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さよなら妖精
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さよなら妖精の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全60件 1~20 1/3ページ
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恋という言葉は出てこなかったと思うが、恋――それも初恋の本質を切なく描いている小説。 | ||||
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2004年に出版された本であったようですが、米澤穂信が22年に直木賞を受賞して過去の著書を読んでみようと思い図書館から借りたのがこの本でした。まさにウクライナの人々の生活や自分の国を思う気持ちをこの本を通じて理解しました。毎日、報道を通じてロシアとウクライナの戦火を見ているので感情移入してしまい、泣いてしまいました。平和な日本に暮らしていると海外の紛争は「別な世界」と思ってしまうけど、こうしている間でも民間人が犠牲になっていることを改めて理解する。 | ||||
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大きな流れと、地元の小さな推察ごと。主に青春ものですが、もう少し軽くて美しいものかと思っていたら、情け容赦のない追い詰められ方でした。この主題はつらいです。 妖精とは何を指すのだろう。それぞれのなかの幼い部分かもしれないと思った。 (東欧だからコマネチを連想したよ、っていうと年よりはって言われますねw) | ||||
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舞台設定は91年から92年。印象的なのはこの頃は未成年の飲酒におおらかだったのが実感できる描写。 ジャンプマンガでも普通に高校生が飲酒喫煙している。 今の高校生は理解できないかもしれないけど、このくらい年代は教師同伴で高校生が宴会を開くことがあったし、高校を卒業したら「飲酒してよい」というのが社会常識だった。 今のように大学の新歓コンパで飲酒しなくなったのはネットが発達して世間から叩かれるようになってから。 未成年飲酒の良し悪しはともかく、90年代くらいはこれくらい飲酒に関する感覚が緩かったというのは記憶しておいていいと思う。 | ||||
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心をわしづかみにされるような、強いストーリーとキャラを持つ小説だった。舞台は少し昔の日本の地方都市。そこにユーゴスラビアの娘マーヤがやって来た。 あらすじはシンプル。マーヤは地元の高校生と友情をはぐくみ、やがて内戦が起こった祖国に帰っていく。主人公君は悲惨なニュースが流れる戦地に渡航しようとするが…… 最初は外国人のマーヤの小さな疑問や勘違いから始まる、日本でのありきたりな場面を小さなミステリーとして謎解きが続く。読者たる私はそのプロセスで登場人物の人となりを知り、感情移入していった。 描写は長いが冗長に感じない。なぜなら、文章がうまい。無駄がないのだ。読んだ文章は全て、結末に強い感情を与えるべくなっていた。 私が注目したのはマーヤの国家感だ。 マーヤの父は恐らく共産党エリート官僚で、マーヤ自身も政治家を目指している。 今はなきユーゴスラビアは六つの国家でなりたっていた。 マーヤはユーゴスラビアという連邦自体を七つ目の国家として考え、自分はそれに属する新しい国民だと宣言した。 彼女が政治家を目指すのは、そういう信念あればこそ。 すごく素敵ではないの? だが、ユーゴは崩壊した。時代、そして人間の考え方の変化にマーヤは悲しむ。理想のもとに一つにユーゴスラビアが、ばらばらに戻ったからだ。感情移入した私も悲しい。 共産主義も連邦制も理想だ。残念ながら人間は理想だけでは生きてはいない。美しい理想だけでなく、醜い内面もある。嫉妬、マウンティング、金銭欲、肉欲……。それらは理想に巣食う癌で、理想は永続しない。 最近は日本でも外国人差別や排斥があり、一昔前の理想が鼻で笑われている。そういう意味でも心にささる小説だった。ディズニーのIt’s a small world は人気がないのか? 肝心のミステリーについては、私は楽しめた。地理をもとにしたミステリーが斬新だ。地図帳の挿絵など有れば、もっと楽しめただろう。私のように「大航海時代」というゲームが好きな人なら、絶対に楽しめる。 | ||||
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息子のおすすめで読み始めました。 あらすじを見ても読み始めてしばらくしても、どんな展開になるのか予想もつかず、、。最初は日本の高校生らしくないセリフ、会話にも少し違和感があり、??という感じで読んでいたのですが、マーヤが出てきてからはどんどん引き込まれて、終わりまで一気に読了! 自分が何者なのか、どこに向かっているのか、全てが道の途中という10代後半の揺れ動く繊細な感情、素直になれず面倒くさいこじらせぶりが読んでいて愛おしくもあり、切なくもあり、、胸に響きます。 そんな日本の高校生たちとは全く違う文化と価値観を持ったユーゴスラビアの少女マーヤがまた本当に魅力的!!彼女の拙くも深すぎる日本語の言葉一つ一つにクスッとなったり驚いたり、心から感心したり、、すっかり引き込まれました。 謎はしっかりあるし論理的な思考も解答もあるので本格推理小説の一面もあるけれど、正直ジャンル分けが難しい、そこがこの小説の新しさや魅力でもあると思うのです。 マーヤと高校生たちの出会い、会話や交流、悩み、葛藤、友情(ほのかな恋も)新しい視点や世界が開けていく成長、別れの痛みや悲しみを見事に描いたスィートでビターな新しいミステリアスな青春小説なのではないかしら。 ちょっと理屈っぽくて饒舌な会話も、硬質な文体も好きな洋画のテイストが感じられて、好き! まさに日本風な地方の観光都市が舞台なのに、そこにユーゴスラビアの少女がやってくることで、すごく舞台が広がって世界に目が開かれていく感じもとても良かった。 そして主人公のあの感情は、恋といっても良いですよね、、異論はありそうですがとってもピュアで切なすぎるラブストーリーとしても名作だと思います。 最後は思わず泣きました、、。あとあとまで余韻の残る作品。出会えてよかった!! | ||||
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著者は、ミステリー界で活躍しています。本作では、世界の歴史の現実がかかわってきます。 かえりみると、著者による数々のミステリーのなかでは、現代の歴史、現実が、きわめてていねいに、選ばれた要素の集合のなかで構成されていることがわかります。そこには、選ばれた現代、選ばれた現実が機能しているのです。 | ||||
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崩壊しつつある故国のため、諸外国の文化を必死で吸収しようとするマーヤと、 先回りして考えてしまう分、不愛想に見える大刀洗。二人のヒロインが素晴らしく魅力的です。 ただ、Kindle版に 「花冠の日」が収録されてなかったのが残念です。。 | ||||
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主人公の守屋路行は、特に何かに熱中するような高校生ではなかった。それを象徴するのが冒頭の弓道部としての最後の試合だろう。真剣に取り組んではいるのだが、そこには熱が感じられない。『氷菓』の折木奉太郎や「小市民シリーズ」の小鳩常悟朗のように、何事にも熱中しないことをモットーとしていた。それを変えたのが、高校3年で出会った、ユーゴスラビアから来た少女・マーヤだった。 日本で受け入れてくれるはずの人がすでに故人となり、途方にくれていたマーヤに声をかけたのが守屋と太刀洗だった。それから2ヶ月、マーヤは日本の地方都市で生活し、故郷のユーゴに帰っていった。ところが、そのユーゴは内線の真っ最中。守屋はマーヤと一緒にユーゴに行こうとするのだが…。 醒めているはずの守屋は、マーヤの身の上を案じて熱くなってしまった。大刀洗は冷静に成り行きを見守っていたのであるが、内心は守屋と同じだったのでは亡いかと私は考える。その証拠に『王とサーカス』では、何度もマーヤのことを思い出している。そして、太刀洗がジャーナリストを続ける理由を、ユーゴ内戦に求めている。本当のことを知りたいという欲求は誰でも持っているものだが、大刀洗の場合、マーヤが死ななければならなかった理由を知りたい、そしてそれを追求するのがジャーナリストであると思っている。その気持ちが『真実の10メートル手前』につながっている。 | ||||
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この本だけは絶対にネタバレなしで読んでほしい。 米澤穂信の原点にして最高傑作!! より完成度の高い米澤作品は他にもありますが、これ以上に衝撃的な作品は多分ないと思う。 | ||||
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創元推理文庫だし、一応「日常の謎」系ミステリと分類される話なんだろうけど、読んだ印象は全然違う。エンタメ度を抑えた純文学寄りの小説で、ユーゴスラビアからやって来た少女を巡り、関わった高校生男女が大学生になって回顧し彼女についての謎を追うストーリー。特殊なキャラはいないのだけど、奇異をてらわない人物造形が良かったと思う。平凡な日本の高校生に混じって、この少女の妖精ぶりが際立った。そして彼女に惹かれ現地に行こうとしている男に対する思いを秘めながら、優れた洞察力を持つ故に悲しい事実を隠さざるを得なかった大刀洗が、最後に激情を吐露するクライマックスが秀逸。不器用な若者の恋愛模様が底に流れる、奥床しい青春小説で、心に染みた。 ミステリだと思うと肩透かしを食うが、ジックリ読めば実に味わい深い。純文学が苦にならない読者向けと思う。 | ||||
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高校3年生の守屋と万智は、春の雨の日、雨宿りする外国人に傘を渡そうとしたところ、彼女が行く当てをなくして途方に暮れていると知り、旅館をしている友人宅を紹介する。マーヤと名乗るその少女は、17歳のユーゴスラヴィア人で、日本語が堪能で、2か月滞在する予定だと言う。彼女と触れ合うにつれ、彼らは自国の文化を再認識するとともに、最初はどこにあるのかもわからなかった国、ユーゴスラヴィアへの関心を深め、またその未来に不安をいだくのだった。 激流の中にあっては微力であるとは知りつつも、自分の中の想いをかけたいともがく青年の姿を、異文化交流のユーモアも交えて描く。 マーヤ、守屋、万智、いずる、文原、それぞれの人物設定が妙で安心して楽しめる。 冒頭の部分がかなり硬い印象だったので、回想部分に入ってからは力が抜けて読みやすくなった。 守屋と万智の関係がとっても微妙に描かれているが、私にはそれ以上のものは読み取れなかった。 紛争地域のことは日本にいては報道を見聞きして想像するしかないのだが、友人を持つといっぺんに身近なものになる。 タイトルの「妖精」はマーヤのことだったのか。読み終えて気づく。 | ||||
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クロアチアが気になっていると話していたら、知人に進められた本です。 amazonでも現在購入できる本が3,4冊しかないセルビア・クロアチア語(→日本語)や ユーゴスラビアの事をよく調べてあるなと思いました。 楽しみながらアドリア海を跨いだイタリアの対岸である東欧の歴史を知れます。 作者の氷菓の雰囲気が好きならオススメです。 Hvala lijepa. | ||||
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文庫は持っていましたが、 好きな作品なので単行本も購入。 加筆等はしてないようですが、 書き下ろしの短編が新たに追加されています。 構成としては主人公の守屋とその友人が、 ユーゴからやってきたマーヤと過ごした 2ヶ月間を回想するというようなスタイルです。 ジャンルとしては「青春」ミステリということで、 主人公の守屋も青春らしい痛々しさがあります。 でもそれは誰もが共感でき、 そして誰もが通る道ではないでしょうか。 中二病と言えば陳腐になってしまいますが 果たしてこんな生活を送っていていいのか、 などと思うことは誰しもあるはずです。 近くに平凡ではない人がいれば尚更。 (ここではマーヤが平凡ではない人でしょう) 終盤、守屋はあらためて無力さに気付きます。 それは彼の大人への成長であり、 子どもらしさの消失でもあるように感じます。 長々と書きましたが、 青春の瑞々しさ、ほろ苦さを 美しく描いた良作です。 米澤先生の魅力がしっかり詰まった作品なので、 私自身何度も読み返すこととなるでしょう。 | ||||
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「王とサーカス」の主役がこちらでは脇役。 語り部は守屋君だけれども、「王とサーカス」には登場していなかった様な。 読み返してみると、ここでの大刀洗はマーヤに持って行かれた感が有ってちょっと可哀想かな。 この物語は語り手の守屋の物語だから仕方がないのかな。 | ||||
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いやぁ、実にいい時間を過ごしたと思います。 やっぱり読み終わったあとの余韻がそう感じさせてくれのかなと。『さよなら妖精』というタイトルに納得です。この作品にあまり長い言葉はいらないでしょう。とにかく一度読んでいただきたい小説です。 | ||||
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本来古典部シリーズの一つとして書かれる内容だったが、角川に作家を見る目が無く、一時小説を書く場を失いかけていた筆者が、笠井潔氏の推薦により創元社から出版された経緯もあり、古典部シリーズより大人向けに書かれたものです。 文体に好みの差はでるでしょうが、普通に読書をしている方であれば、筆者の文章力の凄さが解るはず。これを上梓した時点でまだ二十台であったことを考えれば、見事なものだと言う他ありません。 ミステリという言葉を誤解して使用している方もいらっしゃるようですが、パスラーだけがミステリというのでは料簡が狭すぎるというものです。ましてや、小説でユーゴに詳しくなったであるとか、美男美女のビジュアル云々等という評価に関しては、普段、漫画かせいぜいラノベくらいしか読んでいないのだろうなと失笑せざるをえません。 当時のユーゴの状況が同時期に青春時代をl過ごしたものにとって、日本でどのように扱われたか、そして、そこにもし自分が関わってしまったらと考えると、前半の日常的な風景と想像してもしきれないユーゴの、或いは諸外国との現実の差を、知ったからといって何かが出来るわけもないことをしりつつ、読み解こうとする優しさ。そして大刀洗の別方向の優しさに作者の技量のすばらしさを感じずにはいられません。 | ||||
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十五年前の米澤穂信の初期の名作であり、以降の作品に登場する大刀洗が高校時代に登場する。 創元推理文庫の同作品をの新装版であり 基本的に内容は同じもの、であるが敢えて単行本として 再販し、更に巻末にボーナストラックとして短いマーヤの帰国後のエピソードが追加されている。 せつない 挿話が追加されてもやはり運命は変わらず、歴史も登場人物も同じ結果に至ってしまう。 ただ、かすかに流れる息遣いと悲劇の向こうに本当にささやかな希望にこの物語全体が より深い意味あいを得ることになったような気がする。 25年前の東欧の悲劇と、その後の国の行方、更に現代のあの地方の国の指導体制の混乱、 ロシア、ISのもたらす戦硝の風、より大きな問題になってしまっている膨大な難民たち 小説はラストページを迎えても現実は終わらずに悲劇は明日も続いてゆくのだ。 著者が、編集者がデビュー記念にこの物語を選び新装した意味、メッセージを 考えながら読むことにより、単にせつない青春小説であったこの作品が 新たに重厚な問いかけを、かつての読者にも新しい初めて手に取る読者へも 与えることだろう。 | ||||
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日常系ミステリということだが、良い意味で日常的ではない。登場人物のマーヤからしてユーゴスラビアから来日した女性であるという設定自体が、多くの日本人にとって日常ではない。けれども、マーヤと過ごす守屋や太刀洗、白川、文原たちが、第三者(読者)から見た場合の表面的な日常を描き出している。高校生くらいの男女が集まる普通の生活風景だ。第三者から見れば外国人が日本に遊びに来ただけのように見えるかもしれない。しかし少なくともマーヤには日本に行かなければならない明確な理由があったし、ユーゴスラビア情勢が不安になる中、日本を去り自国に帰ってから遂行するべきこともあった。ラストはネタバレになるので、詳しくは触れないが、これまでの日常をすべて吹き飛ばす衝撃的なものだ。日常というものは一般的には幸せを想像させる。しかし、そこには残酷なほどの不幸も混じっているのだと思い知らされた。 さて、これを書いているとき、目の前に白人女性が目の前に立っていた。マーヤと同じ年格好だ。しかも雨の日。もしかしたらユーゴスラビア人かもしれない。毎日の通勤という日常にも非日常は存在している。 | ||||
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米澤氏の初期の作品らしい、少し荒削りの面が垣間見える仕上がりだと感じた。 王とサーカスを読む上で必須ではないけれども太刀洗シリーズファンとして読んでみたかった。 構成や文体が時を経て練られる前の若々しさを感じられるのではないか。 | ||||
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