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なおひろ さんのレビュー一覧

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レビュー数318

全318件 301~318 16/16ページ

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No.18:
(8pt)

ブラックペアン1988の感想

本作は推理小説ではありませんので、犯人も謎解きもありません。しかし極上のエンターテイメントであり、今まで読んだ中では著者の最高作だと思います。
特別な事件が起きなくても、手術場面は十分にサスペンスで緊張感がありますし、チームバチスタシリーズに出て来る人達の、若き日を見せるサービス精神も良かったです。また、外科医1年生の語り手が色々な質問をして、それを説明するという形で読み易くする工夫がされており、この熱い青年の青春小説としても素晴らしいと思いました。「チームバチスタの栄光」より絶対こちらが余韻が深い、間違いなくオススメ。
新装版 ブラックペアン1988 (講談社文庫)
海堂尊ブラックペアン1988 についてのレビュー
No.17:
(7pt)

KAPPAの感想

ブラックバスを釣りに来ていた男が殺害される。犯人は河童。年齢も境遇もバラバラな4人の男達が退治に乗り出す事になるが、はたして河童の正体は?作戦は成功するのか?と言うお話です。
良かった点は、文章が読み易く、また登場人物も好人物ばかりで感情移入しやすい所です。出て来るのは男ばかりで、それぞれ問題を抱えながら前へ進む為に戦う。クライマックスもなかなかの緊張感。
個人的な不満点は、自分が釣りをやらないので、細かく描写されても興味が出なかった所です。逆に釣り好きならプラス評価されるのかも知れませんが。
読後感はさわやかでした。あまりメジャーでは無い作品でしょうが、良作です。
KAPPA (祥伝社文庫)
柴田哲孝KAPPA についてのレビュー
No.16: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

悪果の感想

大阪府警のマル暴担当刑事が主人公の警察小説です。とにかく出て来るのが悪人ばっかりで、みんな自分の事しか考えていない。本当の警察官はもっと真面目だと思いますが、著者の筆力は凄まじく圧倒的なリアリティで、本当にこんな事してるのか?と思ってしまいました。
少々話が長くて人間関係やストーリーが複雑に思えた所と、エンディングが気に入らなかったですが、相当取材を重ねた力作には間違いありません。
登場人物達の熱量に圧倒される事になるでしょうが、軽妙な大阪弁の会話も楽しいですし、ぜひ多くの方に読んでいただきたい傑作です。特に大人の男達にオススメ。
悪果
黒川博行悪果 についてのレビュー
No.15: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
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リピートの感想

現在の記憶を持ったまま過去の自分に戻れる、と言うSF的設定と、その後に起こる連続殺人事件の謎を解く、と言う本格推理要素が合わさった作品です。これはかなり面白いです。中でも一番気に入ったのは主人公の大学生でした。恋愛にしても他の人間関係や物の考え方、行動、すべて身勝手。最初の印象からどんどん変貌して行く感じで、すごかった。人間の本能って所詮こんな物かも知れません。大きな謎と主人公の気持ち悪さで最後まで飽きずに読めました。細かい矛盾は気にせず、ぜひ楽しんで読んで下さい。
リピート (文春文庫)
乾くるみリピート についてのレビュー
No.14:
(7pt)

もう誘拐なんてしないの感想

夏休みの大学生が、ひょんなことから狂言誘拐に巻き込まれます。すべてうまく行くと思われるが、後半意外な展開へ発展する、と言うお話です。しつこい位笑わせようとドタバタしまくりますので、最初は辟易するのですが、最後は勢いで押し切られる感じ。しかし全体的には、作者らしいユーモアミステリーと謎解きの融合された作品で、楽しく読めると思います。先日ドラマも見ましたので、比較等ネタバレにて。

▼以下、ネタバレ感想
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もう誘拐なんてしない (文春文庫)
東川篤哉もう誘拐なんてしない についてのレビュー
No.13:
(7pt)

てのひらの闇の感想

退職直前のサラリーマンが、恩義のある会長の死の謎を解明するべく奮闘する、という話です。ハードボイルドタッチで格好良いストーリーでありますが、不満点が少し。主人公の周りには魅力的な女性が複数出て来ますが、特定のヒロインがいないのです。自ら危険に飛び込むのは愛する女性のために、というのが動機に欲しかったですね。また生い立ちから現在までの背景が、この物語の為に都合が良過ぎる気がしまして、展開の割にハラハラしない感じがしました。大好きな作者の作品なので、かなりハードルを上げてしまいましたが、平均点以上の良作であることは間違いありません。特に中年男性にはオススメです。
てのひらの闇 (文春文庫)
藤原伊織てのひらの闇 についてのレビュー
No.12: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

死神の精度の感想

死神が主人公と言う変わった設定の連作短編集です。出て来る人達は死神に取り付かれている訳ですから、死が目前に迫っています。しかし本人はそれに気づかず毎日を普段通りに生きており、だんだん登場人物に感情移入してきますので、読んでいるとみんな死んで欲しくないなと感じてきます。結局どうなったのかは是非読んで下さい。どちらにしても人間いつ死ぬか分からないのですから、悔いのない毎日を過ごして行きたいという気持ちにはすごくなりましたね。死神が徹底してクールなのと、その割に天然ボケな面があるのが、設定から来る重苦しさを緩和していると思います。オススメです。
死神の精度 (文春文庫)
伊坂幸太郎死神の精度 についてのレビュー
No.11: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

真相の感想

今回は警察が舞台ではない短編集です。最後に隠されていた真相が明らかになる、と言うお話になっていますが、それは結構重く救いがない感じの物もあり、後味は悪いです。ただ、真相が明かされる時、それはどんでん返しの瞬間でもあります。どれも息が詰まる様な展開ですが、ぐいぐい引き込まれる事は間違いなく、面白いのは保証します。
真相 (双葉文庫)
横山秀夫真相 についてのレビュー
No.10:
(8pt)

雪が降るの感想

著者の短編集は初めて読みましたが、どれも素晴らしい作品でした。すべて大人の男が主人公で、ミステリーというよりはハードボイルドよりの感じが強いです。出て来る女性がみんな素敵で、そういう意味ではファンタジーかも知れません。とても静かなタッチ、静謐な世界観が心にしみます。中年期の男性には特にオススメです。
雪が降る (角川文庫)
藤原伊織雪が降る についてのレビュー
No.9:
(7pt)

疫病神の感想

建設コンサルタントの男が、なりゆきでヤクザの男とコンビを組む事になります。二人は産業廃棄物処理場建設をめぐるトラブルに飛び込み、一儲け企むと言う話です。とにかく出て来るのがワルばかりで、みんなキャラが濃い。物語もほんの数日とは思えないくらい濃密です。夜も寝ないですから。関西弁の会話もテンポ良くなかなか楽しめました。ただ登場人物が多く、関係が複雑で分かりづらかったのがマイナスです。しかし最近のヤクザは簡単に人は殺さないんですね。本格推理の方がよほどバタバタ死んでいきますよ。
疫病神 (新潮文庫)
黒川博行疫病神 についてのレビュー
No.8:
(8pt)

雲上都市の大冒険の感想

昭和27年の鉱山を舞台に、地下牢からの不可解な脱獄、それに続く連続殺人を二人の探偵が解決していく、と言う話です。文章はユーモアミステリーのタッチで読み易いですが、事件は犠牲者も多いし結構猟奇的であり多少違和感も感じます。また、時代を考えると使う言葉もおかしくないのか?と思いましたが、これは最後で納得出来ました。デビュー作らしく色々詰め込んでありますが、なかなか雰囲気も謎解きも良かったと思います。エピローグまで十分楽しめましたので、探偵小説ファンにオススメです。
雲上都市の大冒険 (創元推理文庫)
山口芳宏雲上都市の大冒険 についてのレビュー
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(8pt)

マレー鉄道の謎の感想

マレーシアで起きた密室殺人。そこから連続殺人へと発展して行きます。タイムリミットが迫る中、次々と起こる事件をどう解決するのか、緊張感があり面白かったです。正直メインの密室トリックは、いまひとつピンと来なかったですし、現地警察や事件関係者がべらべら何でも話すのは、そうで無いと推理出来ないとは言え不自然ですね。ただ、全編を通じて異国情緒あふれる情景描写は美しく、実際にマレーシア旅行をしている様でとても良かったです。日本推理作家協会賞受賞作で、かなりの力作であるのは間違いありませんので、本格推理がお好きな方にはオススメです。
マレー鉄道の謎 (講談社文庫)
有栖川有栖マレー鉄道の謎 についてのレビュー
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(8pt)

ミステリ・オペラ 宿命城殺人事件の感想

作者の熱量に圧倒されました。作中作で(それだけではなく他の人の話なども混じり結構ごちゃごちゃしていますが)50年の時間、空間を行き来します。過去、現在の両方で不可解な事件が相次いで起こり、どう決着をつけるのか終盤まで全く分かりません。それぞれ明らかにされていく真相には、少し物足りないトリックも含まれますが、探偵小説としてはこう言った物を入れ込む事も必要だったのでしょう。過去の文章の部分で、自分には読めない漢字が沢山出て来るのに閉口しましたが、雰囲気は十分楽しめました。各ランキング上位であり、日本推理作家協会賞受賞作との事ですが、一般の方には決して勧めません。しかしこのサイトに来る様な方々なら読んでおくべき作品です。ぜひ挑戦して下さい。
ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド)
No.5:
(7pt)

あした蜉蝣の旅の感想

評価が難しい。著者の初期作品群への思いが強すぎ、この作品に対する期待が大きすぎたのかも知れない。ずいぶん久しぶりに著作を読んだが、相変わらずシミタツ節は美しく、主人公の言動や大人達の純愛にはニヤニヤ、イライラと楽しませてもらった。だからツマラナイとは言いたくない。ただ、長い。この半分の分量で、もっと熱い話が読みたかった。

▼以下、ネタバレ感想
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あした蜉蝣の旅
志水辰夫あした蜉蝣の旅 についてのレビュー
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(7pt)

超・殺人事件 推理作家の苦悩の感想

推理作家を主人公とした内幕物の短編集です。作家、編集者、評論家、読者すべてに対して、かなり自虐的なブラックジョークで書かれており、結構読者を選ぶかもしれません。しかし個人的には、著者の関西系の悪乗りと、小説に対する深い愛情を感じ、かなり面白かったです。ミステリ初心者にはオススメしませんが、マニアであれば必ず楽しめると思います。実績と能力がある東野圭吾だから許される佳作。
超・殺人事件 (角川文庫)
東野圭吾超・殺人事件 推理作家の苦悩 についてのレビュー
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(8pt)

幽霊刑事の感想

有栖川有栖では珍しいシリーズもの以外の作品ですが、とにかく面白いです。

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[新版]幽霊刑事 (幻冬舎文庫)
有栖川有栖幽霊刑事 についてのレビュー
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(8pt)

レディ・ジョーカーの感想

出だしから、同和、在日、身障者と背景は重い。よくこんな設定にしたな、と少しくじけそうになりますが、ここを乗り越えると後はぐいぐい引きこまれます。犯人、被害者、新聞記者、警察と複雑に絡む視点をスムーズに読ませる構成力はすごい。特に後半の緊張感はかなりの凄みがあり、感動のラストシーンも素晴らしいです。犯人達の今後をもっと知りたくなりました。個人的には、株取引の部分が、自分の知識不足で良く分からなかった点と、合田の心理描写にずっと共感出来ず、いらいらした所がマイナスでした。ただ私の好みは別として、未読の方にはぜひおすすめします。各方面から高評価なのもきっと納得出来るでしょう。
レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)
高村薫レディ・ジョーカー についてのレビュー
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(8pt)

ネジ式ザゼツキーの感想

これぞ島田荘司!というべき傑作じゃないでしょうか。この謎のメイントリック?と言うか、どうしてこうなったのか、という説明部分を読むと慣れない方はひっくり返って怒り出すかもしれませんが、これが島田荘司です。最高です。
ネジ式ザゼツキー (講談社文庫)
島田荘司ネジ式ザゼツキー についてのレビュー