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iisan さんのレビュー一覧
iisanさんのページへレビュー数1204件
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ポール・リンゼイが別名で発表した、「元FBI捜査官スティーブ・ヴェイル」シリーズの第一作。残念ながら、2011年に作家が亡くなったためシリーズは2作で終わってしまっている。
TV司会者が殺され、FBIに100万ドルを要求する脅迫状が届き、支払われない場合には政治家を殺すと脅迫してきた。FBI捜査官がニセの金を持って指定の場所に赴くが、犯人は捜査官を殺害して逃走し、数日後に予告通り政治家が殺害された。次に犯人は、指名したFBI捜査官が200万ドルを持参するように要求するが、本物の200万ドルとともに捜査官が消えてしまった。捜査に行き詰まったFBI高層部は、犯人追跡に特異な才能を持っていた元捜査官スティーブ・ヴェイルに協力を依頼する。FBIの捜査手法を熟知し、さらに内部情報をつかんでいると思われる狡猾な犯人を相手に、ヴェイルは知力の限りを尽くした戦いを挑む。 ストーリーが明快でテンポ良く展開されるので、非常に読みやすい。また、それぞれのシーンが目に浮かぶように描写されており、登場人物も美男美女で、まさに映画向きのアクションミステリーといえる。 |
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現代アメリカ文学の巨匠・マッカーシーが書き下ろした映画脚本。リドリー・スコット監督、主演がマイケル・ファスベンダー、ペネロペ・クルスという豪華な陣容で映画化された(日本でも公開済み。未見)が、評判はいまいちだったようだ。
濡れ手に粟の金もうけのためたった一度のつもりで麻薬密輸に関わった弁護士が、ある手違いが生じたために麻薬マフィアの報復を受けるハメになり、凄絶な暴力の世界に巻き込まれてしまう・・・。物語の始まりこそ穏やかで美しいが、中盤からは一気に、正義や倫理など無縁の暴力が連続し、いつも通りのマッカーシーの世界が繰り広げられる。そして最後に微笑むのは・・・。 本作はあくまで脚本であって、小説ではない。つまり、セリフとト書きだけで構成されており、心理描写は省かれている。したがって、映像的なイメージはありありと思い浮かべられるが、行間を読み込む楽しみは欠けている。この点が、小説好きには物足りないだろう。 |
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冷酷な父親に「この世界を不幸にする存在」、「邪」の家系を継ぐ者として育てられた少年は、愛する者を守るために父親の殺害を決意する・・・。数年後、大人になった少年は再び、愛する人のために、自分を捨てて行動を開始する。「愛する人のために殺人を犯すことは罪なのか?」という大きなテーマの意欲作である。
13歳の少年による父親殺害計画、大人になってからの整形手術による変身と愛する人を守るための連続殺人など、物語の基本構成とストーリー展開は非常に面白いのだが、終盤になってから尻すぼみの感があった。思うに、主人公の「邪」のスケールが小さいことと、本筋に絡んでくるテロ組織に現実感も恐怖感も感じないことが、尻すぼみの原因だろう。主人公の前に立ちふさがる老刑事、主人公をサポートする探偵など、魅力的なキャラクターが登場しているだけに、主人公の心理の振れ幅のスケールアップにもうひと踏ん張りして欲しかった。 |
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フィンランド北極圏にある小さな町の警察署長カリ・ヴァーラ警部シリーズの第一作。アメリカ生まれでフィンランド在住という異色作家の実質的なデビュー作である。
一日中太陽が昇ることが無いという真冬の極北の村で、ソマリア人女優の惨殺死体が発見された。性犯罪でもあり、人種差別犯罪でもあるというやっかいな事件の捜査に取りかかったカリだが、容疑者として浮かび上がったのが、カリの前妻を奪った男性だったことから、微妙な立場に立たされることになる。さらに、第二、第三の殺人が起き、事件はいっそう複雑な様相を呈してくる。 二十四時間闇が続く極夜を、人々は家に隠り、酒を飲んでひたすら耐え忍ぶ。そんな極北の村の重苦しさに押し潰されそうになりながら懸命に捜査するカリに、小さなコミュニティならではの複雑な人間関係と、人種差別に敏感なフィンランド社会で政治問題化することをおそれる警察上層部からのプレッシャーがのし掛かってくる。さらに、カリのアメリカ人妻は妊娠中で、初めての出産への不安とフィンランド社会に溶け込めないことへの焦燥から情緒不安定になってきた。そんな八方ふさがりのカリが苦闘の末に見いだした事件の真相は、「真相を見つけなければ良かった」と思うほど重く、切なく、やり切れないものだった・・・。 スウェーデンのヴァランダー警部シリーズに通じる、社会派の色が濃い警察小説であり、今後の翻訳出版が待ち遠しいシリーズである。 |
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「OUT」、「柔らかな頬」以降、2005年までに書かれた短編集。どれも、一筋縄ではいかない女性たちが登場し、黒々とした毒が充満した、その後の桐野ワールドを想像させる。
好き嫌いがはっきり別れそうな作品集である。 |
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これはもうカール・ハイアセンにしか書けない、カール・ハイアセンの世界。読者を選ぶ作品だ。これまでの彼の作品の愛読者ならツボにはまること間違い無し。あとは、フロスト警部などのドタバタコメディー系ミステリーが好きな人にはオススメ。
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アメリカでノアール小説への貢献ということで受賞した、中村文則の2作品のひとつ。中村文則という作家は知らなかったのだが、ノアール小説好きとしては見逃す訳にはいかず、手に取ってみた。読後感を一言でいえば、「え、もう終わり?」というところ。テーマ、ストーリー、キャラクター、いずれも文句無く面白いのだが、エンターテイメントとしては短か過ぎる。少なくとも倍以上のボリュウムで書き込んでもらいたかった。
掏摸(すり)のテクニックは詳細で緊迫感のある描写で読ませるが、ストーリーの肉付けが薄いのが物足りない。主人公の生い立ち、別れた女、重要な役割を担う少年との関わり、主人公が強制される犯罪の背景など、エンターテイメントとして膨らませていける要素がいっぱいあるだけに、残念な気がした。 |
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フランスの片田舎、サンドニ村の唯一人の警察官にして警察署長であるブルーノ・シリーズの第三弾。この地方の貴重な特産品であるトリュフに中国産の粗悪品が混入されているという疑惑の調査が、フランス現代史の暗部に端を発した凄惨な殺人と移民間の抗争にまで発展し、愛する村の平穏な生活を守るためにブルーノは全身全霊をかけて戦うことになる。
シリーズ初読なので断言は出来ないが、超人的な推理や科学的な捜査ではなく、鋭い人間観察と冷静な判断力で問題解決に当たる主人公ブルーノ署長のキャラクターが、本シリーズの一番の魅力ではないだろうか。事件の捜査というより、村の治安の維持を重視した言動はまさに田舎のお巡りさんそのもので好感が持てるし、別れた恋人との再会や現在の恋人との行き違いに悩む姿も微笑ましい。かといってただ優しいだけじゃなく、危険な場面でもひるむことなく派手なアクションも見せてくれる。主人公を始めとする登場人物のキャラクターが秀逸で、さらにストーリーも波乱に富んだ、読み応えのある警察小説だった。 それにしても、随所で登場する黒トリュフ料理の美味そうなこと! 「さすがフランス!」と言いたくなるグルメ小説というのも、本シリーズのもう一つの魅力である。 |
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またまた北欧・スウェーデンの新人作家のデビュー作。文末の解説によると、「英訳原稿が百頁しか無い段階で注目を集め、数ヵ月で26ヶ国に翻訳権が売れ」、「映画化権も売れた」というが、それも納得。「ミレニアム」に通じる派手さがあるアクション小説だ。
主人公はシングルマザーの看護師・ソフィー。交通事故で入院しているエクトルに惹かれ、軽い付き合いを始めたが、エクトルは実は国際犯罪組織の大物だった。何も知らないソフィーだったが、やがてその身辺に国際犯罪組織間の争いの火の粉が降りかかり、さらには警察からも接触され、ついには最愛の一人息子・アルベルトまで巻き込まれる事態になった。 平凡な看護師が犯罪組織に関わってしまう話、国際犯罪組織間の争いの話、スウェーデン警察の内部事情の話という3つの話が絡み合う物語の始めはゆったりした展開で退屈だが、3つの話の全体像が見えてくる中盤からは壮絶な殺し合いやカーチェイスのクライマックスに向かって突っ走っていく。作品紹介の「クライム・スリラー」というより、「クライム・アクション」と呼びたいスピード感だ。 解説によると「ソフィーを主人公にした三部作の第一弾となる予定」ということだが、捜査員でも私立探偵でもなく、ましてや犯罪者でもない、平凡な看護師が主人公でいったいどういう展開になるのか? その行方がいまとても気になっている。 |
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ローレンス・ブロックの14年ぶりのノンシリーズ作品。ストーリーとしては、連続殺人事件とそれにかかわりを持った人々の生き方を描いているのだが、真の主役は9.11の悲劇を経験したあとのニューヨークの街と人だろうか。登場人物がみんな、相当にエキセントリックであることが、あの悲惨な出来事が与えた絶望感の大きさと再生の難しさを物語っていると感じた。
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愛情の無い家庭で育児放棄された状態で育ちながら、鋭敏な美意識だけは発達させてきた美青年と、子供の時に母親が殺された現場に居合わせるという悲惨な経験がトラウマになっている美少女が、偶然の出会いから付き合い始め、やがては悲劇的な結末を迎える・・・。心理サスペンスの巨匠・レンデルの真骨頂ともいうべき、日常に潜む怖さと不気味さを感じさせる作品だ。
美を求める心が過剰であったときに生み出される悲劇は、三島由紀夫の「金閣寺」でも描かれたが、本作品では美の対象が人間であるだけにじわじわと迫ってくる恐怖感に圧倒された。 |
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デンマーク人作家のデビュー作だが、舞台はアイルランド。自分が漠然と持っているアイルランドの雰囲気が生かされた、幻想的でミステリアスな物語だった。
ダブリン近郊の小さな町の郵便配達員が配達先の家で死体を発見し、さらに同じ家に2体の女性の死体があったことからストーリーが始まる。3人はその家の主の女性と姪にあたる姉妹で、現場の状況から、家の主が姉妹を監禁していて最後に殺し合った結果だと思われた。なぜ、家族同士で殺し合うようなことになったのか? 警察は動機を解明できなかったが、同じ郵便局に勤めるオタク青年・ナイルが監禁されて殺された姉・フィオナの日記を手に入れたことから、3人を襲った悲劇の全貌が明らかになっていく・・・。 全体の構成は事件の動機を解明していく“ワイダニット”だが、作品の主眼は捜査プロセスではなく、複雑怪奇な動機に置かれている。サイコスリラーとファンタジーが入り交じったとでも言えばいいのか、物語性を楽しむ作品である。 |
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今さら説明の必要はない古典的名作だが、新訳が出たのを機に再読し、あらためて名作だと思った。
荷揚げ中の樽が落ちて破損し、金貨と女性の死体が見つかるという幕開けから捜査の進展、真相解明まで、緊張感のあるストーリーでまったく古びたところはない。 本格ミステリーファンなら必読とオススメする。 |
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「点と線」のコンビ、三原警部補と鳥飼刑事が再登場する「アリバイ崩し」ミステリー。
最初から最後まで、犯人と捜査陣の知恵比べといえる。九州の古い神事や俳句の世界が舞台になっているが、あくまでも背景に過ぎず、松本清張らしい社会性も、さほど重点を置かれていない。 警察が容疑者を絞り込む理由が「一番犯人らしくなく、アリバイが完ぺき」という理由なのが納得しづらいが、アリバイの構成とアリバイ崩しのプロセスは読み応えがある。 |
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ミステリーとしては物足りないが、人肌の温もりがじわじわと伝わってくる、そう、まるでラジオドラマのような物語だ。
新興住宅地が増えてきた地方都市のコミュニティFM局を舞台に繰り広げられるヒューマンドラマが、丁寧な描写と巧みな会話で展開され、読み進める内に読者はきっと登場人物の誰かに肩入れしたくなるだろう。 各章の扉には、その章の内容を暗示するポピュラー曲のタイトルがリストアップされており、曲と内容のつながりを推測するのも面白い。 |
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性同一性障害と友情をテーマにした「ミステリー展開」の問題提起小説。男である、女であるというのは、どこで判断するのか? 人間には男と女以外は存在しないのか? などなど、人間存在の根源を問い掛けるテーマを読みやすいミステリー仕立にして完成させたところは、さすがに東野圭吾だと思った。
ただ、殺人犯をかくまって警察の裏をかこうとする「捜査ものミステリー」として読むと、かなり物足りなさを感じたのも事実である。 |
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2011年のMWA賞とCWA賞をあの「解錠師」と分け合ったという、トム・フランクリンの出世作。静かで深い、叙情派ミステリーである。
ミシシッピーの片田舎で育った白人のラリーと黒人のサイラスはローティーンの頃、奇妙な縁に導かれて友達となるが、互いの性格や生来の性質の違いから疎遠になっていく。さらに16歳のとき、ラリーは隣の家の少女が行方不明になった事件の犯人と疑われ、25年後の現在も、町の人々はラリーを犯人視していた。一方のサイラスは有望視されていた野球選手としては挫折し、町の治安官となって戻ってきたが、ラリーとの付き合いは途絶えたままだった。ある日、町の有力者の19歳の娘が行方不明になり、住民は再びラリーに疑いの目を向ける。捜査にかかわっていたサイラスは、ラリーからの留守電への伝言を無視していたが、ラリーが何者かに銃撃される事態になってしまった。物語は現時点での捜査と並行して、ラリーとサイラス、それぞれの少年時代の回顧をはさみながら進行し、やがて25年の時間を超えた全体像が明らかになる。 一見、連続殺人、猟奇殺人ミステリーに見えるがスリルやサスペンスとは無縁で、謎解きの面白さも大したレベルではない。しかし、主役の二人はもちろん、周りの人物も陰影が深い背景を持っており、良心や罪と罰についてしみじみと考えさせられる良作である。 文庫の解説にある通り、「解錠師」にはまった人にはオススメだし、ジョン・ハート、トマス・H・クックなどの愛読者ならきっと気に入るだろう。 |
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スウェーデンのジャーナリストと服役囚支援者という異色コンビ作家の代表作である「エーヴェルト・グレーンス警部」シリーズの最新作。日本でもすでに3作品が翻訳されているというが、初めて手に取った。
本作の主役は、ストックホルム市警にリクルートされた密告屋のパウラ。スウェーデンの刑務所内での麻薬密売の独占を狙うポーランドマフィアを壊滅させる使命を受けて組織中枢に潜入、組織の任務として刑務所に入り、麻薬の持ち込みにも成功する。ところが、組織の信頼を得るために居合わせた麻薬取引現場で、ポーランドマフィアが別の潜入者を射殺するのを目撃することになり、秘かに警察に通報した。この事件の捜査を担当することになったグレーンス警部は「簡単には諦めない男」の本領を発揮し、捜査の手をパウラに伸ばしていく。もしパウラが密告屋であることがばれたら、潜入捜査が失敗し、パウラは刑務所内で間違いなく命を狙われることになる。潜入を指示した警察上層部と政府は、グレーンス警部の捜査を妨害しようとするが不首尾に終わり、ついにパウラを切り捨てる非情な決断をする。正体をばらされたパウラは執拗に命を狙われ、生き延びるために孤独な戦いを強いられた・・・。 物語の前半は潜入捜査と通常の捜査の対立が中心の警察小説、後半は刑務所を舞台にした凄絶なサバイバル小説という趣だが、どちらの面も読み応え十分。密告屋、警察の双方とも人物造形が巧みだし、何よりストーリー展開がスリリングで、さまざまに張り巡らされた伏線も見事というしかない。 シリーズ作品らしく、過去の事件や人間関係が影響しているシーンもいくつかあるが、これまでの作品を読んでいなくても興をそがれることはない。むしろ、日本とはあまりにも異なる刑務所の状況に戸惑うことの方が、読者に違和感を引き起こす要因となるかもしれない。 |
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スウェーデンの女性弁護士・レベッカシリーズの第3作。前2作で心身に深い傷を負ったレベッカは弁護士を辞めてしまい、故郷キールナで特別検事に任命されるのだが、本作でも弁護士としての知識を活用して活躍するので、弁護士・レベッカシリーズの一冊ではある。
精神科病棟での長い闘病を終え再出発を果たしたとはいえ、まだ自分に自信をもてないでいるレベッカだが、キールナの凍った湖で起きた、地元の国際的大企業の女性広報部長殺害事件の捜査に検察局の一員としてかかわることになる。前2作でもお馴染の地元警察のアンナ=マリア、スヴェン=エリックの両警部が証拠集めや聞き込みを進め、レベッカは専門の金融知識を駆使して企業の実態や関連する人物の経済状態を調べ上げていく。すると、大成功を納めているはずの大企業には隠しておきたいことがあった・・・。 事件が起きたのはスウェーデンでも片田舎のキールナだが、殺害の背景にはグローバル企業による熾烈な経済戦争、アフリカの政治的混乱とそれに伴う資源争奪戦があり、話の舞台装置は前2作とは異なり、国際謀略小説の趣を示す。しかし、ストーリーの骨格を成すのは企業経営陣の古くからの人間関係であり、レベッカの精神の病からの復活の苦闘である。その意味では、前2作と変わるところはない。 本作は、ヒロイン・レベッカを始め、地元警察官、隣人、上司などのシリーズキャラクターがますます味わいを増し、安定してきたのは評価できるが、事件関係者の過去の物語、レベッカの狂気の世界などの書き方にやや違和感を感じた。特に、国際謀略小説的な舞台の派手さと登場人物の重過ぎる内省的態度がアンバランスな印象で、前作ほどには物語に入り込むことが出来なかった。 |
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