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(短編集)
ダナエ
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ダナエの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.32pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全38件 21~38 2/2ページ
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表題作を含め3篇の作品が収められた本 「ダナエ」展示されていた肖像画に、なにものかによって硫酸がかけられ破損してしまった。 一人で犯人を探していた画家がたどりついた意外な犯人と、その動機。 「まぼろしの虹」血のつながらない29歳の姉と23歳の弟が自分達の母親の不倫相手について話し合うのですが。 「水母」10年前の恋人の映像作品「水母」を見ていると、突然画面が乱調になり面食らう主人公。作品の上映が終わったあとに、見知らぬ男性に相談をもちかけられて。 文章がきれいなので、さらさらと読むことが出来る作品ばかりです。 そして、読後感が乾いた感じでやさしい。 作者の書く登場人物が、あまり欲がないため淡々としているせいなんだな、と思い当たりました。 とくにこの本は、人物達の場所の移動が少なく、事件も血なまぐさいものがないため、その感が強かったです。 | ||||
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作者得意の、美術、広告業界を舞台にした短編集である。 それなりに楽しく読むことはできるが、どの作品も終わり方が中途半端な印象を受けた。 内容についての詳細は記載しないが、例えばある問題がある場合、いかにその問題を解決する方法を考えたのかは書かれているのだが、具体的にどう解決されたのかは書かれていない。 意図的にそのような表現方法を選択したのだろうが、読む側からするとすっきりしないものを感じた。 | ||||
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作者得意の、美術、広告業界を舞台にした短編集である。 それなりに楽しく読むことはできるが、どの作品も終わり方が中途半端な印象を受けた。 内容についての詳細は記載しないが、例えばある問題がある場合、いかにその問題を解決する方法を考えたのかは書かれているのだが、具体的にどう解決されたのかは書かれていない。 意図的にそのような表現方法を選択したのだろうが、読む側からするとすっきりしないものを感じた。 | ||||
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収録された三編はどれも、誰もが胸の奥に抱えているだろう痛みをかき立てるような切なさに満ちていた。 特に表題作の「ダナエ」がいい。 脳裏に流れるサマータイムのメロディに耳を傾け、「ただ黙って泣く」主人公の姿に胸を衝かれた。 読み終わった瞬間に読み返したくなる、この作品はそんな力を持っている。 そして「まぼろしの虹」の俊弘……。 彼の背後に広がっているだろう闇の話を、是が非でも読んでみたかった。 そう思うと無念でならない。 今はただ、この掌の上で転がし慈しみたくなるような三編の小説を残してくれた作者に心から感謝し、衷心より哀悼の意を捧げたいと思う。 | ||||
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収録された三編はどれも、誰もが胸の奥に抱えているだろう痛みをかき立てるような切なさに満ちていた。 特に表題作の「ダナエ」がいい。 脳裏に流れるサマータイムのメロディに耳を傾け、「ただ黙って泣く」主人公の姿に胸を衝かれた。 読み終わった瞬間に読み返したくなる、この作品はそんな力を持っている。 そして「まぼろしの虹」の俊弘……。 彼の背後に広がっているだろう闇の話を、是が非でも読んでみたかった。 そう思うと無念でならない。 今はただ、この掌の上で転がし慈しみたくなるような三編の小説を残してくれた作者に心から感謝し、衷心より哀悼の意を捧げたいと思う。 | ||||
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鏡のように滑らかで澄んでいたり、風が吹いてさざめいていたり、 そんな水の下を見るような3つのお話でした。 読み終わったあとどう考えればいいのか分からなくて、ぼんやり表紙を眺めたり。 中でも『まぼろしの虹』が好きでした。 あの黒髪の男をもっと掘り下げて、知りたかった。 もっともっと、読んでいたかったです藤原さん。 ご冥福をお祈りいたします。 | ||||
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鏡のように滑らかで澄んでいたり、風が吹いてさざめいていたり、 そんな水の下を見るような3つのお話でした。 読み終わったあとどう考えればいいのか分からなくて、ぼんやり表紙を眺めたり。 中でも『まぼろしの虹』が好きでした。 あの黒髪の男をもっと掘り下げて、知りたかった。 もっともっと、読んでいたかったです藤原さん。 ご冥福をお祈りいたします。 | ||||
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藤原伊織の事実上の遺作になった1冊だ。 3つの中編で構成される。どれもが抒情性にあふれている。 ただこれまでの作品と少し違うのが、何というか…… 読後の清々しさだ。 藤原作品は、どれもラストは悲しい。 この3つの作品も悲しいのは事実だが、 どこかに「救い」が用意されている。 おそらくこの作品をまとめている頃、 藤原伊織はすでに死を覚悟していた。 その潔さがあらわれているのだろうか。 作家は、作品だけで評価されるべきだと思うが、 自身の生き方が作品に投影されていて、59歳での死によって 読み手は作品の主人公に藤原伊織本人を見てしまう。 しかし私はそれを否定はしない。 作家も人間である以上、そういう読み方があっていいと思うのだ。 | ||||
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藤原伊織の事実上の遺作になった1冊だ。 3つの中編で校正される。どれもが抒情性にあふれている。 ただこれまでの作品と少し違うのが、何というか…… 読後の清々しさだ。 藤原作品は、どれもラストは悲しい。 この3つの作品も悲しいのは事実だが、 どこかに「救い」が用意されている。 おそらくこの作品をまとめている頃、 藤原伊織はすでに死を覚悟していた。 その潔さがあらわれているのだろうか。 作家は、作品だけで評価されるべきだと思うが、 自身の生き方が作品に投影されていて、59歳での死によって 読み手は作品の主人公に藤原伊織本人を見てしまう。 しかし私はそれを否定はしない。 作家も人間である以上、そういう読み方があっていいと思うのだ。 | ||||
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藤原ワールドのキャラクターにはいつでも何かを教わってきた。 同じような業界人、同じような恋愛、同じような崩れ方・・・ でも、登場人物の心が解き明かされる結末は、長編であれ 短編であれ、いつでも本格ミステリのような意外な結末と 余韻を残した。 いつか人生の本当の意味でのベテランになったとき、種明かしを 待たなくても主人公の気持ちが分かるときが来るのだろうか。 その答えが示されているテキストに再読という形でしか 向き合えないことがとても残念だ。 たくさんのことを教えてくれた藤原さん、本当にありがとう。 | ||||
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藤原ワールドのキャラクターにはいつでも何かを教わってきた。 同じような業界人、同じような恋愛、同じような崩れ方・・・ でも、登場人物の心が解き明かされる結末は、長編であれ 短編であれ、いつでも本格ミステリのような意外な結末と 余韻を残した。 いつか人生の本当の意味でのベテランになったとき、種明かしを 待たなくても主人公の気持ちが分かるときが来るのだろうか。 その答えが示されているテキストに再読という形でしか 向き合えないことがとても残念だ。 たくさんのことを教えてくれた藤原さん、本当にありがとう。 | ||||
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萩原朔太郎の、 我れは何物をも喪失せず また一切を失ひ尽せり。 って詩が印象的に引用されている。「才能あるし、家はお金持ちだし、奥さんは財閥の令嬢だしさ。背は高いし、けっこう渋いし、なんでも持ってる人」って傍目には見える気鋭の画家が主人公なんだけど、実はその地位、名声を得ることと引き換えに大事な人、大事な過去の風景を失ってしまっているという設定。藤原伊織の作品って広告や美術界ってあでやかな舞台設定や美術薀蓄から引っぱり出した知的ミステリーって「明」の部分と、若かりし頃の過去秘話って「暗」の部分が常にセットになっているんだよね。その過去秘話ってのも今回の“出世の影に自己犠牲的な糟糠の妻あり”、とか「シリウスの道」の「白夜行」もどきのいかにも泥臭いドラマで。現在の描き方がスマートで小技が効いているだけに過去のモダンでロマンなドラマは際立つ。これって青臭い過去(青春)を忘却して、資本主義の第一線で今の世の中を牽引してきた団塊世代の悔恨と重なる。そこが藤原作品の“共感のツボ”だよね。団塊だけじゃなく、過去の理想と今の現実の落差ってみんな感じてるもん。そうした設定に対応した“一流企業って組織の中に居ながらアル中でギャンブラーの一匹狼”とか、“美術界の貴公子と持て囃されながら画壇や評論家やマスコミを無視”とかのニヒリスティックな主人公キャラもリーマンはじめ多くの人々にとってはカタルシスである。で、もうひとつ、藤原作品を安心して読めるのは、最終的には「何物をも喪失せず」って部分だよね。反体制やアウトロー気取ったりするけど、なんだかんだ言って、現在手にしているものを「何物をも喪失せず」って線をぎりぎりのとこで残して置くっていう。 穿った書き方をしてしまったけど、こうした要素を交えながら常に一流のエンターテインメントに仕上がっている藤原作品にはわかっちゃいるけど、ついつい手が伸びてしまうのだ。 | ||||
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萩原朔太郎の、 我れは何物をも喪失せず また一切を失ひ尽せり。 って詩が印象的に引用されている。「才能あるし、家はお金持ちだし、奥さんは財閥の令嬢だしさ。背は高いし、けっこう渋いし、なんでも持ってる人」って傍目には見える気鋭の画家が主人公なんだけど、実はその地位、名声を得ることと引き換えに大事な人、大事な過去の風景を失ってしまっているという設定。藤原伊織の作品って広告や美術界ってあでやかな舞台設定や美術薀蓄から引っぱり出した知的ミステリーって「明」の部分と、若かりし頃の過去秘話って「暗」の部分が常にセットになっているんだよね。その過去秘話ってのも今回の“出世の影に自己犠牲的な糟糠の妻あり”、とか「シリウスの道」の「白夜行」もどきのいかにも泥臭いドラマで。現在の描き方がスマートで小技が効いているだけに過去のモダンでロマンなドラマは際立つ。これって青臭い過去(青春)を忘却して、資本主義の第一線で今の世の中を牽引してきた団塊世代の悔恨と重なる。そこが藤原作品の“共感のツボ”だよね。団塊だけじゃなく、過去の理想と今の現実の落差ってみんな感じてるもん。そうした設定に対応した“一流企業って組織の中に居ながらアル中でギャンブラーの一匹狼”とか、“美術界の貴公子と持て囃されながら画壇や評論家やマスコミを無視”とかのニヒリスティックな主人公キャラもリーマンはじめ多くの人々にとってはカタルシスである。で、もうひとつ、藤原作品を安心して読めるのは、最終的には「何物をも喪失せず」って部分だよね。反体制やアウトロー気取ったりするけど、なんだかんだ言って、現在手にしているものを「何物をも喪失せず」って線をぎりぎりのとこで残して置くっていう。 穿った書き方をしてしまったけど、こうした要素を交えながら常に一流のエンターテインメントに仕上がっている藤原作品にはわかっちゃいるけど、ついつい手が伸びてしまうのだ。 | ||||
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長編小説かと思いましたが、短編小説集でした。 どの話も共通するというか感じたことは、男性の苦い切ない恋心、心の奥にしまってある大切な女性への想いがある話ということです。決して届かなくなってしまった想い、そういったものを抱えながら生きている男性の話でした。少し切ないような痛いような気持ちが伝わってきます。男性はこのように不器用だけど、純粋な気持ちを感じている人もいるのかと思うと、女性はやっぱり心がたくましいんじゃないかと思えます。繊細で不器用な男性の気持ちが丁寧に書かれた作品集でした。 | ||||
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藤原伊織は僕の好きなハードボイルド作家の一人だが、新刊が出たのでさっそく読んでみた。藤原伊織は長編が多いのだが、この本は短編集。いずれも中年男性が主人公で、彼らの生き様と彼らを取り巻く人間関係を捌く上での様々な心の葛藤を、藤原伊織独特の絶妙なタッチで描写している。ただ、藤原伊織はやはり長編の方が合う作家だと思う。短編だとどうしてもワサワサしてしまい、主人公に感情移入した途端に話が終わってしまう感じ。 | ||||
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藤原伊織は僕の好きなハードボイルド作家の一人だが、新刊が出たのでさっそく読んでみた。藤原伊織は長編が多いのだが、この本は短編集。いずれも中年男性が主人公で、彼らの生き様と彼らを取り巻く人間関係を捌く上での様々な心の葛藤を、藤原伊織独特の絶妙なタッチで描写している。ただ、藤原伊織はやはり長編の方が合う作家だと思う。短編だとどうしてもワサワサしてしまい、主人公に感情移入した途端に話が終わってしまう感じ。 | ||||
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美術界、広告業界に生きる男を主人公に、心の機微を端正に描く藤原伊織氏らしい作品3篇が収められている。 ギリシャ神話とレンブラントの絵「ダナエ」に着想を得たという表題作。喪われた過去への悲しみと悔恨をミステリータッチで綴る。(『乱歩賞作家 青の謎』所収 2004年八月刊行) かつての恋人の危機に際し、「自分を卒業できない」主人公の、痛ましい「卒業」を描く「水母」。(2002年7月発表「卒業」を改題) 熟年離婚を題材に、登場人物それぞれの心模様が透かし絵のように現れてくる「まぼろしの虹」。(2006年10月発表) 近作であるこの作品が一番好きだ。一人ひとりに焦点を当て、その内面をふくらませてみたくなる。特に、自由が奪われる前に「ごくふつうの、それもあまり縁遠くなくて、わりに近くにいるはずの人間にふれていたかった」として、二人の男女をひっそり眺めることに時間を費やした男。自由でいられる最後の晩に、真夏のおでんを一心に頬張る男。彼の心のうちはいかなるものか。彼の目に、二人はどう映ったのだろうか・・・ 余白に物語が潜む作品だ。 藤原氏のご病状の回復を心から願っております。そして多くの作品を読ませていただけますように。 | ||||
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美術界、広告業界に生きる男を主人公に、心の機微を端正に描く藤原伊織氏らしい作品3篇が収められている。 ギリシャ神話とレンブラントの絵「ダナエ」に着想を得たという表題作。喪われた過去への悲しみと悔恨をミステリータッチで綴る。(『乱歩賞作家 青の謎』所収 2004年八月刊行) かつての恋人の危機に際し、「自分を卒業できない」主人公の、痛ましい「卒業」を描く「水母」。(2002年7月発表「卒業」を改題) 熟年離婚を題材に、登場人物それぞれの心模様が透かし絵のように現れてくる「まぼろしの虹」。(2006年10月発表) 近作であるこの作品が一番好きだ。一人ひとりに焦点を当て、その内面をふくらませてみたくなる。特に、自由が奪われる前に「ごくふつうの、それもあまり縁遠くなくて、わりに近くにいるはずの人間にふれていたかった」として、二人の男女をひっそり眺めることに時間を費やした男。自由でいられる最後の晩に、真夏のおでんを一心に頬張る男。彼の心のうちはいかなるものか。彼の目に、二人はどう映ったのだろうか・・・ 余白に物語が潜む作品だ。 藤原氏のご病状の回復を心から願っております。そして多くの作品を読ませていただけますように。 | ||||
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