007/ムーンレイカー

登録されているタグ

※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。

【この小説が載っている参考書籍】

オススメ平均点

0.00pt (10max) / 0件

6.00pt (10max) / 1件

Amazon平均点

4.70pt (5max) / 10件

楽天平均点

0.00pt (5max) / 0件

みんなの オススメpt 自由に投票してください!!

0pt

サイト内ランク[]

C

ミステリ成分[] この作品はミステリ? 自由に投票してください!!

↑現実的

20.00pt

10.00pt

←非ミステリ

40.00pt

ミステリ→

20.00pt

↓幻想的

初版刊行(参考)
種別
長編
閲覧回数
2,207回
お気に入りにされた回数
1
読書済み登録回数
2
このページのURL

あらすじ

1964年02月29日 007/ムーンレイカー (創元推理文庫 138-2)

ドーヴァーの岸にあるムーンレイカー基地では、億万長者ヒューゴ卿が国家に寄付する超大型原爆ロケットの製作が進行していた。そこへ前任者が謎の死をとげたため、保安係として特派されたのはおなじみ007、ジェームズ・ボンドである。彼が発見したムーンレイカーの秘密、それは大英帝国を震駭させる国際的な大陰謀だった。(「BOOK」データベースより)

評判

007/ムーンレイカーの評価:

0.00/10点 レビュー 0件。 C ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点0.00pt

007/ムーンレイカーの総合評価:

9.40/10点 レビュー 10件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

指定の条件による感想はありませんでした。

Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.10
(4pt)

映画版より好み

ぶっとんだ内容の映画版があまり好みではなかったのですが、原作は適度にリアリティーもあり楽しめました。任務中以外のボンドの意外な私生活を垣間見ることが出来た点も良かったです。
ムーンレイカー―秘密情報部007号 (1964年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: ムーンレイカー―秘密情報部007号 (1964年) (創元推理文庫)より
B000JAH8I8
No.9
(4pt)

映画版より好み

ぶっとんだ内容の映画版があまり好みではなかったのですが、原作は適度にリアリティーもあり楽しめました。任務中以外のボンドの意外な私生活を垣間見ることが出来た点も良かったです。
007/ムーンレイカー (創元推理文庫 138-2) Amazon書評・レビュー: 007/ムーンレイカー (創元推理文庫 138-2)より
4488138020
No.8
(5pt)

紳士クラブの描写がリアル

「ジェームズ・ボンド」シリーズの第3作。英国のみを舞台とした唯一の作品だ。はじめてリージェント公園に面した秘密情報機関(SIS)本部や00課の日常業務やキングス・ロードのボンドのアパートの様子が詳しく描かれている。もっとも、現実には当時SIS本部はブロードウェイ・ストリート54番地のブロードウェイ・ビルディングにあった。
ボンドの敵役は「ヒューゴ・ドラックス卿」こと「フーゴ・フォン・デル・ドラッヒェ伯爵」。独英混血だが心はドイツ人で、戦前はラインメタル社の子会社で働き、第2次世界大戦中はオットー・スコルツェ二―中佐率いる第150機甲旅団の一員としてアルデンヌで英米軍の後方を攪乱したという設定だ。英兵に偽装して英軍の伝書使を襲撃するが、ドイツ空軍の戦闘機に機銃掃射されて気絶し、英軍の野戦病院に担ぎ込まれる。さらに、味方が仕掛けた爆弾が炸裂して、瀕死の重傷を負う。やむを得ず記憶喪失の英兵を装って、ドラックスと名乗る。
英国に「復員」すると、ロケットやジェット・エンジンの材料として欠かせないコロンビウム(正式名称はニオブ)を買い占めて成り上がる。私財を投じて大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ムーンレイカー」を製作し、英国政府に寄贈すると提案。ケント州キングスタウン郊外に基地を建設して、戦時中V2ロケットを開発したドイツ人科学者を集める。だが、その裏でソ連と秘密交渉して原爆を受け取り、ムーンレイカーの弾頭に搭載し、ロンドンに撃ち込んで壊滅させようと企てていた。
作者イアン・ランカスター・フレミングはウィンポール街の精神科医エリック・ベンジャミン・ストラウス博士にインタヴューして、誇大妄想について取材している。ストラウスはフレミングに著書Men of Geniusを貸したが、その中では誇大妄想と幼少期の指しゃぶりの関係が述べられている。フレミングはこの知識をドラックスのキャラクター造形に活かしている。ヒューゴ・ドラックスのヒューゴは、妻アン・ジェラルディン・メアリー・フレミングの兄ヒューゴ・フランシス・ガイ・チャーテリスから、またドラックスは、友人の海軍大将レジナルド・エールマー・ランフリー・プランケット=アーンル=アール=ドラックス卿からとったという。
米ソがドイツ人科学者を自国に連行してジェット機やロケットの開発に協力させたというのは、よく知られた事実だ。フレミングは『ザ・サンデー・タイムズ』の同僚でドイツ特派員を務めていたアンソニー・フレデリック・エイミー・アンベール・テリーにインタヴューして、スコルツェニ―やV2ロケットについて取材している。ロケットについてはSF作家アーサー・チャールズ・クラークや英国惑星間協会(BIS)にも手紙で問い合わせている。
「ムーンレイカー」は、大型帆船のマストの一番上に張る横帆「ムーンセイル」を指す。甲板から夜空を仰ぎ見ると、ムーンセイルは月を掻き取ろうとするようにも見えるので、この名がある。だが、「ムーンレイカー」には「水面に映った月を熊手で掻き寄せようとする人」つまり「愚か者」という意味もある。フレミングは本作の題名を『ムーンレイカー』にするかどうか迷ったが、ジョナサン・ケープ社の編集者ジョージ・レン・ハワードに強く勧められてこうしたという。
ちなみに、現在の英国政府はICBM保有を断念して、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)一本でいくという政策を採用している。
有名な俳優でフレミングの友人でもあるノエル・ピアース・カワードが、キングスタウンに近いセント・マーガレッツ・アット・クリフ村の入り江に、コテージを2軒所有していた。そのうちの1軒を借りていたフレミングは、「英国の庭」と呼ばれるケント州に詳しかった。第7作『ゴールドフィンガー』でも、サンドウィッチ村の「ロイヤル・セント・マークス・ゴルフ場」や、リカルヴァーの農園風の別荘で、ボンドが「オーリック・ゴールドフィンガー」と対決する(第6作『ドクター・ノオ』が映画化されるときフレミングはカワードを「ジュリアス・ノオ博士」役に推薦したが、実現しなかった)。
第1作『カジノ・ロワイヤル』と第2作『死ぬのは奴らだ』でボンドの前に立ちはだかるのはスメルシュだが、『ムーンレイカー』ではドラックスに原爆を供与したソ連側機関は語られていない。だが、第5作『ロシアから愛をこめて』で、ソ連軍参謀本部情報総局(GRU)が黒幕だったと明かされている。
考えてみれば、手間暇かけてミサイルを開発しなくても、トラックの荷台に隠した原爆をバッキンガム宮殿の前で起爆すれば済む話だが、まぁそれを言っては身も蓋もない。
負けず嫌いのドラックスは、紳士クラブ「ブレイズ・クラブ」のコントラクト・ブリッジでいかさまをする。それに気づいたクラブの会長が、会員のSIS長官「M」に相談。ドラックスの醜聞がムーンレイカー計画の妨げになることを恐れたMが、戦前モンテ・カルロのカジノでルーマニア人スパイに勝つために、いかさま師からさまざまなテクニックを学んだボンドに、ドラックスの不正を見破るよう依頼する(モンテ・カルロでのエピソードは『カジノ・ロワイヤル』でも軽く触れられている)。
ブレイズ・クラブは架空のクラブだが、その様子が50ページにわたって描かれている。ブレイズ・クラブの外観や内装や雰囲気はブードルズ・クラブ、高額の賭けブリッジができるところはポートランド・クラブ、SIS長官が会員であるところはホワイツ・クラブ、所在地はプラット・クラブをモデルにしている。日本人にとってはもちろん、英国庶民にとっても、こうした高級紳士クラブはおいそれと足を踏み入れられる場所ではない。フレミングはその歴史や内装や高級料理を緻密に描くことで、読者の覗き見趣味をくすぐろうと考えたのだろう。
夜中にソ連の潜水艦から基地に原爆が陸揚げされる現場を、軍需省から派遣された保安係「トーロン陸軍少佐」が目撃。そのことを知ったドラックスが、痴情のもつれに見せかけてトーロンを殺害。ドイツ人科学者の身元調査をSISが行ったことから、ボンドが後任の保安係として基地に乗り込む。首都警察特別科からドラックスの秘書として送り込まれた婦人警官「ガーラ・ブラント」と協力し、トーロン殺害の謎に挑んでいく。
ドラックスに正体を見破られたボンドとブラントは、クライマックスでムーンレイカーの地下格納庫に閉じ込められる。試射のロケット噴射で焼き殺されそうになるが、命からがら脱出する(映画版『ムーンレイカー』は小説から登場人物の名前やロケットというアイテムだけを拝借したSF作品だが、この危機一髪のシーンはスクリーン上でも活かされている)。
フレミングが本作を執筆したのは1954年1月から2月にかけて。ソ連がスプートニク1号を打ち上げたのが1957年10月4日、米国がアトラスAの発射に成功したのが12月17日だから、時代を先取りした内容だといえる。
007/ムーンレイカー (創元推理文庫 138-2) Amazon書評・レビュー: 007/ムーンレイカー (創元推理文庫 138-2)より
4488138020
No.7
(5pt)

紳士クラブの描写がリアル

「ジェームズ・ボンド」シリーズの第3作。英国のみを舞台とした唯一の作品だ。はじめてリージェント公園に面した秘密情報機関(SIS)本部や00課の日常業務やキングス・ロードのボンドのアパートの様子が詳しく描かれている。もっとも、現実には当時SIS本部はブロードウェイ・ストリート54番地のブロードウェイ・ビルディングにあった。
ボンドの敵役は「ヒューゴ・ドラックス卿」こと「フーゴ・フォン・デル・ドラッヒェ伯爵」。独英混血だが心はドイツ人で、戦前はラインメタル社の子会社で働き、第2次世界大戦中はオットー・スコルツェ二―中佐率いる第150機甲旅団の一員としてアルデンヌで英米軍の後方を攪乱したという設定だ。英兵に偽装して英軍の伝書使を襲撃するが、ドイツ空軍の戦闘機に機銃掃射されて気絶し、英軍の野戦病院に担ぎ込まれる。さらに、味方が仕掛けた爆弾が炸裂して、瀕死の重傷を負う。やむを得ず記憶喪失の英兵を装って、ドラックスと名乗る。
英国に「復員」すると、ロケットやジェット・エンジンの材料として欠かせないコロンビウム(正式名称はニオブ)を買い占めて成り上がる。私財を投じて大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ムーンレイカー」を製作し、英国政府に寄贈すると提案。ケント州キングスタウン郊外に基地を建設して、戦時中V2ロケットを開発したドイツ人科学者を集める。だが、その裏でソ連と秘密交渉して原爆を受け取り、ムーンレイカーの弾頭に搭載し、ロンドンに撃ち込んで壊滅させようと企てていた。
作者イアン・ランカスター・フレミングはウィンポール街の精神科医エリック・ベンジャミン・ストラウス博士にインタヴューして、誇大妄想について取材している。ストラウスはフレミングに著書Men of Geniusを貸したが、その中では誇大妄想と幼少期の指しゃぶりの関係が述べられている。フレミングはこの知識をドラックスのキャラクター造形に活かしている。ヒューゴ・ドラックスのヒューゴは、妻アン・ジェラルディン・メアリー・フレミングの兄ヒューゴ・フランシス・ガイ・チャーテリスから、またドラックスは、友人の海軍大将レジナルド・エールマー・ランフリー・プランケット=アーンル=アール=ドラックス卿からとったという。
米ソがドイツ人科学者を自国に連行してジェット機やロケットの開発に協力させたというのは、よく知られた事実だ。フレミングは『ザ・サンデー・タイムズ』の同僚でドイツ特派員を務めていたアンソニー・フレデリック・エイミー・アンベール・テリーにインタヴューして、スコルツェニ―やV2ロケットについて取材している。ロケットについてはSF作家アーサー・チャールズ・クラークや英国惑星間協会(BIS)にも手紙で問い合わせている。
「ムーンレイカー」は、大型帆船のマストの一番上に張る横帆「ムーンセイル」を指す。甲板から夜空を仰ぎ見ると、ムーンセイルは月を掻き取ろうとするようにも見えるので、この名がある。だが、「ムーンレイカー」には「水面に映った月を熊手で掻き寄せようとする人」つまり「愚か者」という意味もある。フレミングは本作の題名を『ムーンレイカー』にするかどうか迷ったが、ジョナサン・ケープ社の編集者ジョージ・レン・ハワードに強く勧められてこうしたという。
ちなみに、現在の英国政府はICBM保有を断念して、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)一本でいくという政策を採用している。
有名な俳優でフレミングの友人でもあるノエル・ピアース・カワードが、キングスタウンに近いセント・マーガレッツ・アット・クリフ村の入り江に、コテージを2軒所有していた。そのうちの1軒を借りていたフレミングは、「英国の庭」と呼ばれるケント州に詳しかった。第7作『ゴールドフィンガー』でも、サンドウィッチ村の「ロイヤル・セント・マークス・ゴルフ場」や、リカルヴァーの農園風の別荘で、ボンドが「オーリック・ゴールドフィンガー」と対決する(第6作『ドクター・ノオ』が映画化されるときフレミングはカワードを「ジュリアス・ノオ博士」役に推薦したが、実現しなかった)。
第1作『カジノ・ロワイヤル』と第2作『死ぬのは奴らだ』でボンドの前に立ちはだかるのはスメルシュだが、『ムーンレイカー』ではドラックスに原爆を供与したソ連側機関は語られていない。だが、第5作『ロシアから愛をこめて』で、ソ連軍参謀本部情報総局(GRU)が黒幕だったと明かされている。
考えてみれば、手間暇かけてミサイルを開発しなくても、トラックの荷台に隠した原爆をバッキンガム宮殿の前で起爆すれば済む話だが、まぁそれを言っては身も蓋もない。
負けず嫌いのドラックスは、紳士クラブ「ブレイズ・クラブ」のコントラクト・ブリッジでいかさまをする。それに気づいたクラブの会長が、会員のSIS長官「M」に相談。ドラックスの醜聞がムーンレイカー計画の妨げになることを恐れたMが、戦前モンテ・カルロのカジノでルーマニア人スパイに勝つために、いかさま師からさまざまなテクニックを学んだボンドに、ドラックスの不正を見破るよう依頼する(モンテ・カルロでのエピソードは『カジノ・ロワイヤル』でも軽く触れられている)。
ブレイズ・クラブは架空のクラブだが、その様子が50ページにわたって描かれている。ブレイズ・クラブの外観や内装や雰囲気はブードルズ・クラブ、高額の賭けブリッジができるところはポートランド・クラブ、SIS長官が会員であるところはホワイツ・クラブ、所在地はプラット・クラブをモデルにしている。日本人にとってはもちろん、英国庶民にとっても、こうした高級紳士クラブはおいそれと足を踏み入れられる場所ではない。フレミングはその歴史や内装や高級料理を緻密に描くことで、読者の覗き見趣味をくすぐろうと考えたのだろう。
夜中にソ連の潜水艦から基地に原爆が陸揚げされる現場を、軍需省から派遣された保安係「トーロン陸軍少佐」が目撃。そのことを知ったドラックスが、痴情のもつれに見せかけてトーロンを殺害。ドイツ人科学者の身元調査をSISが行ったことから、ボンドが後任の保安係として基地に乗り込む。首都警察特別科からドラックスの秘書として送り込まれた婦人警官「ガーラ・ブラント」と協力し、トーロン殺害の謎に挑んでいく。
ドラックスに正体を見破られたボンドとブラントは、クライマックスでムーンレイカーの地下格納庫に閉じ込められる。試射のロケット噴射で焼き殺されそうになるが、命からがら脱出する(映画版『ムーンレイカー』は小説から登場人物の名前やロケットというアイテムだけを拝借したSF作品だが、この危機一髪のシーンはスクリーン上でも活かされている)。
フレミングが本作を執筆したのは1954年1月から2月にかけて。ソ連がスプートニク1号を打ち上げたのが1957年10月4日、米国がアトラスAの発射に成功したのが12月17日だから、時代を先取りした内容だといえる。
ムーンレイカー―秘密情報部007号 (1964年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: ムーンレイカー―秘密情報部007号 (1964年) (創元推理文庫)より
B000JAH8I8
No.6
(5pt)

会員制クラブの描写がリアル

「ジェームズ・ボンド」シリーズはほとんど読破しているが、第1作『カジノ・ロワイヤル』の新訳版が出版されたのを機に、再読。それで評者の中で火がついて、それ以外の作品も読み返したくなった。
本作はシリーズ第3作。英国のみを舞台とした唯一の作品だ。はじめてリージェント公園に面した秘密情報機関(SIS)本部や00課の日常業務やキングス・ロードのボンドのアパートの様子が詳しく描かれている。もっとも、現実には当時SIS本部はブロードウェイ・ストリート54番地のブロードウェイ・ビルディングにあった。
ボンドの敵役は「ヒューゴ・ドラックス卿」こと「フーゴ・フォン・デル・ドラッヒェ伯爵」。独英混血だが心はドイツ人で、戦前はラインメタル社の子会社で働き、第2次世界大戦中はオットー・スコルツェ二―中佐率いる第150機甲旅団の一員としてアルデンヌで英米軍の後方を攪乱したという設定だ。英兵に偽装して英軍の伝書使を襲撃するが、ドイツ空軍の戦闘機に機銃掃射されて気絶し、英軍の野戦病院に担ぎ込まれる。さらに、味方が仕掛けた爆弾が炸裂して、瀕死の重傷を負う。やむを得ず記憶喪失の英兵を装って、ドラックスと名乗る。
英国に「復員」すると、ロケットやジェット・エンジンの材料として欠かせないコロンビウム(正式名称はニオブ)を買い占めて成り上がる。私財を投じて大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ムーンレイカー」を製作し、英国政府に寄贈すると提案。ケント州のドーヴァーとディールの中間あたりに基地を建設して、戦時中V2ロケットを開発したドイツ人科学者を集める。だが、その裏でソ連と秘密交渉して原爆を受け取り、ムーンレイカーの弾頭に搭載し、ロンドンに撃ち込んで壊滅させようと企てていた。
俳優であり作者イアン・ランカスター・フレミングの友人でもあったノエル・ピアース・カワードが、ドーヴァーとディールの中間にあるセント・マーガレッツ・アット・クリフ村の海岸に、コテージを2軒所有していた。そのうちの1軒を借りていたフレミングは、ケント州の地理に詳しかった。第7作『ゴールドフィンガー』でも、「オーリック・ゴールドフィンガー」のロールス・ロイスを追って、ボンドがアストン・マーチンをロンドンからラムズゲートまで駆っている(第6作『ドクター・ノオ』が映画化されるときフレミングはカワードを「ドクター・ノオ」役に推薦したが、実現しなかった)。
フレミングが『ムーンレイカー』を執筆したのは1954年1月から2月にかけて。ソ連がスプートニクを打ち上げたのが1957年、米国がアトラスを実戦配備したのが1959年だから、時代を先取りした内容だといえる。
米ソがドイツ人科学者を自国に連行してジェット機やロケットの開発に協力させたというのも、よく知られた事実だ。
ちなみに、現在の英国政府はICBM保有を断念して、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)一本でいくという政策を採用している。
「ムーンレイカー」は「水面に映った月を熊手で掻き寄せようとする人」つまり「愚か者」という意味。大英帝国の威信をかけた新兵器につけるにしてはおかしな名前だ。フレミングも本作の題名を『ムーンレイカー』とするかどうか迷ったが、ジョナサン・ケープ社の編集者ジョージ・レン・ハワードに強く勧められてこうしたという。
第1作『カジノ・ロワイヤル』と第2作『死ぬのは奴らだ』でボンドの前に立ちはだかるのはスメルシュだが、本作ではドラックスに原爆を供与したソ連側機関は語られていない。だが、第5作『ロシアから愛をこめて』で、これがソ連軍参謀本部情報総局(GRU)の陰謀だったと明かされている。
考えてみれば、手間暇かけてミサイルを開発しなくても、トラックの荷台に隠した原爆をバッキンガム宮殿の前で起爆すれば済む話だが、まぁそれを言っては身も蓋もない。
負けず嫌いのドラックスは、会員制クラブ「ブレイズ・クラブ」のコントラクト・ブリッジでいかさまをする。それに気づいたクラブの会長が、会員のSIS長官「M」に相談。ドラックスの醜聞がムーンレイカー計画の妨げになることを恐れたMが、戦前モンテ・カルロのカジノでルーマニア人スパイに勝つために、いかさま師からさまざまなテクニックを学んだボンドに、ドラックスの不正を見破るよう依頼する(モンテ・カルロでのエピソードは『カジノ・ロワイヤル』でも軽く触れられている)。
このブレイズ・クラブの様子が50ページにわたって描かれている。ブレイズ・クラブは架空のクラブだが、フレミングが会員だったブードルズ・クラブをモデルにしている。日本人にとってはもちろん、英国庶民にとっても、こうした高級会員制クラブはおいそれと足を踏み入れられる場所ではない。フレミングはその歴史や内装や高級料理を緻密に描くことで、読者の覗き見趣味をくすぐろうと考えたのだろう。
夜中にソ連の潜水艦から基地に原爆が陸揚げされる現場を、軍需省から派遣された保安係「トーロン陸軍少佐」が目撃。そのことを知ったドラックスが、痴情のもつれに見せかけてトーロンを殺害。ドイツ人科学者の身元調査をSISが行ったことから、ボンドが後任の保安係として基地に乗り込む。首都警察特別科からドラックスの秘書として送り込まれた婦人警官「ガーラ・ブラント」と協力し、トーロン殺害の謎に挑んでいく。
ドラックスに正体を見破られたボンドとブラントは、クライマックスでムーンレイカーの地下格納庫に閉じ込められる。試射のロケット噴射で焼き殺されそうになるが、命からがら脱出。映画版『ムーンレイカー』は小説から登場人物の名前やロケットというアイテムだけを拝借したSF作品だが、この危機一髪のシーンはスクリーン上でも活かされている。
007/ムーンレイカー (創元推理文庫 138-2) Amazon書評・レビュー: 007/ムーンレイカー (創元推理文庫 138-2)より
4488138020

その他、Amazon書評・レビューが 10件あります。
Amazon書評・レビューを見る