激動する世界の中で、平和を謳歌する日本。しかし、戦争と暴力への想像力を失ったとき、致命的な危機が忍びよる…。

5分のずれで現われた、もうひとつの日本は人口26万に激減していた。

突然変異の人類“クチチュ”らと共に旅を続けるアキラは、生への執着から解き放たれた人々が猿のように生きる村や、ロボット制御の病院で人間が管理される残酷な姿を見届け、遂に宇宙空間へと向かう。

さらなるテロの危険に日本政府は福岡を封鎖する。いまや九州は反乱軍の占領下となった。

1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。

日本はもう一度、焼け野原になるべきなのか? 経済の衰退した近未来の東京。

ニードルが乳首を貫くとき、美と勇気は現れる。惨劇は、殺人衝動を持つ男と、自殺願望を持つ女が出会った夜に始まる。

精神病院を退院して三日後に出会った男に、贅沢な旅を約束され、パリにやって来たマチコ。

42歳の青山は、再婚相手を探すため「オーディション」を行う。

伝説の男が帰ってきた…。ニューヨークのダウンタウンでホームレスに身をやつし、隠遁していた謎の男・ヤザキ。

試合で活躍した選手が心臓麻痺で死ぬという事件が起こった。

この巻に収められた三つの長編は、ある種の逸脱と自己循環にあふれている。

開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。途方に暮れる山崎さんに散歩仲間ができた。

さようなら、3フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。

私は時間を味方につけなくてはならない―妻と別離して彷徨い、海をのぞむ小田原の小暗い森の山荘で、深い孤独の中に暮らす三十六歳の肖像画家。

愛―、それは気高く美しきもの。そして、この世で最も恐ろしいもの。

雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。

誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔。 1980年代後半、時はバブル真っただ中。

ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。

羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。

「母さん、僕のあの帽子、どうしたでせうね?」。西条八十の詩集を持った黒人が、ナイフで胸を刺されて殺害された。

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。

逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編(書き下ろし3編)を収録。

あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。

誰にでも青春があった。被害者にも犯人にも、そして刑事にもー。

タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。

都内の2LDKに暮らす男女四人の若者達。本音を明かさず、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。

9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か? 大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。

地下採石場跡の巨大な洞窟に、核シェルターの設備を造り上げた〈ぼく〉。

“わたしたちは仲間です”―十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。

子どもの殺人に原因はないよ、幼児が迷子になるのに原因がないのと同じだ、親が目を離したから?それは原因じゃなくて子どもが迷子になる過程の一つにすぎない。

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。

時間が作り出し、いつか時間が流し去っていく淡い哀しみと虚しさ。

物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。

第153回芥川賞受賞作 「早う死にたか」 毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、 ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。

天文年間、小土豪が群雄割拠する中国地方で没落した宇喜多家の嫡男・八郎は、その器量を見込まれ、豪商・阿部善定のもとで父母とともに居候していた。

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。

アメリカはニューイングランド地方の田舎町、トゥームズヴィル。

「金がないことがこんなに心細く、息苦しいとは思わなかった」。

神社に詩集を置かせてくれと頼んできた女子高生の佑紀奈には、玲斗だけが知る重大な秘密があった。

幼児なみの知能のため、みんなからバカにされてきたチャーリイ・ゴードン。

友もなく、女もなく、一杯のコップ酒を心の慰めに、その日暮らしの港湾労働で生計を立てている十九歳の貫太。

映画学校を卒業し、アルバイト生活を続ける中山唯生。