オイディプス症候群

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評判

オイディプス症候群の評価:

4.12/5点 レビュー 33件。 B ランク

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平均点4.12pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全49件 21〜40 2/3ページ
No.29
(5pt)

連続殺人を惹き起こした、【真の犯人】とは。

病床の友人から、新種の奇病「オイディプス症候群」に関する資料と報告書を共同研究者に渡すよう頼まれた語り部役、ナディア・モガール。紆余曲折を経て、大企業の経営者が所有する孤島に滞在することになったナディアだったが、その晩、滞在客の一人が墜死した。唯一の交通手段である船は難破し、孤島に閉じ込められることになった滞在客の面々を次々に襲う、不可解な謎と殺人者の魔の手。
 どこか「ちぐはぐ」で歪な連続殺人。死体の装飾の意味。滞在客が隠している秘密。そして、所々で見え隠れする狂気のテロリスト、ニコライ・イリイチ・モルチャノフの影――。
 連続殺人を惹き起こした、【真の犯人】は誰なのか。哲学者・矢吹駆は、この事件を現象学的にどう読み解くのか。

 推理小説なのでネタバレなしで感想を書きたいのですが、なかなか難しいです。ですが、矢吹駆が【真の犯人】を指摘した所が最も驚かされましたね。読んだ時は少し複雑な気持ちになりました。

 推理小説として面白い上に、色々と考えさせられる哲学的・社会学的話題も含まれている『オイディプス症候群』。おすすめです。
オイディプス症候群 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群 (創元推理文庫)より
4488415113
No.28
(5pt)

連続殺人を惹き起こした、【真の犯人】とは。

病床の友人から、新種の奇病「オイディプス症候群」に関する資料と報告書を共同研究者に渡すよう頼まれた語り部役、ナディア・モガール。紆余曲折を経て、大企業の経営者が所有する孤島に滞在することになったナディアだったが、その晩、滞在客の一人が墜死した。唯一の交通手段である船は難破し、孤島に閉じ込められることになった滞在客の面々を次々に襲う、不可解な謎と殺人者の魔の手。
 どこか「ちぐはぐ」で歪な連続殺人。死体の装飾の意味。滞在客が隠している秘密。そして、所々で見え隠れする狂気のテロリスト、ニコライ・イリイチ・モルチャノフの影――。
 連続殺人を惹き起こした、【真の犯人】は誰なのか。哲学者・矢吹駆は、この事件を現象学的にどう読み解くのか。

 推理小説なのでネタバレなしで感想を書きたいのですが、なかなか難しいです。ですが、矢吹駆が【真の犯人】を指摘した所が最も驚かされましたね。読んだ時は少し複雑な気持ちになりました。

 推理小説として面白い上に、色々と考えさせられる哲学的・社会学的話題も含まれている『オイディプス症候群』。おすすめです。
オイディプス症候群 Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群より
4334923577
No.27
(5pt)

連続殺人を惹き起こした、【真の犯人】とは。

病床の友人から、新種の奇病「オイディプス症候群」に関する資料と報告書を共同研究者に渡すよう頼まれた語り部役、ナディア・モガール。紆余曲折を経て、大企業の経営者が所有する孤島に滞在することになったナディアだったが、その晩、滞在客の一人が墜死した。唯一の交通手段である船は難破し、孤島に閉じ込められることになった滞在客の面々を次々に襲う、不可解な謎と殺人者の魔の手。
 どこか「ちぐはぐ」で歪な連続殺人。死体の装飾の意味。滞在客が隠している秘密。そして、所々で見え隠れする狂気のテロリスト、ニコライ・イリイチ・モルチャノフの影――。
 連続殺人を惹き起こした、【真の犯人】は誰なのか。哲学者・矢吹駆は、この事件を現象学的にどう読み解くのか。

 推理小説なのでネタバレなしで感想を書きたいのですが、なかなか難しいです。ですが、矢吹駆が【真の犯人】を指摘した所が最も驚かされましたね。読んだ時は少し複雑な気持ちになりました。

 推理小説として面白い上に、色々と考えさせられる哲学的・社会学的話題も含まれている『オイディプス症候群』。おすすめです。
オイディプス症候群 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群 (カッパ・ノベルス)より
4334076416
No.26
(4pt)

終焉の予感が漂う作品である

本作が、笠井作品の中では必ずしも傑作であるとはいえない、という意見が多いようだ。
 しかし私は本作を、著者が「孤島もの」という本格ミステリのガジェットのひとつにチャレンジし、実作として実証しようとした作品であると評価したい。

 多分、著者が本作の構想や執筆をしたのは、いわゆる新本格が市民権を得たのち、自然崩壊し始めた頃だと思う。本作は、これに対する著者なりの防波堤だったのではないだろうか。ただし、その意図がほとんど効果がなかったことは、その後の本格ミステリシーンを見れば明らかである。本格ミステリは、すでに崩壊した。
 山田「ミステリ・オペラ」が、笠井のそんな問いかけに応えようとした作品だったのかもしれない。しかし、あの作品の刊行も、むしろ崩壊を促進したようである。

 しかし、何はともあれ本作である。
 著者が考える本格ミステリのフォーマットのひとつが、まちがいなくここにある。だから、そのスタイルが好きなマニアにとっては、大変面白い。私はとても面白く読んだ。もちろん、あいかわらずの矢吹ロジックが垂れ流されるが、前4作まではかなり作品世界で乖離が目立った矢吹であったが、本作ではそれがかなり少なくなって、作品世界と随分となじんでいる。その分、前4作よりもかなり読みやすいのは確かである。

 もちろん、他のレビュアーの意見のように、熟成度合いが足りない、という感じはある。それは、かなり多忙になった著者の、作品にかける時間の少なさによるものであるのだろう。しかし、今の著者にかつての「サマー・アポカリプス」や「バイバイ・エンジェル」執筆時のような時間をかけて作品を熟成しろ、というのは、多分物理的にも心理的にも無理なのだろう。笠井ファンとしては、それは残念なことであり、できることならばもう一度、若いときの気力と体力で、これは、という傑作を執筆してもらいたいものである。

 従って、本作の評価は満点とはいいがたい。しかし、著者のチャレンジ精神は、十分に評価に値する。
オイディプス症候群 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群 (創元推理文庫)より
4488415113
No.25
(4pt)

終焉の予感が漂う作品である

本作が、笠井作品の中では必ずしも傑作であるとはいえない、という意見が多いようだ。
 しかし私は本作を、著者が「孤島もの」という本格ミステリのガジェットのひとつにチャレンジし、実作として実証しようとした作品であると評価したい。

 多分、著者が本作の構想や執筆をしたのは、いわゆる新本格が市民権を得たのち、自然崩壊し始めた頃だと思う。本作は、これに対する著者なりの防波堤だったのではないだろうか。ただし、その意図がほとんど効果がなかったことは、その後の本格ミステリシーンを見れば明らかである。本格ミステリは、すでに崩壊した。
 山田「ミステリ・オペラ」が、笠井のそんな問いかけに応えようとした作品だったのかもしれない。しかし、あの作品の刊行も、むしろ崩壊を促進したようである。

 しかし、何はともあれ本作である。
 著者が考える本格ミステリのフォーマットのひとつが、まちがいなくここにある。だから、そのスタイルが好きなマニアにとっては、大変面白い。私はとても面白く読んだ。もちろん、あいかわらずの矢吹ロジックが垂れ流されるが、前4作まではかなり作品世界で乖離が目立った矢吹であったが、本作ではそれがかなり少なくなって、作品世界と随分となじんでいる。その分、前4作よりもかなり読みやすいのは確かである。

 もちろん、他のレビュアーの意見のように、熟成度合いが足りない、という感じはある。それは、かなり多忙になった著者の、作品にかける時間の少なさによるものであるのだろう。しかし、今の著者にかつての「サマー・アポカリプス」や「バイバイ・エンジェル」執筆時のような時間をかけて作品を熟成しろ、というのは、多分物理的にも心理的にも無理なのだろう。笠井ファンとしては、それは残念なことであり、できることならばもう一度、若いときの気力と体力で、これは、という傑作を執筆してもらいたいものである。

 従って、本作の評価は満点とはいいがたい。しかし、著者のチャレンジ精神は、十分に評価に値する。
オイディプス症候群 Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群より
4334923577
No.24
(4pt)

終焉の予感が漂う作品である

本作が、笠井作品の中では必ずしも傑作であるとはいえない、という意見が多いようだ。
 しかし私は本作を、著者が「孤島もの」という本格ミステリのガジェットのひとつにチャレンジし、実作として実証しようとした作品であると評価したい。

 多分、著者が本作の構想や執筆をしたのは、いわゆる新本格が市民権を得たのち、自然崩壊し始めた頃だと思う。本作は、これに対する著者なりの防波堤だったのではないだろうか。ただし、その意図がほとんど効果がなかったことは、その後の本格ミステリシーンを見れば明らかである。本格ミステリは、すでに崩壊した。
 山田「ミステリ・オペラ」が、笠井のそんな問いかけに応えようとした作品だったのかもしれない。しかし、あの作品の刊行も、むしろ崩壊を促進したようである。

 しかし、何はともあれ本作である。
 著者が考える本格ミステリのフォーマットのひとつが、まちがいなくここにある。だから、そのスタイルが好きなマニアにとっては、大変面白い。私はとても面白く読んだ。もちろん、あいかわらずの矢吹ロジックが垂れ流されるが、前4作まではかなり作品世界で乖離が目立った矢吹であったが、本作ではそれがかなり少なくなって、作品世界と随分となじんでいる。その分、前4作よりもかなり読みやすいのは確かである。

 もちろん、他のレビュアーの意見のように、熟成度合いが足りない、という感じはある。それは、かなり多忙になった著者の、作品にかける時間の少なさによるものであるのだろう。しかし、今の著者にかつての「サマー・アポカリプス」や「バイバイ・エンジェル」執筆時のような時間をかけて作品を熟成しろ、というのは、多分物理的にも心理的にも無理なのだろう。笠井ファンとしては、それは残念なことであり、できることならばもう一度、若いときの気力と体力で、これは、という傑作を執筆してもらいたいものである。

 従って、本作の評価は満点とはいいがたい。しかし、著者のチャレンジ精神は、十分に評価に値する。
オイディプス症候群 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群 (カッパ・ノベルス)より
4334076416
No.23
(5pt)

綾辻行人『十角館の殺人』への返歌

免疫機能を低下させるウイルス性の奇病「オイディプス症候群」に感染した友人の頼みで、クレタ島南岸に浮かぶ孤島「牛首島」にやって来たナディア・モガールと矢吹駆。やがて島は嵐によって外部との連絡が断たれ、その状況下で、ギリシア神話に見立てられたような連続殺人事件が起きる……。前述の「オイディプス症候群」はHIVがモデル。通常の病原体とは異なり、それ自体毒性を持たないのに免疫機構を狂わせていくこのウイルスに、意図することなく、神託通りに父を殺して母を犯し、テバイの町に災いをもたらした、ギリシア悲劇の主人公の名前が与えられているところに、本作のテーマが集約されているといえます。また、本作では《孤島》という、ミステリにおいては定番の舞台が選ばれていますが、駆はその本質を「出るために作られた檻、第三項が生じるように引かれた線」と捉えています。犯人は内と外を同時に鳥瞰しうる第三項に位置すべく、内と外とを分割する《孤島》という舞台を選びます。そうして特権的位置を占めた犯人は、内と外を自在に往還し、関係者を支配しようとしますが、本作においてその目論みは、内と外の境界を無効化し無差別に襲い掛かる「オイディプス症候群」という疫病に含意されるものによって、頓挫することが運命付けられているのです。それは、十人もの死者を出す連続殺人事件の引き金となったのが、悪意のない、ある人物のささいな不注意であったということからも窺うことができます。
オイディプス症候群 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群 (カッパ・ノベルス)より
4334076416
No.22
(5pt)

綾辻行人『十角館の殺人』への返歌

免疫機能を低下させるウイルス性の奇病「オイディプス症候群」に
感染した友人の頼みで、クレタ島南岸に浮かぶ孤島「牛首島」に
やって来たナディア・モガールと矢吹駆。
やがて島は嵐によって外部との連絡が断たれ、その状況下で、
ギリシア神話に見立てられたような連続殺人事件が起きる……。
前述の「オイディプス症候群」はHIVがモデル。
通常の病原体とは異なり、それ自体毒性を持たないのに免疫機構を狂わせていくこのウイルスに、
意図することなく、神託通りに父を殺して母を犯し、テバイの町に災いをもたらした、ギリシア悲劇の
主人公の名前が与えられているところに、本作のテーマが集約されているといえます。
また、本作では《孤島》という、ミステリにおいては定番の舞台が選ばれていますが、駆は
その本質を「出るために作られた檻、第三項が生じるように引かれた線」と捉えています。
犯人は内と外を同時に鳥瞰しうる第三項に位置すべく、
内と外とを分割する《孤島》という舞台を選びます。
そうして特権的位置を占めた犯人は、内と外を自在に往還し、
関係者を支配しようとしますが、本作においてその目論みは、
内と外の境界を無効化し無差別に襲い掛かる「オイディプス
症候群」という疫病に含意されるものによって、頓挫すること
が運命付けられているのです。
それは、十人もの死者を出す連続殺人事件の引き金となったのが、
悪意のない、ある人物のささいな不注意であったということからも
窺うことができます。
オイディプス症候群 Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群より
4334923577
No.21
(5pt)

今回はミッシェル・フーコーと対決

免疫機能を低下させるウイルス性の奇病「オイディプス症候群」に
感染した友人の頼みで、クレタ島南岸に浮かぶ孤島「牛首島」に
やって来たナディア・モガールと矢吹駆。
やがて島は嵐によって外部との連絡が断たれ、その状況下で、
ギリシア神話に見立てられたような連続殺人事件が起きる……。
前述の「オイディプス症候群」はHIVがモデル。
通常の病原体とは異なり、それ自体毒性を持たないのに免疫機構を狂わせていくこのウイルスに、
意図することなく、神託通りに父を殺して母を犯し、テバイの町に災いをもたらした、ギリシア悲劇の
主人公の名前が与えられているところに、本作のテーマが集約されているといえます。
また、本作では《孤島》という、ミステリにおいては定番の舞台が選ばれていますが、駆は
その本質を「出るために作られた檻、第三項が生じるように引かれた線」と捉えています。
犯人は内と外を同時に鳥瞰しうる第三項に位置すべく、
内と外とを分割する《孤島》という舞台を選びます。
そうして特権的位置を占めた犯人は、内と外を自在に往還し、
関係者を支配しようとしますが、本作においてその目論みは、
内と外の境界を無効化し無差別に襲い掛かる「オイディプス
症候群」という疫病に含意されるものによって、頓挫すること
が運命付けられているのです。
それは、十人もの死者を出す連続殺人事件の引き金となったのが、
悪意のない、ある人物のささいな不注意であったということからも
窺うことができます。
オイディプス症候群〈上〉 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群〈上〉 (光文社文庫)より
4334745083
No.20
(5pt)

《矢吹駆》シリーズの第五作

免疫機能を低下させるウイルス性の奇病「オイディプス症候群」に
感染した友人の頼みで、クレタ島南岸に浮かぶ孤島「牛首島」に
やって来たナディア・モガールと矢吹駆。
やがて島は嵐によって外部との連絡が断たれ、その状況下で、
ギリシア神話に見立てられたような連続殺人事件が起きる……。
前述の「オイディプス症候群」はHIVがモデル。
通常の病原体とは異なり、それ自体毒性を持たないのに免疫機構を狂わせていくこのウイルスに、
意図することなく、神託通りに父を殺して母を犯し、テバイの町に災いをもたらした、ギリシア悲劇の
主人公の名前が与えられているところに、本作のテーマが集約されているといえます。
また、本作では《孤島》という、ミステリにおいては定番の舞台が選ばれていますが、駆は
その本質を「出るために作られた檻、第三項が生じるように引かれた線」と捉えています。
犯人は内と外を同時に鳥瞰しうる第三項に位置すべく、
内と外とを分割する《孤島》という舞台を選びます。
そうして特権的位置を占めた犯人は、内と外を自在に往還し、
関係者を支配しようとしますが、本作においてその目論みは、
内と外の境界を無効化し無差別に襲い掛かる「オイディプス
症候群」という疫病に含意されるものによって、頓挫すること
が運命付けられているのです。
それは、十人もの死者を出す連続殺人事件の引き金となったのが、
悪意のない、ある人物のささいな不注意であったということからも
窺うことができます。
オイディプス症候群 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群 (カッパ・ノベルス)より
4334076416
No.19
(5pt)

《孤島》ミステリを脱構築

免疫機能を低下させるウイルス性の奇病「オイディプス症候群」に
感染した友人の頼みで、クレタ島南岸に浮かぶ孤島「牛首島」に
やって来たナディア・モガールと矢吹駆。
やがて島は嵐によって外部との連絡が断たれ、その状況下で、
ギリシア神話に見立てられたような連続殺人事件が起きる……。
前述の「オイディプス症候群」はHIVがモデル。
通常の病原体とは異なり、それ自体毒性を持たないのに免疫機構を狂わせていくこのウイルスに、
意図することなく、神託通りに父を殺して母を犯し、テバイの町に災いをもたらした、ギリシア悲劇の
主人公の名前が与えられているところに、本作のテーマが集約されているといえます。
また、本作では《孤島》という、ミステリにおいては定番の舞台が選ばれていますが、駆は
その本質を「出るために作られた檻、第三項が生じるように引かれた線」と捉えています。
犯人は内と外を同時に鳥瞰しうる第三項に位置すべく、
内と外とを分割する《孤島》という舞台を選びます。
そうして特権的位置を占めた犯人は、内と外を自在に往還し、
関係者を支配しようとしますが、本作においてその目論みは、
内と外の境界を無効化し無差別に襲い掛かる「オイディプス
症候群」という疫病に含意されるものによって、頓挫すること
が運命付けられているのです。
それは、十人もの死者を出す連続殺人事件の引き金となったのが、
悪意のない、ある人物のささいな不注意であったということからも
窺うことができます。
オイディプス症候群〈下〉 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群〈下〉 (光文社文庫)より
4334745091
No.18
(5pt)

生きるための議論か、あるいは死ぬためか

謎の奇病「オイディプス症候群」の蔓延に端を発する、連続殺人事件。

それを背景に、世界的テロリズムと矢吹駆の暗闘は続く。

このシリーズにおける最大の魅力といえば、やはりなんといっても、現代思想家をモデルにした登場人物たちが、主人公と論戦をくりひろげる部分でしょう。
しかしながら、今回登場のミシェル・ダジール(フーコー)を相手に、主人公・矢吹駆が、あまり刺々した議論を戦わせることはありません。むしろダジールの助けを得て、自分探しをしているようにも見えます。

重要なのは、この『オイディプス症候群』に登場する思想家は、フーコーのほかにもう一人いる、という事です。それはひょっとすると、『テロルの現象学』の著者の、若き日の姿ではないだろうか?と、そのように僕はにらんでいるのだけどどうでしょう。

…なんかこう書くと、いろいろな誤解を生みそうな気もするのだが。
オイディプス症候群〈下〉 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群〈下〉 (光文社文庫)より
4334745091
No.17
(4pt)

何か高級な書物

哲学的な論議や文献、ギリシャ神話への薀蓄など、すべてが分からないでも、何か高級な書物を読んだ気分になる。この作品はもう一度、読み直さなければならないと感じている。それだけの内容がある。

 一方で、ミステリーとしての充実度はどうだろうか。伏線や理屈などきちんとつながってはいるが、ストーリーとして盛り上がりに欠ける感はないだろうか。読んでいて恐怖感もない。カケルvsイリイチの対決もいいが、作品ごとに、もっと輪郭をくっきりと描かなければならない。「知ってる人は知っている」ということでファンに頼っているのはいただけない。実際のところ、笠井潔氏の作品を相当程度まで理解している読者は少ないのだ。
オイディプス症候群 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群 (創元推理文庫)より
4488415113
No.16
(4pt)

何か高級な書物

 哲学的な論議や文献、ギリシャ神話への薀蓄など、すべてが分からないでも、何か高級な書物を読んだ気分になる。この作品はもう一度、読み直さなければならないと感じている。それだけの内容がある。
 一方で、ミステリーとしての充実度はどうだろうか。伏線や理屈などきちんとつながってはいるが、ストーリーとして盛り上がりに欠ける感はないだろうか。読んでいて恐怖感もない。カケルvsイリイチの対決もいいが、作品ごとに、もっと輪郭をくっきりと描かなければならない。「知ってる人は知っている」ということでファンに頼っているのはいただけない。実際のところ、笠井潔氏の作品を相当程度まで理解している読者は少ないのだ。
オイディプス症候群 Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群より
4334923577
No.15
(4pt)

笠井潔ならではの快作

テロやプレイグ等の様々な事件をメタファーとして織り込み、ギリシャ神話
をモチーフにした物語を語って行く。孤島をテーマにした綾辻作品や、英国女
流作家の複数の作品を彷彿させるモチーフを複合構築させて、俗にいう新本格
推理小説は進んでいく。「外論」など、途中執拗に繰り返される哲学的な記述
は、後半、密室トリックの文学的な位置付けに取り組んだ著者の姿勢が判るよ
うになっているところも評価したい。探偵小説の評論も著す笠井独自の世界を
堪能できる作品になっている。ずしりと感じる本の重さに背かない、重厚な作
品といえよう。最後、犯人が**するところだけ、唯一不満を感じた。
オイディプス症候群 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群 (創元推理文庫)より
4488415113
No.14
(4pt)

笠井潔ならではの快作

 テロやプレイグ等の様々な事件をメタファーとして織り込み、ギリシャ神話をモチーフにした物語を語って行く。孤島をテーマにした綾辻作品や、英国女流作家の複数の作品を彷彿させるモチーフを複合構築させて、俗にいう新本格推理小説は進んでいく。「外論」など、途中執拗に繰り返される哲学的な記述は、後半、密室トリックの文学的な位置付けに取り組んだ著者の姿勢が判るようになっているところも評価したい。探偵小説の評論も著す笠井独自の世界を堪能できる作品になっている。ずしりと感じる本の重さに背かない、重厚な作品といえよう。最後、犯人が**するところだけ、唯一不満を感じた。
オイディプス症候群 Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群より
4334923577
No.13
(5pt)

現象学の光と影

密室と化した孤島、複雑な間取り、ギリシャ神話、正体不明のウィルス菌の増殖と、本格ミステリーファンが触手を伸ばさないはずがない。おまけに容疑者はそれぞれに当てはまるとくれば、ここは笠井潔の真骨頂。分厚い単行本とともに脱帽である。
 ただ、身近に犯人がいるにもかかわらず、その恐怖心が表現出来てなかったり、心理状態には多少の難はあると思うが、極力こうした叙述的部分は廃して、状態の結果と探求に徹したところはさすが笠井潔である。
 『哲学者の密室』を凌ぐ大作となった本書。それよりは物語の展開を追い易い作品となっているが、いずれにせよ今世紀を代表するミステリーであるのには間違いない。本格推理ものはかくあるべしと世に問いかけた一大傑作。これを読まずに日本のミステリーは語れない!!
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4488415113
No.12
(5pt)

現象学の光と影

 密室と化した孤島、複雑な間取り、ギリシャ神話、正体不明のウィルス菌の増殖と、本格ミステリーファンが触手を伸ばさないはずがない。おまけに容疑者はそれぞれに当てはまるとくれば、ここは笠井潔の真骨頂。分厚い単行本とともに脱帽である。 ただ、身近に犯人がいるにもかかわらず、その恐怖心が表現出来てなかったり、心理状態には多少の難はあると思うが、極力こうした叙述的部分は廃して、状態の結果と探求に徹したところはさすが笠井潔である。 『哲学者の密室』を凌ぐ大作となった本書。それよりは物語の展開を追い易い作品となっているが、いずれにせよ今世紀を代表するミステリーであるのには間違いない。本格推理ものはかくあるべしと世に問いかけた一大傑作。これを読まずに日本のミステリーは語れない!!
オイディプス症候群 Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群より
4334923577
No.11
(5pt)

フーコーがエボラ出血熱と戦う

フーコーが主人公とともに謎のウイルスが絡んだ殺人事件に巻き込まれるという意味でネタとして面白かった。哲学者のキャラが推理探偵に変身するわけだが、ウィトゲンシュタインを使ってもなんか書けるだろうなと思った。そういえばずっと前のヴァンパイヤーウォーズではマイケル・ポランニーや栗本慎一郎とおぼしきキャラが出てたっけ。
オイディプス症候群 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群 (創元推理文庫)より
4488415113
No.10
(5pt)

フーコーがエボラ出血熱と戦う

 フーコーが主人公とともに謎のウイルスが絡んだ殺人事件に巻き込まれるという意味でネタとして面白かった。哲学者のキャラが推理探偵に変身するわけだが、ウィトゲンシュタインを使ってもなんか書けるだろうなと思った。そういえばずっと前のヴァンパイヤーウォーズではマイケル・ポランニーや栗本慎一郎とおぼしきキャラが出てたっけ。
オイディプス症候群 Amazon書評・レビュー: オイディプス症候群より
4334923577