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鑑識写真係リタとうるさい幽霊



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【この小説が収録されている参考書籍】
鑑識写真係リタとうるさい幽霊 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

鑑識写真係リタとうるさい幽霊の評価: 4.00/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

シャッターが決して捕らえることができない霊的な世界

舞台は、ニューメキシコ州アルバカーキ。スリラーを読むことで、世界のあらゆる場所を見聞することができます。本当にありがたい。
 主人公は、アルバカーキ市警の鑑識課で写真係として働いて五年が経つリタ・トダチー二。彼女はナバホ族の居留地で育ち、何と幽霊と話ができるという能力が備わっています。ここは読者にとっての注意点ですね(笑)。スリラーの中で幽霊が探偵役の主人公に普通に話しかけてきます。少し、困った。
 或る日、高速道路の跨道橋から落下した女性の轢死現場を撮影したリタの前にアーマというその女性の幽霊が現れ、自分は自殺ではなく殺されたのだと訴えかけてきます。果たして、真相はいかに?物語はいかに進展していくのか?元々リタは故郷の祖母や<まじない師>から幽霊と関わることを止められていました。そして、土地柄、その事件の背後に大規模な犯罪組織の存在が浮かび上がってきます・・・。
 最初はユーモア・スリラーなのかと思いながら読み始めましたが、違っていました。むしろナバホ族出身の女性がいかに青春を過ごし、その中でリタがカメラと出会い、"メディスンマン"の存在を知り、<家族>とのパセティックなふれあいの中で自己を見出していくすこぶる瑞々しい物語として記憶されることになりました。その分、ミステリ的興趣は控えめです。訳者あとがきを読み、懐かしいトニー・ヒラーマンの存在を思い出しました。
 現実世界を正しく写し撮ろうとするシャッター。そのシャッターが決して捕らえることができない霊的な世界。その間(はざま)で己がアイデンティティを確立しようとするリタの一途さにミステリの枠を超えたところにあるこの世の"悲しみ"を受け取ることができたような気がします。とてもいい物語でした。
 ◻︎「鑑識写真係リタとうるさい幽霊 "Shutter"」(ラモーナ・エマーソン 早川書房) 2024/6/28。
鑑識写真係リタとうるさい幽霊 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:鑑識写真係リタとうるさい幽霊 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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