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極夜の灰



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【この小説が収録されている参考書籍】
極夜の灰 (創元推理文庫)

極夜の灰の評価: 4.69/5点 レビュー 13件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.69pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全13件 1~13 1/1ページ
No.13:
(4pt)

丁寧だが粗い

描写が1つ1つ丁寧でスローな展開で読みやすい。だがトリックは現代では考えらないくらい粗い。少し古い小説で、科学的な検証に欠けている。でも発想はなかなか面白かった。
極夜の灰 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:極夜の灰 (創元推理文庫)より
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No.12:
(4pt)

北極ミステリーの新たな形

サイモン・モックラー著『極夜の灰』、読了。クリエイター小島秀夫氏のお勧め本。1967年北極の秘密軍事基地で起こる火災と、残された謎の遺体。挑むのは精神科医ジャック。トリックには既視感があるものの、冷戦化の極限環境で起こる人間ドラマと後半の冒険小説への切り替えが楽しめました。
極夜の灰 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:極夜の灰 (創元推理文庫)より
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No.11:
(5pt)

dog tag、crossmatch

愉しく読みました。60年台の時代の雰囲気を味わいます。評価は★x5ですが、ミステリーとしてのコアの部分に問題があります。しかし、作者はミステリー作品の執筆に初めて挑戦したとのことで、今後の作品に期待を込めてという評価です。

原著の題名は『THE DARK THAT DOESN'T SLEEP』で、日本語訳の題名は『極夜の灰』と、少々、ひねっています。「The Dark that Doesn't Sleep」は、現地のイヌイット語の言い伝えをもとにした英語で、日本語訳では、「眠らぬ闇」になります。

本作品の主人公のジャック・ミラー氏は、ウィスキーを好み、ヘビースモーカーで、疲れて帰った自室で、二人組の暴漢からボコボコにされる主人公という、60年代のハードボイルドの定番の私立探偵像を踏襲しています。素っ気ない描写ですが、タイプライターも登場します。これは60年代の時代の雰囲気作りで、主人公は本来は武闘派ではなく、インテリです。ニューヨークで精神科クリニックを開業し、裕福な階層を固定客に持ち、時にCIAから心理分析の委託業務を受ける精神科医という設定です。

ヘレン・マクロイ女史(1904-1994)の創出した、ベイジル・ウィリング博士を思い出します。本作品のジャック・ミラー医師は退役軍人で、硫黄島で火炎放射器による戦闘経験があり、心的外傷を持ち続けます。東京で日本女性と恋に落ち結婚し帰国。しかし、人種差別による、自らが招いたトラブルでの自動車事故で妻を亡くし、二重の心的外傷を背負(せお)います。ところで、除隊の時期は明示されていませんが、舞台となる1967年は硫黄島の戦闘から23年目になります。米国の当時の徴兵制度の年齢は18-25歳ですので、彼の年齢は、44±3歳の設定となるでしょう。

本作品は、氷床に埋もれた、60年代の米陸軍の極秘基地という題材の発掘、ならびに、筋の運びのおもしろさで、読者をひきつけます。ですが、日本のミステリー・ファンは、第1章の設定で、作者の仕掛けるトリックを見破ってしまうでしょうね。また、ミステリー作品としての、コアの部分の瑕疵(かし)は、これは、まぁ、あれです。作者は、ミステリー作品の執筆に初めて挑戦したとのことで、次の作品に期待します。ところで、WEB上のインタビューの記事によりますと、作者は家庭を持ち、子育て世代です。インタビュー記事の写真を拝見しますと、気だてのよさそうな、好人物の印象を受けます。作者の愛読書は、カズオ・イシグロの『浮世絵師』です。次の作品は、パリを舞台にしたスリラー小説に取りかかっておられるようです。愉しみです。
極夜の灰 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:極夜の灰 (創元推理文庫)より
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No.10:
(5pt)

2024年の収穫の一つ

2024年に翻訳されたノンシリーズのなかで特に収穫だったのがこちら。舞台、人物、展開とどれをとっても予想外の驚きが多く、グイグイ読ませてくれた。オススメ。
極夜の灰 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:極夜の灰 (創元推理文庫)より
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No.9:
(5pt)

ジャックに成りきって読め!!

「ジャックはしつけのよいビーグル犬みたいな気分で、腰を下ろした」
いかにも児童書の作家としてデビューした作家らしい比喩です。
主人公のジャックは、第2次世界大戦に従軍した元兵士で、今は精神科医。
両手の拳に関節症をわずらっており、妻は日本人。妻の愛読書はフィッツジェラルド
の小説「夜はやさし」。アル中の精神科医の夫と、統合失調症の妻が崩壊していく物語。
ジャックの人柄や心情までを、代弁している。
1967年を感じさせる舞台設定の小道具たちは、粗末な印象を与えるフォーマーカ
(メラミン樹脂)のテーブル、使い込んだグランド・セイコーの腕時計、不気味な低音を
発する廊下の照明...などなど。
古典派の推理小説の導入部から、ハリウッド映画を思わせるアクションシーンの後半部、
しかもラストには...読者を飽きさせない構成も見事。
登場人物のセリフから、ひとりひとりの人物像ができあがり、そのまま映画の脚本になりそう。
情景描写と語り口の相乗効果で、目の前にハッキリと浮かんでくる様は、読んでいて心地よい。
こなれた表現がそれを支えており、翻訳者の腕が存分に光っているようです。
「ジャックに成りきって読め!」と言われなくとも、自然に没入できるほどおもしろい。
作者にダマされる度合いが作品の質を決めるなら、間違いなく一級品です。
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No.8:
(5pt)

なんという事だ

ネタバレになるので内容には触れないが、読み手心理を逆手に取り、巧なミスリードにより展開を作っていく最高の作品です。
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No.7:
(5pt)

最高のエンターテイメント作品

心突き動かされるハリウッド作品を見ているかの様な疾走感とキャラクターの魅力。一気に見方が変わる様なポイントの展開は秀逸。
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No.6:
(5pt)

心理戦

1960年代のストーリーだったので戦争もの?と諦め半分でしたが、レビュー評価を信じ購入。 心理的なストーリーは大好きなので、一気読み----内容は他の方々の感想レビューとかぶりますので控えます。是非、次回作を読んでみたい作家です
極夜の灰 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:極夜の灰 (創元推理文庫)より
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No.5:
(4pt)

トリックは「犬神家の一族」、シチュエーションは「南極物語」

冷戦下の北極・グリーンランドの研究施設に偽装したアメリカ軍のミサイル発射基地で起こる奇妙な「事故」。置き去りにされた3人のうち2人が焼死してしまい、大やけどを負ったひとりが救出されるが、どうも旧・ソ連に情報を流していたスパイがいたようで・・・。

この時代にはまだDNA鑑定などの科学捜査がなかったので、助かったひとりの証言だけが事実とされるのですが、なぜかちょっとしたことから違和感を持った精神科医がCIAからの依頼を受けて単独捜査を開始しました。

尾行されたり、なぜか警察に妨害されたり、聞き込みに回った証人が溺死してしまったりなんらかの「影」が付きまとってきます。この時代のひとたちはやはり煙草が大好きのようで事務所、車内、レストラン、はては病院でも吸いまくります。さらに酒といえばウィスキーと決まっており、ヒップフラスクに入れて肌身離さず持ち歩きます。

詳しいトリックは書けませんが「犬神家の一族」以来、日本のミステリーではよく使われています。また南極と北極の違いはありますが、極地での置き去りは「南極物語」を思い出させてくれました。そしてなんといっても最後の盛り上がりは特筆すべき出来です。
極夜の灰 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:極夜の灰 (創元推理文庫)より
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No.4:
(5pt)

とてもとても面白かった。

察しがいい読み手であれば、あれとこれがこうなって…と左の親指が感じる残りのページ数の厚みの感覚も頼りに、なんとなく真相はわかってしまう物語の素直さです。でも、その素直さがいい。とてもいい。
最後の最後まで山場が維持され、忍耐と誠実さが報われ昇華される心地よさは、今年読んだ小説の中では星5つの価値があります。
主人公含め、それぞれ個性があり無駄のない登場人物の布陣もいい。
とくにケチをつけるところのない面白さでした。
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No.3:
(5pt)

意外な犯人。

意外な犯人。予想外の展開。よくできている。
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No.2:
(4pt)

時代ミステリー。大トリックの可能性は推測できても、ストーリー展開は十分に面白い。

以下、ネタバレないよう努力します。
8月中旬刊の創元推理文庫はやや難解な『終着点』のほうを先に読み、ちょっと日数がかかってしまったが、本書については、休日に一気読みできるのではないかと予測していた。
で、予測通り、休日に一気に最後まで読めてしまった。
原書は2023年に出たばかりの本で、なぜか、アマゾン海外には、まだ一件もレビューが載っていないが、Goodreads という書籍情報ウェブサイトには現時点では26件のレビューが載っていて、どれもなかなか面白く、また、それぞれネタバレないように気をつかっている。
私的感想等
◯第1節には1967年12月27日という日付があり、最後の第46節には(1968年)2月23日という日付がある。つまり本書は1967年〜1968年のワシントンとグリーンランド秘密基地を舞台とした時代ミステリーである。
◯時代考証的には、タイプライター、公衆電話、レコードプレーヤー付きのラジオ、爆撃停止を訴える反戦行進等が出てくる。米ソは冷戦→デタントの時代。そして・・。
◯主人公は精神科クリニックを開業しているジャック・ミラー。太平洋戦争を戦い、日本が降伏したあとの焼け跡東京で、ミヨコと知り合い、1946年3月2日にミヨコと結婚し、ミヨコを連れてアメリカに戻る。ミヨコは努力家で、ジャックにとってはなくてはならない妻であったが、15年前に交通事故にあって死んでしまう。
◯ジャックの本来の仕事は、資産家、女優等のメンタル不調等の治療だが、かっての戦友で、今はCIAの幹部になっているコティからの依頼もある。今回の仕事は、陸軍のグリーンランド極秘基地火災事故の生き残りで入院中のコナーの面談調査であった。
◯本書のカバー裏面の内容紹介をまとめると
①北極圏の極秘基地の発電室で出火し、隊員2名が死亡、1名が生存。1967年末。
②遺体の一方は人間の形をしていたが、もう一方は灰と骨と歯の塊だった。
③唯一の生存者のコナーは、顔と両手に重度の火傷を負い、記憶を失っていた。
④謎と陰謀が渦巻くミステリ。
◯この内容紹介を読めば、ミステリファンは著者の仕掛けた大トリックの可能性に気づくだろうし、中トリックの一部の可能性にも気づくかもしれない。全体の構造の可能性にも気づくかもしれない。
◯しかし、トリックの可能性に気づいても、本書の面白さが何ら減るわけではない。ダイナミックな展開で、何度もどんでんがえしがあり、主人公は精神科医なのに、ハードボイルド探偵または冒険小説のヒーロー並み(CIAの協力はあるが)の大活躍である。
◯で、結論は、一気に読める、異色の題材の、面白いミステリーであった。
◯著者は南ロンドン在住で、様々な職業を経て、児童文学を3冊ほど刊行している。本書はアメリカでのデビュー作とのことである。
蛇足
◯240頁には、「もう何年も昔のことで、東京の彼女(つまりミヨコ)の小さなアパートで一緒に暮らしていた」とあるが、この記述は、22頁の、1952年に妻(つまりミヨコ)が交通事故で死んだという設定に矛盾する。何十年の間違いではないのだろうか。
◯上記のGoodreads レビューの中に、2023年に出た本なのに、登場人物がストレートの白人男性ばかりで、多様性に欠けるという批判レビューがあった。
極夜の灰 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:極夜の灰 (創元推理文庫)より
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No.1:
(5pt)

「眠らない闇」。そのよく練り込まれた「論理」の美しさ

1967年。精神科医のジャック・ミラーは陸軍医療センターを訪れます。彼はCIA幹部、ポール・コティから、入院中のコナー・マーフィー陸軍兵卒から北極圏にある陸軍の極秘基地で発生した火災に関する情報を探り出すよう依頼されていました。
 グリーンランドの極秘基地は実はソビエト連邦向けの弾道ミサイルの配備先として予定されていた施設でしたが、或る理由から配備計画は撤回され基地が引き払われることになりました。徐々に人員が去り、火災発生の直前にはわずか3人を残すばかりになっていました。コナーと下士官でありながら主任研究員のスティグリッツ、陸軍三等軍曹のヘンリー・カーベルの3人。
 11月25日に退去するはずだった3人に一体何が起こったのか?
 グリーンランドでは11月の末から太陽が昇らない「極夜」が始まります。そして、その「極夜」において極秘基地では辛気臭い火災が発生することになります。ジャックは重度の火傷を負っているコナーから真相を探るべく病室でヒアリングを重ねますが、果たして、その真相は?

 グリーンランドの「極夜」を描写した極上のスリラーですからそのディティールを明かすことはできませんが、ジャックがまるで<私立探偵小説>の探偵のように関係者にヒアリングを重ねる内に或ることの真相が覆り、二転三転しながらその真実が明らかになっていきます。そのよく練り込まれた「論理」の美しさが本書の読ませどころだと思います。世界は見た目通りではなく、そこに生きる人物もまた一通りではなく、誰かから語られるストーリーの中に真実への橋渡しとなるような「気づき」を得たとき、ジャックはこの物語をダイナミックに反転させながら、眠らない「極夜」を健全な夜明けへと導こうとします。
 イヌイットの言葉、「眠らない闇」、「自分で自分の日の出をつくらなければならない」、「希望とは、思いこみではなく、空想と現実の均衡を保つことだ」(402p)。それは特に「極夜」に限らず、この悪辣な現実世界に於いても同じことなのではないでしょうか?
 そして、ジャックのその精神科医としての成長によって、関係者たちのその後の深い眠りが保証されることになるのだと思います。
 作者(サイモン・モックラー)は、1960年代後半の米国の雰囲気をバックグラウンドに置いて、幾人かの印象深い登場人物を描き分けながらシャープな物語を構築しています。次作もまた速やかに読めますように。
 ◻︎「極夜の灰 "The Dark That Doesn't Sleep"」(サイモン・モックラー 創元推理文庫) 2024/8/29。
極夜の灰 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:極夜の灰 (創元推理文庫)より
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