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フラッタ・リンツ・ライフ
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【この小説が収録されている参考書籍】
フラッタ・リンツ・ライフの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.68pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 21~28 2/2ページ
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いつの時代の何のための戦争か。この小説には物語の背景説明は一切ない。プロットの拘束を受けないストーリー展開は、あくまでも自由だ。 スカイ・クロラシリーズ第4弾は、天才撃墜王クサナギが管理職に昇格し内勤となってしまう。今回大空で活躍するのが、クサナギの一番弟子・クリタだ。キルドレのくせに娼館に通ったりするが、散華を操る腕は確かなようだ。 キルドレの秘密が一部明かされたり、一般小説的な要素が多少盛り込まれているが、このシリーズにおいて物語の起承転結などどうでもいいディテールに過ぎない。 散文詩のように描写される空中戦闘シーンは、何度読んでもみずみずしい輝きを放っているし、生と死、愛と戦について、戦闘の合間に哲学的自己問答を繰り返すクリタがいとおしい。 多少青臭さは感じられるものの、小説内容自体が浮世離れしているため生臭さは感じない。世間のしがらみを逃れて、大空を自由に飛び回るキルドレのように、このまま何の種明かしもされずに尻切れトンボで終わってほしいシリーズだ。 | ||||
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21世紀に蘇った『かもめのジョナサン』とも云えるのではないか。 SF的なキャラクター設定を採りながらも、 本シリーズの中身は、実は純文学である。 他人を痛いまでに希求する寂しさを 大空の透明な孤高で昇華する主人公たちに 私たちが果たせない孤独の処理を託してしまう、そんな物語だ。 本書は第四巻ではあるが、 時間軸的には第三巻にあたる。 シリーズを通した主人公、クサナギの パイロット後期時代が描かれている。 管理職に出世したクサナギを語り手から外し 同じキルドレのクリタに語り手を変えている。 これにより、クサナギのより透明な人物像と 苦悩が深く表現されている。 | ||||
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2006年6月25日リリース。『スカイ・クロラ』第4作。森氏のblogによれば『スカイ・クロラ』はあと一冊で完結のようだ。 森氏の詩的な文体と主人公たちの舞台たる『空』は何にも増してマッチしている、と森氏のファンの大多数の思っていると思う。まるで機関銃のように照射される詩的なフレーズに痺れる。溢れ出るような死を詩で織りなすような世界。森氏の真骨頂だ。森作品の中で永く後世に残っていくのはS&MでもなくVでもなくましてや四季でもなく、絶対に他の誰にも書けない『スカイ・クロラ』だと思う。素晴らしい。 | ||||
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一番奥にある「綺麗」を表現すると、この本になるのだと感じました。素晴らしいです。色々な感情を突き抜けて引き込まれます。言葉にする事が難しい何かを得る事が出来ます。多くの感情の表現を単語として置き換える事を知っているはずなのに、自分の知っている言葉では表す事が出来ないもどかしさを感じます。しかし、そのもどかしさは嫌なものでは全くなく陶酔してしまいます。 真剣に読書をしたい人はお勧めの本です。 | ||||
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なにも言わずに読みましょう。 森ワールド全開です。好きです。 ミステリのほうでも垣間見える森ワールドの死生観が純粋に徹底的に表現されており、非常に考えさせられ、現実逃避には最適です。 純粋な死生観で構築された世界に、さりげなく差し挟まれる「日々の暮らし」とか「大人の思惑」とかが、しなやかに際立つように記述され、差し挟まれる側にどっぷりと浸かって何も考えずに暮らす毎日に、ちょっとした緊張感を与えてくれる良い本だと思います。 こういう世界を想像できるのは、や俗世から離れている象牙の塔で暮らしてらっしゃるからかしらんとうらやましくなったりします。 | ||||
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待望の『スカイ・クロラ』シリーズ第4弾。 詩的な文面で綴られる生と死の輝かしさが、この上なく美しい。 生きることに対する虚しさや、やり切れなさといった感情は『女王の 百年密室』でも触れられているけれど、このシリーズはその傾向が より顕著だと思う。 第5弾ですべてが完結するとき、そこに提示される答えを愉しみに、 わたしはたぶん何度もこれを読み返すだろう。 空の画像を用いた装丁も非常にクオリティが高い。 かなりお勧めの本です。 | ||||
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スカイ・クロラシリーズ第4作です。 相変わらずすばらしい映像、透徹した視線、自分の体が希薄になるように感じる世界です。私が生きている社会の、道徳という名のお約束を欺瞞であると感じさせるものです。本当に大事なのはなんなのか、繰り返し繰り返し問い詰められるようで、考えずにはいられません。 装丁もとても素敵で、しおりの色はきれいな藤色でした。 今回のお話は、前3作とずいぶん違うように思いました。 既出の人物であるクリタが主人公なのですが、彼が3人の女性との関係の中で、たった一人の人だけが大事なのだという選択ができる自分に気がつくのです。彼は、彼女に危険が迫ったら、命を投げ出してもいいというのです。でも、その女性とは触れたことはないのです。触れるつもりすらもないのです。 私は、彼の感情を、恋愛だと思います。 恋愛は、本当はこういうものなのではないだろうかと思うのです。 ただ、それに対して、彼はなんらの積極的行動もしないのです。 それは、必要ないからでしょう。それでいいというだけなのです。自覚したことで十分で、だから何か違うのか、という気持ちが漂っているのです。 それは、諦めかもしれませんし、そういう気持ちすら、本当はこの世には必要ないからかもしれません。 永遠を生き、死を生の延長として、いつか撃墜されるために空を飛ぶ、緩慢な自殺を図り続けている彼なら、そうかもしれません。恋愛を恋愛のみで完結させているのだと思うのです。 今回の装丁が、紫なのは、そういうたそがれの、喪の色に通じるからでしょうか。 ぜひご覧になってください。 | ||||
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「キルドレ」と呼ばれる、不老の戦闘機パイロットを主人公に繰り広げられる物語の4作目。 航空用語が随所に登場し、決して万人にわかりやすい文体ではないが、戦闘シーンの独特の疾走感がたまらない。 また、登場人物達の心の機敏の記述は、簡略な文体ながらしばらく反芻してしまう精緻さがある。 好き嫌いが分かれる読感だと思うが、このシリーズを読んだことがない方にこそ、一読を薦めたい。 星4つなのは、今回の主人公が期待していた人物ではなく、個人的に残念だったため。 | ||||
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