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黒き水のうねり



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【この小説が収録されている参考書籍】
黒き水のうねり (ハヤカワ・ミステリ文庫)

黒き水のうねりの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

アメリカの恥部に切り込む、パワフルなミステリー

処女作ながら2010年エドガー賞最優秀新人賞にノミネートされた長編ミステリー。1980年代、テキサス州で権力犯罪に立ち向かう黒人弁護士の苦悩を描いた、ビターでパワフルな社会派ミステリーである。
妻の誕生日祝いでナイトクルーズに出かけた黒人弁護士・ジェイ夫妻は河岸からの銃声と女性の悲鳴を聞き、川に落ちた裕福そうな白人女性を助け上げた。女性の首には絞められたような傷跡があったのだが、一切の説明を拒否し頑なに黙っていた。若い時の経験から警察との関わりを避けたいジェイは女性を警察署の前で車から降ろし、そのまま立ち去った。しかし、悲鳴が聞こえた場所から射殺死体が発見され、ジェイは否応なく事件に巻き込まれて行く…。
公民権運動やブラックパワーの台頭はあるものの冷酷な人種差別が横行する80年代のディープサウス。弁護士とはいえ黒人のジェイが人間としての誇りと圧倒的な白人社会の差別のはざまで苦しみ、葛藤するところが読みどころ。60年代後半から70年代にかけて公民権運動に深く関わり逮捕、投獄された経験を持つジェイの骨身に染み込んだ公権力への恐怖がリアルで心を打つ。当時から40年以上が経過しても、さほど変わったように見えないアメリカの恥部の恐ろしさを突きつけてくる、怒りに満ちた作品である。とはいえ、謎解きミステリーとしての面白さも失われてはおらず、上質なエンタメ作品と言える。
社会派ミステリーのファンにオススメする。

iisan
927253Y1

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