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Tetchy さんのレビュー一覧

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レビュー数132

全132件 81~100 5/7ページ

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No.52:
(10pt)

昭和の短編集だが中身は予見的。

珠玉の短編集である。「法月綸太郎の冒険」に匹敵するクオリティを持つ。
まず目次を開いて並んだ諸作の題名を見て感じたのは江戸川乱歩へのオマージュかという事。実際最後の2編は乱歩作品の本歌取りであった。
だが何にも増して驚嘆させられたのはその先駆的題材である。
昨今巷間を賑わしているストーカー犯罪、キレる若者による突発的犯行。“昭和62年”の時点でこの“平成の世”の社会の歪みを予見していたかのようである。恐るべし、島田、流石は島田と褒め称えよう!

▼以下、ネタバレ感想
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展望塔の殺人 (光文社文庫)
島田荘司展望塔の殺人 についてのレビュー
No.51: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

奇跡の小説

ストーリーやプロットに驚嘆はない。もうこれはひたすら文章構成に全てがある。
これは推理小説界のみならず、文壇史上最高の仕事だと云っても過言ではないし、また歴史に残る一作と云ってしまいたい。
日本語の持つ二面性を巧みに利用して行間さえをもトリックにしてしまう技の冴え!何処までこの作者は行ってしまうのだろうか!?頭の中身はどんな風になっているのだろうか?小説にはまだこんな奇跡を起こす事が出来る、そんな無限の可能性を感じさせた一作だ。
生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 (新潮文庫)
No.50:
(10pt)

物語の疾走感に打ち震えました。

まさに私をして、これがクーンツなのかと驚嘆させられた一作。初の「クーンツ体験」としてこの作品を読んだ事を実に幸運に思う。
内容は正にこれぞエンタテインメントとばかりに畳み掛ける活劇のオンパレードである。男やもめの獣医の再婚話と村人に起きたごく小さな災い事という静かな立上り方からソーンズベリの狂気の度合いと呼応するように徐々に加速度を増していく筋運びは職人技の一言に尽きる。
特に以前評判になったサブリミナル効果を’77年に主題として扱っているあたりにクーンツの先見性をまざまざと見せ付けられた。いやはや流石はクーンツである。
殺人プログラミング (光文社文庫―海外シリーズ)
No.49:
(10pt)

虚構が美味くブレンドされた芳醇な物語。

ひたすら脱帽である。
よくもまあ、ここまで精緻に“歴史”を紡ぎ上げたものだ。実際の歴史的事実を織り交ぜ―しかも史実を織り交ぜた事が紛失した日記の一部のキーとなっている!―、また実際にそこにあるかのような細かい描写。強烈な個性を放つアスタを筆頭に一読忘れ難い人々。
そのあまりの詳細さに疲弊し、また睡魔との格闘を幾度となく繰り返したが、今はただ最後まで読み通せ、また素晴らしい幕切れに感無量である。
要した日数15日。読んだ内容86年分。
アスタの日記〈上〉 (扶桑社ミステリー)
バーバラ・ヴァインアスタの日記 についてのレビュー
No.48:
(10pt)

理解できるからこその怖さがある。

呆然。
真相が語られる最終章20ページは、途轍もない内容だった。しかもそれが理解できる、いや共感できるが故に恐ろしい。
なんと表現すればいいのだろうか、論理などという左脳的驚愕ではなく、狂おしいほどの愛情という情念の、右脳的驚愕。
私を含め、誰もが持っているであろう歪んだ心の部分、心の奥底に潜む獣性を引き摺り出された感じだ。
死にたいほどの幸福ではなく、死んでもいいという幸福。そこに美しさはなく、ただ純粋さがあるのみ。だからこそ温かく見守れるのか…。
黒き舞楽 (新潮文庫)
泡坂妻夫黒き舞楽 についてのレビュー
No.47:
(10pt)

余韻が深く、そして哀しい。

愛に飢えた人々が家族という一番小さな、そして身近な社会集団を形成した時、こんなにも哀しい事件が起こるのか。
愛されるという事を欲望という形で求めるが故、視える物も視えなくなり、無我夢中に貪欲なまでに模索し、踠く。一番手に入れたかった父親の愛を形として求めたがため、実感できなかった娘。その事実を何もかも無くしてしまった最後に告げられる残酷な結末。
終わり間際に真相通告人として太陽のような娘を選んだ作者の意図は何だったのだろうか?
縞模様の霊柩車 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-2)
ロス・マクドナルド縞模様の霊柩車 についてのレビュー
No.46:
(10pt)

1ページから傑作と感じた。

最初の1ページを読んだ時からこの作品は傑作だなと感じた。それも生涯忘れ得ぬほどの…。
前回読んだ『バスク、真夏の死』とは比べ物にならない読み易さと簡潔かつ的確な訳。外国の小説でこれほど町のイメージがたやすく浮かんだのは、本書が初めてではなかろうか?それは著者が街の住人を誰一人として疎かにせず、見事に活写したため。行間から息吹が、匂いが立ち上ってくるが故に、それぞれが皆、確かに生きていた。
稀に見る傑作だ。
夢果つる街 (角川文庫)
トレヴェニアン夢果つる街 についてのレビュー
No.45:
(10pt)

全てが一級品の短編集。

今回はじっくり読ませてもらった。途中で次の日に持ち越さないよう、一編が完結するまで読んだのが功を奏した。
率直な感想を云わせてもらえば全てが一級品の短編集だ。
自伝的な短編、「増山雁金」、「簪」、「弱竹さんの字」。
ラストに不意を打たれた「遺影」、大人の恋愛を感じさせる表題作や「絹針」、それに加えて自分なりのベストの二作品「くれまどう」と「色揚げ」。
戦慄のラストの「竜田川」。
寂寥感漂う「校舎惜別」に微笑ましい「十一月五日」。
本統に素晴らしかった。
蔭桔梗 (創元推理文庫)
泡坂妻夫蔭桔梗 についてのレビュー
No.44: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

短編もまた極上。

今までの『銀英伝』シリーズの中で最も体調が悪く、また読書環境も万全ではなかったのにも関わらず、読ませる筆力に脱帽。
それと『銀英伝』本編全10巻を読み終わってから着手した私の判断が間違っていなかったことも評価に加味された。本編の隙間を補う旨味を伴ったエピソードが何とも云えないエキスとなってカタルシスを少量ながら味あわせてくれる。小刻みであるが故、それが読書の牽引力となった。
銀河英雄伝説外伝〈1〉星を砕く者 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説外伝1 星を砕く者 についてのレビュー
No.43: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

傑作以外何ものでもない。

『銀河英雄伝説』即ち『ラインハルト・フォン・ローエングラム伝説』はとうとう終わってしまった…。1~10巻まで衰えを見せない筆力で引っ張ってくれた作者に感謝したい。
私は今、実際にあった歴史の一部始終を体験させてくれた、そんな気持ちで一杯だ。…どうも書きたい事が一杯あるのに上手く表現できない。このシリーズを述べる時、一言、「傑作」と私は告げるだろう。余計な修飾語は要らない。
願わくば、アレク公とフェリックスの創る歴史も読みたいものだが…。
銀河英雄伝説 〈10〉 落日篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説10 落日篇 についてのレビュー
No.42: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

私はしあわせになりました♪

のわ~っ!!凄い!!凄いとしか云いようが無い!!
昔から評判高く、果たしてどのような仕掛が施されているか自分なりの憶測を立て、軽い気持ちで探っていたのだがこんな超絶技巧だったなんて。
内容は確かにしっかりしているが本来10点レベルではない。しかしこの本自体に掛けられたトリックとその苦労を思えば、よくまともに話が書けたなあと感服するしかない。
いやぁ、こんなことって本統に出来るんだぁ。
しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)
No.41: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

なぜここまで人を感動させるのか!

どうしてこの作者(ひと)はこんなにも人を感動させるのだろうか…。
どうだろう、この溢るる才気!
ヤンの死を以ってしても衰えを知らないヴォルテージ!
本統に、全く以って前巻を読んだときに抱いた懸念は杞憂に終わった。第2巻における布石がここに至って最大に活き、登場人物各々に血液を脈動させる。
素晴らしき人生讃歌!!
もはや、これは本統の宇宙叙事詩だ。
そして次回で物語は、いや歴史は終局を迎える…。
銀河英雄伝説〈9〉回天篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説9 回天篇 についてのレビュー
No.40: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

とうとうこの日が…。


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銀河英雄伝説 8 乱離篇 (8)(創元SF文庫 た1-8)
田中芳樹銀河英雄伝説8 乱離篇 についてのレビュー
No.39:
(10pt)

意外な拾い物でした!

上手い!
重厚で昏いイメージを数多の書評子から植え付けられていたが、いやいやどうして!何と読み易い、そして抜群のリーダビリティーがある。
恐らく本作は著者にとっては傑作ではなく寧ろ佳作となるべき作品だろう。しかし、登場人物、特に女性像がどれも印象的で、登場人物表に載ってないのが不思議なくらいだ。
しかもプロットをしっかり形成して取りかかる作者らしく、終始一貫したテーマが立ち上り、着地も見事決まった。
ひとたび人を殺さば (角川文庫 赤 541-1 ウェクスフォード警部シリーズ)
ルース・レンデルひとたび人を殺さば についてのレビュー
No.38: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

名将去る!

歴史は繰り返す。
打破した悪政を反面教師として善政を志すも肥大化した組織と、有能なるが故に充足することに不器用な一部の諸将達が綻びとなり、やがて奔流になるのか…。これは作者特有のアイロニーであるのだが、それが夢物語を現実レヴェルまでに引き落とし、等身大の人間を描くことに成功している。半ば漫画的な側面があるが…。


▼以下、ネタバレ感想
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銀河英雄伝説〈7〉怒涛篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説7 怒涛篇 についてのレビュー
No.37: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

物語は更なる高みへ

シリーズ半ばにしても勢いは衰えず。人間の欲望で物語はさらに膨張する。
銀河英雄伝説〈6〉飛翔篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説6 飛翔篇 についてのレビュー
No.36: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

もう止められない!止まらない!

何もかもがハイレヴェル!一体にどこにケチがつけられようか。
銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説5 風雲篇 についてのレビュー
No.35: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

もはやただの小説ではない。未来の歴史だ。

今まで背景としてしか語られなかった歴史に焦点を当て、小説世界にさらに厚みが加わった。
銀河英雄伝説〈4〉策謀篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説4 策謀篇 についてのレビュー
No.34: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

美味しいワインには熟成期間が必要なのだ。

今まで名のみの存在だった登場人物らもこの巻まで来ると個性がどんどん出てきて非常に面白い。と同時に物語に深みが増し、奥行きが出てきて、ますます勢いを増してくるのには感服。
銀河英雄伝説〈3〉雌伏篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説3 雌伏篇 についてのレビュー
No.33: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

ここでこの展開とは…。

全10巻というヴォリュームを考えると、2巻でこの英断を下した作者はものすごい冒険をしたのだと思う。
とにかく内容が濃い巻だった。
そしてとてつもなく哀しい巻でもあった・・・。
銀河英雄伝説〈2〉野望篇 (創元SF文庫)
田中芳樹銀河英雄伝説2 野望篇 についてのレビュー