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(短編集)
儚い羊たちの祝宴
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儚い羊たちの祝宴の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.99pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全109件 101~109 6/6ページ
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五話の連作からなるホラー寄りミステリ。 静かでひんやりとした雰囲気のなかに ゾクっとする所が時々あって面白かったです。 昭和中頃のレトロな館などを舞台に 共通して登場するのは読書を愛する者が集う「バベルの会」。 上流階級に属する人々が集まるこの会は 実際に活動している場面はありません。 ですが、それぞれの短編で少しだけ語られる事で 人間関係が見えてくるようになっているのも良いですね。 個人的には「北の館の罪人」が好きでした。 彼はどんな思いで塗ったのだろう、 彼女はその色をどんな思いで見たのだろうと思うと… まさに一行の意味するところに怖さを感じました。 「ラスト一行での衝撃」にこだわったというだけあって 最後の一行でぞわっとさせられて面白かったです。 どんでん返しというよりはそこでじわっと黒いものが広がるような… じっくりと読みたい小説。 | ||||
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初読の作家さんで、どんな作風かも全く知らずに手に取ったのですが。 これがあたり!でした。 タイトルや装丁も素敵ですが、もちろん中身がすごい。 若いのに風格のある文章だなというのが第一印象です。 一気に読みました。 5短編からなる本作。 ”バベルの会”という学生サークルが、少しずつお話に絡んでいて、 最後に表題作の「儚い羊たちの晩餐」で、 その会についての種明かしがされるという作りです。 どの作品の主人公も、普通に社会生活を送っているまっとうな人たちなのですが、 ふとしたところでたがが外れ、あやうい場所に足を踏み入れてしまいます。 恐ろしいことですが、私にも理解ができてしまったところが、 この作品の完成度を物語っていると思います。 特に4作目の「玉野五十鈴の誉れ」は面白く読みました。 伏線が最後に活きて、よくできてる!と思わず唸りました。 | ||||
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初読の作家さんで、どんな作風かも全く知らずに手に取ったのですが。 これがあたり!でした。 タイトルや装丁も素敵ですが、もちろん中身がすごい。 若いのに風格のある文章だなというのが第一印象です。 一気に読みました。 5短編からなる本作。 ”バベルの会”という学生サークルが、少しずつお話に絡んでいて、 最後に表題作の「儚い羊たちの晩餐」で、 その会についての種明かしがされるという作りです。 どの作品の主人公も、普通に社会生活を送っているまっとうな人たちなのですが、 ふとしたところでたがが外れ、あやうい場所に足を踏み入れてしまいます。 恐ろしいことですが、私にも理解ができてしまったところが、 この作品の完成度を物語っていると思います。 特に4作目の「玉野五十鈴の誉れ」は面白く読みました。 伏線が最後に活きて、よくできてる!と思わず唸りました。 | ||||
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米澤さんは今後も多様なジャンルで活躍してくれることでしょう。その足がかりともなりうるダークな作品群です。 帯の「バラ読み厳禁」と言うのはその通りだと思います。順番にじっくり読むのがこの本の読み方としてふさわしい。ただ、「フィニッシング・ストローク」を強調しすぎるのはこの作品に対してマイナスに作用するのではないでしょうか。この帯を見て、乾くるみ『イニシエーション・ラブ』みたいなラストを期待する読者が居ないとも限りません。そしてこの『儚い羊たちの祝宴』の「ラストの衝撃」は『イニシエーション・ラブ』のそれとは趣を異にしている。物語のダークな余韻を深める働きをしています。 個人的にダークな作風が若干苦手なために積極的に読み返したいとは思いませんが、米澤氏の作品の中で今作は最も「物語」です。旧家、バベルの会というキーワードによってリアリティを霞ませているような気がします。 好みは「北の館の罪人」と「玉野五十鈴の誉れ」。「山荘秘聞」のホワイダニットはちょっと受け入れられませんでした。 | ||||
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米澤さんは今後も多様なジャンルで活躍してくれることでしょう。その足がかりともなりうるダークな作品群です。 帯の「バラ読み厳禁」と言うのはその通りだと思います。順番にじっくり読むのがこの本の読み方としてふさわしい。ただ、「フィニッシング・ストローク」を強調しすぎるのはこの作品に対してマイナスに作用するのではないでしょうか。この帯を見て、乾くるみ『イニシエーション・ラブ』みたいなラストを期待する読者が居ないとも限りません。そしてこの『儚い羊たちの祝宴』の「ラストの衝撃」は『イニシエーション・ラブ』のそれとは趣を異にしている。物語のダークな余韻を深める働きをしています。 個人的にダークな作風が若干苦手なために積極的に読み返したいとは思いませんが、米澤氏の作品の中で今作は最も「物語」です。旧家、バベルの会というキーワードによってリアリティを霞ませているような気がします。好みは「北の館の罪人」と「玉野五十鈴の誉れ」。「山荘秘聞」のホワイダニットはちょっと受け入れられませんでした。 | ||||
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『玉野五十鈴の誉れ』だけ雑誌『Story Seller』で読んでいたのですが、その時この話はシリーズの中でも番外編なのだろうかという印象を持ちました。しかし今回この本に収録されている話全て読んでも、どれも「本編」というものはこれというものがなかったです。 『身内に不幸がありまして』 『北の館の罪人』 『山荘秘聞』 『玉野五十鈴の誉れ』 『儚い羊たちの晩餐』 全ての話に共通するのは上流階級に関係するもしくは属している女性の一人称で語られていることと(ただし『儚い羊たちの晩餐』の一部は三人称)、『バベルの会』に所属している人がいることぐらい。ですので一気に読まないと把握できなくなるとかはありません。『バベルの会』シリーズとありますが、思い出の描写程度で活動光景が出てくることもないですし。 5つの短編それぞれ登場人物も場所も全く別の話です。最後の『儚い羊たちの晩餐』だけ他の話に出てきた人の名前が出てきますが、それ以外は基本関係ありません。話はそれぞれ別の雰囲気を持ち、1つ読み終えるたびに「次はどんな話なんだ?」とわくわくしながらページをめくっていきました。収録されている話の順番にもこだわりがみられます。 帯などに書かれている「ラスト一行の衝撃」はどんでん返しとは違う気がします。確かにこの最後の一行にははっとさせられました。それぞれの話で驚く理由が違うのですが、基本は一人称ならではの描写によりぼかされてきたことが徐々に明るみになり、最後の一行で読者に確信させるという感じです。途中少しでも読み飛ばすと最後の一行の衝撃が軽いものになるので注意。また明るみになるといっても中には一人称で語る登場人物が真相を語るものもあり、ミステリー=推理小説、それも探偵モノの印象が強い人には肩透かしをくらった気分になるのでは? でもこのラストの衝撃は米澤さんならではのものです。『ボトルネック』などが好きな人ならはまると思います。 カバーの装丁が綺麗ですが、めくっても楽しみがあります。中身にも装丁にもドキドキさせられる一冊。 | ||||
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『玉野五十鈴の誉れ』だけ雑誌『Story Seller』で読んでいたのですが、その時この話はシリーズの中でも番外編なのだろうかという印象を持ちました。しかし今回この本に収録されている話全て読んでも、どれも「本編」というものはこれというものがなかったです。 『身内に不幸がありまして』 『北の館の罪人』 『山荘秘聞』 『玉野五十鈴の誉れ』 『儚い羊たちの晩餐』 全ての話に共通するのは上流階級に関係するもしくは属している女性の一人称で語られていることと(ただし『儚い羊たちの晩餐』の一部は三人称)、『バベルの会』に所属している人がいることぐらい。ですので一気に読まないと把握できなくなるとかはありません。『バベルの会』シリーズとありますが、思い出の描写程度で活動光景が出てくることもないですし。 5つの短編それぞれ登場人物も場所も全く別の話です。最後の『儚い羊たちの晩餐』だけ他の話に出てきた人の名前が出てきますが、それ以外は基本関係ありません。話はそれぞれ別の雰囲気を持ち、1つ読み終えるたびに「次はどんな話なんだ?」とわくわくしながらページをめくっていきました。収録されている話の順番にもこだわりがみられます。 帯などに書かれている「ラスト一行の衝撃」はどんでん返しとは違う気がします。確かにこの最後の一行にははっとさせられました。それぞれの話で驚く理由が違うのですが、基本は一人称ならではの描写によりぼかされてきたことが徐々に明るみになり、最後の一行で読者に確信させるという感じです。途中少しでも読み飛ばすと最後の一行の衝撃が軽いものになるので注意。また明るみになるといっても中には一人称で語る登場人物が真相を語るものもあり、ミステリー=推理小説、それも探偵モノの印象が強い人には肩透かしをくらった気分になるのでは? でもこのラストの衝撃は米澤さんならではのものです。『ボトルネック』などが好きな人ならはまると思います。 カバーの装丁が綺麗ですが、めくっても楽しみがあります。中身にも装丁にもドキドキさせられる一冊。 | ||||
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名士の子女が集う読書会「バベルの会」を背景として、著者が「最後の一行」で 読者に衝撃を与える《フィニッシング・ストローク》を企図して書いた連作短編集。 ただ、《フィニッシング・ストローク》と言っても、それまでの世界がすべて裏返される ようなサプライズ・エンディングというより、著者の清新な語り口によって演出された、 「落語のうまいサゲ」のような印象です(以下、書き下ろし作品についてのみレビュー)。 ◆「儚い羊たちの晩餐」(書き下ろし) バベルの会の会費を払えなかったため、会から除名させられた大寺鞠絵。 そんなある日、彼女の父親が最高の料理人である〈厨娘〉を雇うことにしたと告げる――。 作中で、ジェリコーの『メデューズ号の筏』やダンセイニの某作、そして スタンリイ・エリンの某作におけるアミルスタン羊といったものが次々と 示されることから、本作のテーマが「アレ」であることが陰に陽に強調 されます。 (参考文献として、中野美代子氏の著作も挙げられています) ただ、もちろん著者は、ストレートに「アレ」をやりたいわけではありません。 鞠絵と大寺家が体現する属性を、そのテーマと重ねあわせて描くことで、逆に、 バベルの会が象徴している精神性を浮かび上がらせる意図がそこにはあります。 (「羊」や「晩餐」といった言葉のイメージも暗示的ですね) 結末の情景は、現実の社会状況を映したもののように私は感じましたが、 荒涼とした時代であっても、不穏な精神が受け継がれていくさまにニヤリ。 同時にそれは、著者による、作家としての実に控えめな決意表明でもあると思います。 ▽付記 法月綸太郎氏の短編にも、本作と同じテーマを扱った作品があります。 | ||||
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名士の子女が集う読書会「バベルの会」を背景として、著者が「最後の一行」で 読者に衝撃を与える《フィニッシング・ストローク》を企図して書いた連作短編集。 ただ、《フィニッシング・ストローク》と言っても、それまでの世界がすべて裏返される ようなサプライズ・エンディングというより、著者の広範な教養によって裏打ちされた 「落語のうまいサゲ」のような印象です。 ◆「儚い羊たちの晩餐」(書き下ろし) バベルの会の会費を払えなかったため、会から除名させられた大寺鞠絵。 そんなある日、彼女の父親が最高の料理人である〈厨娘〉を雇うことにしたと告げる――。 作中で、ジェリコーの『メデューズ号の筏』やダンセイニの某作、そして スタンリイ・エリンの某作におけるアミルスタン羊といったものが次々と 示されることから、本作のテーマが「アレ」であることが陰に陽に強調 されます。 (参考文献として、中野美代子氏の著作も挙げられています) ただ、もちろん著者は、ストレートに「アレ」をやりたいわけではありません。 鞠絵と大寺家が体現する属性を、そのテーマと重ねあわせて描くことで、逆に、 バベルの会が象徴している精神性を浮かび上がらせる意図がそこにはあります。 (「羊」や「晩餐」といった言葉のイメージも暗示的ですね) 結末の情景は、現実の社会状況を映したもののように私は感じましたが、 荒涼とした時代であっても、不穏な精神が受け継がれていくさまにニヤリ。 同時にそれは、著者による、作家としての実に控えめな決意表明でもあると思います。 ▽付記 法月綸太郎氏の短編にも、本作と同じテーマを扱った作品があります。 | ||||
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