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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数239件
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書店でいっぱい並んでおり、帯の「どんでん返し」「一気読み」のコピーにつられて購入。
読後の正直な気持ちは、新鮮さや個性的な尖った要素が見あたらず、なんとなく想像できてしまうネタが続く物語でした。 ただ、個人的に刺激がなかっただけで、作品自体はミステリとして無駄なく整った作品でした。謎解きの要素をパズル的に散りばめていたり、緊迫感を出すために強盗の設定を加えたりと、お手本の様。文章も読みやすかったです。 現役医師の著者なので、医療に関する事は雰囲気だけでなく、仕掛けにも活用するなど独自路線の驚きが見てみたいなと思いました。 |
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書店に大量に積んであり、帯コピーが「最後の一文、その意味を理解したとき、あなたは絶対涙する」という、興味がそそられる販売戦略。タイトルや印象的な表紙など戦略は成功ですね。
釣られて読みました。 読後に感じる気持ちは中々複雑で、何でこんな構成にしたのだろうという疑問でした。思い返して帯を見れば「意味を理解した時」とあるので、内容を理解しないと感動は得られないわけです。ミステリの最後のどんでん返しがあるわけではないので注意です。後味がモヤっとします。 ただ、とある仕掛けが施されているので「意味を理解した時」についての自分なりの考えをネタバレに書いておきます。 苦手で好み合わずの所は雰囲気でした。 序盤は「いじめ」を扱い重い雰囲気を作るかと思いきや、ギャグが多く含まれており明るくしているチグハグさが馴染めず。当事者や周りの状況がそんなに軽いものなかのかなと思います。重苦しいままの方が親身にのめり込めるのですが、飄々とギャグが含まれると気持ちが入らない読書です。ここは好みでしょうけど。 他、表紙の女の子の表情が一品ですね。不安とも優しさとも見える何かを秘めている表情がとてもよい。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「彼」と表記された犯人視点の倒叙ミステリ。この「彼」は誰なのか?という仕掛けを期待してしまう所ですが、中盤には明かされます。本作は謎解きミステリを期待するものではなく、青春サスペンスにちょっと謎を味付けした印象でした。
野心的な彼が令嬢を次々に虜にするのはうまく行き過ぎている感がありました。またその彼に惹かれる彼女達にも共感するような事はない為、気持ちの居所がなく、漠然と遠くから経緯を眺めているような読書でした。 時代を考えれば新しく話題になったと納得です。 現代でこの作品構成は色々な発展が行われている為、新しい刺激が得られず可もなく不可もなくでした。 |
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60年も前に作られた不朽の名作の1つ。
日本の作品では『仮面ライダー』や『サイボーグ009』に影響を与えており、多くのSF作品のアイディアを感じました。物語の終盤あたりは近年の映画『インターテスラー』の表現を脳内でイメージしていました。 そんな名作と言われる本書なのですが、正直な感想を言うと、歴史的な名作としては十分に納得なのですが、内容の把握が困難で読書中は楽しめませんでした。 というのも、1文における内容の密度が濃すぎます。1つの文の中で、旅の準備をして違う惑星に移動していたり、新しい登場人物と出会って場所を移動していたりで、ちょっと目を離して文章を読んでしまうと、まったく状況がわからなってしまい、読書の混乱が起きるのです。 1行1行をしっかり把握しながら読み進めるのは正直疲れましたし、初回はよくわからない所も多かったです。 1度読んで全体を見渡してから、所々の解説を調べて、再読してやっと世界観や内容が掴めてきた所です。そうなってやっと所々の味わいやキャラの感情が楽しめてきます。個人的にはスルメ系SFといいましょうか。 見渡せば壮大な物語で圧巻。記憶に残る作品の1つでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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勉強に明け暮れていた男子高の生徒が、決まった時刻から1時間だけ世界の時間が止まる状況に遭遇。
時間停止の中、女の子と触れたいと男子心が騒ぎ、別の高校へ行ってみると動ける女の子と出会う。 まぁ、ベタな青春物語です。 SFらしさやミステリらしさは正直ありません。時間停止モノですがSF的な深い介入はなく、そういう設定として捉えます。 とにかく時間が停止した中で女の子と出会い、ひとときの青春を味わうお話でした。 初心な男女の恋愛模様は微笑ましいですし、時間停止ならではとして動物園の檻の中に入るデートなどは楽しそうだな。とか、最後の方で一応の真相があるのですが、これと言って尖った要素がないド定番の流れなので可もなく不可もなしでした。 綺麗にまとまっているので安心して読める青春物語としては良かった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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20歳の記憶をもったまま10歳にタイムスリップ。
よくある話では人生の逆転や成功を願う話になる所、幸せだった1周目を変えたくない想いで進行する設定が斬新でした。 もともと成功して不満なんてなかった人には、タイムスリップのやり直しは苦痛でしかないですし、道を外せばカオスのように結果が変わってしまい不満が募るわけです。 本書はその主人公の不平不満のような気持ちの独白で構成された話です。もともとこの話もネットのスレッド小説なので、誰かにちょっと話を聞いてもらいたい。といった気持ちの書き込みが淡々と流れてくるようでした。ネット文章が元ですが、相変わらず読みやすく文章が好みでした。 ミステリというより恋愛や青春ものに近い本書ですが、不思議な物語を味合った感覚で楽しめました。 |
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3巻の『密室十二宮』編の続きなので、前作の読書は必要です。
なんだか物凄く駆け足の展開でトリックの問題集というかパズル小説の印象でした。3巻~5巻への繋ぎの印象でして、シリーズ物だからとはいえ事件が単品で完結しないのは個人的に残念です。 とはいえ、こういうコテコテの本格ミステリ模様で楽しめる作品は中々ないので毎回楽しみであります。作中の『枯尾花学園事件』については面白かったです。予め提示された黒の挑戦内容は、凶器:ろうそく、トリック:密室。雰囲気も合っていて短編ボリュームで終わらせるのは勿体ない作品でした。 事件以外の霧切&五月雨のストーリーについても本書では特出して進展がないので5巻に期待。もし文庫化するなら3~5巻はセットで1冊みたいな内容です。 余談ですが、著者の作品傾向として本シリーズと並行で少年検閲官シリーズが刊行されましたが、本書でのキャラクター×ファンタジー×本格のノウハウをオリジナルの少年検閲官シリーズへ取りこんで両シリーズがうまい相互作用で面白くなっている印象を受けました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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推理小説を模った現代の魔術師の物語。シリーズ2作目。
1作目のネタバレを完全に伏せた形で2作目が進行しているのが好感。読んでいてクスっとくる話が満載でした。キャッチコピーの『嵐の山荘』についての緊迫感はほぼなし。意味が違うかな。 魔術師の物語としては面白く、世界に6人しかいない魔術師のうちの2人が行う魔術実験を軸とした物語の面白さ。佐杏先生のマイペースっぷりのブレないキャラクター像や、行動に違和感があればそれがちゃんと伏線となって話が繋がる構成は良かったです。 登場人物については1作目も感じたのですが、佐杏先生+主人公周+重要なキャラが目立つ形で特徴的に描かれてしまい、それ以外が空気になってしまっているのが分かり易くもありちょっと残念でもありました。 ミステリ要素は少量。シリーズものとしての内容でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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たまたま読む本が引いてしまっているのか、海外ミステリでは、誘拐、監禁、虐待の重いテーマに出会う事が多い。本書もその1つで気持ちが晴れずちょっと憂鬱。
2つの事件パートが最後に交わるのはよくある構成なのですが、視点が変わる事によって人物の役柄が不確かになるのが面白い。少女は被害者なのか加害者なのか。殺された人物は本当に被害者なのか。実は加害者ではないのか。女性弁護士は主人公なのか何かの被害者なのか。各人は別の役割なのか?ページが進む事で徐々に本書の背景に渦巻いている恐ろしい姿を感じる面白さがありました。 さて、本書は大分読みやすい本でした。最初に手に取って登場人物表を見た感じでは、馴染みのないオーストリア名な為、男女も区別できなくてチンプンカンプンでした。ただ、実際読んでみると誰が誰だか把握しやすいのでそこは巧いなと思います。上質なサスペンス映画を見ている気持ちでした。まぁ、ただやはり個人的にはかなり心境が重い本でした。その重さを少しでも軽くする為にラストはちょっと晴れやかにしたのかなと思いました。 |
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オウムを漢字で表記したタイトル『鸚鵡楼の惨劇』。このおどろおどろしい文字の雰囲気はいいですね。
ただ、期待した怖さや嫌な雰囲気はあまり感じず、心理面はあっさりしていました。 宣伝キャッチのフジコを超える"戦慄"とか、 担当編集のコメントで使われている単語や、"惨劇"とか"イヤミス"とかのPRに期待してしまうと、ちょっと肩すかしな印象です。ただ、女性向けの商品作りとしては釣針が豊富で巧いなーと感じる内容でした。 作品内に出てくるエッセイストさんのセリフと読むと、仕事の為や読者サービスの原稿作りの考え方は、作者の気持ちが出ているように感じました。 ミステリ模様は終盤になってやっと発生しますが、それまでのエピソードを絡めて読者をミスリードする技は巧いです。やられた!というものではなくて、作品の作り方が巧いな~と感じる内容でした。文章が読みやすいのもよいです。 もうちょっと棘がある作品を期待してしまったので、個人的に普通なミステリの印象でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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すべてのトリックが不成立である事を立証し、奇蹟を証明する物語。
購買欲としては、タイトルと設定の新しさで勝ちですね。 過去に起きたとされる、ありえない現象を推察する話は島田荘司を彷彿しました。こんな事起きるはずない、でも何が起きたんだろう?奇跡の真相を楽しみにしながら読みました。 こんな事が起きたのでは?というトリックの内容は奇想天外もの。 正直、突拍子もなさ過ぎてついていけない気持ちでした。ただ、地味な仕掛けをいちいち検証してページ数を割くのではなく、読者が想定していないトリックを手短に楽しませるという意味ではアリなのかもと納得する事にしました。衒学やキャラ物の内容が多かったのですが、これよりもっと多くの可能性を見たかったのが正直な所です。なんとなく他にも方法が残っているんじゃないの?と感じてしまう物足りなさがありました。 また、これは奇跡だ!と、どう納得させられるものを見られるのかと興味津々だったのですが、肝心のそこはちょっと期待外れだったのが正直な感想です。 帯のコメントが麻耶雄嵩でしたが、読後に意図が分かってクスっとしました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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200P台の本に11の作品が含まれた短編集。1つ辺り20Pちょっとで登場人物も少ない為、海外作品に苦手意識がある人にも読みやすい作品。ページ数が少ないとはいえ、中身に無駄がなく濃密な文章を得た気持ちでした。
ただこの作品、謎解きや仕掛けがあるミステリではないので、好みが分かれそうです。 弁護士視点から依頼者の犯罪を聞き、その犯罪の結果だけでなく、その人の人生模様を感じる文学作品となっています。私は、作品に気持ちが入りこむことはなく、様々な人生を眺めるような読書でちょっと物足りませんでした。 好みは『エチオピアの男』です。 『エチオピアの男』はなんといっても読後感が良い事。そして犯罪者とされる人物の人生が短いページ中にぎゅっと詰まっていてよい作品でした。 『犯罪』というタイトルから感じるオドロオドロしさはなく、寧ろ爽やかにも感じた本書。 嫌な気持ちにならずに様々な話を楽しめた不思議な作品集でした。 |
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100人の容疑者。これだけで手に取ってもらえる作品のキャッチとしてはアリですね。
パーティ開催中に殺人事件が発生。その舞台に集められていた人数は総勢100名。100人の容疑者という、読む前から把握できるのかと不安を感じる本書ですが、それは杞憂です。探偵やアシスタント、メイドや警察や殺し屋など、主要人物は特徴的に描かれているので、多くの容疑者は気にせず読書可能でした。 その場合、100人の意味はあるのかと考えると商業的なキャッチが主で、物語の必要性としては弱く感じました。50人でも80人でも変わらない気がしました。ただ、何故こんなに人がいる中で殺人が行われたのか?という考え方は面白かったです。 橋は爆破されて交通不可。なんで爆弾なんてあるんだよというツッコミや、よくある少人数のクローズド・サークルでは閉じ込める事に意味が見い出せるが、100人の規模の意味は何か。姿をくらませるから?でもそれなら犯人も逃げられないし、閉じ込める必要ないじゃん。などなど、舞台ならではの推論が考察されるのが面白い。 作中の雰囲気もユーモアに溢れて軽いのが個人的に読みやすかったです。著者の経歴を見るとゲームプランナーだったので凄く納得。多少非現実的でも面白さを優先させるゲームシナリオを感じていました。 100人いた為か、あまりキャラクターに思い入れができないままの読書だったのが残念ですが、ミステリのパズル的な面白さが楽しめた本でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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90年代の新本格物。たまたま検索していて見つけ、"密室"・"講座"のタイトルに釣られて購入です。
あらすじ通り、閉ざされた空間で連続殺人もの。誰が犯人で、どんなトリックで、目的は何なのか?と、コテコテの展開が楽しめます。お約束な展開そのままで隠れた名作なのでは……?と思いながら読みました。 ただ、300Pぐらいの本で、200P終盤まではワクワク・ドキドキ楽しめていたのですが、収束の仕方が盛り上がらず、残念な気持ちになりました。パズル小説としての展開は良かったのに妙に人間的になってしまったからでしょうか。キャラクターが無駄に不快になり、拍子抜けでがっかりでした。 "密室講座"も舞台の設定なだけで期待するようなものはありませんでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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デビュー作の『罪色の環』が個人的にツボだったので2作目はどうなるのだろうと楽しみにしていた所、作風が一気に変わった装いに驚きました。表紙からミステリなのか判別つかなかったのですが、とりあえずファンタジーも好きなので手に取り読書。
ライトノベルが好きな読者に対しては、本書は綺麗にまとまった内容なのでお薦めですが、ミステリ志向な方にはそぐわない内容かと思います。一応ファンタジー×ミステリです。 著者は元警察官という経歴であり、留置場での看守時代、留置人との会話の実体験が本書に活きていると述べていまして納得。 階級が烙印として体に刻まれており、上の者からの指示は絶対で逆らうと烙印の影響で死んでしまうという世界観。今回は被疑者や身分が違うものとの関わりが強く感じる物語でした。 数年前の『執事×お嬢様ブーム』の影響か、本書もその手の会話がありまして序盤は楽しめましたが、終盤のシリアスな佳境においては雰囲気が崩れてしまった気がします。ちょっと狙い過ぎかなと。 ミステリとしては、オカルト実験のスクエアで起こる殺人の謎が提示されます。暗闇の中、四隅に人を配置して、壁伝いに前の人をタッチして周る定番のやつですね。 このネタは有名過ぎて、不可解な状況が起きても仕掛けが思いついてしまうのが難点で、ファンタジーの怖さやミステリの謎に魅力が弱かったのが正直な感想です。 ただ、本書の魅力は設定が全てなわけではなくて、王女アリシアと拷問官ジグの絆の物語が楽しめます。 王女のアリシアは我儘だけど脆くて可愛いし、ジグは暗殺者の過去と現在の優しき二面性があり、キャラ物として安定して好み。無実の王女を、命令だからという理由で意志のない人形のように行動した序盤とは違い、段々とジグの思いの変化が感じられました。 世界観や話の伏線も丁寧なので個人的に新作が楽しみな作者さんになりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは1作目を読んでからの方が良い作品です。ストーリーの繋がりはないのですが、作風を事前に知る意味でです。
デビュー作の『○○○○○○○○殺人事件』では、ネタ本なんだけど、ただのネタだけで終わらず意外にも真面目で本格志向だ!と感心すると同時に、この作風からして2作目はどうするのだろう?と色々思っている所に早速2作目が刊行。『上木らいち』が探偵役の短編集。 援交高校生の名探偵の設定通り、下ネタや過激なネタを活用しているのですが、それが単純なネタだけでなく、その設定を活かしたミステリにしているのが見事。人によってはバカミスの部類になると思うのですが、前作同様に骨格は真面目にミステリをしているのがとても感じるのが良いです。 まぁ、ただホント、人を選ぶ作品ですね。 読後感として、後半の『橙』と『赤』の章は正直好みではありませんでした。『赤』の章に関してはやっている事は凄いのですが、それが面白さに感じられませんでした。『橙』自体も作風が変わってしまい、補足する為だけの存在に思えて可哀想になりました。この2章は他の作品に比べると後付けに感じてしまいました。 それ以外は総じて面白かったです。 『黄』の章の短いながらもしっかりミステリをしている話。『青』の本作ならではの、ぶっ飛んだ仕掛けは脱力ものです。 『上木らいち』自身もキャラが確立していて好感。サバサバしていて性格も良いですし特殊設定の探偵として個性的。読んでいて楽しいです。 この作風、3作目はどうするのだろう。。。と心配と共に期待してしまう気持ちがありますが、 作風が変わったとしても、作者の本格好きはとても感じるので次回作を楽しみにしてます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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セックス×ミステリと言うコンセプトで作られた6作の短編集。
これは商品キャッチとしてはとても強いなと思いながら、どんな話を読めるのかと期待でした。 セックス物で思いつくのは、ハードボイルドの男女の関係や、女スパイ、くノ一等、ミステリと混ざると結構真面目な本が思いつきます。信頼関係を得て情報を得たり、裸の傷を調べたりと、行為に関係した何かによる刺激を期待してしまう所でしたが、本書は記憶のそれらと違い、半分は単純なエロ構成で、それが本当に必要なのか?と、読み進めるにつれて疑問を感じてしまったのが正直な気持ちでした。 官能部分も真面目というか固いというか、いやらしい湿り気ではなく、カラッとしていて妙なちぐはぐを感じた次第。 「おうっ」「ひゃうっ」「じゅん」と言った表現がすごく印象に残ったのですが、エロくて興奮とは違い、不思議な表現で覚めてまったというかクスっときたというか、表現が毎回同じなのは狙っているのかとか、余計な考えが浮かんでしまいました。 なんだか煮え切らない読書でしたが、『カントリーロード』は傑作の部類。 本書のセックス×ミステリ、男女の関係、短編での構成が見事に決まり面白かったです。 あと『見下ろす部屋』は、エロの必要性は感じませんでしたが良かったです。 短編集の短編の並びが、うまく落ち着いていると感じました。 作者らしい作品、表題、後半に真打、ラスト綺麗に終わる。並びが初出順ではなかったので、考えられていると思いました。 表題にもなっている『相互確証破壊』の結末については、思う所をネタバレに書いてみます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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