未明の家



※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。


【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

7.00pt (10max) / 1件

6.50pt (10max) / 4件

Amazon平均点

3.23pt ( 5max) / 13件

楽天平均点

4.33pt ( 5max) / 3件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
0pt
サイト内ランク []C
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

5.00pt

34.50pt

10.00pt

19.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)1994年09月
分類

長編小説

閲覧回数2,973回
お気に入りにされた回数1
読書済みに登録された回数13

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

未明の家 (講談社文庫―建築探偵桜井京介の事件簿)

2000年01月14日 未明の家 (講談社文庫―建築探偵桜井京介の事件簿)

閉ざされた中庭(パティオ)が惨劇の始まり 一族を次々襲う奇怪な死。別荘の建築様式に隠された謎を桜井京介が追う 建築探偵・桜井京介が文庫初登場!京介を訪ねた古風な美少女の依頼は“閉ざされたパティオ”を持つ別荘の鑑定と主である祖父の死の謎を解くことだった。少女の一族を巻き込む不可解な事故死、そして自殺未遂。事件はすべて別荘をめぐって起きた。ミステリアスな建築造形に秘められた真実を、京介が追う! (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

未明の家の総合評価:6.50/10点レビュー 14件。Cランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

少女漫画的シリーズ探偵初登場

篠田真由美氏のシリーズ探偵、その名も建築探偵桜井京介。本書はそのシリーズの記念すべき第1作である。

篠田氏も80年代後半から起こった新本格ブームに乗じてデビューした一群の作家の1人であったが、鮎川哲也賞に応募して最終選考に残って東京創元社から刊行された『琥珀の城の殺人』と続く『祝福の園の殺人』は中世のヨーロッパを舞台にした歴史ミステリであり、他の新本格作家とは毛色は違っていた。
そんな独自の道を行っていた篠田氏が、他の新本格作家同様に所謂名探偵を配して難事件に挑むという新本格のコードに則って、満を持して放ったシリーズ探偵がこの桜井京介だ。

まあ、第1作目ということもあり、起こる事件やキャラクターは実に類型的と云えるだろう。

探偵役の桜井は朝に弱く、建築に造詣の深く、しかも大抵のことでは動じず、しかも通常長い前髪で覆いかぶされている顔は類稀なる美貌を放つ美男子ぶりという、なんとも少女漫画的な設定だ。

さらにある事情から桜井から保護を受け、助手を務める15歳の蒼は一旦見た映像を細部まで記憶するという特殊能力を持つ。そして独自の推理で突っ走る道化役の桜井の友人栗山深春とコマも揃っており、実際コミケでは桜井を主人公にした同人誌―恐らく桜井と蒼との関係を邪推したやおい本が多いと思われるが―が島田荘司氏の御手洗潔や有栖川有栖氏の火村、京極夏彦氏の京極堂といった有名どころのシリーズ探偵と肩を並べるほどの人気だったとも聞く。

そんな桜井が依頼されるのは取り壊しが決まった伊豆にあるスペイン風洋館の保存の手助け。そこでは1年前に主の遊馬歴老人が亡くなり、年末には歴の息子灘男が腹部にナイフを突き立てられ昏倒するという殺人未遂事件があり、そして取り壊してリゾート地として売り出そうとしていた不動産会社々長醒ヶ井が不審死を遂げるという過去の因縁と現在の事件が同一の館で起き、しかも持ち主である遊馬家の夫婦と4姉妹はそれぞれに思惑を秘めているという、推理小説はかくありきとも云うべき設定だ。

しかし本作がそれでも特色を放っているのはやはりサブタイトルにも掲げられているように桜井が建築探偵というところだろう。事件そのものよりも対象となる館そのものこそが桜井の関心の対象なのだ。
したがって人の生死に関わる事件は二の次で館に秘められた設計者、住居者の思い、建築の意図を推理する。そのことによって殺人事件の犯人が炙り出されるという間接的な事件真相へのアプローチが成されているのが最たる特徴だろう。

作中、スペイン文学研究者灘男と桜井の問答で『黒死館殺人事件』について触れられるシーンがあるが、そこで語られる殺人の動機は建物が人間に及ぼした影響なのだと探偵法水が述べる部分こそ本書の、いや本シリーズのメインテーマであると云えるだろう。

従って本書では黎明荘に秘められた主だった遊馬歴の想いを解き明かすのがメインであり、事件の方はそれを装飾するものであり、通常新本格ミステリ作家が第1作目として気合を入れて導入する密室殺人事件などは起きない。

起きる事件は3つあるがそのどれもが椅子からの転落死だったり、腹を何者かに刺されて瀕死の重症を負うという、Howdunitには重きが置かれず、WhodunitやWhydunitに重きが置かれた事件になっている。そのためか事件に派手さはなく、まずは桜井京介お披露目の作品といった印象を受けた。

その犯行の模様が明かされても何のHowdunitの興趣をそそるものは一切なく、Whydunitが述べられるだけだ。
陰鬱な雰囲気を常に湛えた遊馬家が桜井によって、事件の真相と黎明荘に込めた遊馬歴の想いが明かされて、一転して明日への新たな道が開かれる。

といったように新本格ミステリというよりも単なるミステリの趣が強い本作だが、やはり作者の得意とする歴史を絡めているところにこの作家のこだわりを感じる。歴が若かりし頃に渡ったスペインで起きたスペイン革命と歴の運命を絡め、秘められたロマンスを演出している。
う~ん、革命を背景に叶わぬ恋とは、これはまさに『ベルばら』の世界だ。やっぱりこの作家、自覚していないようだが少女マンガ的設定を盛り込む遺伝子を持っているのだ。

館を舞台にしながら密室殺人が起きないというのは本格を期待している輩には物足りないが、やはりそこは建築探偵である。以降の作品でその登場を期待しよう。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.13:
(3pt)

建築探偵シリーズ第一弾

W大学の院生が建築にまつわる謎を解くシリーズ第一弾。

館モノというジャンルがミステリにおける一大ジャンルとして存在するからこそ、館にまつわる謎を解くことを専門とした探偵が登場するのはある種当然の帰結……と言えるかもしれないミステリ(とはいえ、初出はもう二十余年前だが)。まさにその売り文句に相違ない作品に仕上がっている。ただシチュエーションとしては決して嵐の山荘に陥ったり、クローズドサークルで殺人劇の幕が上がったりはせず、そもそも探偵たちは死体に直面することすらなく(一応人は殺されるが)、真相を射貫く推理にしても、それほどロジックに凝っているわけでもなく、あくまで蓋然性から想像できる範囲に収まる程度なので、その点ではちと不満。ただ文章は端正で、引っかかりもなくすらすら読めた。
未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)より
406181799X
No.12:
(3pt)

普通

普通でした。
未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)より
406181799X
No.11:
(4pt)

サスペンス劇場

なんのご縁か、読むことになりましたが、連続ドラマを見終わった気分です。凝りに凝ったトリックが使われる本格派ミステリというよりは、キャラクターの魅力とドラマ仕立てのストーリーテリングで引っ張っていくサスペンス劇場のようです。
'94発行なので古い言い回しはありますが、全体的に読みやすい文体です。
個人的には蒼が好きなので、次巻も読んでみたいですね。
未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)より
406181799X
No.10:
(4pt)

とても面白い!

小説の登場人物一人一人の特徴が良く判り、前半と後半の展開が全く異なっていくのでとても面白いです。
犯人はこの人?と登場人物の中でも印象が薄いですが我儘な性格が良く描かれて居ます。
未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)より
406181799X
No.9:
(3pt)

雰囲気はいいのだが…

有栖川有栖氏の著作で紹介されていたので、興味をもって読み始めました。
謎めいた館、語られざる過去、豊富な蘊蓄…とミステリとしての雰囲気はかなりのもの。登場人物のキャラクターも立っていて、面白く読めます。
ただ、肝心の事件がどうにもしょぼい。主人公は事件を全て伝聞によって知るだけで、発生現場には立ち会いません。それが事件の生々しさを消してしまっています。しかも謎解きはありきたりで目新しさもなし。裏表紙に「衝撃の真実」(うろ覚え)と書いてあるのには思わず苦笑です。
ミステリの雰囲気は充分にまとっていますが、雰囲気だけに留まっているといったところでしょう。
シリーズ一作目ということですが、それならなおさら読者のハートを鷲掴みにするような魅力的な事件を描くべきだったのでは…と思います。
未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:未明の家―建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス)より
406181799X



その他、Amazon書評・レビューが 13件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク