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薔薇の名前



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【この小説が収録されている参考書籍】
薔薇の名前〈上〉
薔薇の名前〈下〉

薔薇の名前の評価: 6.75/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.75pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

薔薇の名前の感想

キリスト教の知識がないと、?となるところがあるかもと思います。長い。というのが感想の全てです

みいさん
5A7D993B
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

まるで宗教書

作者は宗教学者ですね。読んでいて辛かったです。この本を評価している人は見栄っ張りなのかな。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

映画→本書の順序がオススメ

凄い書物に触れてしまいました。内容の密度がとても濃く読み終わるまで1か月要しました。ただ、この期間は難しくて挫折の意味ではなく、数多く現れる内容から興味を持ったものを脱線して調べながらの読書だったためです。それでも正直わからない事だらけで、拾えるものが微々たるものでした。本書の凄まじさは読者が持っている知識に呼応して魅力が増す作品になっている所です。

いきなり本書に触れると返り討ちに合いそうなので、先人に習って以下の手順で自分は触れました。

■個人的なオススメの作品の触れ方
▽映画を見る(ショーン・コネリー主演、ジャン=ジャック・アノー監督)

▽下巻の解説を読む

▽本書を読む。

まず映画の出来がとてもよいです。本書のミステリ部分が強調された作品となっており、難しい知識が必要なく楽しめます。
1327年の修道院で発生した連続怪死事件をバスカヴィルのウィリアムとメルクのアドソの探偵&助手(書記)の2人が体験します。ピンと来ると思いますが、シャーロックホームズの設定を活用しています。ウィリアムの圧倒的な知識と洞察力で、修道士達の発言や行動、黙示録に見立てられたような事件現場や占星術や神学等、見習いアドソ&読者に教える先生のように推理と解説をしていきます。ミステリの面白さを十分に楽しみながら全体像を映像として把握できるので映画はオススメです。
次に下巻の解説を読みました。ストーリーは映画で把握済みなので、ネタバレ気にせず翻訳者の解説にて本書の背景がどういうもので、歴史や書物、著者専門の記号論がどのように扱われているかが感じ取れます。

この手順であれば、登場人物のカタカナ名に悩まされる事も場面混乱も回避でき、最大の魅力であるミステリを模した書物の迷宮を集中して体験できるでしょう。

個人的な感覚ですが、昔に体験した三大奇書の黒死館の衒学やドグラマグラの作中作の面白い意味でのパニック感を、数年経った今、学術的な要素で再体験した気持ちです。難しくて好みが分かれるかもしれないですが、そういう圧倒的なものに触れるのが好きな方にはささる作品です。

拙い知識でどう書いたらよいか悩むのですが、設定の数々である、時代や現場や言語体系やミステリ要素や書物に関する事、どれもこれもが外せずに絡んでいて、こうじゃなきゃ成立しない凄まじいバランスの妙の作品ですね。何かに気付いてもそれが必然になっている事に気づかされる。。。。うーむ、、、すごい。

▼以下、ネタバレ感想

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egut
T4OQ1KM0
No.1:8人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

薔薇の名前の感想

14世紀の修道院が舞台の歴史ミステリーです。説明するまでもない有名作品で、古いですが映画化もされていますね。
体裁は少々複雑で、主人公はバスカヴィルのウィリアムと見習修道士メルクのアドソの二人なのですが、ラテン語で書かれたアドソの手記を「私」が現代に訳したものという形で書かれています。修道院で連続殺人事件が起こり、二人が解決していくというミステリー作品です。
歴史ものが嫌いな人には苦痛もあるかもしれません。当時の宗教論争や修道会や教会の名前がこれでもかと出てきます。しかしながら、テーマの求心力がとても強いので細部を読み飛ばしてもついていけなくなることはまずありません。amazonのレビューを見ると、バチカンと教会の関係、当時の歴史的勢力図など頭に入って無いと読めないかのように解説する人もいますが、それほどではありません。ちなみにabsintheはそういった解説に書かれていた内容は全然知りませんでした。
そういう意味で、知識をひけらかしたいという動機見え見えな、うんちくを列挙してばかりで内容の無い凡百の小説とはずいぶん異なっています。
登場人物が多くて覚えるのも大変ですが、読みにくい感じはせず最後まで一気に読めました。「罪と罰」や「星を継ぐもの」と並んでミステリーでは私の生涯ベストに入ります。

著者のウンベルト・エーコは記号論の大家で哲学者です。哲学の中で重大なテーマに、テキストとは何かという論争があります。ウンベルトエーコの生涯の研究テーマだったようで、本書でもその問いかけが随所に見られています。
この哲学上の問題を知っているとより楽しく読めるのです。テーマは哲学ネタや神学論争ばかりでもなく、知識の迷宮と化した現代の大学の在り方や学問の在り方への批判なども見られ、読めば読むほどその奥深さに驚かされます。教会の様子が現代社会の暗喩にもなっているのです。

ここまで読むと、教養の押し売り小説のようにも見えてしまうのですが、押し付けがましくはありません。ページをめくるたびに、厚みのある教養と知識が読者に襲いかかってきますが、若手の教師にありそうな「ここに板書した範囲は来週までに暗記して来い!」みたいなのりはなく、優しい老教授が「覚えられるだけ覚えてきなさい。あまり無理せんでな。」といってくれるような印象です。師弟の師にあたるウィリアムの設定が、人間として丸くなっているからだと思います。彼は若いころは熱血漢だったのに理想に燃えすぎることや偏狭さがどれだけ恐ろしいかを知って、考えを改めてきた者として書かれています。異端審問の恐ろしさを語る彼のセリフにそれが現れています。

absintheが何度か再読した少ない小説のひとつです。私の脳力では残念ながら魅力をうまく紹介しきれません。私に読み切れなかった奥深いテーマがまだまだたくさん眠っていそうです。absintheは偶然に、本書を読む少し前に筒井康隆の「文学部唯野教授」を読んでいたので記号論のテーマにピンときました。記号論やテクストとは何か?というテーマをご存じない方は、「文学部唯野教授」を先に読んでおくことをお勧めします。こちらも楽に読めて勉強になる作品です。他に「ウンベルトエーコの読みと深読み」「ウンベルトエーコの文体練習」など読んでおくとさらに楽しさ倍増と思います。
また、同著者ウンベルトエーコの「フーコーの振り子」もまた楽しい作品で、こちらも記号論といいますか、言及と解釈の問題を扱っています。



▼以下、ネタバレ感想

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absinthe
BZLMTCHK

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