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下山事件 最後の証言



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下山事件 最後の証言の評価: 4.09/5点 レビュー 88件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.09pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全88件 41~60 3/5ページ
No.48:
(1pt)

労作だが陰謀論満載

戦後の不可解な事件の一つの下山事件。
本書は関係者の孫が著作するスタイルです。

GHQ・CIA・G2・CIC・731部隊・戦後の右翼・鉄道弘済会などが登場する複雑さです。

しかし、著者が他殺説にこだわり袋小路に迷い込んだような著作です。

以下疑問点。

1他殺説としての死後轢断と鑑定したのは東大法医学の古畑氏です。古畑氏の鑑定に問題が多いのは有名です。証拠の捏造が疑われているケースまであります。冤罪事件を生み出す鑑定までした疑いもあります。

2三越などで多数の下山目撃証言がありますが偽証だ、警察による偽証強要だとの記述もあります。一人や二人ならば考えられますが多数の人間に偽証させられるでしょうか。

3下山氏の替え玉を準備したとありますが荒唐無稽です。似ている人間を探すのは大変です。探せても当人が承諾するとは限りません。時の人である有名人下山氏を見間違うとは思えません。

4血液を抜いて現場まで運搬して列車に轢かせるなんて非現実的です。自殺に見せかける他殺ならばもっと簡単な方法がいくらでもあります。

5下山油や身体の傷は自殺のためらい傷の可能性があります。油をかぶって死のうとしたが失敗し喫煙具を無くしたのかもしれません。

6他殺説通りだと463ページにある通り100名以上の人間が関与していますが彼らが秘密を守り通したとは信じられません。

7当時絶大な権力を保持していたGHQなどの組織が下山氏が邪魔ならば、くびにすれば済む話で、多数の人間を動員して殺すメリットが彼らにはあるでしょうか。

本書の中盤からは他殺論の立場で延べられる陰謀論や当時の時代背景解説などです。

そもそも自殺だった、つまり、生体轢断の鑑定が正しかったら、本書の意義はあるのでしょうか。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.47:
(2pt)

微妙でした

うーん。。。矢板インタビューは超面白かったけど下山本としては正直微妙でした。
矢板氏にあと2,3回インタビューしてほしかったな
それの裏取った(超難しいけど)らとても面白い作品になったと思うので残念でした。
しかし森達也氏の捏造を指摘し「事実捻じ曲げてしまった人」と断罪し、「事実を捻じ曲げる過程を見たような気がした」というのは大いに同意してしまいました。
しかし著者が黒幕だと断罪したX某氏について、著者はなんの根拠もなく著者の推測の推測の推測の推測・・・の結果という感じなので、「おいおい、事実を捻じ曲げる過程を見たぞw」と突っ込んじゃいましたw
あと、他殺説の法医学的な根拠となっている「生活反応がないことから死後轢死」の古畑教授の鑑定についてですが、古畑教授という人は冤罪事件4件生み出した誤鑑定ばかりしてるいわくつきな人だということは別の下山本にも出てくるし事実でもあるので著者が知らないわけないと思うのですが、あえて明記していないところに著者が森達也氏に対して断罪した「仮説に誘導とする意図」と同様のものを感じてしまったので残念でした。
こういう類の本は、納得させてほしいと思い、納得させられると「面白い本だな、凄い本だな。」、と思います。
肝心のところで憶測の憶測の憶測の・・・みたいなお話だとちときついな、というのが正直な感想ですが、もう年月が経ちすぎていて難しいんだろうな、と思いました。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.46:
(5pt)

下山事件

この本は凄いです 戦後のどさくさの日本の様子が良くわかりました。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.45:
(5pt)

正に決定版!

矢板玄、この人の名前はよく憶えておくべきでしょうね。
登場人物が多いので、自分でよく整理せなあきません。
でも最後まで読ませます。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.44:
(5pt)

利権はいつも闇の中

戦後のいわゆる国鉄三大ミステリー事件の一つと言われるこの事件に、実は作者の祖父が関係していた?
その真実を究明すべく、取材を重ねていく。フィクションという形を取りながら、実は限りなくノンフィクションに近い小説である。作者のその緻密な検証には定評がある。

興味深いのは、当時のいわゆる国鉄利権の構造は、そのまま現在の電力会社の利権構造とほとんど同じだということだ。戦後の電力会社分割に絡む利権をたどれば、おそらく深い闇に踏み込んで行くことになるだろう。

日本の政官財利権は、明治の国策会社の払い下げや、戦前の満州利権の時代、そして今日の利権に至るまで、様々な人間を巻き込みながら、脈々と生きている。
そう、利権はいつも闇の中。

さて、作者の出した「下山事件」の結論は、、、是非本書を読んでください。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.43:
(5pt)

戦前、戦後の闇、そして未来もこの闇は続くのでしょうね

ジャーナリストとして、作家として緻密な取材と現実的な結果を推察しています。まさに完全版ではと思いました。この書籍の参考資料も併読すると現在の政権の動きや未来予想もできるかなとおもいました。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.42:
(3pt)

下山事件のひとつの推論

事件に取り組むきっかけになった出来事から十年以上の時間をかけて、膨大な資料や、新しい証言を基に、これ程の大著を書き上げた著者の胆力には頭が下がる。
自分を持ち上げるような描写が散見され若干鼻につくし、構成があまり上手くなく、当時の社会情勢、事件の検証、証言等がランダムに書かれていて読者を混乱させるきらいはあるものの、これまで定説とされてきた「GHQ主謀説」とは違う観点の仮説を打ち出したという点も、素直に評価したい。
占領下の日本で、権力者や支配者たちがどのような思惑で行動していたのかを知り、時代の雰囲気を感じる事が出来るという意味でも、大変興味深い作品になっている。

吉田茂主謀説や三菱の関与などは、なるほどと思わされる。ただ、GHQが仲の良い下山総裁を殺すはずがないとしているが、政財界にも知人の多い有名人を同じ日本人である吉田茂が殺す事を自然に受け入れている部分は、少し首肯しかねるか。

しかし本書で最も納得出来ないのは、他の方も書かれているが、事件の結論をはっきりと示していない点。
ハードカバーで400頁以上読まされて最後の最後、随所で見られるやや気取った体の文章で書かれた結論は、曖昧で分かりにくく(少なくとも下山事件初級者の自分には)、これには軽い憤りを覚えた。
事件の性質上「真実は分からない」でも仕方がないとは思うが、著者は「ほぼその全容を解明できたと確信している」(p.430)と書いている。それなのにだ。
ここに関しては、同じく推論ながらも結論を明確に述べている松本清張の「日本の黒い霧」の方が遥かに潔い。
殺害の実行犯や、下山総裁の替え玉の名前を知りながらもそれを明かさないという姿勢も、釈然としない。

部品のひとつひとつは精巧なのだが、それらを組み上げるための設計図が無いため未完成に終わっているのに、製作者は完成品だと自負している。

情報量の多さと密度の濃さは頭抜けているだけに、そのような読後感を拭い去れなかった事が、残念でならない。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.41:
(5pt)

おもしろかったです。

友達に聞いて読んで見ました。江戸時代の日本橋について調べていたのですが、地下通路があるという記述が興味深いです。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.40:
(5pt)

大変参考になる本

下山総裁の殺害事件を、多くの資料と壮大な視野から探った本である。
たくさんの人物が登場するが、索引と人物相関図は是非必要と感じました。
事件の中で登場したのは、国鉄民主化同盟の数人もそうであった。京都大学を出て重臣のカバンもちをした経歴があり、大陸にもいたことがある児玉直三は、次期総裁との連絡役でもあった。総裁の替え玉に似た人物と鉄道の中で目撃された森田という人物は、事件の日に大金を手にしたが、その後人工的な細菌に感染し死にそうになった。総裁が宿泊した、連れ込み旅館の経営者は、事件のあとで急に羽振りが良くなった。このような材料が出されているが、それについての推理は深くされていない。その辺を松本清張が生きていたらどう推理するのかと思う。
最近発行の、別人の書いた、白州次郎の嘘と言う本では警察上層部の方針が分裂し、左翼の大量逮捕にブレーキがかけられ、自殺とすることで、真犯人追及をさせなかったという説が出ていた。多くの鉄道事件が起こることにより、警察の体制が分散し捜査が弱体化したように感じられた。作者には、もう一度決定版を書いて欲しいと思った。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.39:
(5pt)
【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

下山事件本の中で圧巻の臨場感

どうやら私も世に言う「下山病」に感染したようだ。ここ1ヶ月の間「下山事件本」から眼を離せないでいる。同病の著述家たちが引きも切らさず事件をレポートしているからだ。
 松本清張が『日本の黒い霧』上巻で本事件をGHQの仕業と断定し、「この謀略の実際の姿は…永久に発表されないだろう」と書いたのは1960年のことだが、この迷宮入り事件の真相はいまだつかめていない。著述家たちはいずれも本事件を、戦後史における「大転換点」と位置づけ解明に奔走している。
 今回読んだ本は上掲書の他、刊行順に、矢田喜美雄『謀殺下山事件』(1973)、諸永裕司『葬られた夏』(2002)、森達也『下山事件』(2004)、柴田哲孝『下山事件』ハードカバー(2005)である。当然ながら全て「他殺説」である。実際に事件に立ち会えたのは、朝日新聞社記者で1913年生まれの矢田のみで、後の3氏は事件当時生まれてもいなかった。3氏は一時行動を共にしたが、それぞれの思惑から別々の本となった。そこにジャーナリスト仲間の疑心・不信関係を読み取ることが出来る。この他に3氏にアドバイスをしていた斉藤茂男の『夢追い人よ』(1989)もあるが、3氏に引用されている部分で十分として外した。
  矢田氏は東大法医学班に加わり捜索も手伝ったという異例の記者である。同氏のお手柄は、氏自身が実際にルミノール液を使用し、下山総裁の轢断現場から列車進行方向の上手側200mに亘る枕木上に、総裁の血痕を発見したことで、下山氏が他所で殺害された後現場に運ばれたとする他殺説の傍証となった。他にも被害者の衣服に付着していた大量の油や、染料の種類も特定しており、著書はその捜査報告の体裁も兼ねている。
  下山事件追求の面白さは、事実発見と原因追及にある。原因の推定と事実の検証は切り離せない。従って後続書は矢田書を底本にして「新事実」の発見に力を入れる。そうは言っても事件から50年を経て新たな物証が出るはずなく、著者等が目指すのは、事件に関わったと目される人々が、老いて死ぬ前に、隠蔽してきた事実を告白してくれるのではないかという淡い期待で試みるインタビューである。
  森氏の重要な発見は、1994年に映画監督の井筒和幸氏から、「彼」と呼ぶ知人を紹介され、事件の「共謀者」のアジトが、下山氏が失踪した三越と目と鼻の先にあるライカビルにあったと知ったことだ。矢田氏は八重洲ホテルと推定していた。三越からライカビル付近まで地下道で行ける。ビルには亜細亜産業という怪しげな「貿易会社」があり、大物右翼の矢板玄が社長をしていた他、4階にはGHQ関係者のサロンもあったという。森氏は週刊朝日の諸永氏を誘って調査を始めるが、諸永氏の記事が週刊朝日に掲載されて物別れとなった。森書はその「彼」を始めとする風聞だけで構成され、氏独自の発見はない上に、その「彼」から、伝えたことが曲解されていると抗議を受ける等問題が多い。
  諸永氏は森氏と袂を分かった後、機関通信社の記者らしく、アメリカまで渡って、元キャノン機関員の延禎(韓国人)や戦後直ぐ北海道でソ連からの帰国日本人の思想調査に携わり、下山事件発生の直前に上京してキャノン機関に加わったジョージ・ガーゲット氏とのインタビューに成功するが、両氏とも口が堅く、あの世まで秘密を持って行くと確信しただけで空手で帰国する。諸永書はその苦労話が唯一の報告と言うだけの内容に終わっている。
  柴田書(本書)は森氏と諸永氏の調査の発端となったその「彼」が遂に現した書である。柴田氏が出版を逡巡していたのは、彼の祖父、大叔母、母親などの血族が亜細亜産業に関わり、或いは下山事件にも関与していたかも知れないと思っていたからだ。氏もジャーナリストの一人であり、その精神が遂に本書を書かせたと述べている。
 発端は柴田氏の祖父の33回忌法事の席で、祖父の妹が酔って口走った言葉、「あの事件(下山事件)をやったのは、もしかしたら兄さんかも知れない」にあった。著者はそれまで同事件には全く関心を持ってなかったのだ。祖父は英語が堪能で、矢板玄に誘われて亜細亜産業に入り、同社の幹部社員だったと知る。下山氏とも懇意だったという。同社には祖父の妹と娘も事務員として働いた。大叔母は高齢とはいえ抜群の記憶力の持ち主で、当時を知る生き証人としてこれ以上の相手はいない。しかも身内でインタビューに制限はない。関係者が集った場面の写真もある。著者の仕事は彼女の話の「裏を取る」ことだ。
  著者の成果は矢板玄氏との単独インタビューに成功したことである。矢板市役所の窓口で生存を尋ねた際、わざわざ応対した市長の矢板氏に対する畏敬ぶりに驚く。市役所の向かいに豪邸を構える氏は、訪れた著者の喉元に突然抜刀を突きつけて脅すが、元部下の孫と判ると上機嫌で会談は3時間に及ぶ。多くの話は大叔母の証言と一致する。亜細亜産業は北朝鮮と密貿易をしながらスパイを送り込んでいた等々、大叔母も知らない裏話も披露される。下山事件に及ぶと口が重くなった。ただし世上伝えられているGHQ犯行説も、共産主義者の犯行説も否定し、下山氏死亡の後、国労左派と共産党が求心力を失い国鉄の大量解雇が加速されたという著者の発言を、「結果論に過ぎない」と一蹴する。「祖父が日記を残していた」の言にうろたえ、俺が死ぬまで公表しないと約束させられる。本当は祖父の死亡後日記は大叔母の手で消却されたのだが、彼等に何かがあったと確信出来た一瞬だった。この後程なく矢板も大叔母も死亡する。生き証人が日一日と居なくなって行く。
  これから先は著者の推理が光る。森や諸永が到底及ばない能力だ。先ず矢田書が伝える、事件現場で高級外車を見たという工員の証言や、熱海で自殺した男の日記に事件への関わりが記載されていたと言う同僚記者の情報は、矢田記者を惑わせるために仕組まれたガセ種ではないかと違い、専属運転手の大西氏が朝9時半に三越前で同氏を下ろした後、夕方5時過ぎまで漫然と待っていたとは考えられず、同時刻まで行方不明にさせておくような何らかの脅しがあったのではないかと考える。自殺説の根拠となった「下山氏が現場近くの旅館で休憩した」と証言した女将から祖父宛に毎年年賀状が届いていたという事実や、旅館近くの河から防水シートが見つかり、中に轢断現場で見つからなかった下山氏のロイド眼鏡があったと言う他書にない事実も記される。総裁の出血が少なかったのは、亜細亜産業に出入りし大叔母に結婚を申し込んだりした殺人男による、血抜き拷問の結果ではないかと考える。彼の推理の範囲では矢板玄や大叔父の事件関与は免れそうもない。
  実行犯の特定と併せて著者は犯行の原因追及にも推理を延ばして行く。矢板玄の「もっと射程を延ばして考えろ」が論拠となる。国鉄職員の大量解雇は下山の死亡前に発表されていた。もともとGHQの後押しを受けた国鉄総裁をGHQが殺す謂われはなく、共産党を黙らせるなら三鷹と松川事件だけでこと足りた。松本清張が唱えるGHQ内部でのG2とGSの対立はすでにG2の勝利で決着が付いていた。消去法で考えて行くと自身も相当な策士であった下山総裁が、知られては困る情報を見つけたのかも知れないと言う疑問が残る。
 そこから先は愚鈍な読者の私には手がつけられない。唐突に次のような言が記される。「日本政府は外資から国鉄を守るために下山総裁を抹殺したのではないか」。ドッジプランの裏でジャパンロビーが冷戦の最前線に位置する日本の鉄道網を米軍の輸送網として確保するため、先ず民営化しそれから乗っ取ろうとしたのではないか。という意味に取れるが、では何故下山総裁なのかが判らない。
  最後の大風呂敷を除けば実に読み応えのある本であった。かなりの確率で、冷戦の開始という緊張した時期に、アメリカの反共勢力の意を組んだ日本の反共・右翼勢力が実行犯になったと考える著者の推論に感嘆するばかりである。
 余録として、同書は戦後史の表面で称えられている吉田茂を始め岸信介、佐藤栄作等の政治家、白州次郎やエリザベスサンダーホームの澤田美喜等の文化人の裏面の汚れも暴露する。歴史書や教科書が決して書かない史実を知るだけでも意味ある参考書である。
  このレビューを終いとして、私も下山病から回復したいが、来年(2014年)は時効50周年でもあり、全快はなかなか難しそうだ。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.38:
(5pt)

一番真相に近い

他殺を無理やり自殺説を出したり変な事件ですね。
何冊か読みましたが、一番真相に近いと思います。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.37:
(4pt)

意外と面白かったです。

元もとこの事件にあまり関心は無かった上に、こちらのレビューの批判的な文章も読んだ上なので、特に期待もせずに読んでみたら、予想した以上に面白かった、という感想です。
(それならなぜ読もうと思ったかと言いますと、一種の懐古趣味です。この本に鈴木金属という会社が登場するらしいと知って、少し関心を持ちました。その昔、鈴木金属の工場の近くに住んでいたので。)

実は松本清張氏の「日本の黒い霧」(の「上」だけ)も読みました。その理由も同様で、その昔の最寄駅だった赤羽駅の周辺のことが描かれているらしいと知ったためです。もっとも清張氏は「北区のある場所」とか「ある駅」と言うのみで、赤羽駅と明示していません。米軍に遠慮したのでしょうかね。

清張氏の本に「人が入れる大きさの四角いオイルカン」という推定が書かれていますが、「それほどの大きさで四角い缶なんてあるのかな?」と思いました。そういう缶は、鉄板を相当厚くしないと強度を維持できないはずなので、コストから考えても現実的ではない、と感じました。

その点、柴田氏の本では「ドラムカンを縦に二分したもの」という推定と、その実例も描かれていて、この点は「柴田氏の勝ち」だと思いました。(40年以上の時間差があるのでフェアな勝負ではないかもしれませんが。)

矢板氏の口を通して描かれる形のキャノンの人物像が生き生きと(?)していて面白かったです。

と同時に、柴田氏が「私が知る限りで、矢板玄ほど人を魅了する術に長けた人物はいない」と書いている通りに、矢板氏の人物像も伝わってきます。

この本によると、キャノンはガダルカナル島攻防戦のアメリカ側の指揮官だったとのことで、そうだとすると、「シン・レッド・ライン」という映画でニック・ノルティ氏が演じた人物のモデルなのでしょうかね。映画では実際よりかなり高齢に描かれていたようです。

八重子さんが夫と別れた理由を「ここで書くべきことではない」と書いていますが、その少し前で、簡単に
ですが、書いていますよね…

で、結論としては、私の理解では、政権与党や右翼の収入源だった国鉄を改革し、与党の汚職も公表しようとしたらしい下山氏を、与党と彼らを支持するCIA・右翼が共謀して排除した、ということのようです。

まあ、そうかもしれないし、そうでないのかもしれません…

で、鈴木金属は、柴田氏の考えでは、マスコミや警察をミスリードするためのおとりで、実際の犯行現場は綾瀬駅近くにあった亜細亜産業の工場内らしいと…

熊井啓監督の映画では、(名前は変えてありますが)ピアノ線を作っている会社が、胡散臭い場所として登場するようです。

その後、「日本の黒い霧」の「下」を読み始めたら、最初がダイヤモンドの話で、柴田氏の本のダイヤの話の背景がよくわかる気がしました。

柴田氏の本では、矢板氏がダイヤを埋めたのは戦後の話ですが、清張氏の本では「海軍が二万カラット以上のダイヤを、昭和19年に、那須地方のある個人宅に埋めたことがある。…黒磯事件と呼ばれた」とあります。一応別の話なのでしょうかね。

→どうやら全く別のできごとのようでした。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.36:
(4pt)

日本史の闇

ホントに? と眉唾ながらも、面白く読みました。
史実に残らないことっていっぱいあるんだろうなぁ。
浦沢直樹の『BILLY BAT』なんかは、こういう本を読んでから読むともっと面白いと思う。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.35:
(4pt)

下山事件

私が生まれる前のことなので、内容としても興味があったので面白かった。ただ、少し難しいかも。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.34:
(4pt)

完全版への批判が多いようですが

完全版しか読んでいないゆえ、十分楽しめました。
近親者からスタートし、展開して行くノンフィクションはこれまでにも多々あり、珍しくはないが、が日本現代史重大事件ということになると、生存者もいるし、なおかつ以前極秘にされていることも実際に多く、かなり困難な作業だったことは容易に想像がつく。
その分、記憶の曖昧さや、歪みもあるだろう。
それを立ち止まり立ち止まり、解きほぐし、悩み、追求していく姿勢は共感が持てる。
GHQ、政治家、CIA、左翼、国鉄、右翼、財閥、それらが実名で登場するノンフィクションならではの醍醐味はじゅうぶんにあじわえる。
しかし、歴史というのは怖いものだ。
ほんの最近のことでさえ、隠蔽され、歪められ、真実を見えなくする。
そしてその上に また歴史が積み重ねられて行くのだから、ディスクロージャーや政治への監視、ジャーナリズムの適正な機能の重要性を痛感せずにはいられない。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.33:
(5pt)

気持ち良い対応でした。

早く、気持ち良い対応でした。これからも機会があればよろしくお願いします。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.32:
(5pt)

あたりまえですが下山総裁は自殺です

下山総裁は、他殺か自殺か。
いままでの研究史を踏まえれば、100パーセント発作的自殺と断言できます。

発作的自殺説の決定版は佐藤一『下山事件全研究』です。
このレビューをご覧の方々、あるいはこの柴田哲孝氏の本に書いてあることが事実だと思われた方々が、佐藤一『下山事件全研究』をお読みになれば、発作的自殺説が正しいことを、おそらく99パーセント程度の方はご納得いただけるのではないかと思います。
佐藤さんは松川事件の被告として逮捕・起訴され、14年間の法廷闘争の末に無罪判決を勝ち取った人物であり、完璧な左翼の方です。松川事件と同時期に起きた下山事件も、GHQあるいは日本政府による他殺と当初は考え、「下山事件研究会」の事務を引き受けたわけですが、調査を進めるとどう考えても発作的自殺説しかありえないという結論に至ります。
他殺の根拠とされた物証について、地道な調査に基づいてほぼ完ぺきな反論に成功しております。

占領史研究会という、占領期を研究する左翼歴史家の大きな研究者グループがありますが、この研究者グループも、佐藤一氏の説がまったく正しいと結論付けております。
なんでもかんでもGHQ・保守政権が悪かったと言いたい左翼の研究者グループですら、佐藤説を支持しているほど、発作的自殺説は強力です。

もともと他殺説が世間に広まったのは、松本清張氏の著作によるものですが、これはGHQの文書を、英語もあまり読めないのに都合よく解釈するなどとんでもない作品です。
私は松本清張氏は嫌いではないですが、下山事件他殺説という荒唐無稽な説を広げた罪は否定できません。
多くの方々が、佐藤一『下山事件全研究』をご存じない中で、国民的作家である松本氏の主張が国民に浸透してしまったことは残念です。

さて柴田哲孝氏のこの本ですが、フィクションの読み物としては面白くできていると思います。その点は、松本清張氏と同じです。
柴田氏は賢明な方だと思いますので、下山総裁が発作的自殺であることは百もご承知だと推測します。
しかし、下山総裁が発作的自殺説だという事実を本にしても、本が売れないですから(そもそも出版すらできないですから)、他殺説をもっともらしく見せるあの手この手を使って見事なフィクションをお書きです。
日本推理作家協会にご所属の優秀な推理小説作家柴田氏ですからその点はよくできています。

柴田氏の、人を楽しませようとするサーピス精神を美徳として評価し(勿論皮肉の意味ですが)、星5つにいたします。
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4396632525
No.31:
(5pt)

下山国鉄総裁事件の犯人は私の祖父だ

『下山事件 最後の証言』(柴田哲孝著、祥伝社文庫)は、下山事件に関心を持つ者にとっては、見逃すことのできない一冊である。なぜなら、「GHQ(占領軍総司令部)の特務機関員だった私の祖父が、この事件の実行犯だ」と主張する著者・柴田が、事件の真相に迫った型破りのドキュメントだからである。

この作品と松本清張の「下山国鉄総裁謀殺論」(松本清張著、文春文庫『日本の黒い霧』<上巻>所収)を併読することによって、さらに知的好奇心を満足させることができるだろう。清張は、敢えて小説の形はとらずに、事実の部分と推理の部分とを書き分けた、と述べている。この戦後のアメリカ占領下に起きた怪死事件の裏に蠢く大きな謀略に肉薄しようとする清張の執念たるや凄まじい。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.30:
(5pt)

コスパ高し

「謀殺下山事件」の映画を見たのは昭和56年の秋だった。長期出張先の長崎県大村市の場末の映画館だった。別にこの映画を見たかったわけではなかった。ただ暇な日曜の午後を潰そうとしただけだった。
そもそも昭和24年に起きた下山事件なんて知らなかったし、この映画しかやってなかったから見たにすぎない。
しかし映画そのものは非常に面白かった。というか、フィクションなのかノンフィクションなのかよく分からない展開で、多分そのときはフィクションだと感じていた。だがフィクションにしては内容が重すぎる気がしていた。まあ、そのまま現在に至ったわけだが。
で、先日テレビを見ていたらこの本の著者が出ていて、犯人は分かっているが今は言えないということを言っていた。この話を聞いて急にこの本が読みたくなってアマゾンで買って読んだわけだ。
著者は犯行の首謀者の名前をはっきりとは明かしてはいないが、結局著者が言いたかったのは、犯行の首謀者はときの○○国鉄副総裁かのちの総理大臣である△△ではないかということだ。
まあ今となっては二人とも亡くなっているし、まわりの関係者もこの世にほとんど生きていない。真相は結局闇の中だろう。
ところで、この映画だが、また見たくなってアマゾンで検索したら現在発売されていないのは勿論のこと、中古に数万円の値がついているのに驚いた。この作品は多くの人に見てもらいたいものだ。この作品が再発売されないのはそれこそこの事件を今更表沙汰にしたくない誰かの謀略ではないだろうか。
下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
4396632525
No.29:
(4pt)

『ビリー・バット』を読む前にこの本を読もう。

医学生時代、法医学の講義の中で、下山事件について、こんな趣旨の話を聞いた事が有る。下山総裁の死体に生活反応が有ったのか、無かったのか、即ち、下山総裁の轢断は死後轢断だったのか否かを鑑定したのは大学院生であった。そして、その大学院生の鑑定の為に、「下山事件」はこんなミステリーに成った、と言ふのである。即ち、下山事件における下山総裁の死体の鑑定は、未熟な大学院生がした物だった事を示唆する逸話を聞いたのであるが、その逸話を語った私の大学の法医学の講師(当時)は、決してはっきりとは言はなかったが、下山事件における法医鑑定は信頼の置けない物だった、と考えて居るのだと、学生であった私は受け止めた。その講師は、その話をなかばオフレコの裏話の様にその話をしたのだったが、その影響が有ったのだろう。私は、永い間、下山事件について、何を信じていいのか分からず、書店に並ぶ下山事件関係の本にも手を伸ばさずに暮らして来た。(ちなみに、当時の私の大学の法医学教授は、慶応系の法学者であった)従って、私は、下山事件に関する知識は極めて浅い。松本清張の著作も読んで居ないし、その他の本も読んで居ない。そんな知識の浅い人間の感想として、以下を読んで欲しい。
 ここに書かれた書評(レビュー)を読むと、本書の著者の手法には、色々問題が有る様である。即ち、過去に書いた事との整合性や、事件に関する著者個人の分析などには、色々問題は有るのかも知れない。その点について、予備知識が乏しい私は、あえて論評はしない。しかし、それでも、著者の祖父が、下山事件に関はった当事者であったらしい事は、余りにも重要な事ではないか。そして、関係者の大部分が既にこの世を去った時点で、ここまで当事者に近い所からの証言を発掘した事の意義は矢張り、余りにも大きいと、私は思ふ。
 『ビリー・バット』を読む前に、この本を読む事を、若い人々にお薦めする。

(西岡昌紀・内科医(下山事件初心者))


下山事件―最後の証言Amazon書評・レビュー:下山事件―最後の証言より
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