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下山事件 最後の証言
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下山事件 最後の証言の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.09pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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柴田哲孝『下山事件 最後の証言』『下山事件 暗殺者たちの夏』読了。 『暗殺者たちの夏』を読んでいる途中に、著者の新刊『暗殺』が刊行され、新聞でも大きく宣伝されている。この『暗殺』は、安倍総理の暗殺には致命傷となった別の弾丸があった等という、小説だとしてもトンデモ系陰謀論らしい。普通であれば、こういう著者の本は読まないのだが・・・。 読んだのは、最初に『最後の証言』を読んでいたからである。 この本は、著者が大叔母から、著者の祖父が下山事件に関係していたらしいという話を聞いたところから始まる。 そこから、2000年前後の当時生存した関係者を訪ねて、下山事件の全貌を明らかにしようとするルポルタージュだ。 カギとなっているのは、著者の祖父が当時勤めていた、日本橋にある亜細亜産業という会社である。 ここは、戦争中に中国大陸で陸軍の特殊任務の下請けをしていた特務機関の生き残りたちが再結集し、戦後においてはGHQに取り入り、非合法的な任務を下請けすると同時に、合法的にも利権を得てビジネスを展開していた拠点である。亜細亜産業の上の階にあるサロンには児玉や田中清玄等の右翼から共産党等の左翼、そして吉田茂や佐藤栄作等の首相や大物政治家、白洲次郎等のフィクサー、加えてヒットマン等が出入りしていたとされる。 そして同書では、亜細亜産業がGHQのキャノン機関と組んで、下山事件を引き起こしたらしい、ということを匂わせるだけで終わっている。それがノンフィクションの限界であるという理由で。 これに対して、『暗殺者たちの夏』は、前書ではノンフィクションという制約から描き切れなかった全貌を、小説という手法で描き切ったとされている。 それで、読んでみたのだが、確かにストーリーは全部つながっている。 亜細亜産業は、ロマンス社という出版社を経営しており、「ロマンス」という雑誌を国鉄売店で販売していた。その売れ残りをすべて国鉄に買い取らせて甘い汁を吸っていたのだが、当時のGHQは国鉄のずさんな経営にメスを入れ、10万人の首切りをはじめとする合理化を進めようとしていた。その過程で、下山はロマンス社にかかわる国鉄の裏帳簿を入手したというのである。 そして亜細亜産業は、この帳簿が明るみに出ることを恐れ、GHQ内の特務機関であるキャノン機関を巻き込みつつ、国鉄総裁である下山の誘拐と殺害を計画したというのが本書の骨格である。 前書:ノンフィクションでは、直接、著者がインタビューした以外にも、報道されたり記録されたりしている様々な証言があるのだが、本書:小説ではそれらの多くを取り入れつつ矛盾が無いようにストーリーをつなげているように見える。 が、犯罪計画としてみると、骨格的なところで疑問符が数多くついて回るのである。 例えば、下山は日本橋三越内で3人の男に取り囲まれ、その後、地下鉄駅に移動し、そこでの目撃を最後に姿を消している。 小説では、下山は声を出そうとしたが、喉が引きつってこえがだせなかった、と書いている。しかし、三越の中で、あるいは地下鉄駅で、さらにはクルマに乗せられようとするときに、大声で助けを求めたらどうなったのか。 誘拐は成立しない。本当に誘拐を試みるとしたら、こういうずさんな方法を採用するだろうかという疑問である。 しかも、下山は当日、お迎えの車で不可思議な動きを繰り返したのちに、三菱銀行の貸金庫から裏帳簿を引き出し、日本橋三越に入るときには、クルマの後部座席に置いたままにしていったとされる。 実行犯たちは、誘拐した下山を拷問し、クルマの後部座席にあることを聞き出すと、二人の男を派遣して、運転手を脅して裏帳簿を回収したとされている。 しかし、まず、当日に下山が貸金庫に寄らず、裏帳簿が残った場合には、犯罪の証拠がまる残りになってしまうのである。 あるいは、運転手は何時間も三越の前で下山の帰りを待っていて、その間に下山失踪がニュースになっているが、運転手は知らなかったとされるが、もし運転手が不審に思って国鉄本社にクルマを回送していたら、犯人たちは窮地に陥るはずだ。 こんなずさんな計画を立てるだろうか。 その他にも、下山の衣装を着た男が五反野の旅館で休憩し、周囲を歩き回って目撃者をつくるというシーンがある。これは旅館の経営者が元特高警察で旅館の女将も含めて犯人側の協力者とされている。他の著作でも、そこまでは事実らしいのだが、このために下山を裸にし、さらに殺害後に苦労して衣装を着せる様子まで描写されているのだが、灰色のコート、ソフト帽、ロイド眼鏡等であれば、遠目にしか目撃されないのであるから、似たようなものを似たような背格好の男に着せて歩かせれば済むことだ。どうにも合理性が感じられない。しかも、この小説では、目撃者が「国会議員の西尾末広に似ていた」と証言しているところから、犯人グループに弱みを握られている西尾が下山の服を着させられて歩かされるというシーンまで挿入している。これなどは、荒唐無稽というか噴飯ものとしか言いようがない。 が、しかし、ロマンス社の国鉄利権をめぐって亜細亜産業が犯人であったということまで、否定しようとは思わない。ノンフィクションも含めれば、かなりのリアリティがあるからだ。上に書いたことは、小説にしたにしては、杜撰なところが目立ってしまうという意味である。 ところで、過日、NHKBSで「未解決事件 下山事件と占領期の闇」という番組をやっていた。GHQの秘密文書が公開されたことに焦点を当てつつ、小説でも実行犯の一人とされている在日韓国人にも犯人グループとして焦点を当てているのだが、亜細亜産業については一言も触れられていなかった。 NHKは著者については、うさんくさいトンデモ系としか評価していないのかもしれない。 松本清張の『日本の黒い霧』で下山事件について読んで以来、この問題に関心を持ち続けているが、今もって疑問は解消されないのである。 | ||||
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史実は未確定ではあるが、その示唆に富む内容により深層に近いと思う。 | ||||
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ストーリーは松本清張の推理小説と同じ手法と思われる。 | ||||
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この事件については3冊目ですが、最初は写真などもあり真面目に読んでいましたが、とにかく長いし、繰り返しが多くてうんざりでした。 | ||||
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内容は面白かったが、信憑性には疑問が残るので、「小説」といったほうがいいかもしれない。 なによりも、他のレビュアーさんもすでに書いているが、白洲次郎ではないかとされる写真の人物が明らかに白洲次郎ではない。画像検索して見比べてほしい。別人である。 | ||||
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「下山事件には矢板玄なる人物が代表である亜細亜産業という貿易商社が鍵を握っている」という仮説である 下山事件平成三部作と言われる作品の元ネタでもあり、当の亜細亜産業の関係者の孫にあたる人だけあって おそらく、三部作の中では最も説得力のある話であると思われます。 しかしながら、氏の考える仮説や下山総裁の殺された理由などについてはやや眉唾といいますか、 いかにも平成のミステリー作家のアイデアといったような 壮大すぎる世界観であり現実性や当時の世相を無視した飛躍した理論といわねばなりません。 また近親者の証言についても、50年も前の話にもかかわらず不自然に詳細すぎたり、かといって大切なところは忘れられているなど やや信ぴょう性に欠けるのではないかと感じてしまう部分が多々ありました。 うがった見方をしてしまうと、日本はアメリカにすべてを支配されているという陰謀論が好きな人やミステリー好きの人を意識してこのような仮説を立てたのではないかとすら思えます。それだけに下山事件を知らない人、人を疑うことを知らない人はこの仮説を真説と信じて疑わなくなってしまうような恐れもあります。 ある程度下山事件のことをご存じの方、疑いの目をもって本を読める方であれば、新たな情報や仮説を立てるのには 参考になる書籍といえます。 亜細亜産業については、別の作者の記した戦後の裏面史でも密貿易などに携わった企業としての記載があるため貿易商社として存在したことは 間違いなく、当時のそのような企業であれば、旧日本軍をはじめ外国人や満州浪人、右翼団体や極左団体とのコネクションがあることや 殺し屋ややくざまがいの人などと仕事をしていることは不思議なことではないため、下山事件の実行犯(他殺の場合ですが)や関係者などとの何らかの関与があった可能性や実行犯に何らかの便宜を図った可能性はそれなりに高いと考えることはできます。 ですが、一般論としていくら裏側の経済では大きな力を持っている人物や企業であっても、 当時の裏切り裏切られの世相で一企業の代表に過ぎない人物にわざわざ日米の政府要人が全幅の信頼を置き、事件を起こす理由などを洗いざらい話したうえで協力を仰ぐなど到底考えにくいことです。せいぜい、情報伝達や人材の紹介、資金調達などの便利屋に使う程度にとどまるでしょう。下山事件の全貌を著者の祖父や矢板氏が把握していて深入りしていたとは考えにくいと言えます。 また戦後の混乱期に裏稼業で稼いでのし上がった人には、自分の功績を大きく見せるためにハッタリをかましたり、自らの成果を誇張したり、ほら話、ねつ造話をして話を盛る人が多いのも各所で指摘されており、柴田氏も祖父や矢板氏に乗せられてしまったのではないかなあとも 思えます。 | ||||
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明らかに白洲次郎ではないです。(笑) 写真説明では「白洲次郎と思われる」という表現で断定はしていませんが、「思われる」という言葉を使えるほど似てなんかいません。 はっきり言って全くの別人としか言い様がないです。(笑) 亜細亜産業を大きく見せようとしたいあまり筆が滑ってしまったのでしょうか・・・。 冒頭口絵の写真の人物説明でいきなりこの本に対する信憑性に疑問符が付いてしまうのが残念です。 内容についてはそこそこ面白かっただけにあの写真説明は何とかした方がいいと思います。 | ||||
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そこそこ面白かったです。これをベースにした小説の方は、伏字になってる人・推測の部分を埋めるために小説としたのだと思いますが、小説の方はちょっと残念な感じだったので、こっちを読んでおけば十分鴨。 | ||||
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事件に取り組むきっかけになった出来事から十年以上の時間をかけて、膨大な資料や、新しい証言を基に、これ程の大著を書き上げた著者の胆力には頭が下がる。 自分を持ち上げるような描写が散見され若干鼻につくし、構成があまり上手くなく、当時の社会情勢、事件の検証、証言等がランダムに書かれていて読者を混乱させるきらいはあるものの、これまで定説とされてきた「GHQ主謀説」とは違う観点の仮説を打ち出したという点も、素直に評価したい。 占領下の日本で、権力者や支配者たちがどのような思惑で行動していたのかを知り、時代の雰囲気を感じる事が出来るという意味でも、大変興味深い作品になっている。 吉田茂主謀説や三菱の関与などは、なるほどと思わされる。ただ、GHQが仲の良い下山総裁を殺すはずがないとしているが、政財界にも知人の多い有名人を同じ日本人である吉田茂が殺す事を自然に受け入れている部分は、少し首肯しかねるか。 しかし本書で最も納得出来ないのは、他の方も書かれているが、事件の結論をはっきりと示していない点。 ハードカバーで400頁以上読まされて最後の最後、随所で見られるやや気取った体の文章で書かれた結論は、曖昧で分かりにくく(少なくとも下山事件初級者の自分には)、これには軽い憤りを覚えた。 事件の性質上「真実は分からない」でも仕方がないとは思うが、著者は「ほぼその全容を解明できたと確信している」(p.430)と書いている。それなのにだ。 ここに関しては、同じく推論ながらも結論を明確に述べている松本清張の「日本の黒い霧」の方が遥かに潔い。 殺害の実行犯や、下山総裁の替え玉の名前を知りながらもそれを明かさないという姿勢も、釈然としない。 部品のひとつひとつは精巧なのだが、それらを組み上げるための設計図が無いため未完成に終わっているのに、製作者は完成品だと自負している。 情報量の多さと密度の濃さは頭抜けているだけに、そのような読後感を拭い去れなかった事が、残念でならない。 | ||||
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亜細亜産業というのは初めて聞いた。下山国鉄総裁が謀殺されたつまり他殺であることは間違いないが。いったい誰が指示して実行したのかは異論錯綜して今もよくわからない。下山総裁謀殺、三鷹事件、松川事件が国鉄労働組合をターゲットにした三点セットの謀略とすればghqの諜報機関の関与が疑われるのは当然である。ghq諜報機関の了解がなければあんな大規模な謀略工作が成功するはずがない。私が興味を持ったのがシベリア帰りの読売新聞記者と現在もあるピアノ線会社の経営者が山形県天童市の同郷でどうも知り合いだったということ。このことに鋭敏な松本清張も感ずいて小説に書いている。推理するに読売新聞記者はシベリアから帰国時の諜報機関の面接でヒモがついた。読売入社も諜報機関の斡旋だろう。つまりスパイである。役割は情報操作である。つまり本筋からもっともらしい情報を出して逸らす、ciがよくやる情報操作である。下山を殺したのは特務機関だろ。 | ||||
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ここ数年,森達也,諸永祐司が下山事件に関する新しい観点の著作を出しているが,それら2者と本書は,実はほぼ同じ新情報を基に著されたもの。 その元ネタは,柴田氏の取材活動によるものだ。 彼の力量と言うよりは,彼の親類縁者に事件関係者とおぼしい人がいたという偶然が大きかったようである。 いずれにせよ,森氏,諸永氏は,いずれも伝聞情報をもとにしていたわけで,実際,両者の下山事件に関する著作は,読後感としても迫力には乏しかった。 その意味で,ここ数年の著作の中では一番だと思う,のだが。 全体として,本書の出来もすばらしいとは思えない。 理由は,結局のところ,柴田氏自身も,自分の得た情報を紹介する以上にはこの事件を消化し切れていないように思われるところにある。 過去に指摘された事項のうち,そもそも検討の俎上にすら上っていない点も多々見受けられる。 また,錯綜する情報の取捨選択も首尾一貫しない。誰を信じ,誰を信用しないのかすら曖昧だし,自己の目指す結論に都合のよい情報だけをつまみ食いしているように見える。 著者がそれを自覚し,読者に白状しつつ筆を置くのならばそれもありだろう。 なにせ,これはあの下山事件を扱っているのだから。 しかし,本作は,著者なりに結論を得たとしつつも,肝心の部分では伏せ字を多用し,結論を明示することを避けている。これでは,結論が出たという彼の独白も空々しく響くのみだ。 森氏,諸永氏に自己の取材結果を先に報じられた焦りがあったのかも知れないし,身内の犯罪に触れる部分にはこれ以上踏み込めなかったのかも知れないが,しかし詰めの甘さは致命的であった。 ドキュメンタリーとしての満足度は残念ながら高いとは言えない。 小説だと思って読めば,この評価くらいにはなるであろう。 | ||||
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本人の大叔母の話から始まって、戦後の闇の中で蠢いたと思われる祖父及び 亜細亜産業の話として語られている。 その話を孫の視点から描くこの作品は迫力があるし、面白い。戦後史の1ページとしては 評価されるべきではないか。 ただし「下山事件」としてはどうかというと疑問がある。 ほとんどが、50年もたった証言と想像である。状況証拠の積み重ねでは説得力は無い。 ましてや「殺害の動機(「国鉄民営化」や「汚職ネタ」)」には根拠がない。 下山総裁は6月1日に就任している。殺害の約1ヶ月前だ。どうしてそんな人物を「GHQ」 や「三菱」や「矢板機関」は総裁に就任させたのか?全く疑問だ。 個人的には下山総裁は「自殺」か「事故死」であると思う。 しかしそれでは面白くない(「本が売れない」「視聴率がとれない」等)から、 今後も謀略論が幅を利かすだろう。新たに出てくる本や番組は「謀略論」をベースに書かれるだろう。 しかしそれは真実とは程遠いとは思う。 | ||||
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