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インシテミル
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インシテミルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.55pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全120件 21~40 2/6ページ
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高額自給バイトに引き寄せられた12人の参加者による、7日間の密室殺人ゲーム。 どこかSAWっぽさを感じた。 トリック的には目新しい感じはしなかったが、主人公の性格の良さ、ミステリー好きという性格が良かった。 集団心理というものがどのように人々を間違いに導き、正しい行動をしている人が迫害されていくかを表す場面が、 なんか生々しかったけど、妙に納得がいった。 いろいろ設定に無理な所もあったが、美女の正体は自分的にはなかなかおもしろかった。続きが気になる。 | ||||
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本当か嘘かわかりませんが、「本格ミステリーに淫してみる」がタイトルの由来とか。 確かに、読んでいくと様々なミステリーのオマージュが散りばめられていて、ミステリーファンはぐっと引き込まれます。 最後まで誰が犯人なのかわからないスピード感もさすがです。 最初から最後まで怪しい人もいますが、こういうことだったのか…と最終的に腑に落ちます。 とってもおもしろい作品ですが、ただ、米澤穂信さんならもっともっとおもしろい作品があると思います。 どうしてこの作品が映画化されたのか、いまだに不思議です。 | ||||
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読後にここのレビュー群を読みましたが、おおむね間違っていませんし正しくもない印象です。 ただミステリを読む方が多いのでしょうし、奇をてらった予想外のタネではないですから、正統派ミステリを好む人には受け入れ難いのではないかと思います。 直接的なネタバレは抑えつつ書いていきます。 主人公は序盤とある女性を賛歌していますが、途中からそれはなくなります。しかし殺人ゲームに巻き込まれますし、ただ一部だけを見ていた状況から共同生活を送るようになってそれどころではなくなったり見方も変わるものなのではないでしょうか。 次に、途中から雰囲気が変わりますが、それは主人公の置かれる立場が変わったことが原因でしょう。少なくとも、自分がこうなるのなら、こうなってもおかしくはないだろう、程度には納得が行く状況です。 最後、犯人の動機開示について。不明瞭だのすっきりしないだの言われてますが、そもそも殺人ゲームに参加するまで知りもしなかった人の重い背景を主人公視点で必ず開示される必要があるのか、と。殺人ゲームがなければ関わらなかった人間ですから、終わればもう関わる必要も感じません。小説とは条件が明示されていなければ解くことが出来ない数学の問題では無いのですから、開示されないなら自分なりに考える余地があるのもいいですし、それはそれで小説の醍醐味と思っています。(漫画になりますが、『金田一少年』シリーズのような動機の暴露も私は好きです。) 事態が時間が過ぎるごとに変わっていき、それによって主人公が表に出す面も変わる。私はこの作品を駄作とは決して思いませんし、読みやすい点もあってかなり好きな作品です。 ただ上で述べたとおり、はっきりくっきりすっきり終わる作品ではありません。考える余地があるということはそこは作者による正解が出されていないことになります。そしてさらっと終わります。ミステリを「パズル」として捉える方には本当におすすめしません。ピースが足りていないわけですから。もやもやしてしまうと思います。しかし読みやすくそれでいて文字だけでも十分わかりやすいのでミステリ初心者にはいいかもしれません。 次回作の仄めかしがある(のに今現在発表される予感すら無い)ので、単発作品としては…って感じでしょうか。 | ||||
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大学生の結城理久彦は求人雑誌で奇妙なバイト広告を見つける。1週間の人文科学実験の参加者を募っていて、時給がなんと11万2000円だというのだ。何かの間違いかと思いつつも、自動車を買う資金がほしかった結城はこのバイトに応募してみる。バイト先は「暗鬼館」という名前の地下施設で、集まったのは男女12人。そこで明かされたバイト内容と報酬のルールに結城たちは驚愕する…。 7日間の“バイト”内容は古今のミステリー小説を下敷きにした殺人ゲームだったという密閉空間推理小説です。 一人、また一人と不可思議な殺害事件の犠牲者となり、ゲームの参加者たちは果たして一体誰が犯人なのかと、互いを疑心暗鬼の目で見つめることになります。 513頁の文庫本もなんのその。文章は軽快で大変読みやすく、また事の真相を少しでも早く知りたいという欲求に強く引っ張られて一気に読み進めていけます。読書以外の予定をすべて後回しにしてどっぷり淫してみたいと思えるミステリーに久しぶりに出会えた。そんな喜びを味わうことができました。―――500頁までは。 謎に満ちた殺人トリックを解き明かすまでの推理過程は確かにたっぷりと楽しめました。ですが、そもそもなぜこのような陰湿な実験が組み立てられたのか、そして結城以外の参加者たちがなぜこのようないかがわしいバイトに応募するに至ったのか、その二つが最後まで謎のまま放置されてしまうのです。 結城がそもそもこのバイトを知るきっかけとなったミステリアスな美女・須和名祥子の素性も完全には明らかになりません。 謎めいたエンディングのまま終わり、それでいて続編が書かれた痕跡もありませんので、読者は宙ぶらりんのまま留め置かれることを覚悟しなければならないでしょう。これをオープン・エンディングとみなして、読者が自由に解釈できる余地をもった小説として積極的に評価する向きもあるのかもしれません。ですが、私は残念ながらその考えには与することができませんでした。 -------------------- *29頁に「電気椅子の電圧調整実験」が紹介されています。これに関する参考文献として以下の書を推奨しておきます。 クリストフ・ニック、ミシェル・エルチャニノフ『』(河出書房新社) | ||||
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導入部分から引き込まれました。 導入が面白かったです。夢中で読みました。 あの“モニター”は誰のことだったんだろう?と読み終わった後に、また読み返しました。 この作者の本を読むのは、これが初めてなのですが、 こういう類(クローズドサークル)の本ばかり書かれているわけではないようですね。 また他の本も読みたいと思いました。 以下、少しネタバレ入り 読み終わっても明らかではないのですが、この“実験”は金持ちの悪趣味な道楽ということでしょうか。 ラスト付近で主人公が“投獄”されてから緊張感がなくなり、話の雰囲気が変わりました。 主人公が客観的になって、このミステリーの謎解きをし始めます。 投獄後は、拍子抜けして楽に読めました。(もう主人公が殺される心配はないだろうと思って) 死んでしまった人、殺人を犯したが罪に問われることがなく苦しむ人、…後味は悪いです。 登場人物たちは感覚が麻痺しているのか、人の死についてあっさりと扱っていて、 テレビゲームの中の出来事を傍観しているような感じでした。 主人公は報酬額の多くを人にあげたけど、感謝はされてなさそうな気がします。 相手は主人公に余計な事をされて報酬額を減らされたわけなので。 犯人については、私には意外な人物でした。 とても面白かったので、この続きやシリーズはもういいかなと思います。 | ||||
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本作は、フーダニット(犯人当て)に重点が置かれている。 閉ざされた山荘、的な状況(本作では、とある館のような場所)のなか、 限られた構成員が、一人、また一人と死亡してゆく。 いわゆる、クローズド・サークルにおける、連続殺人。 犯人は、この中にいる。 誰か、それを読者が推理する。 そして、本作の醍醐味は、この点に尽きる。 次から次へと、構成員が減ってゆく恐怖。 一度は犯人と予想された者が死亡することで、自分の推理が外れたことを知り、 再推理を余儀なくされる状況。 そんな、昔からある推理小説の面白さを満喫できる。 一方、ハウダニット(犯行方法当て)や、ホワイダニット(犯行動機当て)には、 重点が置かれていない。 だから、真犯人による犯行方法は、陳腐なもの。 とくに密室殺人とか、見立て殺人とか、奇抜な殺人方法などは、ない。 真犯人による動機もまた、ありふれたもので、特に面白みもない。 いわゆる、ミッシング・リンク(構成員の中における、殺人の動機を握る隠された関係)などは、 期待しないほうがいい。 だから、本作は、これぞ推理小説、というような、 ステレオタイプな推理小説、昔からある推理小説というような、 犯人当てが好きな人向けの読み物といえる。 | ||||
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本作は、フーダニット(犯人当て)に重点が置かれている。 閉ざされた山荘、的な状況(本作では、とある館のような場所)のなか、 限られた構成員が、一人、また一人と死亡してゆく。 いわゆる、クローズド・サークルにおける、連続殺人。 犯人は、この中にいる。 誰か、それを読者が推理する。 そして、本作の醍醐味は、この点に尽きる。 次から次へと、構成員が減ってゆく恐怖。 一度は犯人と予想された者が死亡することで、自分の推理が外れたことを知り、 再推理を余儀なくされる状況。 そんな、昔からある推理小説の面白さを満喫できる。 一方、ハウダニット(犯行方法当て)や、ホワイダニット(犯行動機当て)には、 重点が置かれていない。 だから、真犯人による犯行方法は、陳腐なもの。 とくに密室殺人とか、見立て殺人とか、奇抜な殺人方法などは、ない。 真犯人による動機もまた、ありふれたもので、特に面白みもない。 いわゆる、ミッシング・リンク(構成員の中における、殺人の動機を握る隠された関係)などは、 期待しないほうがいい。 だから、本作は、これぞ推理小説、というような、 ステレオタイプな推理小説、昔からある推理小説というような、 犯人当てが好きな人向けの読み物といえる。 | ||||
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はじめはトリッキー過ぎる設定にリアリティを感じられず、入り込めなかったが、後半になって状況が逼迫してきて、思い入れできる人物が登場してきてからは、面白くなってきた。やはり思い入れというのは、強さよりも弱さに対して浮かぶものだ。しかし、筆力の割に多過ぎる登場人物には閉口。映画を見れば整理できるかも、という意味で映画を見たくなる作品。こういう手もあるんだな、という教訓を得た。 | ||||
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最高に面白かったです。クローズドサークルものの中でも秀逸な出来です。私はクローズドサークルものが割と好きなのですが、なかなかいい出来のものが少なく残念に思っていたのですが、これは真相も犯人も最後まで見破れず最後までしっかり楽しめました。なかなか丁寧に作られていて、練られているのが読んでいて伝わってきて一気に読了させられました。一読の価値はあると思います。実際こういうクローズドサークルものはこれまで作られつくした感があるので作者の実力が問われる難しい分野だと思うのですが、その中でもかなりレベルが高いと思います。 | ||||
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近頃流行りのデスゲーム+クローズドサークル小説の嚆矢的一作。『バトル・ロワイアル』『クリムゾンの迷宮』等々のデスゲーム小説は以前からあったのですが、館モノの要素を加味して本格ミステリとして描いたところがミソであります。発表順では『極限推理コロシアム』が先行作になるんですが、ブームメイカーとなったのはやはり本作でしょう。 キレ者曲者ぽい登場人物のあっけない退場など、お約束破りな展開やいかにもなシチュエーションに対するメタ的ツッコミを盛り込み、ミステリマニア的な既視感を逆手にとったプロットはお見事。 | ||||
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クローズドサークルもののミステリで、地下施設に収容された12人が殺し合いをはじめて、その犯人は誰か?というのが主題な話。 注意深い人が読めば犯人が誰かわかると思うが、結局私は犯人がわからなかった。推理を聞けば、なるほど、と納得できる。そこまでの筋道はさすがと言うべきで、この作家の腕のよさがうかがえた。 特に三日目の夜は、私も主人公に同調してドキドキしたものだ。 最初は登場人物が、誰が誰やら一致しないが、それも読み進めていけばちゃんと書き分けできてきたように思う。逆に、その書き分けができていない序盤は、結構読むのが大変だった。 私はこの作品が初の米澤作品だったが、次も読んでみようと思えるくらいには楽しませてもらった。 ただ苦言もある。以下、少しネタバレ。 最初の犠牲者が出たとき、凶器が銃だと判明した。ではなぜそのとき、 「犯人を特定するために、全員の持ち道具をチェックしませんか?」 と誰も言わなかったのだろうか。 読書をしている最中の私ですら、そのようなことを考えつくのに、生き死にのかかった登場人物がそれを言い出さなかったところに、物語の破綻を感じる。ミステリにおいてアリバイチェックと持ち物チェックは必須事項だ。これさえやっておけば、新たな犠牲者が防げたかもしれないのに。しかも登場人物は暇なので考える時間が山ほどあった。私のような、読書をしながら片手間で思考するのとは、わけが違う。命をかけて問題に対処するはずなのだ。 結局持ち物チェックはのちのちなされるのだが、そのとき頭のいい設定であるキャラが頭を抱えて、「なんでそのことに気がつかなかったんだ」と頭を抱えるのです。ちょっと笑ってしまった。本当にその世界で命をかけて生きてるのかな、この人物たちは、と思ってしまう。 あの場面で持ち物チェックをしないのは本当に不自然だったが、読み進めていけばなぜあのときチェックしなかったのかがわかる。この段階で誰も銃を持っていないことがわかると、キャラよりもまず作者が困るのだ。書きたいことが書けなくなってしまう。プロット通りに進まない。だから物語の破綻を見逃したのだろう。ここはちょっと雑だったかな。でもまあ許容範囲。おかげで面白くなったから。 空気銃と火薬銃の違いも説得可能。実際、説得できてるし。 次に、三人一組とか、夜回りとかするくらいなら、まず凶器を金庫に入れろと思った。素手だと女が不利だと言っていたが、その言い訳は苦しい。なぜなら明らかに凶器のほうが危険だから。そうすれば新たな犠牲者が出な……くどいか。命がかかっているのだからそのくらいの対策は講じるべきだよね。そうすれば美味しいものを食べるだけで約2000万円。なぜこの案に飛びつかないのか。そして、素手のはずなのにまた人が死んでる!という展開もまた面白そう。 そしたらあのスイッチも生きるのに。 まあこれをしたらまたプロットが進まなくなるから、作者が困るのだろう。読者としては目を瞑るべきかな。面白かったし。 あとは、高時給とは言えども、それが10億稼げるとは、最初に明かされてないよね。なにを根拠に応募したのかな。それに大学生が10億必要で、それがないとみんなが死ぬってどういう状況なのだろう。これはちょっと目を瞑れなかった。面白くないから。これで一気に作品が軽くなったと思う。 総評すると大変面白かった。 これがミステリの賞を取っていたら発狂するけど、ミステリランキングで上位に行ったのは納得できる。特に中盤まではすごく面白かった。後半は失速したが、それでも面白い。 おすすめです。ぜひ読んでみてください。 | ||||
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今まで読んだ事のないタイプのミステリーでした。 予想外の出来事に、この先どうなるんだろうと思いながら読み進めました。 殺人なのに、ちょっと軽い。 | ||||
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米澤さんの本はほとんど読んでいます。 あの米澤穂信がサバイバルゲームものを書いた、というだけでも読む価値がある作品。 映画化もされたので知名度は高いと思われます。 ただ一点。続刊を意識した投げっぱなしのラストだけが気になりました。 ああいう技法なのだと言われてしまえばそれまでですが、エヴ○ンゲリオン以降、 「読者の想像におまかせ」的なラストが多すぎます。 サバイバルゲームものは、どうして主催者が参加者に殺し合わせるのか、その目的への 謎で引っ張るのが常ですが、他の著者の作品にしても何にしても、最後まで読んでも結局 目的が明かされないというパターンが、常習化しているように思われます。 米澤さんにだけはそれをして欲しくなかった……というのが正直な感想です。 | ||||
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途中まで、というよりはラスト近くまでは滅法面白い。人物も生き生きとしていて、閉鎖空間の連続殺人劇に不思議なほど陰惨さがない。 特に「凶器あらため」が二班に分かれるところなど、見事な展開だ。ただ、途中からガタピシと疑問点が目立ちはじめ、うまく着地する かなとハラハラしていたら、ラストは少し残念な感じだ。ここまで楽しませてくれたのだから、前半傑作と呼ぶべきか。 犯人も探偵もそうだが、他にも「こいつ、こういうキャラクターだったっけか?」というぐらい、途中からブレちゃっている人物が多い。 中盤までは味のあるキャラクターだったのに一挙に矮小化されてしまったり。中でも奇怪なのが、最後正体を明かされて逆に謎が増えてし まったアノ人だが(自分の命を守る担保は何かあったのだろうか。一種のマゾヒストだったのだろうか)ぱらぱら再読していてふと気づいた ことがある。 本書は、食事とか仮眠とか生活描写が細やかで、一部外したギャグもあるとはいえユーモアも豊かだ。第一の事件が発生するまでは、ほと んど和気あいあいと楽しい雰囲気とさえ言っていい。その中で、既に事件が進行した段階でこの人物が呑気に料理を賛美する場面があるが、 ラストでは「粗末なものだった」と振り返っている。笑いを誘う初登場場面を含め、すべてが小芝居だったのである。この人こそが、主人 公の言葉を借りれば、「軽蔑すべき狂人」の最たるものだったということになる。 一方で、犯人についても驚くほど説明不足なのだが、ギャグのひとつが凄絶な伏線として動機を暗示している。作者は、あえてこの一撃の みに留めて、これ以上を語ることを潔しとしなかったのかも知れない。全体的には、楽しく遊戯的なコージーミステリーと、狂気の連続殺 人ショーを無理やりにシェイクして、ラストは意図的に投げ出して見せた、ということだろうか。参加者集めのトリックも説明されていな いし、消化不良の要素はあまりに多いのだが、それも計算済と考えることもできる。 | ||||
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良い作品でした。 クリスティーの有名作品に精通していたり 過去の作品に触れることも・・・ オススメです、ドキドキが止まりませんでした。 | ||||
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引きこまれます。 序盤に立て続けに起きる事件、少人数ながら自然と決まっていくリーダーと各グループの対立。 登場人物たちの群像劇や緊迫感、そして謎解きとミステリーとしての魅力はバッチリです。 しかし、この作品の評価が下がってしまうのが終盤にここまでせっかく築き上げてきた緊迫感が一気に抜けてしまうシーンがあるからでしょうね。 オチ自体は別にいいと思うのですが、そこだけが急に雰囲気が変わってしまって、ガッカリというかサスペンスを見てたはずなのに急にチャンネルが変わってコメディになって、ついていけなかったというか…。 どう擁護してもそこがイマイチというのは万人の共通理解だと思います。 ガッカリ度が高かった人ほど辛口評価になってる傾向がありますね。 しかし、それでも総合評価としては面白いと思います。 序盤から中盤にかけて、二転三転する終盤手前の展開はハラハラしました。 有名作だし、読んで損はないと思います。 | ||||
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エラリークイーンのそして誰もいなくなったのカバー小説。 中盤にかけてはワクワクしたんだけどラストはなんかなぁて感じ。読後感がう〜ん。 深夜巡回してるロボットにはインパクトありました。 | ||||
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米澤の作品を読むようになった後、テレビで放映された映画「インシテミル」があまりに酷かったため、結果的に文庫化されている作品の中で唯一この本だけ読まずにいた。最近ようやく着手。一気に読み終えた。 映画を見て、まだ本書を読むかどうか迷っている人にできるアドバイスは一つ。「タイトル以外は違います」。 米澤作品の特徴は、ミステリの謎解きのストーリーの他に、もう一本人間のストーリーを絡めるところだと思う。それが太くて深刻なストーリーであることもあれば、さらっとしたもののこともある。ただ、謎解きに絡みついているそれは、謎のネタが割れても作品を再読しようという気にさせる重要な要素になっている。スパイスではなく、構成要素だ。 インシテミル、にはそれがない。 主人公は眼前で進行中の謎に対して推理を働かせるが、それは彼の人生観や、あるいは眼の前の人物の人生観と深く関わっていない。単に彼の趣味や、その場に集められた人物達の状況に関わることでしかない。ある意味で、人間味を徹底的に削り取った描写になっている。 ごく初期に主人公が見つけたメモから、主催者がミステリマニアであることがわかる。ここは米澤らしいと言えば米澤らしい、エンターテイメントなのか自己満足なのか微妙に判断をしかねる外連味にあふれていて、そうなると読者としては主人公の視点を追いながら、「こいつ、気づいているのかな」と気にしつつ、その辺にばらまかれているであろういろいろな「描写」にちらちらと視線を送らざるを得ない。そうしないと、「だって書いてあったでしょ」と大団円で米澤に言われることになる。 映画の駄目な印象が強かったせいか、読んでいる間中、登場人物達と映画を結びつけようとして集中できなかったのが残念。これは作者のせいではない。主人公が突然探偵に変化するところを批判する向きもあるが、叙述トリックってそんなものなので仕方ない。欠点として指摘すべき点があるとしたら、叙述トリックにこだわるあまり、冒頭の主人公が頭悪すぎる記述になったことだろう。 お嬢様キャラに対する批判があるようだが、わたしは楽しめた。彼女はBGMとしてよく機能している。品よくしつけられ、物腰もあくまで丁寧で、場違いなほど美しく、世間ずれしていないお嬢様。その女性が、氷のように冷たい心臓をゆっくりと見せていく様子は、お嬢様礼賛の強い米澤らしい記述だった。「儚い羊たちの祝宴」収録の作品を思い出させる。 彼女は最後に「興業」という言葉を使っており、これによってこのサークルを作った連中の意図ははっきりわかる。それで十分である。興業を行うのは組織であり、悪の組織の陰謀を暴き、戦うのは警察の仕事である。探偵の仕事ではない。 | ||||
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正直、アマゾン評価が大して高くなかったので、余り期待していなかったインシテミルですが、私的には米澤作品で最も楽しめました。 僕はミステリマニアではないので、『トリックのクオリティはそこまで高くない』という批評は『まあ、そうなんだろうな』と受け流せますが、最後の犯人の事情開陳が不徹底である、という事に対する低評価は、正直、『馬鹿だろ、お前ら』としか感じません。 その『最後が納得がいかない』の前に『中盤までは面白かったのに……』という文言が見えると、最早失笑物です。誤読も良い所。 そもそも、その中盤、終盤までを疾走感溢れるスピーディで軽妙な物にしていたのは、人物の描写を外見的な特徴や、言動の性質による書き分け(お嬢様、体育会系のリーダーシップ、頭は良いが嫌味、警戒心が色濃い、恋人への依存、ミステリマニア、ガンマニア)程度に留める事で、それぞれの登場人物の事情に必要以上に踏み込ませず、あくまで『インシテミル』という例外状況における事態の推移に集中させた事にあったからです。 まず、主人公が突然、探偵然としてしまう、という事に付いては、彼自身が殺し合いから抜け出た事で冷静さを取り戻した事、ミステリマニアの『先輩』の助力を得た事、紙とペンを使えるようになり、状況を整理しやすくなった事、等色々事態の推移が付加されていますので、それ程唐突には感じませんでした。主人公の性質が『ミステリマニア』であり、『探偵』の素質がある事は、そもそも運営者に感じたのが怒りではなく、軽蔑であった、という描写等にも現れ、伏線がない訳ではありません。 余りに超然としたヒロインに付いてですが、これには同意出来ます。というか、この物語には彼女の存在は特に必要ではありません。其れくらい『インシテミル』という限定状況下において役に立ちません。活躍しません。 最後に、犯人の『十億円必要な事情』が開陳されないで終わる展開に付いてですが、そもそも、この小説は『軽妙に推移する事態』を楽しむ物であり、『個々人の事情に立ち入って、その心情を慮る』性質の物ではないのです。主人公も米澤作品では珍しく、人間的情もあり、犯人役の願いを最終的には叶えてやったり、意図せず人を殺してしまった『先輩』に同情をしたりして、この人物への好感を抱かせますが、そんな彼も『犯人役』の事情には深入りしません。 このインシテミルに集めれた十二人は、本質的に他人であり、あくまで限定的状況に囚われた上での関係性です。それによって際立つ展開の軽妙さ、それを中盤まで楽しみながら、その軽妙さを貶める『黒幕及び犯人の事情開陳が足りない』と憤るのは、正に作者の込めた作風を読み切れてない、誤読、という言葉が浮かんでしまいます。 インシテミルにおいては、犯人役の苦悩は、最後自殺までも測ろうとした事等で、充分描写されていると自分は考えます。事情開陳ではなく、あくまで状況推移に対する反応や行動で、その人物の輪郭を浮かび上がらせようとしているのです。 『限定状況下の事態の推移』を軽妙に描き切る、という事にこのインシテミルは成功しています。主人公への好感も手伝って、米澤作品の中でも特にお気に入りの一冊になりました。 この作品に付いて、評価の高いレビュー群が、この作品の作風を読み切れていない事には正直不満を感じます。自分の読解力の無さをアマゾンレビューにより周囲に晒して、彼らは如何したいのでしょうか? 勿論、『インシテミル』という殺人ゲームに充分な説明が加えられないと満足出来ない。ディテールにこだわるタイプや、犯人の事情は深くまで知らないと満足出来ない真意、黒幕追求タイプにはこの作品は合いません。 余りにもあっさりし過ぎていますから、逆にジェットコースターのように軽妙に流れるエンターテイメントをお探しならば、インシテミルは十全にお勧め出来ます。 最後まで貫かれた軽妙さをきちんと理解出来る読解力があれば、この作品の結末を爽快に感じたまま、本を閉じる事が出来るでしょう。 (まあ、結局は読み方の違いなので、別に低評価な方がいても構わないのですが、その方々のレビューがこの作品に対する正当な評価だとは到底思えません。軽妙さ、人物の背景をあっさりさせた事は寧ろ、作者の計算だと思われます。誤読なのにも関わらず、恥晒しにも正当な振りをして意見を述べるのは如何な物でしょう。インシテミルが面白かっただけに、このアマゾンレビューには腹が立ちましたので、久しぶりに一つレビューを書きました)。 | ||||
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典型的なデスゲーム物ですが、エンタメミステリとしてとても秀逸な作品でした。ゲームのように非現実的な舞台設定に通され、謎の「おもちゃ箱」に動揺し、そして犠牲者が……と息つく間もなく進みますのでページをペラペラ捲っていけること請け合いです。結構ページ数がありますが私は一日で読んでしまいました。 はじめに、とにかく暗鬼館なる舞台の雰囲気がいいのです。不気味にうねった構造の廻廊。鍵のない個室。洋館には不似合いな高性能ガードマン。読んでいるだけでワクワクします。が、そこに入ることになる12人のモニタはそれぞれ「いかにも」この手の作品に出てきそうな典型的な性格をしているのではじめは笑ってしまいそうになりました。ただ、読み終わったいま思うと、シンプルな人物配置ゆえにそちらに余計な気を取られずに館の空気に大いに堪能できたのかもしれないとも考えられますね。この辺は読者がどの部分を重視するかにもよると思いますが、私は大変気に入りました。 アラを探すとすればやはり「大雑把な人物設定」これに限ります。トリックやら舞台設定などは凝っているのに、登場人物は誰かれ問わずに説明不足感がいなめません。例えば主人公の唐突な「変身」具合だったり、犯人の動機告白タイムだったり、須和名譲からの手紙だったりのことです。いずれも事前にそれらを匂わす描写がないので、それらをいきなり目の前にパッと出されて鼻白んでしまいました。主要人物だけでももう少し何とかしてほしかったです。 良いと感じた部分とその逆が二律背反になってしまいましたね。やはりあまりページを増やし過ぎることができないでしょうから仕方がないのかもしれません。本当に雰囲気は最高だったので、文庫落ちの際に加筆修正とかしてくれたら嬉しいんですけどね(まぁ、ムリか……) | ||||
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