ミステリの感想 新着順

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今回も大満足!

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レネイ・バラード・シリーズ第6作。主役はバラードだが、いつものメンバーに加えてボッシュとボッシュの娘のマデリンまで活躍する豪華絢爛の警察ミステリーである。早朝サーフィン中に車上荒らしに逢い、大事なバッジ、拳銃、IDカードまで盗まれたバラード。同僚や上層部に知られる前に取り返すべく奮闘するのだが上手くいかずボッシュに助けを求めた。また、本来の仕事である未解決事件捜査では、20年以上前の連続強姦殺人のDNA検査で浮かび上がったのはなんと上級裁判所長官だった。さらに、ボランティアを志願してチームに加わったマデリンが独自捜査であのブラック・ダリア事件の犯人を特定できたという。三つの重要事件を並行して進めるバラードは警察・検察内部の政治力学に悩まされながも奮闘し、全ての真相解明に近付いていく・・・。74歳になるボッシュが少しも衰えず、さらに娘のマデリンが鋭い捜査センスを発揮し、これまで以上にワクワクするサスペンス・ミステリーである。バラードの未解決班指揮もずいぶんこなれてきて、癖が強すぎるメンバーを使いこなしているのが微笑ましい。最後、バラードの身辺に大きな変化がありそうなエピソードを配置し、次への期待を高めているのもお見事!マイクル・コナリーのファンには文句なしのオススメである。

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交換殺人に新機軸、読み応えあり!

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「弁護士の血」以来、11年ぶりに邦訳されたキャヴァナー作品。交換殺人というありがちな設定に新機軸を導入した傑作サスペンスである。一人娘を誘拐殺人され、それに責任を感じた夫まで自殺で失ったアマンダは、有力容疑者でありながら金と権力で法の裁きを免れたウォレスに復讐を試みるも失敗。それでも諦めきれず、グループセラピーで出会った同じような経験を持つナオミに交換殺人を持ちかける。ナオミは承諾し、お互いにチャンスを窺ううちに、ナオミから「ウォレスを殺した」と告げられた。アマンダは約束を守るため、ナオミに依頼されたクウィンを殺害しようとする。一方、不動産業に勤務するルースは夫が留守にした夜、暴漢に襲われ瀕死の重傷を負い、その恐怖から夫と共にホテルに閉じこもっていたのだが、気晴らしに出たレストランで犯人と同じ目をした男を目撃しパニックになる。ナオミとルース、二人の女性がそれぞれの復讐を果たす二つのエピソードが交互に展開し、どんどんサスペンスが高まっていく。さらに途中から誰が正義で、誰が騙しているのかが錯綜し、謎は深まっていく。名作「見知らぬ乗客」へのオマージュであり、それを越えるサスペンスを生み出した大傑作。交換殺人ものに新たな地平を開く作品として、多くのミステリー、サスペンスファンにオススメしたい。

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ミステリーというより、家族を見直す人間ドラマかな

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美術学修士で大学で創作を教えている女性のデビュー作。母親の介護のために故郷に戻った鳥類画家が、ずっと心にわだかまっていた父親の死にまつわる謎を解き、家族の関係を変化させる物語である。スミソニアン博物館で鳥類画家として活躍していたロニは母が介護施設に入ったため、介護休暇を使ってふるさとのフロリダに戻らざるを得なくなる。2週間で戻るつもりだったのだが、母の荷物を片付けていて25年前に溺死した父親の死に不明瞭な点があることを示唆するメモを発見。漁業局の野生動物保護観察官でフロリダの湿地を知り尽くしていた父が溺死したことにかねてから疑問を抱いていたロニは実情を探ろうとする…。自殺したとされ、家族でも話題にすることを避けていた父の死。長年の疑問を解くためにロニが頼るのは関係者たちの証言のみ。捜査権限はなく、捜査の知識もないためロニの調査は遅々として進まない。事態の朧げな姿が見えるまでの展開がスロー過ぎてサスペンスはゼロ。ギクシャクする母親や歳の離れた弟、その妻との人間関係、父親コンプレックスが事細かく描写され、はっきり言って半ばまでは退屈。最後の真相究明もあまり説得力はない。ミステリーというより、家族とは何かを模索する女性の人間ドラマとして読むことをオススメする。

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期待が高まる新シリーズが始まった

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日本では「警部ヴィスティング」シリーズで知られるノルウェーの人気作家ホルストが新たに若い作家と組んで発表した新シリーズの幕開け作。犯罪関連のポッドキャスターが15年前の少女失踪の謎を解くP.I.ミステリーである。ノルウェーの田舎町でポッドキャスト番組「クライムキャスト」を聞いていた地元紙の臨時記者・マチルデは、15年前に7歳の少女が行方不明になった事件に興味を引かれた。少女の死体は発見されなかったのだが、父親が逮捕され、服役中に自殺したという。番組は「次回の予告」を最後に更新されておらず、気になったマチルデは番組ホストのマルクスに問い合わせたのだが相手にされなかった。めげないマチルデは独自に調査を始め、判明したことをしつこくマルクスに報告して来た。煩わしく感じていたマルクスだったが、マチルデ山で遭難死したのをきっかけに自分でも調査を再開する。そこで情報を頼ったのが、3人を殺害した罪で服役中の実父・フランクだった…。警察ではない、ただのポッドキャスターが粘り強く関係者に聞き込みを続け真相に辿り着くまでがリアルで熱い。さらに父親の食ないキャラクターが、単なる探偵ものではない彩りを添えて味わい深い。謎解きの展開は論理的で分かりやすく、スイスイ読み進められる。事件は解決するのだが、主人公のマルクス、父親のフランクにまつわる謎は残されたままで、次回をお楽しみに。未解決事件に挑戦するのは「警部ヴィスティング」シリーズ同様だが、またひと味違うテイストで楽しめる。ヴィスティングのファンをはじめ、北欧ミステリーのファンにオススメする。

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一作目よりテンポもよく、キャラに好感が持てて良かった

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ドイツの人気警察ミステリー「トム・バビロン刑事」シリーズの第二作。国際映画祭のオープニングで上映されたスナッフ・フィルムにまつわる深い闇を手探りで解明するノワール・ミステリーである。ベルリン国際映画祭の開会式場で、若い女性が殺されるスナッフ・フィルムが上映された。しかも殺されたのは女優を目指すベルリン市長の娘であることが判明した。フィルムは目出し帽の男が持ち込み、映写技師を脅迫して上映させたという。誰が、何のために上映させたのか? さらに、関係者の娘が誘拐される事件も発生し、捜査は混迷を深めて行く…。捜査を担当するのは、前作で相棒となったトムと臨床心理士のジータ。まだギクシャクしたところは残るものの、前回よりは息が合ったコンビとなり、バディものとして完成度が高くなっている。事件の謎を解く鍵はフィルムに写っていた19という数字で、そこにはジータの古傷に繋がる18年前の出来事が絡んでいたという、前作を彷彿させる構成だが、事件の背景も犯行動機も複雑かつ精緻になり、前作の数倍読み応えがあった。トムとジータだけでなく同僚のヨー・モルテン、上司のブルックマンもキャラがくっきりして存在感を発揮しているのも高評価できる。事件は解決しても、トムとジータの過去にまつわる謎は残されたままで、次作が待ち遠しい。警察ミステリーファンには絶対のオススメだ。

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探偵小石は恋しないの感想

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かなり好みのミステリでした。作者のミステリ好きも伝わってきます。読後感もかなりよくて楽しい読書でした。物語の舞台は、殺人事件や密室殺人を扱いたいのに、舞い込んでくる依頼は浮気や不倫の調査ばかりという探偵事務所。探偵事務所あるあるネタから始まる、浮気調査の連作短編集です。ただ、それだけでは終わらず、幕間では何やら別の事件が進んでいるような不穏な気配が漂う……という流れ。文章や雰囲気はライトミステリ寄りで気軽に読めますが、謎の作り方には本格ミステリへの愛があふれていて、ところどころでニヤリとさせられます。ユーモアに満ちたセリフ回しや、物語の展開、構成も見事です。タイトルにある通り、「恋」を用いたミステリとしてさまざまな要素が盛り込まれており、かなり満足度の高い作品でした。ちょっと注意点として宣伝コピーにあるような「トリック」や「騙されること」を期待すると、少し方向性が違うかもしれません。個人的には、こうした過剰な宣伝コピーはあまり好みではありませんでした。本書は、「恋」を謎解きの道具として突き詰めたミステリの代表作になり得る作品だと感じます。表紙の絵柄もよく、キャラクター性も好み。表紙に描かれた探偵小石と、バディとなる探偵事務所勤務の蓮杖のコンビも魅力的で、今後のシリーズ展開にも期待したいです。話の終わり方もとても好み。楽しい読書でした。

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現役判事にして連続殺人犯? 驚きの犯人に圧倒される

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法廷サスペンスの第一人者・グリシャムの新作(2021年。翻訳版は2026年)。司法審査会調査官という大した捜査権限がない職員が、現役判事が連続殺人として告発された事件の謎を解く、新趣向のミステリー・サスペンスである。フロリダ州司法審査会のベテラン調査官・レイシーは匿名電話を受け、仕方なく面会した女性ににわかには信じがたい告発を告げられる。ジェリと名乗った女性は大学教授で、22年前に父親を殺害されたのだが、その犯人を突き止めたという。しかも犯人は父親以外にも複数の殺人を犯しながら、捜査の網をかい潜って逃げおおせているという。まさかの話に仰天したレイシーだが、ジェリの熱意と推しの強さに降参し、持てる範囲の権限を使った調査に乗り出さざるを得なくなった。逮捕権すらない身分で狡猾で用意周到な犯人を追い詰めることができるのか?なんといっても、判事がシリアルキラーという度肝を抜く設定だけでミステリー・サスペンスとしては成功したと言える。さらに20年以上を掛けて犯人を探し出した告発者・ジェリの狂気とも言える熱意が恐ろしい。犯人のキャラクターが圧倒的で、他の要素は全て付け足しに思えた。ノワール、サイコ・サスペンスとP.I.的調査ミステリーの両方を備えた一級品のエンタメ作品であり、多くの人を満足させること間違いなし! オススメする。

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どんどんカッコよくなってきた、ろくでなし刑事たち

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ナポリを舞台にした人気警察シリーズの第5作。パン屋殺害事件と奇妙なストーカー事件を「ろくでなし刑事」たちが素晴らしい捜査力で解決する警察集団捜査小説である。街の住民から愛されている実直なパン職人のグラナートが店の裏で射殺された。現場に駆けつけたP分署のロヤコーノとロマーノはろくに捜査が出来ないうちに、スター検察官・ブッファルディ率いるマフィア対策班に主導権を奪われてしまった。最近、グラナートがマフィアの犯罪を目撃した証言を撤回するという因縁があり、マフィアが口封じしたというのがブッファルディの主張だった。しかし、現場の状況からマフィアの犯行ではないと確信するロヤコーノはマフィア対策班に対抗し、独自の捜査を決意する…。パン屋殺しをメインに、サブとして冴えない外見の若いカップルが訴えてきた奇妙なストーカー事件が並行して展開される。二つの事案に対するP分署の面々の鋭い捜査、息のあったチームワークは、まるで87分署を見るようで一作ごとに成長するメンバーが有能な頼もしい警察官に見えてくる。同時に、各人が抱える人生のあれこれもさまざまな変化をみせ、人間ドラマとして味わい深くなっているのもシリーズならでは読みどころだ。本国では11作目まで刊行され、連続テレビドラマ放送も始まったという。次作が待ち遠しい。

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