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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数370件
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個性的な自衛隊ミステリ。
自衛隊ならではの視点で戦争やそこに住まう人たち、民間との関わり方を触れていき、 そこで起こった事件を、謎の魅力、方法、調査、舞台の背景を知る、といった流れをミステリの様式でまとめてます。 事件は、射撃訓練中で起きた小銃の紛失ミステリで、人が死なないミステリとして読めます。 備品管理に徹底した場において、どうやったら小銃を無くせるのか、また何でそんな事をするのか。と、自衛隊特有の思考や場の状況で事件を考えて行くのが新鮮でした。 調査班の朝香二尉と野上三曹は、さながらホームズとワトソンの関係で、野上三曹の視点で朝香二尉の飄々した行動やここぞとばかりに魅せる知性に触れる点も楽しめます。 派手さも爽快さもなく、淡々と進むのですが、その流れが自衛隊の中の人々の描き方や緊張感にマッチしていて魅力的で好みです。ミステリ要素がメインではなく、それがきっかけで、そこに集う人々の気持ちに触れる事ができる不思議な印象を得られる作風です。 2001年の作品を今読んだわけですが、尖閣問題や朝鮮との関わりなどにも触れていたりと、今の世でも考えさせられるメッセージが生きているのに驚きました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
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過去作より、『花窗玻璃』での読者に与える文学表現や『ジークフリートの剣』を読んだ時の印象を融合して継承したような作品でした。作りが巧いです。
物語は将来を見出せない学生が単位取得を目的に高齢者向けのお弁当配達のボランティアを始め、そこで知り合ったおばあちゃんの過去に触れていく。 介護問題、戦争話など、高齢者と若者の関わりも描いており、要所要所で社会への訴えを感じたりしていましたが、雰囲気はユーモアが多く楽しいのが良かったです。 この方の本は、小説の作品として意味があるのが素晴らしく感動します。 映画を見てストーリーが良かった。という感想だけなら、それは映画じゃなくてもよいと思いますが、 この本は本だから受ける感じ方を操作されていて、文章を紡ぐ作家の凄さを感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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マンションを軸に、そこに住む者、関わる者の交差に謎を散りばめているのが面白いです。
上下左右の隣人がどんな人か分からない。人との関わり方が減った現代のマンション住民の模様を巧みに活用しています。 例えば、 ・上の階から聞こえてくる子供の騒音に苦情を申し出た所、幼児虐待疑惑の母親に遭遇。『子供を静かにさせる』と言ったあと、確かに足音はなくなった。騒音の悩みはなくなったが、子供はあれからどうなってしまったのか気が気でない・・・。 ・高齢のおばあちゃんを最近見かけない。部屋にいるのか。そういえば最近家から変な匂いがする気がする・・・。 と言ったマンション住民間で起きる疑惑の物語。 隣人との干渉、騒音問題、年金不正受給、高齢化社会、etc...。 社会的なテーマを持ちつつ、それでいて結末は予想外な方向へ展開するのでミステリとして面白いです。 著者の持ち味である、話の隠す所、見せる所の作り方がうまい。何が起きているのか気になって読めてしまいます。 さらに雰囲気もライトでテーマが圧し掛からず、読みやすかったのが良かったです。 こんなにも問題を抱えているマンションはどうなのよ。と言うのは気にせず、喜劇を見る感じて楽しみました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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好みの本格ミステリである事と読みやすさが良いです。
『館』の文字の使用を控えて、眼球堂の『堂』を選んだと思いますが、中身は館物でクローズド・サークル。 トリックあり、読者への挑戦ありと、直球の本格ミステリです。この手の本は好みで楽しいです。 少し厄介に感じたのが既視感が多い所です。 人物設定やトリックなど新本格時代の本を好んで読んでいる人には触れているだろう定番本のネタをいろいろ取り入れています。 が、それが悪いかというとそうではなくて、うまく組み合わせて作品を作ったなと思う次第です。 新鮮な驚きではなく、感心という気持ちでした。 ミステリ好き同士で感想を話すと、ここってこの作品のここだよね。こっちの設定はこの作品だよね。 と、他作の作品名はネタバレになるので言えませんが、そういう風に感じる本でした。 天才が集まる必然性が弱かったり、「ザ・ブック」と発言する主人公は数学者を超えたイタさを感じるなど、ひっかかる部分はあるのですが、本格が好きな気持ちと楽しさが伝わり良かったです。 次回作も楽しみです。 |
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警察小説、3億円事件。社会的で硬質漂うので、あらすじを読んだ印象では好みに合わない感じでした。ですが、評判で気になって読んだ所・・・当たりです。これは食わず嫌い本でした。
自殺とされた事件が殺人の可能性をおびて、時効寸前の前日に調査を再開。関係者を集めて過去を聞きだし真相を探っていく。 時効寸前というタイムリミットと、警察内の雰囲気がとても緊迫感をだしています。 容疑者達から過去の物語を聞いていくのですが、何が起きていたのか分らないもどかしさも重なって、ミステリの謎が気になる。という好奇心ではなく、真相がわからない事による『焦り』の雰囲気が巧かったです。 謎や伏線に至るミステリの面白さに、警察小説の雰囲気や人間模様などうまく絡んでおり、警察小説も悪くないと思わせる作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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いやはや。今回も楽しませて頂きました。この方の作品凄いです。
推理物のミステリとは違う小説ですが、『知るとは何か?』をミステリの謎と言うより哲学的に問いかけるSFよりな作品です。 堅物な作風だと頭が痛くなるような専門用語や論述をライトノベルの作風を使ってとても読みやすくしているのは毎回凄い所。 テーマの感じさせ方もうまく、読後余韻に浸り、いろいろと考えさせられました。 まず感じたのは『情報格差』です。 脳に付与された機器によって、得られ、隠せる情報制限を人々にランク付けさせる世界。 一般人はランク2。官僚はランク5。社会適性がないものはランク0で個人情報筒抜け。 コンピューターの進化や超情報化社会に発展する未来において起こり得る格差世界を体感させられます。 脳とコンピューターが接続する世界において知識とは、事前に知っている必要はなく、瞬時に検索してアウトプットできれば同義になるなど、未来における考え方の変化も興味深いです。 現代でもすでに知らない事はネットを活用して瞬時に回答を得られる能力があれば事足りる状況もあるわけで、その世界においての『知っている』『知らない』『知りたい』とは何なのかを感じる読書でした。 人間の生きるとは何なのか、全てを知るとはどういう事なのか、深いテーマを掲げて、 脳とコンピューターのSF世界をライトに楽しめる作品はそうそうないです。 ネタバレは後述するとして、作者の考え方の仏教や宇宙など巻き込んだ思考の到達点はかなり痺れました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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500Pを超えると読むのを躊躇ってしまうのですが、著者の本は読みやすい安心感があり手に取りました。本書も苦なく読めたので巧さは健在。
序盤から『何かの事件が起きた後』の事情聴取やインタビューの場で、登場人物達の供述でストーリーが進みます。 読者が質問者になったかのように、会話が一方的にこちらに話しかけてきます。 例えば、他人が携帯電話で誰かと話しているのを横で聞いているような印象を持ちました。 ですが、内容がよくわかる。片方の会話文が無いのに話がわかるのです。これはとても凄いと思いました。 不思議な構成や文章で読み進め、結局何が起きたのか?を悶々と考え、もどかしさを感じながら最後まで読んでしまいました。 読んでいて苦はなかったのですが、読み進めて行く最中に頭に過る、『何か』の想像を脱した結末ではなかったのが少し好みと逸れました。これは話のボリュームが長く、色々考える時間があった為です。もう少し話が短くて、心の準備をする間が無かったら違った印象を受けていたでしょう。 岡嶋二人作品で、話を短くシンプルにして勢いよく真相をぶつけてくる。あの感じを求めていたのかもしれません。 さて、長いから悪いとかそうではなくて、驚きよりも物語作りに唸ります。 顔が醜く社会と断絶していた人物が、とあるきっかけでモデルに心を奪われストーカーと化していきます。 『醜さ』が幾度となく表現され、それは見た目の顔だったり、歪んだ考え方だったりするわけですが、 『醜い』というのは相手があって初めて感じる表現なわけで、映像ではなく、文章で作っていった所の巧さを感じます。 構成のインタビュー形式にしても、相手の存在をなくして、独りで話していたりします。 ストーカーの一方向な思い込み、ビートルズの評論で自身の存在を認めていくのも然り、個の表現が不思議と目に留まりました。 いろいろな見方ができて面白い作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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深海4000メールの実験施設で起きる密室殺人。
SFミステリまで空想ではなく、理系ミステリと言った所です。 ミステリの舞台からしてシチュエーションの新鮮味を受けます。 外界から閉ざされたクローズド・サークルものであり、 犯行方法も然る事ながら何故ここで殺人を犯さなければならなかったのかの議論も魅力です。 登場人物達は施設にいる研究員なので、状況把握、思考回路も理路整然していているのもよいです。 事件が起きても他に影響されず、行動は自分で何事も判断。研究を続ける。個人の問題。無関心。 光が無い深海の冷たさ同様、『個』が強調されているのが魅力でした。 本書には地球の資源問題や深海を研究する上での土地問題、生物や食糧問題の解決、エネルギー問題の重要性などのメッセージ。 コンピュータが発達してネットワークでコミュニケーションが取れるようになった今、 人の繋がりを求める場合、物理的に同じ空間に人は必要なのか? コンピューターに映し出された文章に人を感じるなら、感情をもった人工知能が人の繋がりを代用できるのか。など、 人との触れ合い、孤独とは何かのテーマ性を色々と考えさせられました。 ミステリとしても、テーマ性にしても特徴的で面白く、 また、それらが巧く融合された作品となっています。 理系のミステリが好きなので満足でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
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事件の生存者、梢絵の疑問、
なぜ私は襲われなければならなかったのか?という犯行の動機から始まり、連続殺人のミッシングリンク、推理によっては犯行現場が密室や犯人消失模様になって混迷する真実など、序盤に事件の概要が展開されたあとは、ひたすら推理する作品です。 ロジカルな思考に触れる展開が好きなので面白かったです。 ただ、推理場面は良いですが、題材の謎自体の魅力が弱く、 惹きこまれて先が気になるような展開ではなかったのが残念です。 事件がサスペンスドラマな印象で、もっと不可解な怪奇性があれば良かったと思いました。 推理だけの本と思いきや、ミステリの要素はかなり豊富です。 盛りだくさんの要素を巧く組み合わせた、技巧的な作品でした。 |
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読み所が豊富で、1冊読んだだけなのに何冊も読んだ気分です。
冴えない二流作家のハリーはSF,ミステリ,ヴァンパイア,ポルノを描く時にそれぞれペンネームを使い分ける。 ペンネームをコロコロ変えて自分固有の名前で出版しないのは自己ができてなく自信が無いないからなど、作家ハリーの人柄がとても良く感じる事ができました。 著者近影を母親や友人に頼んだりと、自身をとにかく伏せているのですが、これらが相まって読後にふと思った事。 本書の著者デイヴィッド・ゴードンは何者なのでしょうか? 映画監督や実験新作などで使われたりしますが、著者はハリー同様に自身を伏せた名のある作家の別名義なのかもしれないと勘ぐってしまいました。 作家や作品作りの思い、 推理小説が一番面白いのはページの最初の方だ。というミステリの考え方。 (例えが多く、かなりのミステリ好きだと感じさせる雰囲気もある) 著者の様々な思いを登場人物達に語らせている所が興味深く面白かったです。 あと翻訳がとても凄いと思います。 キャラや物語など色々と詰め込んで盛りだくさんなのに、 それぞれの表現が分かりやすいし気持ちが伝わる。この感覚は久々でした。 |
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恋愛や友人関係、家庭事情、思い詰めての自殺願望など、
日常生活に入り込んでしまった歪んだ感情を"ノイズ"と表現している所が感慨深かったです。 闇に染まってしまう悪い感情もあれば、 よくよく考えると相手を思って生まれていた恋愛的なノイズもあるわけで、 複雑な寂しさや悲しさの感情が漂う作品だと思います。 さて、そんな世の中のノイズから耳をふさいでいるのか、 表紙に描かれたヘッドフォンを装着した少女が探偵役。 超頭脳で瞬時に解き明かす真相の流れは気持ちがよいです。 ヘッドフォンなどで外音をしっかり遮断した場合、 自分の血流のノイズを感じたりするわけで、 この少女が耳にしているものは自分自身の回想なのかと思いました。 連作集最後の『静かな密室』。 これはミステリとして、また、恋愛物としてもラストを飾るのに良い作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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好みのデス・ゲームもの。
『殺戮ゲーム』のタイトルと中身は違う印象で、PRを意図した刺激的な単語を使ったのかな?と印象を持ちました。 よくある賞金の為に互いを殺し合うのではく、 謎の主催者? vs 突然密室に閉じ込められたサークルメンバー の構図で、 メンバーは仲間。だけどこの中に犯人(魔物)がいるのか?と疑心暗鬼になるサスペンスです。 一夜明けるごとに仲間が殺されていく状況を解決するべく、 理論的に推察を試みる展開があるのですが、 そんな事より性格がどうだこうだから、お前が怪しい。など、 感情的になり推理に至らない展開がよくでます。 ミステリの視点では残念ですが、妙なリアリティを感じる事ができて、場の収拾が付かない もどかしさが良く出ていました。 伏線や驚きの要素がもっと欲しかったですが、 読みやすさと、デスゲームの面白さ・わかり易さが良いですし、 舞台の設定、人々の心理や結末など巧く作られていると感じる好みの作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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人気がある本は何故か手に取らなくなってしまう傾向があり、
読み漏れていた作品でしたが、、、食わず嫌いは勿体ないですね。とても良かったです。 倒叙ミステリのように序盤で毒殺を扱う所が描かれますが、 そこから誰が、どうやって?の謎を最後まで飽きさせず展開するのは見事過ぎました。 毒殺なんて古くからミステリで見慣れた要素なのに、古臭く感じさせません。 それは、科学捜査や、晩婚や不妊など社会的な内容を混ぜ込んで、 現代をしっかり描き活用しているからだと感じました。 人気シリーズはそれなりの理由があると再認識します。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ホームズとワトソンの立場を議員と秘書に置き換えた日常の謎の連作ミステリ。
政界という日常では滅多に触れられる事がない舞台にて、 ユニークなキャラ達が活躍するのは読んでて楽しかったです。 バカと天才の紙一重である議員の漆原翔太郎と、 それに振り回されるサムライ秘書の雲井進の葛藤が面白い。 翔太郎の自由奔放な行動は国民の為なのか自分の為なのか、 真意は分からずとも謎は氷解し最後は落ち着く所に落ち着く。 話が繋がる伏線の張り方も面白く なかなか爽やかで楽しいミステリでした。 TVドラマ受けしそうな話だとも感じました。 |
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読後にまず思った事は、同じ講談社の青い鳥文庫から発売すれば
小・中学生のターゲットにぴったりハマると思いました。 作品のキャラクターや軽い雰囲気、数学の内容も 高校・大学頃には触れている内容なので大人が読むと凄さを感じさせ辛い。 とすると読者のターゲットは小・中学生が向いていると思った次第です。 ただ、「殺人」が発生している事から小学生には不向きなのかもしれませんね。 殺人と言っても事件発生の用途で使用しているだけで、 「誰々が死にました」と、報告レベルであり、陰鬱な表現はありません。 殺人にしないで誘拐程度にすれば、小・中学層へ広げやすいかなと思いました。 数学の豆知識から事件の発生・攻略の手がかりとする話作りは面白いです。 読みやすさも良かったです。 『0』を扱う『悪魔との約束』は、物語・謎解きに至るまで数学がわかり易く活用され、好みでした。 |
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純粋な推理とパズルの事柄が組み合わさる展開が大変面白かったです。
全編が謎の発見と推理だけの構成です。パズラー小説が好きな方へはおすすめです。 事件の始まりは、残業した男女二人のうち、女性の方が忘れ物をしたと言い、 エレベーターに乗ってオフィスに戻る途中そのまま行方不明になるというもの。 あらすじから感じる話の内容はとても地味なのですが、 監視カメラに映る内容の違和感や、何故忘れ物をしたのか?そもそも忘れものは何だったのか? エレベーター搭乗後オフィスに戻れたのか?戻ってないのか? と、細かく疑問点をロジカルに推理していく展開が楽しめます。 また、話に登場してくる胡散臭い人物達、細かい手がかりの数々など、 読んでいく中で、あぁこれは何かある。怪しいと読者は感じると思いますが、 それらの要素が物語中、無駄なく活用されるのが見事です。 タイトルの『あみだくじ』の印象通り、 起点となる要素から推理していく中で、 外れの道もあれば断片的に当たりの道も通っていく推理。 誤推理だったとしても真相に触れて近づいている前進感は得られ、 パズルゲームのコンテニューをしている気分でした。 突拍子もない手がかりや結末の失望感はあるものの、 推理やパズルの魅力が勝り、楽しく読めました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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SFの世界感や本格ミステリの要素単品で考えると、ちょっと空想過ぎて残念。
事前に伏線を散りばめて、納得させて欲しかった内容。 ミステリの謎は正統派ではないので、 本格ミステリ大賞候補というレッテルからの印象と読後感は悪い作用になりそうです。 ただ、世界観と物語は読んでいて楽しかったです。 蒸気の発達した世界はSFやファンタジーなど 色々な作品で触れてはいるのですが、本書は既読感なく楽しめました。 あと個人的に表紙のイラストが頭の中のイメージ作りにとても役立ち良かったです。 SFの難解さや事件の陰鬱さはなく、 主人公のエマを筆頭に登場人物達が明るく活気あって楽しい作品でした。 これはヤングアダルトには打って付けの作品だと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著者の本を読んできて、なんとなく分かった事。
それはSFの世界を活用したミステリならSFミステリ。歴史の世界を活用したミステリなら歴史ミステリ。と言った具合に名が付くような感覚でライトノベルを活用したライトノベルミステリ。であること。 つまりラノベに見られるアニメ風の軽いキャラクターやセリフ回しを活用した仕掛けを施してきてます。 あぁそう言えばと、過去作も思い返してミステリの新しい仕掛けの植え所を感じた次第です。 「小説の書き方」を生徒に教える話の流れは、 まったくもってミステリと違う所にいる物語なのですが、 終盤はいつも通り、野﨑まど流の展開でありました。 驚いた!というより、 毎回よく話の雰囲気を変えられるものだと楽しんでいます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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『死なない生徒』なのに『殺人事件』?タイトルがユニークです。
不死の存在がいる中での殺人事件という事で、 山口雅也の「生ける屍の死」を思い出しました。 生物学的や概念での不死を扱った話の下敷きは既視感を受けた気がしないでもないですが、 本書は学園を舞台にライトなミステリとなっていて読みやすいです。 首切り殺人の謎など、 不死の存在を仄めかした物語ならではの解釈や考察が面白いですし、 真相もなかなか飛んでます。 SFなのかオカルトなのかの作風は著者のいつも通りで、 ここまでくると、なんでもあり。と思えそうですが、 固定概念から外れた発想がとても刺激になって良かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
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どの短編も驚きあり、とても楽しい短編集でした。
人物造形や感情などはバッサリ切り落とし、 事件⇒検証⇒解決をテンポよく味わえる構成になっていました。 これは好みが分かれそうですが謎を解くパズルが好きな私はとても満足です。 1つに絞れないのですが 「少年と少女の密室」「死者はなぜ落ちる」「佳也子の屋根に雪ふりつむ」 この3編は違った色をもつ真相の楽しさが印象的でした。 ところで著者の本は5年以上ぶりの久々の新刊です。 間で、PSPゲームの『トリックロジック』にて著者のミステリに触れていたのですが、 その中でゲームの特性、内容の盲点を他の作家に比べて上手く活用していた真相を描いていると感じてました。 その時の問題編、解決編、それに触れる読者が受けるだろう盲点や謎解きの楽しさを 本書の密室蒐集家でも感じる事ができゲームをしている様な楽しさがありました。 あと余談で、密室蒐集家の造形は、 麻耶雄嵩の貴族探偵と伊坂幸太郎の死神の精度を連想してました。 純粋に謎を楽しむ本書の様な本が近年減った印象を受けているだけに、 今後も密室蒐集家が現れる作品が読みたいと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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