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二進法の犬
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二進法の犬の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 1~20 1/2ページ
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業界の大先輩が「花村萬月なら『二進法の犬』が傑作」と教えてくれた。実に958頁の大作。しかし読んでみて一気読み。まさに途方もないエネルギーの作品であった。ヤクザ社会を描いているから、凄まじい苛烈さと残虐さ。それに比肩するのは、赤松利市くらいではないだろうか。しかし登場人物は魅力的で、物語は清冽。中でもヒロインの倫子は、賢く神々しく愛らしい。そして親分の乾、手下の中島、後妻の李、倫子の親友である鋭子、李の娘・麗子、乾組のショバを荒らした西元寺、神戸の鍋井。どの人物も惚れ惚れするほど素敵だ。その対極にあるのが、家庭教師として雇われた鷲津。ヤクザ社会に対する、小市民=保身する卑怯者としての自己否定に懊悩する。そして鷲津とは、われわれ大衆である。対するヤクザ社会を0と1の二進法で表現する見事さ。特に描かれる賭場シーンには、まさに固唾を飲む。読んでいて、激流のドラマに、心が荒海に浮かぶ舟のように揺れる。号泣と嗚咽の果てに描かれる、奈落と希望のコントラストが夕焼けのように美しいエンディング。 | ||||
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文庫本史上の傑作だと僕は思う。 本というより豆腐みたいな形。 分冊にしなかった光文社の勇気。 恥を知る難しさと知っている凄さとくだらなさ。 ぐるぐるまわって、考えて、行き着くところは 所詮人間なんてたいしたことないやという 爽やかさ。僕はこんな風にこの書を拝読しました。 ほんとに、おもしろく、充実した読書経験をしました。 | ||||
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何週間もかかるだろうと思っていたが、1週間で読み終えた。 この人の長編は引きずり込まれるようにして読み続けてしまう。 『百万遍』しかり、『たびを』しかし、『風転』しかり、そして本作しかり、である。 本書も、花村萬月の他の作品同様に、セックスや暴力の描写が生々しい。 というか、まるで自分自身がセックスをしているような感覚にさえ囚われるほどである。 加えて、観念的な問答も、ちょっと「?」を感じるところもないではないが、実に思弁的で饒舌なのである。 博徒系ヤクザの1人娘の家庭教師をすることになった主人公の、インテリ特有のダメさ加減と過剰な自意識、これは花村萬月自身の分身だろうから、それをくどいほどに描写できるのは理解できる。 しかし、思春期の只中の17歳のヤクザの一人娘の心理や生態の描写、父である博徒系ヤクザの組長、そして従順なその手下の心理までもが、いちいち説得力を持って迫ってきたりする。 これが、作家としての力量というものだと痛感する。 1冊読み終えて、1年分生きたと感じられる小説というのも、それほど多くはない。 読むのにいつも疲れはするけれど、また次の小説に手を伸ばしてしまうだろう。 | ||||
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梱包も丁寧で、敏速な対応で安心しました早速、友人にも読む様に進めている所です。 | ||||
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花村萬月氏の作品は以前から興味がありながらなかなか手が出なかったが、読者評価の高いこの作品から始めて見ようと本書を手に取った。かなりの分厚さに少しひるんだが、一旦読み始めると異様な迫力に引きずり込まれ、一気に最後まで読み切った。 主人公の鷲津は京都大学卒の優秀な男だが、会社組織には馴染めず家庭教師で生計を立てている。そんな彼がヤクザ親分である乾の一人娘の美貌の高校生、凛子の家庭教師になるところから物語は動き出す。 ただ、自分は本書の出だしの凛子が近くの不良高校生の鋭子に絡まれ、二人が対決するシーンの迫力に既に圧倒されてしまった。その後は怒涛の展開だが、一番引き込まれたのは鷲津が乾に連れられて、千万円単位の金が動く違法賭場に乗り込むシーンだ。そこで中嶋、鷲津、乾が異なる種類の博打で関西ヤクザと対決する場面は、自分がその場にいるような息を呑ませる臨場感があった。 後半は、鷲津と凛子が遂に深い関係になってしまい、この物語はどのように終わるのだろうかと思ったが、最後まで濃密で緩むことなく展開し、終結に至ったのは実に見事。今自分が生きている平穏な日常とはかけ離れた世界を垣間見た気がした。 | ||||
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この著者の作品中でも1,2を争う傑作ではないかと思っています。 ただ、初めて読んだ時から、ずっと心に引っかかっている点があります。 それは、カローラレビンに関する会話です。結構長文なのですが細部にわたるまで、某書と同じ。 ビートルズでさえ「剽窃楽団」と酷評する著者のことですから、よもやとは思うのですが。 | ||||
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文庫にして1100ページの超巨編の中に、凄まじいまでの暴力描写、描写的でありかつ主観的な性的表現、そして主人公の鷲津と 登場人物の間で語られる倫理、博打、宗教、教育、コンピューター論等々が述べられ、描かれていく。一部批評家よりは、量だけ多いが 何も中身が無いと酷評されているらしいが、私にはずっしりと重い一冊であった。鷲津兵輔は京都大学を出たものの、家庭教師で 虚無的に生きる男。然し、彼は、ヤクザの組長の娘倫子の家庭教師になったことで生活が一変する。倫子の父乾十郎にコンピューターを 教え、彼の一の子分中嶋と肝胆相照らす中になり、韓国から来た女博徒李や、その娘麗子とも生活を共にすることで、ヤクザの社会に どっぷりとつかることになる。だが、ヤクザの世界は、途中組長の乾が吐露するように、白か黒かで物事を判断し、組織に忠実な犬になる 事が求められる世界。鷲津は何度か自分の身勝手さ、軽さ、そして弱さを思い知ることになる。ヤクザ社会の中でも際立った武闘派であり、 同じヤクザ仲間から「異常」とも表現される乾たちが起こす暴力描写は凄まじいが、それを超えると凪のような、乾一家の家族団欒の風景が 描かれる。まさにこれも「二進法」かと思うほど、はっきりとした白と黒だ。ヤクザを賞賛するわけではないが、いわゆる我々にとって非日常の 最たるものを描写することで、自分たちの生き方の中に潜在する欺瞞性を顕在化させようとする花村萬月の強い意図を感じた作品 である。 | ||||
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7冠達成の「その女アレックス」は、一行の「二進法の犬」に如くはなし。 この濃さは、著者の人生そのものを反映している。 | ||||
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一気に読み終わりました。テンポとスピード感があって読みやすかった。 | ||||
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この著者の作品は初めて読みましたが 単純に面白かったです。ありがとうございます♪ | ||||
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昔読んで探してました。電子媒体になったらまた購入すると思います。電子媒体になること期待してます。 | ||||
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村上龍「五分後の世界」 東野圭吾「白夜行」 白川道「天国への階段」 垣根涼介「ワイルド・ソウル」 梁石日「睡魔」 新堂冬樹「無間地獄」 大沢在昌「新宿鮫」 誉田哲也「ストロベリーナイト」 馳星周「煉獄の使徒」 に匹敵する作品 | ||||
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近所の古本屋でたまたま100円で見つけ、10年ぶりに再読しました。びっくりするくらい面白い。「中嶋の思慕を知っていて、サービスとしてわざと靴を脱ぎ散らかす女子高生、愛おしむようにそれを揃える中嶋」みたいな、エロシーンじゃない場面に漂うエロの気配がたまらない。描写の主体が鷲津だったり凛子だったり中嶋だったりとくるくる変わるが、文体が自然で巧みで文体というものを意識させない。オイチョカブ - ポーカー - 本引きと連続展開するスリリングな博打パートだけでじゅうぶんメインディッシュになるのに、通してみるとそれすらもサブだという贅沢なサービス精神。あまりに長い蘊蓄パートは基本的に飛ばして読みましたが、花札に関する蘊蓄(運を天に任せるから任天堂、だとか)は面白かったです。 | ||||
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何度も、バスの中で泣いてしまいました。 感受性の強すぎる女子高生、暴力団、賭博、 何もかもが遠いようで、でも自分自身のことのように感じられる。 京都旅行のシーンは、知っている人だと鮮明に思い出せる。 上記のよう要素があるゆえアクが強いかと嫌煙している人も多いかと思いますが、 何よりこの本のすごいところは「心理描写」だと思います。 | ||||
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文庫本だと1000ページ以上の物語ですが、一気に読んじゃいました。 ひとつひとつ蘊蓄みたいなのが入ってて、良く調べてあるなぁ・・・。って感心しちゃうし、鷲頭の真面目なんだけど、どこかアウトローという生き方には、共感というか憧れというか、そんな感情を抱いた。 解説にも書いてあったけど、この本には「小説の面白さ」を教わった気がします。 | ||||
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暴力あり、セックスあり、屁理屈あり。 透明にして過剰な自意識、花村萬月の花村萬月たる所以を詰め込んだような名作。 今なお続く氏のライフワーク『王国記』は、悲しいかな、ひたすら冗長。目指すべき場所を 見失ったとしか私には読めない。 それに比してこの『二進法の犬』、とにかく読ませる。 なぜ分冊にしないのかは知らないが、文庫本でありながら、1000ページを超えるという代物、 しかし、スピード感でその量を苦にさせない。それでいて、ただ長編向きの文体で仕立てた というに留まらず、同時に極めて密度の高い描写が同居していたりもする。 私の評価では、紛う方なき花村の最高傑作。 「もともと内省的な性格である。自分がまわりの人間からどのように見られ、思われているか、 過剰なほど気にしてしまう」。 「愛してやれ。しかし、好きになるな。博奕と女はそっくりだ。夢中にさせるが、破滅と裏腹だ」。 曖昧を嫌い、偽善を嫌い、鈍感を嫌う、愚直であらずにいられない。 鷲津、倫子、乾、中嶋……白か、黒か、1か、0か、世界を踊るか、踊らされるか、 そんな二進法の犬どもの美しくも悲壮な群像劇。 | ||||
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誰もが持っている狡さや弱さを見せられる思いで、胸が抉られるようでした。後半部分からが本題といった感じで急展開。一見希望が持てる結末も、生きていくうえで最も辛い事は何か。そんなことを考えるとやりきれません。忘れる事を許さない環境、かといってそこから抜け出してはなおさら、、、本には書かれていない部分を自分で考えるのも良いかと。 | ||||
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この人の本、初めて読んだ。ちょっと、作者自身の考え方を登場人物に言わせてるんじゃないって感じもしてその辺は嫌な感じだった。でも、倫子が猫を飼うあたりからどんどんおもしろくなっていく。 | ||||
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全く本を読まない自分だが完全にのめりこんでっしまった。 家庭教師の鷲津の行動とともに話が進んでゆく。ヤクザの組長乾十郎、そしてその娘倫子との出会い、そこから組員や他の組の人間が加わり話しが以外な方向に進んでゆく。 テーマ「人間の心の底」を描いていると自分は考えている。章によって博打が書かれていたり性があったり・・・。そして愛が芽生えたがそこに立ちはだかるもの、それは物事に二進法(0と1)のように白黒をはっきりつける組長、十郎であった。鷲津は悩むが倫子からの誘いで自分の全てを見せてしまうことになる。 常にハラハラさせられ一度読み始めると止まりません。 是非一度読んでください。 | ||||
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失った物(時間)は二度と戻らない。この世で一番大切な物を失うと人は壊れる。終盤はさわやかに描かれているがそこに全てが詰っている。 | ||||
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