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樅ノ木は残った
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【この小説が収録されている参考書籍】
樅ノ木は残ったの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.36pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全83件 81~83 5/5ページ
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時代小説といえば、司馬遼太郎のしか読んだことがなかった。随筆のような筆致で行間にたっぷり芳香を含んだような司馬遼の文章も大好きだが、山本周五郎の骨太の筆致というかがっしりした構成も魅力的。登場人物がみんな印象的な役割を演じつつクライマックスに収斂していくところなんて完全に徹夜覚悟。伊達六十万石を割ろうと次々に仕掛けられる策謀に立ちはだかる原田甲斐。たぶん史書には「伊達兵部と伊達安芸の政争」としか記されない事件を、裏返し、つむぎ直して重厚かつ壮大な物語を作り上げている。お腹にたまる小説です。 | ||||
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山本周五郎の長編では最も好きな作品です。周五郎は、原田甲斐に一方では共感しながらも、一方では突き放して描いています。原田甲斐は伊達62万石を守るために孤独な戦いをし、死んでいくのですが、そのこと自体に一体何の意味があるのか?という問いを、彼自身ずっと持ち続けながら、自分の生き方を貫いていくしかない。そういった生きることの困難さ、尊さ、悲しさ、そして醜さこそ、周五郎が描きたかったことだと思われます。この小説を、「忠義を尽くした武士の美談」であるかのように単純化したがる人(某財界団体の会長など)がいますが、それは誤りだと思います。事実、彼は多くの人が死んで行くのを見殺しにせざるをえなかったし、最終的には彼が逆臣の汚名を着たせいで、彼の一族は根絶やしに近い処罰を受けています。それは人の道として正しいのか間違っているのか?おそらく両方の側面があるのでしょう。周五郎は、甲斐に過度に感情移入することなく、あくまで淡々と綴っています。その語り口が冷徹で、この秀逸な人間ドラマを際立たせています。 | ||||
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山本周五郎はもっとたくさんの人に読んでもらいたいと常々思っていますが、この作品は他の短編集とは違いかなり重たい内容です。いわゆる「お家大事、藩大事、わたくしごとは二の次三の次」というもので、現代人から言わせると「何でそこまでやらなくちゃいけないの?」という内容です。英雄豪傑ものとは正反対の、逃れ場の無い現実の世界を浮き彫りにした様な作品です。しかし本当に強い男というのは、自分の思い通りに生き華々しく死んでいった者よりも、この作品の主人公の様に、言いたい放題やりたい放題がしたくても出来ない辛さに立ち向かった者の方ではないでしょうか。自分の趣味の時間にわざわざこんな重いテーマを読む必要はありませんが、この現実から目をそらしてはいけません。カッコ良すぎる英雄小説に飽きた時には、たまにはこういう作品も読んでみては如何でしょうか。 | ||||
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