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りーり さんのレビュー一覧
りーりさんのページへレビュー数86件
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この不自然な屋敷は一体何なんだ。窓は嵌め殺しがほとんで開放感はなく、唯一開閉できる窓は西側に面したウォークインクローゼットの中とは。あまりに無骨な屋敷の中で起きた密室殺人。その遺体もまた屋敷と同じように理に適っていないことだらけだった。事件から数年後、屋敷に招かれた客人の中に蜘蛛手の姿が・・・。
蜘蛛手探偵シリーズ。 シリーズよろしく建築にスポットを当てたミステリー。もう序盤から分かるぞ、絶対屋敷に秘密あるだろう。その大仕掛から導かれる結末は感嘆か或いは呆気か。令和の時代、タイトルに込められた「エンデンジャード(絶滅危惧)」の真意とは!? ▼以下、ネタバレ感想 |
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※この短編集はすべて叙述トリックが含められています。 似鳥ック炸裂!!叙述と分かっていても騙される快感を是非。 |
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事故物件に棲み付き、告知義務のない物件に塗り替えることで生計を立てる男<亜嵐>。事故物件から事故物件へ移り住む彼の噂は尾ひれに尾ひれが付いていつしかプロの<棲師>、凄腕の霊能力者と呼ばれることになる。そんな彼が新たに越してきたマンションで出会ったのは真を語る怪談師・弔ナイト。このマンションの怪談を語るものはライブ中に血を吹き、怨霊の幻覚に怯え続けるという。次のライブまでのタイムリミットは34時間、二人は真相を見つけだし真を語ることができるのか!? 引きこもりの棲師と積極的な怪談師の凸凹コンビが怪談噺の裏の真相を求めるライトミステリー。ライトな雰囲気ながら真相にたどり着けないと多分死んじゃう。今作は中編二編が収められているがどちらも捻りを加えた脱力寄りの真相で軽い読書には最適だった。 |
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家族とともに越してきた家は開拓された住宅地の中で不自然に一軒だけ屹立していた。 小学4年生の僕は幼少の頃より不可解な胸のざわつきに悩まされている。なにか恐ろしいことが起こる前兆として表れるその症状が家に近づくにつれ酷くなってゆくのを感じる。そして引っ越してから数日後、山に棲んでいるアレが家にやってきた。 家シリーズの2作品目で少年を主人公に新たに越してきた家での怪異現象と対峙するという点で共通している。少年が家族を守るために立ち向かうストーリとしては面白いが、肝心の怪異の謎については一貫性がなくちぐはぐした終わりになっていると思う。前作に比べ完成度はちょっと低め。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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安槻大学のあの4人が大人になって登場!! 匠千暁シリーズの短編集です。高校教師になったボアン先輩や結婚したウサコなど4人の将来に触れられるのが嬉しい。 そして一番の謎はなぜかこれだけ祥伝社文庫だ。 |
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自らをコンクリートに閉じ込め、まるで石像のような自殺を遂げた作家・藤井陽造。傍らの空き瓶からは<メドゥサを見た>との謎のメモ書き。陽造の娘・菜名子の婚約者である私は不可解な自殺の真相を求めるが、その先にはある集落での事故が大きく関わっていた・・・。
久々に何を言ってもネタバレになりそうな危うい作品に出合ったな。 「メドゥサを見た」と残し死んでいった作家先生の原稿を追い求めるうちに主人公の私は過去のとある事件に真相を見出そうとするが、そこに関わっていたものは謎の怪死を遂げていた。やがて主人公の身にも超常現象のような不可思議な出来事が襲い始める。本作の謎は何故藤井陽造氏は自身を石に見立てるような自殺を遂げたのかということだが、その謎が終盤トリッキーな方法で示される。ホラーでありSFでもあり、ミステリーでもある上で特定の枠にとらわれない井上氏らしい作品だったな。 |
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超能力による密室生成!? ワンマン社長宅での新年会に招かれた社員4人。ふしぎな力により脱出不可となった空間で突然現れた社長の遺体、いったい誰がエスパーだったのか?超能力者問題秘密対策委員会、略してチョーモンインの相談員、神麻嗣子登場。 西澤保彦氏の匠シリーズに並ぶ長編シリーズ神麻嗣子シリーズの一作目ですね。正確には後に書かれる短編が時系列的には先行するのですが、本作から読んで問題ないでしょう。西澤氏お得意のSFものであり、犯人捜しよりも超能力の正体及び使用者を求めることを目的としている。主人公たちが事件の当事者ではないので、事件を事後捜査する推理合戦ものでもある。人格転移のようなリアルタイム進行のストーリーを期待してたのでそこはちょっと残念。 |
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サークル<あかずの扉>研究会に入会した僕。そこには複数の探偵と超能力者、鍵師とミステリの掟を破るような連中たち。一行は行方不明となった女子高生を探すために山奥の流氷館へ、分断された彼らの前にはドッペルゲンガーのように同じ間取りの建物が・・・。 第十二回メフィスト賞受賞作。デビュー作でメフィスト賞とるような作品はもうコンテンツもりもりといった感じ。正直、ここまでキャラクターが多い必要はいまいち分からない。ラストの冗長な謎解きももっとすぱっと解決できないものか。スローテンポで無駄な描写が目立つ作品。 |
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「アルキメデス」という言葉を残して死んでいった女子高生・美雪。彼女の死の真相を握る級友たちは大人たちの追及を嘲笑うようにかわしていく。クラスメートの弁当に紛れた毒、ある男の失踪、いずれの事件にも柳生という生徒が関わっているようだが・・・。 昭和47年の学園を舞台に若者の未成熟な友情と世間への反抗を示した青春推理小説。 1972年の江戸川乱歩賞、高校を舞台に人の死の真相を扱った青春ミステリーの先駆けといえる作品ですね。とはいえその青春は現代とはとても似つかないような内容となっています。解説に「青春悪漢小説」と述べられている通り、この作品に出てくる高校生たちはアウトローで小生意気で大人への敬意を知らぬ未成熟な若者です。当時はSNSは勿論、携帯の普及もない時代なので若者たちのストレスや主張は直接的な言動や行動によって示すしかないのでしょう。それが正解なのか不正解なのはさて置き、おそろしく行動的で危なっかしい青年たちが事件の中心陣取っています。一方で追及する側の大人たちはというと極一部を除き、まともな大人たちなのでさらに青年たちの生意気さを際立たせています。 物語の謎が氷解した後に残る若者たちへの印象は「分からない」、「理解できない」という意見が多いと思います。それは作中の刑事もそう感じている通り作者も納得づくの計算、本作はそんな得体の知れぬような不安定な若者像をあえて表現していると感じます。 |
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「あの、失礼ですけど、アヤコさんではないですか?」 見知らぬ女性にそう話しかけられた香奈子。由子と名乗る相手はどこかおかしい・・・。まるで人格が複数あるような・・・。 同じ頃、大学生の根本は引きこもりの妹・亜矢子の異常行動を目撃する。話し掛けた妹の口調は昔のそれとはまるで違っていた。まるで人格が複数あるような・・・。 多重人格をテーマに、香奈子と根本の2人の視点で物語は進む。やがて2人の周りで殺人事件が起こり目の前の多重人格者?に疑いの目を向ける。 タグにイヤミスとある通り、絶望的に救いのない話になっている。ミステリーであり、当然謎解きや伏線もしっかり張られてるのだが、それ以上にグロテスクで悲惨な描写が目立つ作品になっている。真相が明らかになったことで心が晴れたり、前に進めた人が皆無な作品も珍しい。人を選ぶ作品なのは間違いない。 |
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タックたち一行が迷い込んだ山荘にはベッドと冷蔵庫だけ!? そして冷蔵庫には96本の缶ビールが!! 安楽椅子ミステリを謳いながら地べたで酒飲んで推理してる。内容としてはバカミスや短編の域を出ないテーマ性であり、キャラクターの掛け合いを楽しむことが前提か。 |
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信州で暮らす久喜家に起きる二つの異変。一つ目は先代の墓が何者かによって傷付けられていたこと。二つ目は戦時中に書かれた大伯父の日記が突然届けられたこと。日記に込められた生への執着、密林で見かけた火喰鳥に関する謎の記述。故人の遺志が現実を侵食し始めた・・・。 なぜか統合された横溝正史ミステリ&ホラー大賞の令和2年大賞作。話の引き込みはものすごく良かった。日記に書かれたヒクイドリを巡る記述から、やがて現実にヒクイドリの影が見えてくる恐ろしさは素晴らしい。一方でミステリー要素はや薄めで謎解きらしい謎解きはあまりない。明らかに異質な存在に対して巻き込まれ抵抗していく主人公たちを描くパニックSFの要素の方が強く感じられた。 勿論終盤でこの物語に仕掛けられた裏の様相が提示はされるのだが、中々飲み込みにくい内容だった。ヒクイドリというモチーフの不気味さが最高だっただけに残念。 |
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「ノゾミくん、こっちにおいで」 海のそばでのおまじない、中高生で広がる都市伝説。 願いを叶えてもらったはずの生徒が屋上から身を投げる。 のぞみ君に殺されるとメッセージを残して・・・。 ノゾミ君に願いを託す都市伝説が反転しノゾミ君に襲われてしまう。 生徒を失ってしまった高校教師が都市伝説の端緒を探していくストーリー。 率直な感想をいうと、登場人物の誰も好きになれなかった。 主人公側の教師にしろ、巻き込まれた生徒にしろ、捜査する刑事にしろ、どうもステレオタイプな人間に醜さが乗っかていて中途半端に嫌な人物なのだ。 完全に嫌な人物なら死んでしまってスッキリすることもあるし、更生に傾けば感動や同情も一入なのだが中途半端ゆえにどんな結末を迎えてもいまいちしっくりこない。 終盤に攻勢する点ではミステリー要素もあるが推理できる点は少ないので、論理を重視しないホラーを許容できる人向けの作品だ。 |
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アリバイ証人は雪女!? 虚構推理シリーズの短編集。 メインとして雪女関連の話が二編、琴子高校時代の話が一編。 いつものように真相は予め妖怪から聞いているのだが、態々虚構を作り披露する。 なぜ虚構を伝えなければいけないのか、そこには知恵の神として人間と妖の調和の為の優しさがある。 今回は九朗先輩はほぼお休み、雪女が怯えますので。 |
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綾鹿市動物園で行われる人気アイドル“チタクロリン”のコンサート。 メンバーの一人がレッサーパンダに触れようとして指を噛み千切られてしまう。 やがて関係者が次々に襲われていき・・・。 ある者は中指を、ある者は小指を、持っていかれたり、放置されたり、指にまつわる事件は連鎖していく、果たしてレッサーパンダの事故は偶発的な物だったのか? 誰かが嘘を吐いている。
○○的でお馴染み綾鹿市シリーズ、テーマは「指」。 なんと物語早々アイドルグループの指が噛み千切られる。 そして指切り事件は飼育員や他のメンバーに波及していく。 大事なのは殺してから指を切り取ったのではなく、生きている人間から指を切り落としていくという事。 さて指を切り落とす必然性をあなたは推理出来るのか、綾鹿市シリーズにしては実に理論的な帰着でした。 |
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築40年、パートリア淀ヶ月。 過去を断ち切りこのマンションの一室を購入した紗希は新しい生活の一歩を踏み始める。 緑の整ったエントランス、堅牢な管理人、気さくな隣人、輝かしい新生活はある宵のマンションの奇妙な風習と共に瓦解する。 このマンションは何かおかしい、、紗希は隣に住むライターの真帆子とマンションの秘密を探り始める。 自身の秘密をも隠したままで、、、
笑顔で親切な人がいる。とっても好意的な印象。 でもその人が裏では怪しい宗教の糸を引いていたら? 将又犯罪を生業として生きる人だったら? それまでの笑顔や親切が大きいほど、それは反転して恐怖に変わるだろう。 本作はそんな怖さを感じさせる。 マンションの真相に近付けば近付くほどに変わらない住人、ありふれた日常が恐ろしく思えてくる。 ホラーミステリとしてはミステリ成分は低め。 山奥の村の因習を都会のマンションの持ち込んだような雰囲気、紗希に平穏な世界は訪れるのか否か、常に先の気になる話だった。 |
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最愛の彼女の遺体は3億の価値になる。 体が金塊になり死に至る「金塊病」、世界でも数例しかないその病の療養施設の近くに住む少年・江都日向。 ある日金塊病の女子大生に話しかけられたことで彼の人生は動き始める。 彼女は自分を相続しないかと提案してきたのだ、劣悪な家庭環境、何もない田舎町、冴えない自分自身、3億あれば変えられる。 しかし、屈託のない彼女との時間は少年にとって掛け替えのないものになっていき・・・。 人の価値観がテーマである本作。 彼女は自分の死が金になることを達観していて、少年の相続を賭けたゲームを持ちかける。 少年は戸惑いつつもそのゲームに乗るが生身の彼女の姿に惹かれてゆく。 確実に進行する病と、その体に宿る金。 彼女の価値は死が近づくにつれて上がっているのか下がっているのか、少年は煩悶する。 残酷な現実は二人以外にも広まっていき、世間の好奇の眼が彼らを貫く。 非常に重いテーマ性だが、私があまり入れ込めなかったのが人の死が金になることを保険金や遺産ということ形の日常に置き換えてしまえたからだろうか。 体が金塊になるというのは独自の設定だが、人の死が金になることは往々にしてあることなのだ。 タイトル付けも前作の「私が大好きな~」を引きづってるような感じで好きじゃない。 印象抜群のタイトルだが、読み終わってみるとそこまで作品の本質は表していないタイトルだった。 |
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ヤクザの下っ端二人組、潰れかけの自動車部品店親子、新興宗教・教祖の孫娘。 接点のない彼らを結び付けるある誘拐計画、ある金貸しの死と宝籤。 意外な結果を見せる誘拐エンターテインメント。 全体的にスケール不足、誘拐ミステリーとしても群像劇にしても過去の偉大なる作品にすごく見劣りする。 誘拐を焦点に見た時はやはり警察との対峙が陳腐に感じる。 警察の欺き方や人質の扱いにしろ極道らしさが一切感じられない。 そうなると半素人で構成された「大誘拐」を想起させ、あの作品ほどの壮大な膨らみは見られない。 様々な人が繋がる群像劇の要素もあるが、あまりスポットを当てられない人が多々いる。 一番気になったのはインタールードの使い方。 意味合いとしては単に幕間。 今までインタールードというと本筋とは関係ないような視点から物語に切り込んだり、神の視点から過去や未来の記述をとったり非常に技巧の強い要素として見てたのだが本作のそれは単に未来のことを前倒しで記述している所謂倒叙である。 この構成がよく分からない。 全く想像し得ない意外な展開を先に描写させておいて、その後の過程を強く惹き付けるような使い方なら分かるが・・・。 |
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第56回メフィスト賞。 大学を中退してバイト先にしか居場所のない主人公とちょっとおかしな新人女子高生がコンビニにまつわる事件の謎を解いていく。 やがて焦点は過去に起こった連続盗難事件とそれに起因したある従業員の死についての真相に向かってゆく・・・。 コンビニです。 私はコンビニバイトの経験はないので判断しにくいですがおそらく現実のコンビニバイトの環境を克明に反映している作品。 トリックにもコンビニの内面の部分が存分に使われており、この作者が敢えてこの舞台で物語を書きたかったのだというのが伝わってくる。 色物ぞろいのメフィスト賞の中ではインパクト不足な気がしますが軽く読めるので〇 この作品以降は作品のなかった作者ですがなんと今年8月に再びコンビニを舞台にしたミステリーを上梓するとのこと。 コンビニなしでは書けないのか!? ▼以下、ネタバレ感想 |
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