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カノン
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カノンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.79pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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作品の内容はとても気に入っています。 作者特有の厚みや深みが感じられる心のドラマです。 そして、そこにはたしかに怪異も描かれるのですが、作品全体からするとそれはスパイス程度のものであり、物語の主体はあくまでもヒロインの心の揺らぎとその行動にあります。 知人の死をきっかけに、それまでの日常に違和感が生じ、立ち止まって振り返り、戸惑いと逡巡の中から新たな自分を再発見する。 そういう、いわば「自分探し」のドラマだと思います。 そこに加えられたホラー要素(とも言えない程度ですが)は、物語に必要ではあっても、それが中心となって登場人物たちをかき回すほどのものではありません。 にもかかわらず、カバーの裏には「異色ホラー長編」と書いてあり、ホラーのファンを当て込んでいるのが明確。 これでは本格的なホラーを期待するファンは肩透かしを食ってしまうのでは。 内容はすばらしいのですが、売り方が悪いです。 | ||||
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多分、人生とはこういうものなんだろうな。死ぬまで生きるだけ。 | ||||
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ストーリーの面白さ、記述の正確さとも十分満足できました。 何度も読み返しました。 | ||||
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音楽に関する話題が半端ない。 解説はピアニストの青柳いづみこ。音楽学博士が解説を書こうと思うくらい、音楽に対する話題が豊富。 「器楽合奏による日本の四季」実際に存在している楽曲か、架空のものかが分からない。 カノン、フーガが、話題にしているのはどの曲か、できれば楽曲一覧があると嬉しい。著者の推奨CDも合わせて。 | ||||
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天才バイオリン奏者の夭折と、それを取り巻く演奏家たちの物語。真の芸術家は誰でもそうかも知れないが、特に音楽家の道の険しさは、同時に平凡な家庭生活などを平行するのが難しいなと感ぜられた。職業的な音楽家で満足できない康臣と出逢った瑞穂が常ならざる共演の後、いつしか音楽教師という安易な?道を選び、平穏な家庭人となってゆく。その後自死した康臣から贈られてきたテープが、数々の異常現象を引き起こし瑞穂を悩ませる。 だが康臣の演奏は、一般的な感動を呼ぶ音楽などを大きく超えた、優れたものであることを悟るに至る。そのためには康臣は命を捨てざるを得なくなるのだが、最後になってそれに気付いた瑞穂は・・・。北アルプス穂高岳の場面は、登山家だった篠田らしい描写だ。雷に打たれながら聞こえてくる康臣の曲がクライマックスとなる。音楽関係の用語や技法は素人には分かりにくいが、それを気にしないでも読め、芸術家の厳しさが伝わる作品である。 | ||||
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他の人たちが指摘するとおり、ちっとも怖くない。超自然的な要素もさほど強くなく、確かにどう見てもホラーとは呼べないだろう。 しかし、だからといって小説として否定することができないのは当然で、これが実に面白いのである。テーマは「至高の芸術追求」とでも言おうか。それを一気に読ませてくれる筆力も大したものだが、その果てに待っている文字通りのクライマックスの派手さには驚かされた。いくつかの論理的な疑問点も、力技で強引に持ってきたこのスペクタクル・シーンの前にはかすんでしまう。 バッハよりムソルグスキーの「禿山の一夜」とかの方が似合いそうな結末であった。 | ||||
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篠田節子さんの作品の中では、「マエストロ」、「ハルモニア」の系統に属する音楽ものですが、その質感はかなり異なります。女性主人公の大学時代の恋人が自殺し、彼が弾いたバッハのカノンを録音したカセットテープを彼女が受け取ったところから不思議な現象が起き始めます。 彼女とと大学時代の恋人、その友人、そして彼らが高校生のときに憧れていた女性の、それぞれの過去と現代が絡み合い、微妙な音色を帯びて物語が進んでいきます。 音楽小説として読んでももちろん絶品で楽しめますが、男女の10代から40歳前後までの甘美なひずみとしての成長や、生きる過程での葛藤、心理の屈折といったものを、これほど明晰に表現し定着させた小説は、他にはほとんどないのではないかという気がします。 「ゴサインタン」、「弥勒」とはジャンルが異なりますが、それらに並ぶ傑作だと思います。いや、私にとっては最高の作品になるかもしれません。ある意味で、心の深層にひっかかる作品です。 | ||||
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本書全体を支配するのはバッハの絶筆となった未完成の組曲「フーガの技法」だ。この曲は作曲技巧の境地を極めるものだが、演奏者により暖かく感じたり、突き放された様にも感じる不思議な側面を持つ。孤高の音楽家康臣が死に際してテープに残した演奏は後者なのだろう。天才的な素質を持つ彼のヴァイオリンは、名声を得る事をあえて嫌い、自らの死によって目的を達し様とした。 物語全体を包み込むのは幻想的雰囲気だ。そして場面は時間軸的に目まぐるしく前後する。さらに康臣の残したテープは表面的にも本質的にも時間軸を逆行する。その事により瑞穂と正寛に劇的な体験をもたらし、結果的には康臣の目的が達成された形となって物語は幕を閉じる。この幕切れが名残惜しい。もっと長く幻想に浸っていたい気分だ。 音楽、特にバッハなどの古典音楽好きの方には是非おすすめしたい。本書はフーガの技法の小説版解説書という見方も出来なくはない。 | ||||
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この本のカバー裏に異色ホラーと説明書きされてますが、全然怖くない本なので夜に恐がり屋さんが読んでも大丈夫ですよ!篠田節子さんの本は名前聞くのも見るのも初めてなのですが、かなり嵌って見てしまいました。夜寝る前に少しずつ本を読む私なのですが、次がとても気になってしまって、半日で半分読み切ってしまったくらい面白かったです。そして、ピアノや音楽をやってらっしゃる方にはとても共鳴出来る本ではないでしょうか。私は何となく主人公達の気持ちが分かるような気がしました。音楽やってましたから。文才力凄いです。他の本も読んでみたいなァと思ってます。楽譜の挿し絵とかあると、もっと良かったように思えます。内容は・・・大学時代に音楽で青春時代を過ごしたかつての恋人?香西の死、テープが送られてきてから廻りに色々な怪奇現象のようなことが怒り出し、それを不思議に思った元彼女?瑞穂が調べていくうちに・・・といった青春不思議ファンタジーといったところでしょうか。自分を見つめ直せそうな本です。 | ||||
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「ホラー」とはありますが、幻想的でファンタジーのような物語です。音楽への誘いみたいな所が、恐いという感じではなかったです。主人公と自殺した恋人とその友人との間での不器用な恋愛ドラマが、主に展開されています。それが青春小説入っているだけに、ちょっと非現実的な描写が浮き立っていたような気がしました。 | ||||
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希有な才能を持ちながら若くして自死した学生時代の恋人(?)の周辺を探る主人公の音楽教師…「贋作師」の音楽編とも取れる設定だが、本作で物語を展開させるのは死者の強固な意志である。彼が死を選ぶまでの20数年間を否応なくたどるうち、主人公は自分が彼とその芸術の真の理解者であったことを認識させられるだけでなく、自分の過去20年にも対峙させられ、変化を迫られる。結果として新たな一歩を踏み出す決意をした主人公は清々しく、羨ましくさえある。たとえ、そこへ至る経過に困惑や恐怖があろうとも。 | ||||
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