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円環
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円環の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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この著者の作品は初めて読むが、北欧ミステリーらしい社会派的テーマを扱ったスリリングな展開である。 地球環境破壊の主犯と目される企業への爆弾テロが連続的に発生し、エコテロの犯行宣言のような文面が主人公の女性刑事に送られてくる。 実は、冒頭から文明を拒否して自然の中で生活を送る「プレッパー」(サバイバリスト)の元刑事が描かれ、彼が事件の容疑者としてストーリーが展開していくのだが、さすがにミステリーらしいひねりと企みが何重にも加えられていて、最後まで飽きさせない。 近年の流行なのか、問題を抱えた刑事たちの寄せ集めチームが各人の個性を発揮して活躍するスタイルとなっており、アフガン難民の刑事やHSP(Highly Sensitive Person)の診断を受けた刑事もいるのは、人種的多様性や移民問題、精神疾患への社会派的な配慮であろう。 ただ、最終局面で単独捜査によって真犯人を探り当てたソーニャ・リド刑事がその情報をチームに伝えずに単独行動に走ってしまう場面は、差し迫ったテロ防止の点でも自らを死の危険にさらした点でも重大すぎるルール違反であり、警察小説としては破綻しているのではないか。 ちなみに、ヨーロッパでは2010年代に入ってからイスラム原理主義などのテロが相次ぎ、テロが日常的な危険として感じられていることを背景として理解する必要がある。 「エコテロ」については、近年の芸術作品に対する汚損行為などが思い浮かぶが、こちらは人を殺傷しないし芸術作品を傷つけないように配慮しており、いわばデモンストレーションにとどまっている。本書のような多数の人を殺傷するエコテロの設定は不自然に感じる(テロの真の動機が別にあったとしても)。 | ||||
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時計仕掛けの歪んだ罠は、面白かったので----! 現実から離れ森で生活の元警官、そんなはじまり 連続爆破事件の流れで捜査が入っていくが、ストーリーがだらだら書きでスピードを感じられづ飛ばし読み---疲れた。 次の作品購入は、躊躇するかなぁ? | ||||
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<サム・ベリエル/モリー・ブルーム>シリーズの2作目、「狩られる者たち」(2021/7月)以来、アルネ・ダール作の新しい翻訳を読み終えました。前作は、スウェーデンの内陸部の奥深くへ、精神の奥深くへとズーム・アップする不気味なスリラーでした。 或る春の日、ウプサラ市郊外の高速道路を走るBMWが制御不能となり黄色の花が咲き乱れる菜の花畑を暴走、炎上します。一週間後、ストックホルム市内のオフィスで爆発が発生、休日出勤していたスタッフが爆風によってビルの壁を突き破り、前にある公園まで吹き飛ばされる事件が起き、いずれも手製爆弾による犯行によって気候変動の加害企業ばかりを狙ったエコ・テロリストの犯行と目されていました。犯行声明とも読める文書がNOD(国家作戦局)の主任警部エヴァ・ニーマンの元へと届きますが、彼女にはその内容から差出人に対して思い当たる人物がありました。 この物語の背景には<地球温暖化対策>を巡る世界の動きがあって、もう一人の主人公とも呼べるエヴァの元上司、ルーカス・フリセルの存在が密かに注目され始めます。 彼は最新のテクノロジーを受け付けず、環境活動家として警察を辞めた後、大学講師としての生活へと転身、その後プレッパー(サヴァイバリスト)として自然の中に埋没しているはずでした。果たして、一連の事件の犯人は、ルーカスなのか? ストーリーは二転三転し、犯人もまた変転していきます。前半は、特異な環境の中奇抜な方法による暗殺が繰り返し起こり、飽きさせません。また、(エヴァのメンターのような)ソーニャ・リドをはじめとしてエヴァにより率いられる捜査グループ"Nova"のメンバーたちもまた、個性的なキャラクターを与えられ、この連続爆破事件の捜査を多方面から解明していきます。そのチームワークと献身性が読みどころでもあります。 今回の評価の要は、プレッパー、ルーカスの存在にあるわけですが、私はその思想(キーワードは「破壊しつくされた廃墟」と<シーシュポスの岩>)に或る意味同調しつつも一方で反撥を覚えながら物語を追うことにもなりました。ストーリーを複雑にすることでページ・ターナーとしての魅力を増幅させていることは間違いありませんが、それをすっきりと受け入れられない荒唐無稽さも内在していて幾らか後味の悪さも残ります。今後、エヴァを主人公としたシリーズが計画されているそうですので、その中で登場人物たちのキャラクターとしての成長が描写されていくのでしょう。いずれにしろスウェーデンという国を読み解くシリーズとなり得ることを期待しています。 ◻︎「円環 "Within The Circle"」(アルネ・ダール 小学館文庫) 2025/4/9。 | ||||
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