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egut さんのレビュー一覧

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レビュー数221

全221件 161~180 9/12ページ

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No.61: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官の感想

シリーズ2作目。死体発見現場の虫の生体環境を推理して真相へ近づく流れが前作に劣らず面白い。
貸倉庫で発見された身元不明の腐乱死体。手がかりが皆無で捜査は混迷する。が、現場から見つかった虫の一部から捜査が進展。昆虫学の必要性がとても感じられる点が見所です。

キャラ立ちも楽しく、岩楯刑事&学者の赤堀との関係が今後も気になりますし、新キャラの月縞も個性的で良い味が出ていて、今作では一気に成長も感じさせる物語になっている。
科学捜査で警察小説なのですが、地味ではなく、個性的でとても面白いシリーズだと思います。

前作と比べると、虫の活用具合が前半に集中していて、後半は違う物語になった所は、法医昆虫学をもっと知りたかった私としては少し物足りなさを感じました。が、着地点がまったく予想できない所は凄いので、これはこれで好み。
続編が出てほしいシリーズです。

▼以下、ネタバレ感想
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シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)
No.60:
(7pt)

パインズ -美しい地獄-の感想

たまには本屋で話題本を衝動買い。帯に書いてあった『ラストは絶対予測不能』『シャマラン監督映像化』に釣られて購入です。元々は電子書籍で、米Amazonでは5星が700越えなど話題になってる模様。まぁそんなの気にせず『シャマラン監督が興味を持った』ところに自分は意識が向くわけでした。この監督の作品、何故かよく見ちゃうので。。

話は、主人公が目を覚ますと、何故ここにいるのか?と記憶をなくした状態からスタート。なんだか具合も悪いし怪我をしている気がする。そういえば交通事故にあったような記憶がする中、近くに見える街へ足を運ぶ。街の人々と主人公の会話が食い違う。何かおかしい。そして何故か街から出られない・・・。
記憶喪失の主人公で、閉ざされた街が舞台である、状況不明系のストーリーです。

主人公の話や街の人々の対応、どれが真実なのか。それともすべて虚偽なのか?定番の疑惑を考えながら読書なのですが個人的に刺激や魅惑の要素がなく退屈でした。それでも終盤に差し掛かる頃にはやっと真相がまとまっていき、あー…本当にシャマラン監督の作品にありそうで好みそうな内容だった。と思う次第でした。
なんというか、表面は好き勝手自由だとしても、必ず根底にあるのは人を思う愛があるというか、そういう作品。

他レビューが作品の中身には触れられず映画寄りな感想になるのもわかる気がします。内容はネタバレになる為避けられている。文章や表現を味わう文学作品でもない。ただ、映像になった時の姿が目に浮かびやすいからです。悪い意味では既視感がとてもある作品でありますけどね。

▼以下、ネタバレ感想
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パインズ -美しい地獄- (ハヤカワ文庫NV)
No.59: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

奇書っぽくて、自由奔放な凄い作品

読み切った。。。何だかよく判らないままも、最後は不思議なエネルギーをもらって、凄かったぜ!!とテンション上がっちゃうような作品。

文庫版1500ページ。『煙か土か食い物』のように改行がなく、ひたすら文章が襲いかかってくる。それでいて内容は、帯にある『あらゆるジャンルを越境した…』の通り、ミステリをベースにSFやら哲学やらが、ぐちゃぐちゃに絡んできて、もうわけわからない・・・。なんだけど、最後まで読めちゃう文章作りが不思議で面白い。5,6冊ぐらい読んだ気分のボリュームでした。

読書前に本書は現代の奇書みたいな話を知っていたので、その感覚を踏まえて読むと、大分昔に読んだ奇書の1つ『黒死館殺人事件』を思い出しました。あの作品は、いきなり紋章学やら医学やらおかしな推理が始まって内容が把握できなくて、さらに言葉も古いからさっぱり頭に入らず眠くなった記憶がありました。が、本書は現代語なので、ちゃんと読めて分かりながら放り投げられる感覚が得られますので、奇書っぽいものを読みたい人には昔の作品より本書を薦められます。現代の奇書と誰が言ったか分かりませんが、的を射ていると思いました。

さて、表紙に書かれている女の子が探偵ディスコなのかと思いきや、探偵は30代男性のアメリカ人でハードボイルド寄り。手に取った時と最初にページをめくった時とでギャップを食らいましたが、この後の展開のインパクトを思い返すと軽いジャブにもなっていない些細な事。迷子探しの探偵が救出した女の子の梢の中に未来の梢の魂が入りこんで序盤から魂やら未来話やらで哲学やSFが展開して、その後のパインハウスを舞台に探偵達の推理合戦が開始。密室、暗号、見立て、などミステリの定番から星座や神話やらと衒学的に話が飛んでいきます。

話の整合性やらロジックなどは真面目に考えても仕様がない状態なので、探偵達が語る話を受けるがまま脳を刺激される印象で読み進めました。
なんといいますが、話の全貌やネタバレ的な事を仮に語ったとしても、その要所要所では本書を把握する事はできない作品です。
作品に触れて、四方八方に話が発散する中に、自身がどんな所に刺激を受けるかという文学的な作品で、どう表現したらいいか分からないぐらい、作者凄い。と思う次第です。
著者の中に『好き好き大好き超愛してる。』という作品があり、いろんな設定での愛の姿がありましたが、本書もディスコが梢を想う愛が根底に敷かれているように感じましたし、全部包み込んだ外側に作者の気持ちを感じました。
ディスコ探偵水曜日〈上〉
舞城王太郎ディスコ探偵水曜日 についてのレビュー
No.58: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

クローズド・ノートの感想

ほんわかすると言うか、感動的で、よかったなぁ。と、読後しみじみする作品でした。
書籍区分はミステリですが、恋模様や不思議な事がおきる広義のミステリ。中身は恋愛小説に近いです。

登場人物達が基本みんな良い人で、恋の邪魔に感じる所もそれぞれが前向きに行動している結果なだけなので、
何が起きていても基本的に嫌な気持ちにはならず、読んでいて気持ちが良かったです。

序盤は、万年筆の話が面白く、最近はPCや携帯で文字を打つので、ペンで文字を書く機会が減ったな…とか、
作中に出てくる万年筆を調べてみたら凄いオシャレで興味が沸いたりと、楽しみながら読みました。

香恵の初々しい恋模様や、伊吹先生のノートが良きメンターとして活用され成長していく流れなど、とても心地よい作品でした。

▼以下、ネタバレ感想
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クローズド・ノート (角川文庫)
雫井脩介クローズド・ノート についてのレビュー
No.57: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

特捜部Q 檻の中の女の感想

キャラ立ちや設定がよくて事件も把握しやすい。読みやすい海外ミステリでした。

窓際族のように警察内の地下室に新設された部署へ追いやられてしまう主人公のカール。
未解決となった事件を再調査すると言った名目の部署ですが、1度は警察が組織で調べた事件であるのに、それを1人で再調査という無理難題、閑職もいい所。そんな中、アサドと名乗る1人の部下が得られるのですが、この変人がいいキャラしていて、日本の小説でよくある、警察+変人(探偵)のタッグのような感覚が馴染みやすく楽しめました。

作りが巧いのが、人物構成と同時平行して展開される、未解決事件の猟奇性。
現在→未解決事件の過去→現在→未解決事件の過去・・・
と交互に展開される話の中で、サブタイトルにある監禁された状況の緊迫感が与えられます。
緩急つけた話の構成は、最後まで読ませるリーダビリティがありました。

主人公カールの家族は?アサド何者だよ。今後の特捜部Qの活躍は?
など、シリーズの次作を期待させる内容としても十分で、面白い本に出会えました。

▼以下、ネタバレ感想
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特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
No.56: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

伊藤博文邸の怪事件の感想

これは掘り出し物のミステリでした。

タイトルから歴史小説を感じさせており、2013年度の各ミステリのランキングでは圏外で、失礼ながら注目度はなかったと感じる本書。ランキングについては締め切りぎりぎりの出版だったので、10月ではなく、11月に出版していれば来年度ランキング30以内には名前が載っただろうなと感じる次第です。

完全にスルーしていたのですが、口コミでの評判の良さを知って手にとった所、なかなかの掘り出し物でした。
あらすじにある、本格推理小説の名の通りです。

期待度が低かったのに対して、この手法をこの本でやってきたのかと驚いたので、見慣れた仕掛けも使い方次第だと改めて感じた作品でした。
伊藤博文しかり、津田うめなど、実在の人物もよい塩梅に登場しており、歴史ミステリが苦手でも気にする必要なく、当時の雰囲気を味わった気持ちになる楽しい作品でした。

読み終わってから感じる人が多いと思いますが、構成が絶妙です。良かったです。


▼以下、ネタバレ感想
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伊藤博文邸の怪事件 (光文社文庫)
岡田秀文伊藤博文邸の怪事件 についてのレビュー
No.55:
(7pt)

三階に止まるの感想

世にも不思議な日常の謎。ブラックユーモアな短編集です。

最初の作品『宙の鳥籠』は、プロポーズ前の男女が二人の将来の為に解決しておきたい事があると、観覧車の中でとある出来事の話を始めます。観覧車1周の短い時間の密室の中で、男女の関係を推理・解決していく流れは、意識の中でタイムリミット、話を逸らせない緊迫感などを感じられて、コンパクトにまとまった短編ならではの良さを楽しみました。

その次の作品『転校』に至っては、全寮優等生学校で起きている、とある出来事を体験。これは1作目と雰囲気変わってブラックネタであり、全てを明かさずともラストで読者に意味が分かる黒いユーモアのさじ加減は絶妙です。個人的にベストです。

この序盤の2作品を読んで本作品の扱う物語が、「男女」、「ブラックネタ」が根底にあると感じました。
といいますか、これらは作者の過去作品から感じる要素でもあるので、作者らしさを感じます。

その他、自殺しようと現場に着いたら先客がいた『心中少女』。
家の中で殺虫剤を撒いたら化学薬品であったパニックもの&夫婦を描く『黒い方程式』。
が面白く読めました。

▼以下、ネタバレ感想
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三階に止まる
石持浅海三階に止まる についてのレビュー
No.54: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

解錠師の感想

分類はミステリというより青春小説。
謎や驚きがなく、言葉を発せず解錠師となった主人公の成長を描く、ティーンエイジャー向けの物語。

本書は翻訳物ですが、とても読みやすかったです。
登場人物が、主人公、彼女と、その父親。あとは犯罪者数名ぐらいで少なく、カタカナ名でも人物把握は容易です。場面も主人公の身の回りなので混乱せず物語に没頭できました。

金庫破りの師匠ゴーストが、金庫は女として扱え。金庫を無傷で開けられるお前は芸術家だ。と、金庫破りの思考や、センスある表現を愉快に描かれているのが魅力的でした。原題もロック・アーティストと言うのが良いです。
若い主人公が他の犯罪者とタッグを組んで仕事をする時も、危険な目に合わず信頼をおいてもらえるのは、確固たる技術のおかげ。口がきけない、小僧といった弱みになりそうな点も確固たる能力があれば自信を持って立ち回れる姿に、何か感じる所がありました。

どんな鍵でも開けられる。でも声を発しない少年自身の心は閉ざされたまま。
なんとなくベタなのですが、それがとても把握しやすく安心して読める要素にもなってます。

ミステリとして読むと物足りなさを感じますが、
海外文学で青春物が読みたい方へは、とてもよい作品です。

▼以下、ネタバレ感想
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解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
スティーヴ・ハミルトン解錠師 についてのレビュー
No.53: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

未完成 (アンフィニッシュト)の感想

個性的な自衛隊ミステリ。

自衛隊ならではの視点で戦争やそこに住まう人たち、民間との関わり方を触れていき、
そこで起こった事件を、謎の魅力、方法、調査、舞台の背景を知る、といった流れをミステリの様式でまとめてます。

事件は、射撃訓練中で起きた小銃の紛失ミステリで、人が死なないミステリとして読めます。
備品管理に徹底した場において、どうやったら小銃を無くせるのか、また何でそんな事をするのか。と、自衛隊特有の思考や場の状況で事件を考えて行くのが新鮮でした。

調査班の朝香二尉と野上三曹は、さながらホームズとワトソンの関係で、野上三曹の視点で朝香二尉の飄々した行動やここぞとばかりに魅せる知性に触れる点も楽しめます。

派手さも爽快さもなく、淡々と進むのですが、その流れが自衛隊の中の人々の描き方や緊張感にマッチしていて魅力的で好みです。ミステリ要素がメインではなく、それがきっかけで、そこに集う人々の気持ちに触れる事ができる不思議な印象を得られる作風です。
2001年の作品を今読んだわけですが、尖閣問題や朝鮮との関わりなどにも触れていたりと、今の世でも考えさせられるメッセージが生きているのに驚きました。

▼以下、ネタバレ感想
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アンフィニッシュト (文春文庫)
古処誠二未完成 (アンフィニッシュト) についてのレビュー
No.52: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

眼球堂の殺人 ~The Book~の感想

好みの本格ミステリである事と読みやすさが良いです。

『館』の文字の使用を控えて、眼球堂の『堂』を選んだと思いますが、中身は館物でクローズド・サークル。
トリックあり、読者への挑戦ありと、直球の本格ミステリです。この手の本は好みで楽しいです。

少し厄介に感じたのが既視感が多い所です。
人物設定やトリックなど新本格時代の本を好んで読んでいる人には触れているだろう定番本のネタをいろいろ取り入れています。
が、それが悪いかというとそうではなくて、うまく組み合わせて作品を作ったなと思う次第です。
新鮮な驚きではなく、感心という気持ちでした。

ミステリ好き同士で感想を話すと、ここってこの作品のここだよね。こっちの設定はこの作品だよね。
と、他作の作品名はネタバレになるので言えませんが、そういう風に感じる本でした。

天才が集まる必然性が弱かったり、「ザ・ブック」と発言する主人公は数学者を超えたイタさを感じるなど、ひっかかる部分はあるのですが、本格が好きな気持ちと楽しさが伝わり良かったです。
次回作も楽しみです。

眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社文庫)
周木律眼球堂の殺人 ~The Book~ についてのレビュー
No.51: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

いろいろな独りを感じる

500Pを超えると読むのを躊躇ってしまうのですが、著者の本は読みやすい安心感があり手に取りました。本書も苦なく読めたので巧さは健在。
序盤から『何かの事件が起きた後』の事情聴取やインタビューの場で、登場人物達の供述でストーリーが進みます。

読者が質問者になったかのように、会話が一方的にこちらに話しかけてきます。
例えば、他人が携帯電話で誰かと話しているのを横で聞いているような印象を持ちました。
ですが、内容がよくわかる。片方の会話文が無いのに話がわかるのです。これはとても凄いと思いました。
不思議な構成や文章で読み進め、結局何が起きたのか?を悶々と考え、もどかしさを感じながら最後まで読んでしまいました。

読んでいて苦はなかったのですが、読み進めて行く最中に頭に過る、『何か』の想像を脱した結末ではなかったのが少し好みと逸れました。これは話のボリュームが長く、色々考える時間があった為です。もう少し話が短くて、心の準備をする間が無かったら違った印象を受けていたでしょう。
岡嶋二人作品で、話を短くシンプルにして勢いよく真相をぶつけてくる。あの感じを求めていたのかもしれません。

さて、長いから悪いとかそうではなくて、驚きよりも物語作りに唸ります。
顔が醜く社会と断絶していた人物が、とあるきっかけでモデルに心を奪われストーカーと化していきます。
『醜さ』が幾度となく表現され、それは見た目の顔だったり、歪んだ考え方だったりするわけですが、
『醜い』というのは相手があって初めて感じる表現なわけで、映像ではなく、文章で作っていった所の巧さを感じます。

構成のインタビュー形式にしても、相手の存在をなくして、独りで話していたりします。
ストーカーの一方向な思い込み、ビートルズの評論で自身の存在を認めていくのも然り、個の表現が不思議と目に留まりました。

いろいろな見方ができて面白い作品でした。

▼以下、ネタバレ感想
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ラバー・ソウル
井上夢人ラバー・ソウル についてのレビュー
No.50: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)
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聯愁殺の感想

事件の生存者、梢絵の疑問、
なぜ私は襲われなければならなかったのか?という犯行の動機から始まり、連続殺人のミッシングリンク、推理によっては犯行現場が密室や犯人消失模様になって混迷する真実など、序盤に事件の概要が展開されたあとは、ひたすら推理する作品です。
ロジカルな思考に触れる展開が好きなので面白かったです。

ただ、推理場面は良いですが、題材の謎自体の魅力が弱く、
惹きこまれて先が気になるような展開ではなかったのが残念です。
事件がサスペンスドラマな印象で、もっと不可解な怪奇性があれば良かったと思いました。

推理だけの本と思いきや、ミステリの要素はかなり豊富です。
盛りだくさんの要素を巧く組み合わせた、技巧的な作品でした。
聯愁殺: 新装版 (中公文庫, に18-9)
西澤保彦聯愁殺 についてのレビュー
No.49: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

二流小説家の感想

読み所が豊富で、1冊読んだだけなのに何冊も読んだ気分です。

冴えない二流作家のハリーはSF,ミステリ,ヴァンパイア,ポルノを描く時にそれぞれペンネームを使い分ける。
ペンネームをコロコロ変えて自分固有の名前で出版しないのは自己ができてなく自信が無いないからなど、作家ハリーの人柄がとても良く感じる事ができました。
著者近影を母親や友人に頼んだりと、自身をとにかく伏せているのですが、これらが相まって読後にふと思った事。

本書の著者デイヴィッド・ゴードンは何者なのでしょうか?

映画監督や実験新作などで使われたりしますが、著者はハリー同様に自身を伏せた名のある作家の別名義なのかもしれないと勘ぐってしまいました。

作家や作品作りの思い、
推理小説が一番面白いのはページの最初の方だ。というミステリの考え方。
(例えが多く、かなりのミステリ好きだと感じさせる雰囲気もある)
著者の様々な思いを登場人物達に語らせている所が興味深く面白かったです。

あと翻訳がとても凄いと思います。
キャラや物語など色々と詰め込んで盛りだくさんなのに、
それぞれの表現が分かりやすいし気持ちが伝わる。この感覚は久々でした。
二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
デイヴィッド・ゴードン二流小説家 についてのレビュー
No.48: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

少女ノイズの感想

恋愛や友人関係、家庭事情、思い詰めての自殺願望など、
日常生活に入り込んでしまった歪んだ感情を"ノイズ"と表現している所が感慨深かったです。

闇に染まってしまう悪い感情もあれば、
よくよく考えると相手を思って生まれていた恋愛的なノイズもあるわけで、
複雑な寂しさや悲しさの感情が漂う作品だと思います。

さて、そんな世の中のノイズから耳をふさいでいるのか、
表紙に描かれたヘッドフォンを装着した少女が探偵役。
超頭脳で瞬時に解き明かす真相の流れは気持ちがよいです。
ヘッドフォンなどで外音をしっかり遮断した場合、
自分の血流のノイズを感じたりするわけで、
この少女が耳にしているものは自分自身の回想なのかと思いました。

連作集最後の『静かな密室』。
これはミステリとして、また、恋愛物としてもラストを飾るのに良い作品でした。

▼以下、ネタバレ感想
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少女ノイズ (光文社文庫)
三雲岳斗少女ノイズ についてのレビュー
No.47:
(7pt)

殺戮ゲームの館の感想

好みのデス・ゲームもの。
『殺戮ゲーム』のタイトルと中身は違う印象で、PRを意図した刺激的な単語を使ったのかな?と印象を持ちました。

よくある賞金の為に互いを殺し合うのではく、
謎の主催者? vs 突然密室に閉じ込められたサークルメンバー の構図で、
メンバーは仲間。だけどこの中に犯人(魔物)がいるのか?と疑心暗鬼になるサスペンスです。

一夜明けるごとに仲間が殺されていく状況を解決するべく、
理論的に推察を試みる展開があるのですが、
そんな事より性格がどうだこうだから、お前が怪しい。など、
感情的になり推理に至らない展開がよくでます。
ミステリの視点では残念ですが、妙なリアリティを感じる事ができて、場の収拾が付かない もどかしさが良く出ていました。

伏線や驚きの要素がもっと欲しかったですが、
読みやすさと、デスゲームの面白さ・わかり易さが良いですし、
舞台の設定、人々の心理や結末など巧く作られていると感じる好みの作品でした。

▼以下、ネタバレ感想
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殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)
土橋真二郎殺戮ゲームの館 についてのレビュー
No.46:
(7pt)

セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎の感想

ホームズとワトソンの立場を議員と秘書に置き換えた日常の謎の連作ミステリ。

政界という日常では滅多に触れられる事がない舞台にて、
ユニークなキャラ達が活躍するのは読んでて楽しかったです。
バカと天才の紙一重である議員の漆原翔太郎と、
それに振り回されるサムライ秘書の雲井進の葛藤が面白い。

翔太郎の自由奔放な行動は国民の為なのか自分の為なのか、
真意は分からずとも謎は氷解し最後は落ち着く所に落ち着く。
話が繋がる伏線の張り方も面白く
なかなか爽やかで楽しいミステリでした。

TVドラマ受けしそうな話だとも感じました。
議員探偵・漆原翔太郎 セシューズ・ハイ (講談社文庫)
No.45: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

浜村渚の計算ノートの感想

読後にまず思った事は、同じ講談社の青い鳥文庫から発売すれば
小・中学生のターゲットにぴったりハマると思いました。
作品のキャラクターや軽い雰囲気、数学の内容も
高校・大学頃には触れている内容なので大人が読むと凄さを感じさせ辛い。
とすると読者のターゲットは小・中学生が向いていると思った次第です。

ただ、「殺人」が発生している事から小学生には不向きなのかもしれませんね。
殺人と言っても事件発生の用途で使用しているだけで、
「誰々が死にました」と、報告レベルであり、陰鬱な表現はありません。
殺人にしないで誘拐程度にすれば、小・中学層へ広げやすいかなと思いました。

数学の豆知識から事件の発生・攻略の手がかりとする話作りは面白いです。
読みやすさも良かったです。
『0』を扱う『悪魔との約束』は、物語・謎解きに至るまで数学がわかり易く活用され、好みでした。
浜村渚の計算ノ-ト (講談社文庫)
青柳碧人浜村渚の計算ノート についてのレビュー
No.44:
(7pt)

スチームオペラの感想

SFの世界感や本格ミステリの要素単品で考えると、ちょっと空想過ぎて残念。
事前に伏線を散りばめて、納得させて欲しかった内容。
ミステリの謎は正統派ではないので、
本格ミステリ大賞候補というレッテルからの印象と読後感は悪い作用になりそうです。

ただ、世界観と物語は読んでいて楽しかったです。
蒸気の発達した世界はSFやファンタジーなど
色々な作品で触れてはいるのですが、本書は既読感なく楽しめました。
あと個人的に表紙のイラストが頭の中のイメージ作りにとても役立ち良かったです。

SFの難解さや事件の陰鬱さはなく、
主人公のエマを筆頭に登場人物達が明るく活気あって楽しい作品でした。
これはヤングアダルトには打って付けの作品だと思います。

▼以下、ネタバレ感想
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スチームオペラ (蒸気都市探偵譚) (創元推理文庫)
芦辺拓スチームオペラ (蒸気都市探偵譚) についてのレビュー
No.43:
(7pt)

いつもながら展開が読めない

著者の本を読んできて、なんとなく分かった事。
それはSFの世界を活用したミステリならSFミステリ。歴史の世界を活用したミステリなら歴史ミステリ。と言った具合に名が付くような感覚でライトノベルを活用したライトノベルミステリ。であること。
つまりラノベに見られるアニメ風の軽いキャラクターやセリフ回しを活用した仕掛けを施してきてます。
あぁそう言えばと、過去作も思い返してミステリの新しい仕掛けの植え所を感じた次第です。

「小説の書き方」を生徒に教える話の流れは、
まったくもってミステリと違う所にいる物語なのですが、
終盤はいつも通り、野﨑まど流の展開でありました。

驚いた!というより、
毎回よく話の雰囲気を変えられるものだと楽しんでいます。

▼以下、ネタバレ感想
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小説家の作り方 新装版 (メディアワークス文庫)
野﨑まど小説家の作り方 についてのレビュー
No.42: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

死なない生徒殺人事件の感想

『死なない生徒』なのに『殺人事件』?タイトルがユニークです。
不死の存在がいる中での殺人事件という事で、
山口雅也の「生ける屍の死」を思い出しました。
生物学的や概念での不死を扱った話の下敷きは既視感を受けた気がしないでもないですが、
本書は学園を舞台にライトなミステリとなっていて読みやすいです。

首切り殺人の謎など、
不死の存在を仄めかした物語ならではの解釈や考察が面白いですし、
真相もなかなか飛んでます。

SFなのかオカルトなのかの作風は著者のいつも通りで、
ここまでくると、なんでもあり。と思えそうですが、
固定概念から外れた発想がとても刺激になって良かったです。

▼以下、ネタバレ感想
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死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~ 新装版 (メディアワークス文庫)