■スポンサードリンク
海辺のカフカ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
海辺のカフカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全345件 341~345 18/18ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2002年9月発表。まず精神分析的評論家スタイルから論ずれば作品のベースはソポクレスの『オイデイプス王』なのは間違いのないところだろう。ソポクレスの『オイデイプス王』は村上ワールドの中に飲み込まれ、再構成され、2つの希有なコードとともにすばらしい長編となった。まずは、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』でも用いられた奇数と偶数の章ごとのパラレル・ワールド的な構成が素晴らしい。登場人物は皆一様に濃く、既に荒木飛呂彦の生みだすスタンド使いたちのようである。(とくにナカタさんは天候を操るスタンド使いウエザー・リポートみたいだ(●^o^●))とわずがたりの物語にどんどん吸い込まれる。驚異的な筆力に生みだす波動に圧倒されあっという間に読了した。ジョニー・ウォーカーとカーネル・サンダースの吐き出す毒気も最高だ(●^o^●)。そして音楽。いつも村上氏の作品には後ろにすばらしい音楽が常に流れている。最近はクラシックも大分うんちくが深くなったのだなぁ、と思い、『大公トリオ』のスーク・トリオやシューベルトのソナタの解釈論にやっぱり『ポートレイト・イン・ジャズ』の時のジャズの好みの傾向と変わらないなぁ、と思い。やっぱり唸ったのはジョン・コルトレーンの『マイ・フェイバリット・シング』のソプラノを持ってきたところだった。『ポートレイト・イン・ジャズ』の中にただ一人登場しないジャズ・ジャイアント、ジョン・コルトレーン。確かにあの本にコルトレーンは似合わない。でもこの本にはピッタリくる。『マイ・フェイバリット・シング』でマッコイ・タイナーの右手が積み重ねるダークなコードというのが『海辺のカフカ』の2つのコードでは、と思える。主人公の聴くプリンスやレディオ・ヘッドも忘れられない。全ての音楽が適役で響く。シーツ・オブ・サウンドのコルトレーンのソプラノのように、シューベルトのピアノ・ソナタニ長調のように、夏目漱石の『坑夫』のように、不完全さを武器にしてこのすばらしいとわずがたりのいつまでも無限に続きそうな世界に痺れつつ、30冊目となった氏の本を読了した。これが村上さん『メタファー』でしょうか(●^o^●)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
カラスと呼ばれる少年に導かれ、15歳の誕生日に少年カフカは旅にでた。かっこよく言えば旅だけど、実際にはただの家出である。18歳の僕ですら、これから家を出ての一人暮らしが不安なのに、カフカはやるな~。小説中で繰り広げられる2つの世界、さまざまな予言。その繋がりがおもしろいと思った。「ある場合に運命というのは、絶え間なく進行方向を変える砂嵐に似ている。」 これから僕にもどんな砂嵐があるか分からないけど、世界で1番タフな18歳になろうと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
村上ファンならわかる「世界の終わり...」スタイルで奇数章と偶数章でそれぞれのストーリーが進んで行きます。奇数章は昨今起きる少年犯罪を現在の特殊なケースとするのではなく、佐伯さんの時代(70年代でしょうか)から若者の心の中にあったこととして、その苦悩が書かれていきます。偶数章は私はメルヘンとして読みました。読了後、下巻の偶数章だけをもう一度、読んでみました。なんだか昔、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」「グスコーブドリの伝記」を読んだ時のような、なんだかあったかい気分になりました。ナカタさんのキャラがそうさせるのだと思います。宮沢賢治をその後何度も読み直したように、下巻の偶数章はこれからも何度も読み直したくなるでしょう。てのひらで短い髪をごしごしなでるナカタさん、愛すべきおじさんです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大昔に「ハードボイルドワンダーランド」という作品があった。ピンク装束のなんとも色っぽいお姉さんと、骨の音を聞くのが仕事のお兄さんがでていたが、最後には収束して、私はとても面白いと思った。当時としては☆5つだった。 が、「ハードボイルドワンダーランド」に関しては、「なにこれ」という人も多かった。 この本も多分評価が分かれるだろうなと思う。でも私は☆5つ。「ハードボイルドワンダーランド」と同じように最後に一つになって、納得できたときは嬉しかった。 詳しく書きたいけれど、それを書いたら愉しめなくなるので書けないのが残念です。 村上ワールドを面白いと感じた人なら愉しめると思うよ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
単行本ですでにたくさんのレビューがでていると思うが、文庫化されたのでレビューしたい。村上さんの小説の中では極めてテクニカル、技巧的な構成になっていて、2つのストリーが最後に収束されている点が見事なストーリー展開になっている。また、その2つのストーリーが1つが初期のハードボイルドワンダーランドのような純文学的な象徴に満ちた幻想的世界を描き、もう1つのストリーがそれと対比するように通俗的、現実的ストーリーとなって、結末で話が見事に完結している。初期作からのファンもノルウェーの森からのファンも楽しめる一冊であり、1つの転換点の作品のように感じる。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!