出場するゴルファーには色々な“特典”があることが明かされる。
プレイ時に使用するゴルフの服装はもとより、スチュワートカップのロゴ入りの旅行鞄にスーツケース、ユニフォームと思しきスーツにシルクのブラウス。さらにドレスシューズにイブニングドレスまでまさに至れり尽くせり。さらには必要経費として5千ドルのトラベラーズチェックまで送られてくる。
いやあ、こんなセレブな世界が本当にあるのだなぁとビックリした。…と思ったら、訳者あとがきによればこれは作者の創作らしい。な~んだ。

そしてようやくリーの恋人グレアムがゴルフに興味を持つようになるのも特筆すべきことだ。それを悟らせるのにリーのティーショットの詳細な描写が大いに寄与している。
ゴルフのショットの美しさと精度の高さ。それが集約された一瞬の断片。この部分を読んでゴルフを楽しむプロアマの人々はゴルフの本質を触れてくれたことに拍手を贈ったのではないだろうか。今まではプロゴルフ業界の裏話を小出しに著されたシリーズがようやく4巻目にしてゴルフという競技そのものを語った思いがした。

しかもリーはスチュワートカップのアメリカチームに勝利をもたらした中心人物として一躍名を馳せ、有名人となった。
これはもう本書でこのシリーズは打切りか?と思いきや、あとがきによれば次作もあるとのこと。

しかし2011年9月に1作目が訳出されてからちょうど1年で4作に上る。これほど頻繁に出版されるってことは人気があるのだろうなぁ。実際書店にこれまでのシリーズ本が陳列されていたし。
個人的にはアーロン・エルキンズ単独のスケルトン探偵シリーズの新訳を読みたいのだが、なんと新作が発表されていないようだ。
う~ん、しばらくはこのシリーズで渇きを癒すか。


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