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りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへレビュー数424件
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4年前の事件の真相を―― 思い当たる節がなく連続殺人鬼に襲われ、運良く助かった梢絵は<恋謎会>なる組織に自身の狙われた理由の解明を依頼します。 突拍子のない推理合戦の中、各人が持ち寄ったヒントを結び付け真相に辿り着くものは・・・・。
自分も一員として推理合戦するぞ!という意気込みで読み始めた本作。 各々の推理はあまりに奇天烈、犯人はおそらく既に死亡しているのを良いことに想像力合戦が始まります。 しかし見落とせないのはいくつかの偶然では片付けられない被害者たちの繋がり、どうやら単なる無差別殺人ではないようです。 突拍子のない推理には自信があったけど登場人物がそれを上回ってきたのでびっくり、真相が明かされたときこの作品が読者も交えての推理合戦なんかじゃないことに気付かされました。 大きな裏切りを以て終局に入るのですが、真相に対しての説明が多いです。 ★は7つ ▼以下、ネタバレ感想 |
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古典部シリーズの短編集。 これまでの作品では主人公折木は巻き込まれる形で事件を解決するに至ってきましたが、今作ではどこが自発的な思考が垣間見れます。 古典部を経て何かが変わってきたでしょうか。 その他部員面々の過去、未来に関わるストーリーが織り交ぜてあり、短編ながらシリーズに大きく響く一冊となっています。 シリーズをここまで読み進めてきた方ならミステリーとしては勿論、青春小説としてキャラクターを楽しむことに重きを置いているでしょう。 シリーズファンなら間違いなく読むべき作品になってますね。 |
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まず非常に無駄のなく、すっきりしたミステリーだなと。300p弱のボリュームにてミステリ的面白みが随所に光ります。 犯人が明かされている倒叙ミステリ、登場人物も複雑すぎることなく読者は事件の裏のハウダニットに集中できます。 探偵役が出しゃばり過ぎることもなく、かつ要所で事件の手がかり、整理を披露してくれるのですごく読みやすい。 癖が強いミステリにはよく出会いますが、今作のように万人に薦められるようなミステリは中々邂逅しないです。 トランプという身近なテーマも吉ですね。 贅沢を言うとシンプルすぎるのかなと・・。 探偵の事件への慧眼と犯人側の比較的子細な描写によって、読んでいて謎を解くというよりかは単に謎を読み進める形になってしまいました。 自分はもうちょっと複雑多岐な作品が好みですね、★は7つ |
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可愛くない 本作はあるきっかけでコンビを組むことになったキャリア組少女警部と一般地方公務員巡査の警察小説の一作目。 ユーモアミステリということでキャラクター同士の掛け合い、警察知識をネタ的に紹介してくれるのが楽しい。 しかし事件の様相は過去も交えた多発事件で登場人物や時系列の把握が難しく、時に事件外の描写が雑多なものに感じてしまうかもしれないです。 シリーズ初作ということで折々で説明が入るのもそれに拍車をかけているでしょうか。 ヘヴィなミステリの合間に読もうと手に取った割にはトリックはかなり本格でびっくり。 なによりヒロインが可愛い、アンダーリムのピンク女子警部ですからね・・・★は5 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「そして誰もいなくなった」の公演中に一人目の被害者が本当に死人と化してしまう。 犯人の目的は? 本当に原典通りの連続殺人が始まるのか? 見立て殺人を踏襲しながらも裏にオリジナリティ感じる結末を盛り込んでおり、作者のクリスティへの尊敬と自作への意欲を強く感じさせます。 読み終わって総括しますと終盤明かされる真相には原典に見劣りしない衝撃を感じますし、クリスティやミステリ好きに読ませるような巧技も相俟って大変凝っている作品と思いました。 では何故この評価にとどめているかというとそれらがまったく楽しくなかったからです。 登場人物の一挙一動の軽薄さ、事件を成立させるために登場人物をチェスの駒のように扱う作者の都合が気にかかりました。 ある程度なら瑣末な問題と割り切れるのですが今作は看過できませんでした。 誰もいなくなった系統のトリックはトントンと読み進めて驚愕の事実に出くわすというのが楽しいと思うのですが、所々の引っ掛かりがその爽快感を失くしてしまった感じです。 ★は5ですが、それは良き点と悪しき点の相殺であり、悪しき点は私の好みによるものが強いです。 光るものが何もない平坦な作品では決してありません。 読む人によってはクリスティに劣ることもない感嘆を得ることができることを述べておきます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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本作は大学教授を探偵役に据えるシリーズ作品の第八作目。既翻訳本の「ミステリ講座の殺人」はそれの二作目にあたるとのこと。特にシリーズ通しての繋がりはないようなので安心です。
舞台は世界を航海しながらサーカス巡業を行う<サーカス・クイーン号>。その団長がゴリラの檻にて死んでいました。 誰しもが事故だと思っていました、事故以外の可能性を捨てていました。 しかし巡業先で曲芸師の一人が演劇中に大怪我を負い、船内に潜む悪意を感じ取った探偵役達は団長の死が利権狙いの殺人だったのではないかと動き始めます・・・。 汚点ばかりというわけではないのですが色々と淡々としています。 まず登場人物の台詞に難あり、普通の会話はともかく何かを説明するときの機械的な言動がひっかかる。 短い掛け合いはそれでそれで読みやすい時もあるんですけどね。 世界を廻りながらの事件なので事件と事件のスパンが長い。登場人物もかなり冷静で緊迫感のようなものはあまり感じられません。 本作は1940年刊行ということで普段読むミステリとは色々と違った趣を感じられました。 今世紀、世に出回ってるミステリがトリックの大胆さ精緻さ、技巧と装飾を競っているのなら本作は評価に値しないでしょう。 私がこれを読んで感じたのは本来の捜査や推理ってこういうのが普通だよなぁ と、はなから密室殺人や動機のない殺人(交換殺人等)を考慮して動くのは小説の中だけだよなぁ と、・・・これも小説ですが。 一方で事件に並行してある男女の悶着が起きますが、その男女の想いの揺れの描写は今も昔も変らないようなのがまた面白いのです。 海外文学はあまり嗜みませんが、これは手に取ってよかったです。★は6つ!! |
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一つ一つの短編が関連性を持って紡がれる連作集という作品。 登場人物の一転二転が次の作品に引き継がれて展開されるので短編集ながら一つの固有の作品として読んでいけます。 舞台はとあるマンションの一番館。高齢化、騒音、ご近所トラブル等の弊害を孕んだ空間は現実の集合住宅を如実にイメージさせます。 同作者の○○者シリーズが現実の固有の事件を再現してるのに対し、こちらは漠然とした社会問題を基に構築されています。 マンションの住人が起こす犯罪ということで極めて現実的で無理がなく、違和無く読了できました。 7つの単話で「グランドマンション」という長編を刑成している連作ということを強調したいです。★は8つ!!! ▼以下、ネタバレ感想 |
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今風の女子高生から隔世した読書家女子高生とジャンク映画マニアの男子高生が過去に置き去られた謎を解いてゆく短編四集。 舞台は現代なのですが登場人物の古風な趣味と放課後居坐るレトロな喫茶店、提示される謎は過去の出来事の推察ということでオールドな雰囲気も感じさせます。 トリックは物理的な物はほとんどなく過去の人物が何故この行動に至ったかを求める心理的なものが強いです。 魅力ある登場人物と一貫したテーマを持たせた謎解きで短編集としては大変良作でした。 |
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所帯持ちの主人公は現状の生活に満足できず会社の同僚と恋に堕ちる。
――不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた―― そう語る主人公はあっさりと一線を越えてしまいます。 デート、情事、婚約と境界線を次々越えていく主人公、しかし彼女には殺人者ではないかという疑念が・・・。 15年前の殺人は彼女によるものなのか、時効を迎えた時に明かされる真実とは・・・。 主人公は自分では標準的と思ってる家族持ち、でも傍から見れば障害のない幸せ過ぎる家庭でしょう。そこに魅力的な女性がふらり、特異な出来事をきっかけに二人の仲は縮まっていきます。 婚姻9年目の彼は夫婦生活に一抹の退屈さを感じていたのか、平凡な生活に彼女の刺激は新鮮で二人の仲は不倫という関係に陥ります。 何事にも飽きは生じ、新しいものに惹かれるのは人の常でしょうか、だからといって道徳を超越できるかは別の話ですが。 不倫の二人、そこに交じる殺人事件の究明の緊迫感は見事です。 一方で明かされる真実に厳しいものがあります。 ミステリーというよりは裏に黒いものを秘めた不倫劇、背徳的な二人の帰結を見届けてあげましょう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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鯉ヶ窪学園シリーズ番外短編集の二作目、番外編ながらシリーズとして区切りの付く作品。 本編、前作のキャラが多々登場するので過去作はほぼ必読、逆に言えば過去作が楽しめたなら間違いなく楽しめる作品になっています。 |
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タイトルから期待できるほどの密室物ではありません。 推理作家が集うパーティということでミステリ談議に花が咲きますが、結末は作家たちの深いミステリ造詣とタイトルの期待値からは大きく乖離するものになってしまいました。 色々と風呂敷を広げた割にミスリード的な役割を果たすこともなく収束してしまった感じ。有栖氏作と言うことで詰まることなく読み終えられたのは評価点ですが展開が坦夷すぎでした。★は5つ |
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「未完成のミステリの真相を探してほしい」そんな依頼を受けた古典部、真相の先にあった巨大な意図は・・・ シリーズきってのダークな終わり方、苦苦しい結末に溜め息さえ出ます。★は8つ!! |
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ふとしたきっかけで古典部なるものに入ることになった主人公、先客として気になる系少女と中学時代の旧友も加わり、かくして古典部シリーズのビターで爽やかな青春ミステリーは始まります。
本作は文集「氷菓」の真実に迫るストーリー。 ミステリーであると同時に高校生の機微な成長を描く青春物語としての一面も覗かせます、むしろそっちがメインかもしれないです。 |
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道尾秀介の真髄を見ました。人物の息詰まるような描写、物語の裏の裏を鮮やかに明かし、ラストの裏切り、今までの道尾氏の作品も素晴らしかったがさらにそれを一回り上回る出来です。
ある倉庫で起きた殺人事件、いやそれともただの事故だったのか、誰がなんのために殺したのか、なぜ殺されなければならなかったのか。 過去の事件の真相は一体・・・全てが明らかになり一筋になる時の衝撃はもう単にミステリーの答え合わせという領域を超えています。 陰影な背景を交え合えながらも爽やかで鮮やかな終結を迎える本作は道尾氏の作品の中でも読みやすく、人に薦めやすいです。ミステリ云々でなく読み物として名作に入ります。評価は★8!! |
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樹海シリーズの一作目。150Pほどの中編小説。
山荘で起きた惨劇に興味を持った大学生、その事件を追っていくうちに彼らに災厄が・・。 この作品だけでは事件の全貌が解決せずぱっとしません。 シリーズ物を見越してということでしょうがあまりに疑問点が残り過ぎます。 手記と主人公、そして犯罪者の視点を複雑に使い分けるのは折原氏らしく好ましいですが今作の容量では如何せん厳しい。 ラストの展開に大きいものがあるのでもうちょっと話を膨らまして描いてもよかったかもしれないです。 尤もストーリーの破綻はしてないので手軽に数時間で驚きを楽しめるという意味では有りかもしれません。 ミステリーよりも樹海でのパニックホラー感が強く出ています。 |
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ポワロシリーズの一作。 富家の別荘地に招かれたポワロ、到着早々そこにはお誂えの殺人現場が。
メインの筋書き、モチーフは大変面白いと思います。 一癖二癖ある親族一同、愛憎を秘めた関係性がより事件を複雑に、人間の時折見せる無駄な事・整合性のない事含め心情の本質を掘り下げます。 しかし本作はあまりミステリとして推すべきじゃなかったかなと、ポワロを登壇させる必要も薄く、探偵役は親族をよく知る身内の誰かでよかったと思います。 タイトルもいかにも重層な屋敷物の殺人事件っぽくてこの作品の急所を捉えていないかなと感じます。 今作の肝は作中人物の恋愛模様とそれによる事件の流転と考えたのですがそのドラマチック、ロマンティックな部分がポワロや警察介入で相殺されてしまってるような感じがいたしました。 非常に惜しい作品、登場人物の深すぎる個性と行動心理は感嘆しました。★は5つ!! |
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