ヒーローだった兄ちゃんは、二十歳四か月で死んだ。超美形の妹・美貴は、内に篭もった。

『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説。

年齢も境遇もさまざまな8人の女性たち。

「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。

他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。

僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。

公団住宅で三つ子の姉と、両親、祖父母に愛されて暮らす「こっこ」こと渦原琴子は、口が悪く、偏屈で硬派な、孤独に憧れる小学三年生。

少女の秘密が、ぼくの世界を塗り替えた。信じること、与えること、受け入れること、そして変わっていくこと…。

小学校の体育館裏で、きりこが見つけた黒猫ラムセス2世はとても賢くて、大きくなるにつれ人の言葉を覚えていった。

26才スナック勤務の「あたし」と、おなかに「俺の国」地図を彫っている4才年下のダメ系学生風間くんと、ペット亀の「バタ」のほわほわ脱力気味の同棲生活から一転、あたしはリセットボタンを押すように、気がつけばひとり深夜長野の森にいた。

散歩中に拾った、自分と同じ機種の携帯電話。

29歳の葉太はある目的のためにニューヨークを訪れる。

直木賞作家が５年間苦しみ抜いて到達した祈り。再生と救済の長篇小説。

『くもをさがす』の西加奈子が贈る、8つのラブレター。 この本を読んだあと、あなたは、きっと、自分の体を愛おしいと思う。

「お前んち、いっつもええ匂いするのう。」そう言った転校生のコジマケンが気になる緑は、まだ初恋を知らない十四歳。

池井戸花しす、二十八歳。職業はアダルトビデオへのモザイクがけ、趣味はICレコーダーでの隠し録り。

謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。

失恋ばかりの、私の体。私は彼のことが、本当に、好きだった。

強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。

結婚して十二年、三十九歳の調査会社中間管理職の俺の妻が、ある日、他の男の子を宿す話。

恋人の娘を一日預かることになった私は、実は子供が嫌いだ。作り笑顔とご機嫌取りに汗だくになっても、ぎくしゃくするばかり…。

マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。25歳。

温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。

天使へと解体される少女に、独白する書家の屍に、絵画を写す園に溺れゆく男たちに垣間見える風景への畏怖、至上の美。

大阪最大の繁華街、ミナミのキャバレーで働く「吉田」は、素人臭さの残るスナックのチーママ「みさを」に出会い、惹かれていく(「地下の鳩」)。

些細な事件が大騒動に発展していく、パニックコメディの大傑作！ 一億の契約書を待つ生保会社のオフィス。

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。

５２ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

北朝鮮が、日本に向けた中距離弾道ミサイルに燃料注入を開始した。中身は核なのか。

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだーー あの事件から10年。

箱根駅伝を走りたい―そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。

深夜、夫が交通事故に遭った。病院に駆けつけた早苗と息子の力は、そこで彼が誰の運転する車に乗っていたかを知らされる……。

林ちひろは、中学3年生。

「美」は魔物―。

恋人に騙され、仕事もお金も居場所さえも失った２５歳のエミリ。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。

検事を辞して弁護士に転身した佐方貞人のもとに殺人事件の弁護依頼が舞い込む。

写真家志望の大学生・相羽慎吾。卒業制作間近、彼女の夏美と出かけた山里で、古びたよろず屋「たけ屋」を見付ける。

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。

同情は美しい? それとも卑しい? 優しくたって、美人だって、幸せになるのは一苦労。第6回大江健三郎賞受賞作。

憧れの家庭教師だった真壁が結婚を前に脅されていることを知り、僕は尻込みする彼にかわり探偵事務所に調査を依頼。

あなたと生きる、その痛みごと。

この一冊で世界が変わる、かもしれない。 実業之日本社創業120周年記念! 小社文庫限定の書き下ろしあとがき収録。

大学生の望月良夫は愛車のデミオ運転中に、 偶然会った女優の翠を目的地へ送り届けることに。 だが翌日、翠は事故死する。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。

17人の書き手が自らの「身体」と向き合って記す、生きるためのリレーエッセイ 私の身体はほんとうに私のもの? 私の身体はどんな視線にさらされ、どのように規定され、内面化されているのか。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。