■スポンサードリンク


機龍警察



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

機龍警察の評価: 3.81/5点 レビュー 75件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.81pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全50件 21~40 2/3ページ
No.30:
(5pt)

SFなのかミステリなのか

著者も分からないそうですが、僕も分かりません。でも面白ければジャンルなんてどうでもいいじゃないですか。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.29:
(5pt)

人気シリーズのなるほどの魅力

作者は話題作『土漠の花』で広く知られるようになり新たな読者を獲得した。
実は私もその一人である。
しかしそれ以前からの、作家のデビュー作であるこの「機龍警察」シリーズのファンは、
新しい熱狂をせせら笑っていたかもしれない。
まだまだこんなもんじゃないと。

実際そのとおりだと、『土漠の花』のあとにこの『機龍警察』を読んでみてわかった。
前者も悪くはないが、自衛隊が未経験の戦闘に巻き込まれるというテーマで、
読者も隊員への感情移入を強いられるせいか、
どこかナイーブな感じは否めない。
それが一方では魅力でもあるわけだが。

そこへ行くとこの『機龍警察』は、甘くない。
バリバリのプロフェッショナルの世界である。
というより、フィクションとしての自由度が高い分、
実際にはありえないようなスーパークールなキャラクターを存分に踊らせている感じだ。
あらためてこの作家の能力を見直す思いだった。

高度のテクノロジーを背景とした近未来風警察小説としては、
私が知っている中では、
アメリカのシークレットサービスで研修中の日本人が活躍する柳広司の『ナイト&シャドウ』や、
テクノロジー災害小説で知られる女性作家福田和代の『特殊警備隊ブラックホーク』
(後で『標的』と改題したらしい)などを連想したが、
個人的にはこの物語のインパクトはそれらに数段優ると思った。
親戚筋は、しいていえばジャンルは違うが同じ匂いがある『攻殻機動隊』というところか。

人物たちがそれぞれその心に暗部や葛藤、を抱えており、
それがしばしば謎としてあって、物語はそれに食い込むように展開する、というのは
どうやらこの作家の特徴なのだろう。
特に警察内の「傭兵」とされる3人のキャラクターが軸になっていて、
とんでもなく凄腕である一方で、いずれも過去に深い傷があってワケありの、
ニヒルというかクールというか強烈な個性の曲者たちである。
このシリーズの、少なくとも本書を含む最初の3巻は、それぞれに焦点を当てながら展開するらしい。

そしてこの3人が異端なだけでなく、彼らの属する組織もまた
警察全体の中で疎まれてアウトサイダーであり、そこにもまた葛藤がある。
そうした二重構造も面白いと思う。

「龍機兵」というのも、なるほどカルト的なファンが生まれそうな設定だ。
作者のことはよく知らないし、いわゆるガンダム世代にはちょっと早い生まれの気もするが、
ロボット系に並々ならぬこだわりがあるのは間違いなさそうだ。

というわけでこの先も楽しみである。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.28:
(5pt)

SFというかクライムサスペンスというか

題が、なんとなく最近のアニメっぽい題名だったので、避けていた。もっと早く手に取ればよかった。
 日本もテロが続発する近未来という設定、犯罪者も警察も機甲兵器を使うという設定という点では、明らかにSFである。でも警察という組織の闇の部分も含め描かれるという意味では、警察小説である。テロを阻止するメインストーリーは、クライムサスペンスだ。
 その、どの側面から見ても、素晴らしく骨太のエンターテインメントである。
機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152094982
No.27:
(4pt)

警察+SF小説の醍醐味

本作品は、警察小説であると同時に、「龍機兵」(ドラグーン)と呼ばれるパワードスーツを装着する警官が活躍するSF小説の要素も併せ持つ、エンタテインメントの快作です。

ただ、題名に使われた「機龍」が、2002年の映画「ゴジラ×メカゴジラ」のメカゴジラの型式「3式機龍」と同じ言葉であり、私は映画をパクった安易な作品と受け止めていました。
しかし、続編が次々と刊行、(続編の方ですが)数々の賞にも輝き、出版社主催のミステリランキングにも入るに至り、2010年の発表から、時間は経っていましたが、手に取ることにしました。

舞台は、近未来の日本。
警視庁特捜部に、SIPD(Special Investigators,Police Dragoon)が創設され、外部から雇われた、姿俊之、ライザ・ラードナー、ユーリ・ミハイロヴィッチ・オズノフの3人の警部が、未分類強化兵装「龍機兵」の搭乗要員として任務に就いた。
折しも、三機の機甲兵装が地下鉄を乗っ取る事件が発生。
乗っ取りは、犯人逃走で幕引きとなったが、特捜部は犯人逮捕と、背後にある巨悪を追って、捜査を開始する。

想像以上に作り込みのしっかりした作品で、すぐに作品世界に引き込まれてしまいました。
パワードスーツによる戦闘シーンよりも、事件の捜査や警察内部での駆け引きなど、ミステリの要素が前面に出ていたのは、自分の好みに合っていたと思います。
ある種のハードボイルド的な硬質の文章が物語を引き締め、魅力的な展開も十分に楽しめました。
また、主要な登場人物の描写も丹念で、好印象。

ただ、結末があっさりしすぎの感も。
続編を意識しているのかもしれないが、できれば、この一冊の中で、事件の背景に潜む闇にもっと迫ってほしかったと思います。

とは言え、ミステリとSFの両方の要素を最大限に活かしつつ、緊迫した展開が読者を惹きつけてやまない良作として、続編に大きく期待しています。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.26:
(5pt)

映像を見たい作品TOP3には入る作品でした。

素晴らしいまでの格好良さだ。
ドラグーン。
言ってしまえば、かつてどこかで見たことのある、ラムダドライバ的なシステムな訳だし、目新しい驚きがそこにあるわけでもない。
だが、しっかりと実弾で戦い、ロマン装置を備えたロボットというのは、それだけでかっこ良いんだ。
かっこよければ、それが新しかろうと古かろうといいんだよ!!

古くたって、カッコイイキャラが乗ってりゃ、それだけでカッコイイ乗り物になるんだよ!!

と言いたくなるような素晴らしいキャラクター小説でした。
警察もの、と言うにはいささかファンタジーめいてますが、いわゆる特務機関ものが好きな方は絶対に楽しめます。
警察内部から敵視されながらも、警察として国のために戦う。

同じ組織内での対立というものに葛藤している捜査員たちは、それだけで可哀想でありながら、それでも折れない、真の警察官としての覚悟のようなものが垣間見え、それが素晴らしくいとおしかったです。

また、ドラグーンとよばれる、特殊なロボットにのる、傭兵3人がまた素晴らしい。
それぞれの暗い過去を背負い、それを匂わせながらもクールに任務をこなしていくのが、完全にロマンです。

相容れない存在でありながらも、だんだんと絆を形作っていく形も含めて、その展開にアツくならざるを得ませんでした!
じつは、次の自爆条項まで読んでいるのですが、それもまた素晴らしい作品でした。

設定や展開で、何個か粗もある気はしたのですが、それが気にならない位、キャラクターの魅力の力が素晴らしいです。
是非、読んで欲しいですね!
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.25:
(4pt)

パトレイバー+攻殻機動隊+ボトムズ

最初と最後の白兵戦は、どう見ても「ボトムズ」のイメージです。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.24:
(5pt)

刑事ドラマとして良作

冒頭で読む気が失せて先を読んでいない人もいるようですが、最初に襲撃されたパトカーは襲撃犯の偽の通報に寄っておびき出されたものなので、待ち伏せしていた敵が警官が至近距離に入るまで息を潜めていたのは容易に想像できます。
 そもそもパワーショベル的な油圧駆動でもないのですから「エンジン音がするはずだ」というのもレトロな推測でしょう。巨体と表現はされていても全高3.5mはガンダム、ゲッターロボとは比較にならないコンパクトさで、既存のメカニズムと比較するなら「プリウス程度」の静粛性は期待してもよいかと思います。もちろん電気で動くなら動く瞬間以外は無音です。
 このサイズ感は「車両」として扱えるレベルを狙っているのでしょうね。
 住宅の中に入るのは無理でも、車両の活躍できる場所ならOK
 電線が張り巡らされた日本の市街地でも安心して活躍できます。

 ちなみに私はこの作品を「刑事ドラマ」と捉えています。機甲兵装は主人公の乗り物に過ぎず、その設定の実現性、現実性が作品の価値を左右するとは思いません。
 思えば80年代のパソコン通信時代、「ロボットはSF兵器として有りか無しか」なんて議論が盛り上がっていた時代が懐かしいですね。
 まあまっとうなSFならロボットの存在する世界観を構築するのが腕の見せ所なのでしょうが、ともあれ、これは刑事小説です。キモは人間ドラマです。主役クラスの搭乗員のそれぞれが生身で戦う設定でも十分小説として面白いと思うわけで、むしろガチガチのメカオタクでは無い人にも楽しめるSFとして推薦できます。
機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152094982
No.23:
(5pt)

近未来SF警察小説

戦争用に開発された機甲兵装によるテロが横行する近未来、警視庁に新型兵装と特別パイロットが配備された!
機甲兵装同士の白兵戦あり、街中のパニック描写あり、警察組織の軋轢あり。
とっても面白く、読みごたえもある。このシリーズは、今後も楽しみに読んでいこうと思う。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.22:
(5pt)

知らない人は騙されたと思って騙されてください。

それはそれは面白かったです。でも、「私を離さないで」を面白いと思う人には面白くないかもしれません。「エンダーのゲーム」は「上」しか読んでません。「下」を買う気にはなれませんでした。
機龍警察 自爆条項「上」「下」は最高です。これを読まずに何を読むんですか?
まぁ、人それぞれ好みがありますし。そりゃそうでしょ。っと。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.21:
(5pt)

美品でした!

とても面白かった! それ以上に美品なことに驚きました。惜しむらくは、到着が少し遅かったです。(もちろん期限内ですが…」)
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.20:
(4pt)

未来が透けて見えそう。。。

これは大変面白い、至近未来警察小説です。

龍機兵の疾走感がとてもよい。

続編を読むのが楽しみな一冊です。
機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152094982
No.19:
(5pt)

6冊目に読むべきシリーズ第1作完全版

既に5作が刊行されているシリーズの第1作を大幅加筆した完全版。リアルタイムでこの第1作を読んだときは、頁数が少ない割には登場人物が多く、詰め込み感が多い、しかし日本警察を舞台にしているにもかかわらず主要登場人物に外国人を配しており、ストーリーのスケールも大きいという印象だった。そのため絶賛するほどではなかった。

既刊5作を読んだ後本作を改めて読むと、その意味がよくわかるのに加えて、巻末の自作解題でその理由が明らかになっている。本編では1作での端折り感を埋めるように隙間がきれいに埋めてあり完成度が高い。

では、文庫本第1作を読まずに本作を最初に読むべきなのかというと、答えは否である。本作は最新の短編集を読んだうえで読んでこそ、その価値がよく理解できるし楽しめる。何より既刊の創作プロセス、主題などが自作解題で明らかになっているため、本作はリリース順に読んだ後に読むべきだろう。そんなことを言ったら敷居が高くなって本書を手に取る読者が出るのではないかと懸念するファンもあるかもしれない。心配は無用だろう。シリーズを読み進んでいけば手に取らずにはいられない完全版である。これから本シリーズを読み始める方は本作を読まずにはいられなくなる。大事にとっておいて文庫版からどうぞ。
機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152094982
No.18:
(5pt)

まずはこの1冊から

機龍警察のなかでは第4作目「未亡旅団」が個人的には最も好きです。
そして、おそらくどのシリーズから読んでもすぐに世界に入ってゆけ、一気読みだと思うのですが、
読むならまずはこの1冊からですね。既に文庫で読んだ人も必読です。

1作目の改訂版にあたるこの「完全版」が発売から4年たった今、それも単行本として発売されるということから、この作品、やはりキテルんだな~と感じさせられました。

付録がおもしろくてクスっと来ます。
機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152094982
No.17:
(5pt)

シリーズ第一作は、重層的な謎の沃野だ

シリーズ第一作が単行書化された。第一作だけが、文庫版だけで出ていた。

硬質な文体で読み手をぐいぐい引き込んでくれること、複合的なテーマを持つ故、中身のぎっしり詰まった満腹感を感じることは、周知の通りだ。

単行書で再読して、どの場面の会話にも、何らかのコンフリクトが含まれていると感じた。そのどれもが、何かの伏線ではないかと思えてくる。
伏線の幾つかは本書と後続の諸作が出た今も、未だ謎のままだ。シリーズの第一作は、これほど重層的な謎の沃野として作られていたのだと思った。

読ませる場面もある。姿警部らと馮の直接対談の場面は素晴らしい。極度の緊張の下での言葉の駆け引きは、老獪であるともに洗練されていて、素晴らしいと思う。
また、全編を通じて、人物達の苦悩の記述の襞が深い。

暗い過去に自己否定を迫られる。それに加えて、困難に直面する現在。そんな状況下で、生きなければと暴れ苦闘する、強い意志。それを登場人物達に直接的に言わせるわけではなくとも、文の下をその強い意志が貫通していると感じる。

本書の末尾に、シリーズ諸作に関する著者へのインタビュー、識者による分析、著者による自作解題などが載っている。(インタビューは雑誌からの再録)
個人的には、自作解題が読み応えがあった。著者の作品への気概と執念に触れることができたと感じるし、作品の読みどころがよく解ると感じた。
笑いも埋め込まれている。
機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152094982
No.16:
(4pt)

落ち着いてよめる人間ドラマ

単なる警察vsテロリストのアクション小説ではなく、組織の矛盾や登場人物が抱える心の闇なども
くどくならない程度に描かれており、読んで満足できる作品だと思う。
そして主人公の姿がかっこいい。危機的な状況においても常に冷静に最善の方法を探している。

一方で、物語全体のスリリングさやテンポについては、「土漠の花」に比べると今ひとつかな。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.15:
(4pt)

小説としては粗く、大味であるが、可能性を感じる近未来SF警察小説

小説としてはいささか粗く、大味ではあるが、可能性を感じる近未来SF警察小説。世の中の変貌と共に犯罪は大きく変容し、そんな中、密造機甲兵装を用いた地下鉄立て篭り事件が発生する。これに対抗するのは傭兵までも徴用し、機龍兵を採用した警察庁特捜部であった…

傭兵を徴用した警察庁特捜部は警察組織内で疎まれる存在であり、そんな中で悪と命を賭けた闘いに挑む。機甲兵装は、最近、良く耳にするパワード・スーツか、ガンダムのモビル・スーツみたいな兵器であるようだ。

機甲兵装によるアクションに重きを置くか、あくまで警察組織の人間ドラマを描くか、焦点が絞り切れていないように思うが、アイディアは面白い。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.14:
(5pt)

すべてはここから始まった…ジャンルを問わない傑作エンターテイメント

「ノワール」他多数の脚本製作に携わり、日本SF大賞・吉川英治文学新人賞を受賞。
新進気鋭の作家として、地位を確立した月村了衛の「機龍警察」シリーズ。
刊行から5年。
大幅な加筆と解説を増補した、長篇第1弾の完全版が本書である。

現在長篇に限定すれば4作が刊行されているが、
本書には以降の作品群への想像も及ばない附箋・伏線が散りばめられており、
続刊を読了する度に驚嘆するばかりである。
附属された本書解説の方が遥かに上手く表現しているため、野暮で月並みな言葉だが…
作品の世界観・設定・登場人物・ストーリーテリングは、紛れもなく特級の技量であると改めて確信できる。

本シリーズ長篇の特徴として、主要登場人物の一人にスポットを当てた物語が展開される。
第1弾である本書は、中心組織となる特捜部の内外に孕んでいる軋轢や摩擦が事細かに広く並べ立てられ、
突入要員の一人である凄腕の日本人傭兵「姿俊之」の過去が朧気に見え隠れする。
他の突入要員2人とは違い、完全にプロフィールが明らかにならない部分が
特捜部長である沖津に比肩するキーパーソンである所以だろうか?

これはまだ序章でしかない。そして、同時に回帰する原点である。
稀代の作家が創り出したる物語、是非ともお手に取って頂きたい。
機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:機龍警察〔完全版〕 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152094982
No.13:
(4pt)

パトレイバー大人味。

機龍兵と呼ばれる高性能人型兵器を駆る警視庁雇われの傭兵のお話。と聞くと現実離れしすぎかと思ったが、ちょっと気になって読んでみたら、丁寧に警察内部の軋轢や、捜査官たちの苦闘など、リアリティから極端に離れすぎないような描写も編み込んでいて面白かった。ストーリー展開にちょっと中だるみしているところと、回想を何度も差し挟んで、犯人と傭兵の関係性を強調したわりに、ラストはあっけない印象だった事は少し残念だが、全体としてのテンポは悪くない。謎も山盛りで残っているので、本作はまだまだ序章というところか。
ただ、日本警察に雇われる傭兵に外国人がいて、警察官として認められるべくもない経歴で、それが「●●警部」と呼ばれ、日本語にも特に不自由していない、ってのは、どーしても違和感がある点で星マイナス1つ。まあ、作者の手がけてきた作品などを見て納得。敢えて日本人で固めないところで、適度なSF感・未来感を出していこうとしているのだとは思うけど。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.12:
(4pt)

近未来SF警察小説シリーズ第1作、どうでしょう?

大量破壊兵器の衰退に伴い、接近戦闘兵器体系は、機構兵装に移行した。いわゆる等身大に近いモビルスーツといったところだ。これまでの機構兵装とは次元の違う高性能新型機「龍機兵(ドラグーン)」を警視庁特捜部が導入した。開発の経緯、システムは一切外に出ておらず、搭乗員はフリーランスの外部契約者に任されている。

テクノロジーとしての目新しさはそれほどないが、登場人物の経歴や背景、特徴的な能力を細かく書き分けることに重点を置いている。登場人物は龍機兵搭乗員3名、警視庁特捜部長、特捜部技術主任、捜査員と搭乗員に外国人を配するなどチャレンジングな設定だが、ぎりぎりリアリティを保っている。人数もこれ以上増えると分かりづらくなるぎりぎりまで多彩にしてある。第1作の本書では人物紹介を兼ねてその一部が紹介されている。彼らの経歴が今後の続編に生かされていくのであろう。

科学時術に関しては近未来的である反面、警察組織の描写は意図的に泥臭く官僚的に描かれている。そのギャップは現在龍機兵へのシンプルな反発として対比的に描かれているが、それ故今後、新規セクションと旧組織の軋轢と若干の和解といったところが物語の軸になるのではないだろうか。

警察小説とSFの融合した本シリーズはまずまず読者から受け入れられている様で、新作は年間ランキングに顔を出すようだ。続編がすでに刊行されているので、おいおい読んできたいと思う。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930
No.11:
(5pt)

楽しく読める警察小説

ロボ!メカ!銃!警視庁特捜部!整備士の女の子!ブロンド美女!白髪の傭兵!お堅い白人!イケメンキャリア警官ズ!謎めいた指揮官!警察の体制批判!黒社会!そしてロボロボロボ!銃!戦争!捜査!捜査!捜査!ロボ!銃!ロボ!格闘!伏線!かすかな詩情!そしてロボ!
そんな感じの、読む人を楽しませる工夫がぎっしり詰まった、遊園地みたいに楽しい、けれどとてもシリアスな小説です。ただし、大きい男の子向けの。
とはいえ、サクサク読める文体と個性的なキャラクターたちは、どんな読者にも馴染める魅力を十分に放っています。

特に終盤の機甲兵装たちを相手どった格闘戦は息を飲むような緊張感に溢れていて、一読の価値があります。
機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:機龍警察 (ハヤカワ文庫 JA ツ 1-1) (ハヤカワ文庫JA)より
4150309930

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!