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(短編集)
第三の時効
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第三の時効の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全190件 141~160 8/10ページ
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陰影のある警官たちの人物造形と巧みなプロットが出色です。各短編、本格ミステリー並みの驚きの結末があるのですが、その見せ方が実にさりげなく余韻を残します。「沈黙のアリバイ」「囚人のジレンマ」が特に気に入ってます。横山作品のベストではないでしょうか? | ||||
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交通事故の被害者にすら向けられる刑事の沈黙と疑惑の目、物証のない取調室での被疑者の沈黙、共犯者とアリバイの証人の”沈黙”。世の中のあらゆることには表と裏があるんだ。裏ばかりを読まなきゃならない 刑事という仕事は、どこか荒んでいる。 | ||||
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F県警捜査第一課が関連する事件が描かれている短編集。 事件そのものの読ませかた、事件の解決に至るまでの流れ、結末と筋書きだけでも十分に引きつける。 さらに登場人物達の設定も見事。殺伐とした警察組織の緊張感が伝わってくる。 捜査第一課長の田畑は当時少ない大卒警察官として、異例の刑事畑を歩んできた。彼の統率する課は最強だ。 F県警の青鬼とあだ名される一班の朽木、公安上がりの二班の楠見、天才肌の直感で事件を詰める村瀬。 しかし、皆独断専横の班長たち。田畑の苦悩も絶えない。 各編で主人公が異なり、それぞれの人物描写も重ねられて読み応え十分だ。 「沈黙のアリバイ」では朽木、「第三の時効」では楠見、「囚人のジレンマ」では田畑、「密室の抜け穴」では村瀬、「ペルソナの微笑」では一班の若手矢代、「モノクロームの反転」では村瀬と朽木。 脇を固める登場人物も物語を彩る。もうじき退官を迎える伴内、かつては課長の田畑に取調室の極意を教えたベテラン。新聞記者の真木、目黒。続編が読みたくなる世界が広がっている。 嬉しいことに、小説すばるにF県警ものの続きが連載されているとのこと。 | ||||
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F県警強行犯係を舞台にそれぞれの作品の主役を変えて描いた連作短編集。 理詰めで捜査を進める一班「青鬼」の朽木、女性の犯罪に異様な執念を燃やす二班「冷血」の楠見、現場の状況から感じることを重視する三班「カン」の村瀬。 それぞれのクセのある班長と、クセのある組織である警察をそれぞれの立場から違う事件を語ることで、興味深く硬質の警察小説に仕上げている。そして、そのくせ読みやすい。この辺りのバランス感覚の良さが横山秀夫さんの作品といった感じがする。 もちろん表題作や他の作品も良いのだが、個人的に好きな作品は「囚人のジレンマ」。 捜査一課長の田畑の目線から3つの事件を追う3つの班の諍いを描いており組織の難しさと楽しさというかわずかな潤いを伺える良作。 やばいなぁ。横山秀夫さんの作品にはまりそうやなぁ。 | ||||
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いくら元記者であろうが、この圧倒的な筆力にはただただ感服するばかり。特に短編では一層の輝きが増し「珠玉」の冠にふさわしい一冊。ストーリー、人物描写、クライマックスとも凡そ小説に必要不可欠、それ故に優劣のはっきりする要素すべてが優れている短編集も珍しい。「必読」とお勧めするに値する。 | ||||
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いや面白い!会社では文章を書く業務に携わっているのですが、無駄なものが何一つない文章、一つ一つの文章の密度の濃さに、まさに脱帽です。早く読みたい気持ちと、じっくり読みたい気持ちにゆれながら、結局あっという間に読み終わってしまいました。続編は多分、文庫化を待てずに買ってしまうと思います。 | ||||
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登場人物たちの個性を太いタッチで、かつその内面をナイーブに描く質の高い警察・人間ドラマ。事件のまどろっこしい展開を抑え、警察の人間たちをしっかり描く内容で、チープな感じを与えない、読んで損はない作品として推奨します。登場人物たちをより深く多面的に描き、マンネリ化に陥らないシリーズ化が出来る豊かな土壌はあると思います。今後の期待を込めて星5つ。 | ||||
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F県警が扱う事件を通して、警察内の3班間の鋭い対立、逆に班内での仲間に対する思いやり等が男臭さプンプンで描かれる。作者は元、群馬の某新聞の記者出身で、恐らくデカ回りの経験もあるはずだ。その経験が活きているのであろう、警察の内部事情や人間模様が露骨な程作品から伝わってくる。 「沈黙のアリバイ」では、取調べ室でのやりとりの中、容疑者にたぶらかされた部下の失態を、上司が最後に挽回する展開に惹き付けられる。「密室の抜け穴」は鉄壁の包囲網を引いた筈の捜査陣の手から容疑者がすり抜けてしまうという構想の面白さもさることながら、明らかにされる真相で示される警察の内部抗争の醜さに、心が寒々としてしまう。 そして、構想が一番巧みなのは、やはりタイトル作であろう。容疑者は15年の時効が終ろうとしている。しかし、彼には一週間だけ海外にいた事実があるのだ。この分、時効は延びる(私は日本を離れると時効が延びるという事を知らなかった)。その、一週間分、容疑者は油断して、姿を見せるのではないか。それが、捜査陣の期待だった。その期待は外れるのだが、担当の班長は「第三の時効」があるというのだ。その「第三の時効」とは ? そして最後に待っている意外な真相とは ? 作家デビュー前の記者時代の修練(故藤沢周平氏に似ている)と、年輪を重ねてからのデビューとで、最近登場して来た作家とは思えない。本作は警察小説の連作短編集の傑作だが、将来より広い分野で活躍することを予感させる作家である。 | ||||
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なんて面白い作品群なんでしょうか。 『クライマーズハイ』も『半落ち』も、それなりに楽しめました。 が、正直なところ、誰か別の文体、何か別の作品の展開が、 ときに既視感のように現れました。――本書は違います。 いや、正確には、アメリカの警察ものを思い出したりしましたが、 解説の池上さんがいうとおり、それらに比べ全く遜色ない。 それどころか、プロットの完成度、緊張感、そして登場人物の魅力、 いずれも、これが母国語で味わえる幸福を感謝せずにはおれません。 ミステリです。警察小説です。凶悪犯罪を扱ってます。 しかし、確固たる構成に読者を誘い、何ともいえぬ余韻を読後に残す。 ――これは、「推理」とか「サスペンス」とかの冠を除いても、 第一級の小説(群)であることの証明です。 表題作も傑作でしょうが、個人的には(命名の意味づけも含めて) 「密室の抜け穴」が素晴らしいと思います。 短編でこそ稀有の輝きを放つ作家、それが現時点での評価です。 | ||||
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横山さんの作品を、初めて読んだのがこの作品です。 テレビのサスペンスドラマで、いくつか観たことが、 この本を、手に取った最大の理由です。 難しいかなぁと、最初少しだけ、警戒をしてしまったのだけど。 読み進んでいくと、そんな事はまったくなく。 むしろ、「早く、先を読まなきゃっ」と、どんどん話に入り込んで。 一気に読み終わってしまいました。 誰が犯人、も気になるところなのだけど、それ以上に、 いろんなところにある、伏線や謎かけが気になって。 そして、登場人物の細かな関係です。 はじめて、警察小説、と言うものを読ませていただきましたが。 これほど、分かりやすく、そして面白い作品と出会えて、 最初の作品が、この作品で良かったです。 | ||||
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六編が収録される本作品は、F県警捜査一課を舞台にした作品である。捜査一課長田畑、「理詰め」で捜査をすすめる1班長朽木、「冷血」と呼ばれる公安上がりの楠見、そして「カン」を重視する村瀬、これらの登場人物を中心に事件の捜査が繰り広げられる。決して大がかりな謎解きがあるわけではない。しかし作者の作品に共通してみられる、警察という特殊な「カイシャ」における様々な人間模様が、単なるミステリーに終わらない奥行きを作品に与えている。 作者自身による「ミステリ度」は「陰の季節」4、「動機」3.5、「深追い」4、そして本作が4.5とうことである(5点満点)。私個人は表題作「第三の時効」がもっとも楽しめた。 今のところ年内にさらに6作品が出版されるようである。多作になっても作品の質は落ちていない。このままのQualityを保ち続けてもらいたい。 | ||||
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読み進めるたびにトリビアのブザーを押している。知らなかった事実に新たな感動を覚えていく。普段、自分たちが聞き覚えていた言葉の本当の意味が浮かび上がってくる。警察内部の抱える問題を浮き彫りにしながら解決してゆく物語が素晴らしい。 | ||||
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横山秀夫の警察組織の描き方は本当に面白い。一人のスーパーコップがいるわけではない。それぞれの個性が互いにけん制しながら事件に向かっていく。そしてそこに生まれる人間ドラマがとても素晴らしい。 ぐいぐいと引き込まれる物語に脱帽。 | ||||
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まずはずさない、「鉄壁」の著者の短編集。今回も期待通り。外してません。著者の筆さばきはますます磨きがかかってきており、円熟期に入ったと思わせる出来栄えである。なんだろ、彼の文体は「映像」を浮かび上がらせるのだと思う。その浮かんだ映像が各個人の頭の中でかってに動き出しているのであろう。「その後どうなるのか」、「うあーこーくるか」、とか色々頭に思い浮かべながらみんな読み進めていっているのであろう。そんな「物語」がつまらないわけはない。たとえは悪いが、劇画より劇画なのである。漫画ばかりのあなた、絶対はずさないから読んでみてよ。こんな作者の次回作も期待大です。 | ||||
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管理部門をメインとした警察小説を書き注目を浴びた著者が、捜査畑の最前線―F県警強行犯係―を舞台に据えて描いた短編集。 捜査部門を舞台にしているだけに動的な興奮を呼び、緻密な構成で事件を鮮やかに解決してみせる。しかし、著者の作品が事件や謎解きだけに終始するはずがない。事件を描きながら人を描く。むしろ人が主役と言っていいかもしれない。刑事たちそれぞれの懊悩、葛藤、トラウマ、苛烈な手柄争い・・・人と事件を、限られた枚数で十分に書ききる筆さばきの見事さ。ほんの1、2行で、物語を一気に展開させ、あるいは心情を痛いほどに表現する文章の魅力。その結果、短編でありながら、濃密な味わいと満足感をもたらしてくれる。 冒頭一ページの文章とラストの一篇が響き合って印象的だ。 本書を著者のベスト1にあげる池上冬樹氏の解説によると、すでに続編が連載されているらしい。著者の小説はどこまで進化するのか、見逃せない。 | ||||
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横山秀夫の「刑事物」短編集。 「陰の季節」や「動機」で警務部等、刑事以外にフォーカスした 作品もそれはそれでおもしろかったが、「第三の時効」はそれを 上回ると思う。横山作品の中では一番好き。 帯に「これが横山秀夫の最高傑作だ!」とあるが、それは過大表現ではない。 緊迫した捜査、他の強行犯との熾烈な争いの中で、 予想外の結末が・・・。 最後の話の結末を読んだあと、最初の話をもう一度 読み返した。 読んで損はない傑作集。★5つ。 | ||||
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捕まるのは時間の問題だし、もしアノ"冷血"楠見(二班班長)が取調官だったら、私はすぐにオチるっ!〜さっさとオチた方がなんか楽に思える(涙) 次にイヤなのは"青鬼"朽木(一班班長)。田畑課長じゃないけど、表情があるだけ、村瀬(三班班長)がマシ?! そう、結局は、単なる究極の選択に過ぎない。どうあがいたって逃げることはできないのだから... この短編集に出てくる F県警捜査第一課強行犯捜査の3人の班長達は、互いに競いあい、恐るべき検挙率を誇っている。部下たちを手足のように、ある時は道具のように遣って目の前を事件を他の班より早く終らせ、新しい事件をかっさらい...部屋にはギスギスとした雰囲気が常に漂う。 彼らの直属の上司の田畑課長は、色は全く違えど独断専行のやり方に腹に据えかねることは少なくない。が、しかし全く持ってつけいるスキがない彼らが出してくる"結果"のおかげで、課長自身が着々と出世しているのである... そんな課長が班長達を評してコトバ。 「”事件で食ってきた”のではなく、”事件を食って生きてきた”」 なんか、ハゲタカに内臓えぐられているような表現(怖) でも、この作品、決して後味が悪くない。 娘の父親をかばっていた母親がよよと泣き崩れたら、通常は 「なんで捕まえるの〜かわいそうじゃない」 と同情に走るのだが、それをすっぱり斬りさげるところに何やら爽快感すら感じるのはなぜ? 横山作品に共通するのだが、何か”柔らかい”部分をいつも残しておいてくれるのだ。それがどんなカタチを取るのかはその時々だが。 だから、一見非道に見える班長達の捜査の行方をじっくりと観ていられる気がする... | ||||
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個人的に、文庫本で出たら即買い、と決めている作家。なんせ横山秀夫は面白い。この作品も、買ってきたその日にひたすら一気読みでした。単行本から、数行づつくらいだそうですが、いくらか書き足しているとか。単行本で買った人からしたら、腹立つでしょうけど。 内容は読んでのお楽しみ、ということで書きませんが、難事件が短編の範囲内で急展開で収束するのに、人間模様までばっちり描かれていて、見事。著者は、トリックとか、死体や逮捕の際の捕り物など刑事事件のおどろおどろしさよりも、警察官や犯罪者といった“人間”を書きたいのでしょうね。 今回は、総務畑とか婦警とかではなく、直接事件を追う強行犯係の刑事達を主人公に描いていますが、それにしても、全部で3つある班のそれぞれの班長といい、よくこんな個性ある人間ばかり考えつくなぁ〜。2班の班長の楠見なんて、ものすごくインパクトあるけど、絶対上司にはしたくないなぁー。刑事部長や捜査一課長が、3人の班長の扱いに悩むところが出てきますが、同情すらしてしまいます。 初出は、雑誌に数回に分けて連載されたそうですが、連作短編集だけあって、出てくる警察関係者が全ての話で重複しているので、テレビの刑事もののシリーズみたいで、楽しい。 | ||||
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短編推理小説でありながら、刑事たちそれぞれの人間的魅力も存分に書き込まれていて、非常に読み応えのある作品。横山さんの作品はこれが初めてだったのですが、この作品に出会えたことでほかの作品を読むのがますます楽しみになりました。 | ||||
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「笑わない男」朽木、公安上がりの冷酷楠木、職人芸村瀬、3人の班長を中心とした物語は読み出したら何があろうと止まらない。これほど「男」を描いた作品がかってあっただろうか?「半落ち」がそれ程でもなかった俺にとって、この作品に出会えたこたは、幸せであり、同時に横山作品の3番目に読んでしまった事は大いなる不幸でもあった。この後むさぼるように読んだ他作品が非常に物足りなく感じてしまったからだ。(どれも一級品で作品自体は面白いのだが「第三の時効」の高揚感・感動は得られなかった)未読の方、読むなら最後に読んでください。せっかくの他の傑作が色あせてしまうから。完璧な短編!生涯NO.1!特に表題作「第三の時効」には脱帽!森刑事に乾杯! | ||||
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