科学者の父親と穏和な母親に育てられた医学生の馨にとって家族は何ものにも替えがたいものだった。

幼い息子を海で亡くした監察医の安藤は、謎の死を遂げた友人・高山の解剖を担当し、冠動脈から正体不明の肉腫を発見した。

太古のゴビ砂漠。

一本のビデオテープを観た四人の少年少女が、同日同時刻に死亡した。

リングの事件発生からさかのぼること三十年あまり。小劇団・飛翔の新人女優として不思議な美しさを放つひとりの女がいた。

50年の時を隔てた戦時下と現代の日本で、時代と集団の空気に逆らい、それぞれ立ち上がった二人の男たちは、どう生き延びるのか?家庭、軍隊、職場にあって、死、幸福、不安のあいだで大いに揺れる人間を描く長編大作。

大都市の欲望を呑みつくす東京湾。ゴミ、汚物、夢、憎悪…あらゆる残骸が堆積する埋立地。

自殺の名所を訪れる、様々な人間たち 「死」の気配を濃厚に漂わせる、富士の樹海。

16年前、5人の男女を乗せたヨットが南太平洋フィジー沖で遭難した。

入水自殺を図った若い女性は、記憶を失っていた。恋人だった青年は遠洋マグロ漁船の上にいる。

事故で亡くなった愛妻の肝細胞を密かに培養する生化学者・利明。

和歌山県串本町のダイビングショップでインストラクターとして働く女性ダイバー高畑水輝。

その物語は、人を殺す――。

親友の異変、瞬時に形を変える土偶、鳥からの謎のメッセージ。そして、大島の火口に身を投げた貞子の母・志津子の秘密。

妹の死んだその日から、壊れてしまった父と母。彼女の「死後」を「再生」しようとする兄。

福岡市の香椎海岸で発見された男女の死体。汚職事件渦中の某省課長補佐と愛人の心中と誰もが思ったが…。

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。

もうおまえとは暮らせなくなった―日曜日の夕方、テレビも点けたままの状態で姿を消した松岡邦夫。

裕福な家庭で育ち、大手出版社に勤め、恋人はエリート。順風満帆な毎日を送る梅村靖子の前に突然現れた若き格闘家・真島一馬。

だからこそ潜るのだ。誰も潜らないから、誰かが潜らなければいけないのだと信じる。

特殊能力を活かし、裏のコンサルタントとして生きる女・水原は、旧知の湯浅に堂上という男の調査を依頼される。

映像制作会社に勤める安藤孝則は、ネット上に公開されたある動画の解析を依頼される。

人が消えていく―それは長野、新潟、カリフォルニアで相次ぎ起こった。

歴史的な条約締結のため、韓国の大統領が来日する。 警察が威信をかけてその警備にあたる中、現職総理大臣の孫娘が誘拐された。

警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。

出版社勤務の沙羅は40歳を過ぎ、かつて妊娠中絶した相手の川島と再会。それ以来、子供が欲しくてたまらなくなってしまった。

日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、生命保険会社に勤務する森川から、不正受給の可能性があると指摘を受けた。

「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。

平穏だった家族が少年事件によって崩れていくさまを描く心理サスペンス。