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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数71件
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推理小説を模った現代の魔術師の物語。シリーズ2作目。
1作目のネタバレを完全に伏せた形で2作目が進行しているのが好感。読んでいてクスっとくる話が満載でした。キャッチコピーの『嵐の山荘』についての緊迫感はほぼなし。意味が違うかな。 魔術師の物語としては面白く、世界に6人しかいない魔術師のうちの2人が行う魔術実験を軸とした物語の面白さ。佐杏先生のマイペースっぷりのブレないキャラクター像や、行動に違和感があればそれがちゃんと伏線となって話が繋がる構成は良かったです。 登場人物については1作目も感じたのですが、佐杏先生+主人公周+重要なキャラが目立つ形で特徴的に描かれてしまい、それ以外が空気になってしまっているのが分かり易くもありちょっと残念でもありました。 ミステリ要素は少量。シリーズものとしての内容でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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すべてのトリックが不成立である事を立証し、奇蹟を証明する物語。
購買欲としては、タイトルと設定の新しさで勝ちですね。 過去に起きたとされる、ありえない現象を推察する話は島田荘司を彷彿しました。こんな事起きるはずない、でも何が起きたんだろう?奇跡の真相を楽しみにしながら読みました。 こんな事が起きたのでは?というトリックの内容は奇想天外もの。 正直、突拍子もなさ過ぎてついていけない気持ちでした。ただ、地味な仕掛けをいちいち検証してページ数を割くのではなく、読者が想定していないトリックを手短に楽しませるという意味ではアリなのかもと納得する事にしました。衒学やキャラ物の内容が多かったのですが、これよりもっと多くの可能性を見たかったのが正直な所です。なんとなく他にも方法が残っているんじゃないの?と感じてしまう物足りなさがありました。 また、これは奇跡だ!と、どう納得させられるものを見られるのかと興味津々だったのですが、肝心のそこはちょっと期待外れだったのが正直な感想です。 帯のコメントが麻耶雄嵩でしたが、読後に意図が分かってクスっとしました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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事件現場の虫の生態から事件を捜査していく法医昆虫学捜査官シリーズの第3弾。
本作では水死体を扱っており、過去作とは違う水に関連した虫の展開で、新たな場を作ったと感じました。虫に関しての薀蓄と、登場するキャラクター達のやりとりは今回も楽しませて頂きました。 点数が低い気持ちとしては、今回は虫に関する刺激が弱め。事件発生の序盤と終盤の解決は虫に関する話でシリーズとして特徴的なのですが、中盤の事件捜査については虫があまり関係していなくて、普通の警察小説を読んでいる気分でした。 虫についての表現も大分落ち着いて淡泊になってます。 1作目では、ウジの表現をウニョウニョと気持ち悪く描いていて、その気持ち悪い虫の話の土台があってこそ、明るいキャラの赤堀が輝いていたり、皆が嫌がる虫から事件が解決する気持ちよさがあったりしたのですが、今作では虫の気持ち悪さがサッパリなくなっているので、なんというかギャップの面白さや個性的な要素が弱まり、よくある警察小説に感じてしまった気持ちでした。 気持ち悪いのが苦手な読者もいますし、今作ぐらいの表現ならTVドラマ向けだなと感じたりと思うところですが、個人的には何か物足りなさを感じました。 とはいえ、虫の捜査や登場キャラの楽しさは安定なので次作も期待です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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さらっとした学園ミステリ。人が死なない作品でもあります。
ミステリとしては謎や手がかりの魅力が弱く伏線と言った要素もないので物足りなさを感じました。 タイトルとなる『退出ゲーム』は即興演劇の頭脳戦。行動やセリフをその場で考え、巧く相手を出し抜いて舞台から退場できれば勝ちと言うもの。新鮮な設定で面白かったのですが、読中に条件が変化して行き、解決へ向けての展開に置いてけぼりにされてしまった印象でした。作品の背景は良かったです。 2話目の『クロスキューブ』は好み。遺品となる6面が白のルービックキューブの謎は、登場人物とともに何故こんなものが?と共感しながらストーリーが進行していったので最後の解決まで楽しめました。 学園物としてはキャラが明るくて可愛らしいです。特にハルチカの千夏が元気よいのが好感でした。 その明るさの影にただの日常の謎ではなく、少しテーマに毒っ気を加えている所も個性的で魅力でした。 |
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ゴミの山からビニール袋などを漁り、売って生活する子供たち。場所の縄張りなど、普段感じた事がない価値観の違いをミステリを通して触れる事ができる読書でした。
ストリートチルドレンが街中で拳銃で殺されようが気にも留めないと警察が発言するシーンは気持ちに響く物がありました。そんな一般の人からは煙たがれ見向きもされない子供が、殺され、顔を赤く塗られる見立てが何故行われたのか。と言った謎が生まれます。 ただ、本書は謎解きよりも、貧困や人権問題などの影の部分を、詩的な文体で読めるのが魅力でした。 晴れているのに傘をさしているのは観光客だ。と言うのが印象的。小雨でも年中湿度が高い所では晴れの扱い。感覚の違いでハッとさせられるシーンが多かったです。 |
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前作の双頭悪魔を読んだのは10年以上前で久しぶりのシリーズ読書。
間が空きましたがアリスやマリアが属する推理小説研究会の面々は相変わらずで、懐かしさと嬉しさがこみ上げました。 前作はマリアが幽閉、今作は江神部長が幽閉された?と研究会のメンバーが宗教団体の本部へ向かいます。次回作はアリスが行方不明かな。なんて思いながら読みました。 宗教団体の本部という日常とは違った空間で、信仰心や宗教独特のルールを用いた事件は興味をそそります。 UFOネタは今の現代では非科学的でミステリの謎にもならないですが、宗教と合わせる事で不思議な舞台を作っていると感じました。 過去の密室事件との絡みや、終盤の『読者への挑戦』付きのロジックによる解決は楽しいのですが、 そこに至るまでの上下巻のボリュームが個人的に長かった気持ちでした。 なんとなく印象に残るトリックや犯人などの真相があるわけではなく、いろいろな要素がまとまった感じでした。推理小説研究会の面々の活動が見れたのが楽しかったので、本作単品で読むというより、シリーズを読んできた人が楽しめる作品となっている気がします。 ※余談ですが、作者がPSPゲーム「トリックxロジック」に参加した作品「Yの標的」も宗教団体が舞台ですが、 本作の宗教団体の構想が活かされたのかなと思いました。ゲームの「Yの標的」は好きな作品なので、ふと思い出しました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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日本推理作家協会賞受賞作ではありますが、ミステリの要素は低いです。
絵画であれば、この絵にはどんな美が存在するのだろうか。と言った謎を提示するところが、 ミステリっぽいと言えばそうなのですが、本作は美に関わる人々の気持ちに触れて相手を思う。そんな作品でした。 芸術、音楽など、文章中に扱われる単語の多くが心地よいものなので、物語だけでなく文章作りの美も感じます。 頭を使わず雰囲気に触れている様な作品で、そこが求めている好みと違った点でした。 |
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バカミスから著者の本を読むようになった為、昔の本書を読むにあたってはその手の先入観を感じながら読みました。
シリーズ3作目ですが、本書が初めての読書です。 話は、死なない吸血鬼の主人公が時間を持て余しているので5万枚のミステリーを書こうと思い、何を書こうかと、つらつら述べていく所から始まります。 序盤から『この事件は時が解決してくれる!』それ、探偵の名前が(とき)さんって人じゃないですよね?とか、 『密室は嘆いていた』それ、(ひそかむろ)って名前の男がいる叙述じゃないですよね?とか、 ユーモアなやりとりでクスっとさせられながら、昔からこんな話を書いてたんだと感じていました。 ですが、作中作「青い館の追憶」が現れた辺りは、氷の館に住む女王と7色の氷人である賢者の幻想小説になり、その本を書いた人を調べていく中で、顔の溶けた幽霊が現れる現実のマンションに出くわし、ホラーテイストから話が繋がっていくミステリへ変容していきます。 吸血鬼が主人公なので、氷の女王やら幽霊やら不思議な現象も作品の設定として感じてしまう所ですが、結末へはそれらを必然的にうまく繋げていくんだなと思いました。 バカミスに特化、ホラーに特化。と、1ジャンルに洗練させているのではなく、色々な持ち味を混ぜ込んでいる所に今と昔の作風の変化を感じられました。 |
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久々の大ボユームな本を読書しました。
1000年後を舞台に描くSF作品ですが呪力の存在が空想世界のファンタジーを醸し出し、普通ではない世界を体験できました。 新世界の未来においても止む事のない戦争と平和の模様が印象に残ります。 定番のSFなら人間vs宇宙人。ファンタジーならvsモンスター。 本作の1つのジャンルに属さない世界での表現に面白さを感じました。 ただ、個人的な問題でこの大ボリュームを読むタイミングが悪かったかもしれません。 どこも苦手だったり悪い所がないのですが、作品に没頭できない自分がいました。 世界観を把握したうえでもう一度読むと様々なテーマを考えながら感じられそうです。 |
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消失物のミステリ。
刊行後、出版社が倒産してしまって本書自体も消失しかねた面白い曰くがある作品。 読後に"バカミス"扱いになっている事を知りましたが、 列車消失、出現する奇妙な死体など、本格思考の魅力的な要素が いくつも散りばめられていて面白い作品でした。 ただ、文章内容や人のセリフ、事件が起きた時の感情や説明など総じて軽く、 笑いに変えているセンスなどが相まってバカミスとなっていると思います。 本書で扱われている事件や真相について、 例えば島田荘司が描いたら、かなりの作品になりそうな事を勝手に想像しました。 何故、島田荘司が浮かんだのかと言うと、似たようなトンデモトリックでも 事件背景が色濃く描かれ、不思議な納得と魅力で壮大に感じられるのですが、 本書の傾向はその反対側にあると思ったからでした。 ちょっとセンスが合わなかったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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経済状況の悪化により、死者はそのまま火葬すべく直送が一般的となり、
葬式が行われなくなった世界を舞台にしている。 この導入は起こりえる未来を暗示していて面白いです。 また、葬式という舞台はよくあるミステリの事件のその後なので、 遺言の意味はなんだったのか?何故葬儀を行いたくないのか? と言った、あまり見られない謎が面白く読めました。 ただ、非常にあっさりに感じられたのと、 葬式が行われない世界が、社会的メッセージなだけで ミステリに活かせていなかったと思うのが残念です。 ミステリ作品としてインパクトを与えようとしたラストも正直な所、勿体ないと感じました。 好みによると思いますが。。 感情的に『父の葬式』。謎解きで『妻の葬式』が好みです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
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日本推理作家協会賞を受賞していた先入観から
推理物を期待してしまったのが間違えだと読後に感じました。 女三代にわたる歴史絵巻を見た印象です。 現代編の瞳子が感じたように、その時代に存在しなかったにも関わらず、 戦後からの高度経済成長やバブルの世の中を まるで体験したように情景が浮かぶ物語でした 万葉の時代設定がなんとなく平安時代というか 大昔の物語の非現実世界を漂っていた感覚で読んでました。 (なんとなく竹取物語のかぐや姫と万葉集を連想していたからだと思う。) そんな中、要所要所で1970年、1980年代とリアルな時事も描かれた事によって、 本当にあった激動の日本の物語なんだなと年号によって意識が現実に引き戻される 不思議な体験を得ました。 この作品はミステリを意識して読まないで、 この物語を単純に楽しむのが良いと思います。 その時代毎の人々の思考、世代が変わった時のずれなど、 色々と印象的でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ハイジャック中に起きた謎の殺人事件。
飛行機内の閉鎖空間で何が起きたのか? と、証拠検証や推理、 議論していく展開はとても面白く読めました。 ですが、ハイジャックやこの特殊な空間は 物語の為の舞台設定で必要なのはわかるのですが、 空間内の雰囲気にとても違和感がありました。 200名以上の人質がいる中の緊迫感はなく、 腕に抱いている赤ん坊は最初から動作なし。 (ぐずって泣いたり、暴れたりしないのかな?) 純粋に謎解きを楽しめるように、パニック状況を極力省き、 ハイジャック中と言うことを忘れない程度に イベントを挟む苦労を感じてしまいました。 読んでいて楽しいのですが、 臨場感のない奇妙な違和感には馴染めませんでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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