学校の殺人
- 学園ミステリ (176)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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今までのミステリプロパー以外の作家によるミステリとは文壇に既に名を成していた作家の手遊び的な物が多かったが、本書の作者ヒルトンはちょっと違う。私は今まで彼の作品に本作以外触れたことがないので、よくは知らないのだが、ヒルトンはイギリス文学界のみならず世界的文豪と呼ばれるくらい著名らしい。が、本書はその彼がまだその名声を得る前の不遇時代に別名義で書いた唯一のミステリである。有名になった後は1つも書いていない。こういうシチュエーションだと、これほどの作家ならば若気の至りということで、その作品は抹消して「なかった事」にするものだが、死後今なおこうして残っているというのはその出来栄えに世に出しても、後世に残しても恥ずかしくないというそれなりの自負があるからだろうと思う。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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最悪状態です。腹がたった | ||||
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(ネタバレ) イギリスのパブリックスクールで、両親のない兄弟が、相次いで死亡し、少なくとも、あとの方は、殺人であるという疑いがあり、その謎が解明されないまま、今度は教師が、睡眠薬の飲みすぎで死ぬ。……その後、その教師と親交のあった女性が、その教師が、兄弟を殺した犯人であると、本人から聞いたと証言する。 ……筋がやたら複雑な割に、伏線とか、巧妙なトリックやアリバイ工作があるわけでもなく、いきあたりばったりで、読み手の意表をつくような筋書きにしてるだけという感じが否定できない。……それと、人物描写や、感情描写が多すぎて、昔の私小説を読まされてる感じがします。……思うに、作者は、推理小説に文学的な要素を盛り込もうとしたんじゃないかということなんですが、推理小説に文学の要素は必要ないと思います。……同じ作者の『チップス先生さようなら』も、個人的にあんまり好きじゃないし。……至るところに、事件とは全然関係ない主人公の感情描写が長々と続いて、なかなか先に進まないので、イライラします。……それを我慢して読むほど面白い話でもない。……特に、主人公が、話してる相手がなにか言うたびにイラついたりムッとしたりして、甘ったれのボンボンという感じがして、それが鼻につく。……最後に、被害者の兄のフリをしていた刑事が、主人公に、実は自分は刑事だったと、種明かしするけど、なんでそんなことをしなくちゃいけなかったのかという必然性がない。……後半はずっと、意味のない内容に、苦しい言い訳を聞かされている感じ。……本格推理の、古典的名作と言われているらしいけど、自分には、名作だとは思えなかった。 | ||||
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『チップス先生、さようなら』でよく知られるジェームズ・ヒルトン(1900~1954)の初期作品。文筆 で身を立てたい、やがて28歳を迎えようとする有閑青年コリン・レヴェルは、作者像そのままでは もちろんないだろうが、パブリック・スクールの経験含め、作者の経歴がそこには反映しているだろう し、生き生きした描写に説得力がある。 犯人当てについてだけ云うなら、それほどの意外性はないかもしれないが、この作品の魅力は それだけでは言い尽くせない。先述の、20世紀初頭のパブリック・スクールのあれこれ(冷たい朝食、 校長の威厳、寮生の悪戯、級長、ガス灯、警察にも諾々とは従わない学校の自治、古い建物と芝生の 美しさ等々)、さらに、マントを付けた校長、戦争で心身に傷を負ったランバーン、取るものも取りあえず かけてきたのにフロック・コートと縞のズボンをちゃんと身につけている老医、など、人物造型それぞれに 魅力があること、とくに主人公のレヴェルは、皮肉屋のつもりの自信家なのだが、存外親切で気のいい 青年だし、「クロイツェル・ソナタ」で盛り上がっちゃう愛すべき人物である・・・・・というようなことも勿論 あるのだが、やはり推理小説として上手くできているということを強調したい。読者を巧みに惑わせ、先へ 先へと読み進めさせることに長けているのだ。レヴェル君の活躍が、小説の筋の流れにどうはまって いくかというのを読み進めるのが本当に楽しかった。(訳者解説にある、「専門作家として濫作を強いられ るより、数少ない作品に集中したことが卓越したトリックや構想に恵まれるための原因のように思える。」 というのに膝を打つ。)全体に、意地悪すぎない皮肉とおかしみと悲哀があって、頗る好ましい。 | ||||
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第7章まで読んだ時点で、小学生でも、犯人および動機が解ってしまう。 ミステリファンであれば、もっと前に気づくであろう。 刑事に振り回されるコリン・レヴェルは、アホとしかいいようがなく、まったくもって探偵の資格がない。 犯人が判明した後、まだページが半分ほど余っており、読むのが苦痛なだけなのだが、 あとは、彼もしくは彼女が、だれをスケープゴートにしようとたくらんだのかが焦点となる (もちろん読者からの見方であるが)。 刑事の推理にしても、直感と偶然の機会を利用しただけのもので、ちっともロジカルではない。 やはり、これは、文豪の余技として、笑って済ますのがいちばんのようである。 | ||||
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『チップス先生さようなら』で知られる文豪、ジェームズ・ヒルトンの書いたミステリ。 イギリスのパブリックスクールを舞台にした雰囲気のある作品だが、 何より主人公、コリン・レヴェルの造形に魅力があるのが、本書の最大の収穫だろう。 もしシリーズ化されていたら、きっとコリンくんは大いに人気者になったと思う。 どんでん返しも連続技で決まっている。 暗闇での追跡劇など、手に汗にぎる場面も用意されていて、なかなか読ませる。 真相を知って、あごを落とすコリンくんの様子も見もの(読みどころ?)。 地味なタイトルながら、忘れ難い味わいを持ったミステリだった。 | ||||
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