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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数212件
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科学捜査にて犯人を追いつめていく1作目とは違い、
殺し屋からターゲットを守る展開は、期待していた勢いと異なるものでした。 犯人も目的も提示されている状態なので、何かを無性に知りたい。といった欲求が生まれず、 読書スピードが文庫下巻中盤まで失速気味でした。 が、 終盤の真相にかけては怒涛の展開で唸ります。 1作目で得た印象との比較での気持ちなだけで、作品単体ではとても素晴らしい作品でした。 ライムとダンサーの対決がシリーズ最終決戦のような意気込みだと感じたり、 ライムとアメリアの関係など、もっと後半で出しても良さそうなネタを2作目でやってしまうんだ。 と贅沢な印象を受けました。 この刊行後に3作目以降のシリーズ化を行う事が決まった模様なので、 シリーズを念頭になかった本作では、やり残す事がないように事件も人間模様も濃密に描いたんだと感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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デス・ゲーム系の小説。好みです。
「二つの箱のどちらかを開ければ上階への扉は開かれる。」 アイテムを得るか死を迎えるか。 いつもながら面白いアイディアなのですが、 もっと良くなりそうな期待を受けつつも、もどかしく終わります。 前作までの傾向と同じで、 死のゲームなのにあまり緊張感がなく、主人公の思考が肌に合わないのは、 あえてやっている設定なのかなと思いました。 予想外な展開はあまり生まれず、 淡々とゲームを進行している印象を受けました。 毎度いろいろと不満をこぼしてしまうのですが、 それだけ扱うネタが好きなので、ついつい読みたくなる不思議な作家さんです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミステリーではなかったのですが、
ホラー文学と言いますか、不思議な魅力を味わえたのが良かった作品です。 内容は総じて不気味で「ぼっけえきょうてぇ」然り、 文章表現される岡山の方言が怪談の雰囲気を一層醸し出していました。 女郎が客に対して話しかける独り語りの構成ですが、 これもある種、怖いものに触れて 身動き取れなくなっている変な緊張感を味わえる不思議な仕掛けを感じます。 映像化された作品でもあり、 そちらはグロい表現を強調したものになっている模様です。 ただ、この文章の独特の雰囲気は小説ならではの魅力であり、 映像では違った所を制作陣の好みも相まって惹きだす結果になったのだと感じました。 表題作は40P台の短い小説ですが、 長編のごとく、とても濃いものを読んだ気持ちになりました。 |
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タイトルにある邪馬台国はどこか?のほか、、
ブッタは悟りを開いてない。イエスの復活の真相とは?など、 歴史で見知った内容を別の解釈で解き明かす小説です。 よくある「本当はXXXだった」系の歴史の解説書とは違い、 軽妙なバーでの会話の手掛かりから真相を導き出す流れのテンポが ミステリの終盤における真相の謎が解かれる気持ち良さを受けました。 現実では的外れな解釈であるかもしれないですが、 想像に富んだ解釈と理論的な展開でミステリを感じたのが見事でした。 |
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前作の密室を開けないまま推理を展開する「扉は閉ざされたまま」に続く、特殊なシーンを描いた倒叙式ミステリ。
今作は、社長を殺そうと企む梶間。梶間に殺されたい社長。前作に続く超頭脳の探偵役の碓氷優佳。計3名による頭脳戦です。 目的を見ると『被害者+加害者 vs 探偵』と、被害者と加害者の意志が協力している所が斬新でした。 冒頭の著者の言葉にある通り、 「事件が起きるまで」を丁寧に書かれた、他であまり類を見ない作品で、 事件が起きなくてもミステリとして楽しむ事ができるという事と、 究極の探偵を描くことに成功している1作とも思えました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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一時期本屋さんでたくさん並んでました。
読み終わった感想としては凄いのを平積みにしたなと感服です。 多くの人々に嫌な気分を味あわせるであろうこの文体は凄いです。 この点が好みと言うと変に思われそうですが、 こう描ける筆力は本当にすごいと思います。 ミステリの感じはあくまで活用した程度で、この点で期待すると違う印象を持ちます。 途中まで好みに合わずでしたが、最後の章あたりで作者のやりたい事が感じられて、 なるほどと思った次第です。 また、巧くドグラ・マグラを取り入れたか意識している作品だと思いました。 両方の作品を読んだ方は何の事か感じるかと思います。 個人的には第8章で終わらせたら 色々と物議を醸して面白いかなと思ったりしましたが、 それはそれで難しい作品になっちゃいますね。 陰鬱な情景に目が行きがちですが、構成もよく出来ている作品だと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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驚いたと言う声を良く聞いていたのでどんな仕掛けの本かと思いましたが、
これはそこだけピックアップする1発ネタの本ではない印象でした。 個人的には多種多様な考え方や感情表現を感じる作品でした。 当たり前ですが、同じ人間でも様々な考え方や感情があります。 男と女、感情表現の高い人・低い人。正義と悪。日本人と外人。異性が好き、興味ない。など 多くの対比の要素を組み合わせた人々が登場します。 そんな人達の会話や考え方が面白く、読んでいて、あぁそんな考え方があるんだ。と感じました。 印象的なのがブータン人のドルジで、ブータン人は生まれ変わりを信じている。 なので輪廻転生の長い時の中で知り合えた人の幸せを願うし、 死を恐れないから活動も積極的になれる。こんな感覚はいいなぁ。と思います。 軽妙でいて深く心にひっかかる言葉を読んで楽しみましたが、 些細な事が現在と過去の何が起きたか先が気になる謎に絡んでくる作りも巧いです。 引っ越ししてきたばかりで状況が分からない椎名と共に、 読者の私は物語に翻弄された感じでした。 ペット殺しの嫌な感じや登場人物達の物語の結末に心沈むものがあったので 少し好みとは逸れて点数低いですが、作品は凄いと思ってます。 |
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気付いたら新刊が楽しみになってしまった作者のこのシリーズ。
作者の本を読むのが初めての方は、 いきなり本書から読んでも肌に合わないだけになる恐れがあるので、 『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』などのバカミスのシリーズを先に読み、バカミスに心を開いておく準備が必要です 登場人物達に言わせている作者の想い。 ・ある種のバカミスを読むと元気がでる。 ・マニア向けで版が少なくても希少価値がでる。 ・文芸のなせる芸術。 などなど、 作品作りの想いが強く感じる、物語そっちの気の趣向の本です。 今回は趣向に凝り過ぎて物語に面白みがなかったのが正直な所です。 物語と仕掛けが密接していた三崎黒鳥館白鳥館の方が完成度は高い印象でした。 後半の事件の解決編を読んでいる最中でも今回は期待し過ぎたかな。 と低印象でしたが、最後良い意味で気持ちが吹っ飛びました。 いままでシリーズを読んできた人も翻弄する 三崎黒鳥館白鳥館、新世界崩壊の先を行ってしまった本書。 作者のバカミスにかける思いがここまで来ると感動的で、 歴史に残る作品作りっていいなと、不思議な心情になりました。 作者の走り続ける姿に拍手。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミステリ好きの心をくすぐる『館』『島』と言うシンプルなタイトル。
孤島に建築された六角形の館で起こる事件。 そして嵐の為のクローズド・サークル。 建築家や六角形の館など、 綾辻行人の十角館のオマージュ作品として感じ、 それが良い効果を持っていて好感的な作品です。 また、お決まりのミステリのガジェットは抑えつつ、 そこにテンポ良いユーモアを交えてあるので、 気軽にミステリの楽しい所を感じとれる本だと思いました。 トリックがとても分かりやすく提示されてますが、 それはそれで安心して読めますし、 館の存在理由が物語とちゃんと一体になって意味があるのが良かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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捻くれ感がとても強く感じてそこが良い意味で個性的に感じられた作品です。
ゾンビ映画の撮影をしようと廃墟に訪れた所、死体が発見されます。 通常ならここから事件発生でドタバタし始める所、この作品では、 騒いで警察来て事情聴取されても面倒だから、気にせず撮影しよう。 と、めんどくさい。他人と関わりたくないオーラ全開の思考展開が面白いです。 生きている価値がないと思う自分自身がゾンビであり、 実際に死んでる死体は注目されることで生を感じて羨ましい。など、 死体を通じて取り巻く、引きこもりの思考や行動が私には斬新で楽しめました。 死体消失の謎や動機にも唸りました。 不思議な面白さがある作品です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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多重人格を扱ったサスペンスストーリーとして、
とても面白く読めました。 文庫版の帯には「騙された」と言った、 どんでん返しを期待させるキャッチコピーがあった模様ですが、 それに期待して本書を読むと読みたかった内容との違いに戸惑ってしまうと思います。 話は各登場人物たちが知り合った1人の女性が行方不明になる所から始まります。 それぞれの人たちと接している時の1人の女性の像が異なり、 女性と接した人たちの話を聞いていく中で、 同一人物なのか?もしかして多重人格者だったのか? なぜ多重人格になってしまったんだろう? と言った感じに謎が展開されます。 このストーリーの展開はとてもテンポが良くて判りやすく、 そして1つの殺人事件の謎とも絡まってきて中々面白かったです。 ちょっと残念だったのが、 文庫化するにあたって最終章のモノローグ4を封印します。と言った作者のコメント。 この一言は余計だと思いました。 正直あってもなくても伏線が効いてくる内容でなく、 余談みたいなものなので、 読者にあるなしを選ばせるのではなく、 作者が1つの作品としてどっちかに決めてしまったらよいと思いました。 帯のコピー然り、余計な文章が読者に意図しない印象を与えてしまい、 勿体無いと感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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クローズド・サークルでの推理ゲーム。
舞台としてはとても面白いです。 夏の館、冬の館にそれぞれ7名づつ閉じ込められ、 互いの館で連続殺人が発生する。 館同士はTV電話でコンタクトが可能。 問題は夏の館、冬の館の犯人は誰か? 1度のみの解答に対して、正解側の館の人々は賞金を獲得して生還。 解答を外したり相手が先に答えた場合は死が待っている。 相手の館とのコンタクトでの情報提供の心理戦や 少ない手がかりでの犯人探しは好みもあり面白かったです。 ただ、"極限"と名のつくほど緊迫した雰囲気は無く、 登場する人々の思考が感じられない為、 とても軽いゲーム遊びをしている印象を受けました。 ミステリ読みなれている人にはとても物足りなく感じると思いますが、 この系統が好きな人は楽しめる作品だと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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表題の「独白する…」はタイトルが一品。
また、語り部が地図と言うとんでもない設定。 このミス1位かつ推理作家賞を受賞をしておりますが、 ミステリとは違う作品だと思いました。 では何であるか?と言うと答え辛い。 乱歩を読んだ時の感覚を思い出した気もしますが、 もう、こう言うジャンル。と言った独特な雰囲気を楽しみました。 短編集に収録されているその他の作品は、 暴力的でグロく、気持ち悪さと痛さを錯覚してしまう文体が健在。 これは著者の持ち味で強烈な印象です。 その土台の上で摩訶不思議な世界を覗き楽しみました。 どれも強烈な印象ですが、とくに 「Ωの聖餐」「怪物のような顔の女と時計のような頭の男」 この2作は設定から結末まで巧く構成されていて、 個人的にインパクト高で唸りました。 |
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前バカミスの三崎黒鳥を読んでいたので、
ある程度の身構えをしつつ手に取りました。 今回も何かが仕掛けられている事は明らかな文体。 おかしい。不自然すぎる。一体何が仕掛けられているのだ? とヤキモキさせる読書感は健在。 文体以外にも特徴的なのは、 ノベルスの上下2段を活用し、 上段がアメリカ、下段をイギリスを舞台に 物語が同時進行する手法。 これは『本』に価値を持たせている事や、 文庫化して販売経路を増やす事が念頭にない作品づくりには 敬意を表します。 新世界が崩壊する真相が明かされた時は、 バカミスと身構えているにも関わらず失笑と脱力。 また、その後の作者の努力に驚き、 最終章「もう1つの崩壊」で 物語を別世界に構築した様は色々な意味でゾクっとしました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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異文化による価値観の違いが
ミステリと上手く絡んでいると感じました。 世界の景色がうまく描かれていおり、 まるで詩を読んだかのように思い浮かぶ情景がとても綺麗です。 巻頭の「砂漠を走る船の道」より、 砂漠の民が数日間 命がけで砂漠に向かい採取する岩塩。 危険な旅だが、なんと5ドルももらえるからだ。と話すシーンは 本書が扱う異国をより印象付けたと感じました。 また、「叫び」については価値観の違いを巧く扱い、 ダークな雰囲気が引き立つインパクトある作品で 短編ながらもとても重厚でした。 ただ、ラストの「祈り」については、 雰囲気を崩してしまった印象を受けたのが正直な所ですが、 全体的に良い作品でした。 |
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