ようこは自分の部屋に戻り、箱を見た。

はじまりは、「ぬかどこ」だった。

昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。

玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。

祖母が遺した古い家に女が四人、私たちは共同生活を始めた。糸を染め、機を織り、庭に生い茂る草が食卓にのる。

庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。

「理解はできないが受け容れる」著者が学生時代を過ごした英国の下宿の女主人ウェスト夫人と住人たちとの騒動だらけで素敵な日々。

わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。

村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。

コウコは、寝たきりに近いおばあちゃんの深夜のトイレ当番を引き受けることで熱帯魚を飼うのを許された。

記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。

江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。

亡き友の家を守る物書き、綿貫征四郎。

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。

巨額の遺産を相続した若い独身女性の家に侵入してみると、なぜかどの部屋のなかも鏡だらけ。

38歳、秋。ある日、僕と同い歳の父親に出逢った。

中学校にはいろいろな生徒がいる。

東京でピアニストとして活躍していた柏木ユリが音楽教師として長崎にある中五島中学校へ赴任してきた。

僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。

わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。梨花は海外へ逃亡する。

ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。

『西の魔女が死んだ』でのデビューから現在まで、25年の作家人生を映し出すエッセイ集。森を歩き、鳥を観る。

舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。

三十肩と鬱に悩まされている皮膚科学研究員の山幸彦は、ふたごの鍼灸師のすすめで祖先の地、椿宿に向かう。

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった―。ある日、学校で起きた陰惨な事件。

このビタミンは心に効きます。疲れた時にどうぞ。

北から南へ、そして南から北へ。

おなかがすいたら料理をつくり、あとかたづけに、へやのそうじ、退屈すれば話し相手に。

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。

ちぎれそうな身体だって、おれの走りをするんだ。

「大きくなること、それは悲劇である」。

幼児なみの知能のため、みんなからバカにされてきたチャーリイ・ゴードン。

魔犬の呪いで妹を失った三きょうだいは、ママと一緒にパパが残してくれた別荘に移り住む。

あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。

中学入学直前の春休み、父の転勤で岡山県の山間の町に引っ越してきた原田巧。

開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。途方に暮れる山崎さんに散歩仲間ができた。

武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。

津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。

箱根駅伝を走りたい―そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。

『星を継ぐもの』シリーズ4作品 新版化 月面で発見された5万年前の死体はどこからやってきたのか？ ハードSFの巨匠ホーガン不朽の名作 第12回星雲賞海外長編部門受賞作 【創元ＳＦ文庫60周年記念新版】 月面調査員が、真紅の宇宙服をまとった死体を発見し

どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。

東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。

楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。

郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。