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赤い右手



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【この小説が収録されている参考書籍】
赤い右手 世界探偵小説全集(24)
赤い右手 (創元推理文庫)

赤い右手の評価: 4.13/5点 レビュー 15件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.13pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(5pt)

私にとって2018年のベスト!

レビューが少し遅くなってしまいましたが、2018年に購入した本書は、私にとってはその年(2018年)の推理小説のベストでした。
もちろん、瑕疵が多いなど犯行の実現性に問題もあり、正統派からすれば逸脱した作品となってしまうのかもしれませんが、私としては犯人や犯行手法にそれほど違和感はなく(まあフィクションの世界だし)、最後の謎解きもパズルのピースが自然に埋まっていく感じで納得できました。とにかく熱気(熱量?)がすごい、そしてそれが最後まで続く。一小説として非常に面白かったです。

B級映画を思わせるどこか非現実的な世界、怪しげでカリカチュアな人物像、犯人を「コークスクリュー」などと呼ぶ言葉のセンス(若干差別用語的?)、そして狂気と隣り合わせの緊張感。私にとってのドストライク。

1人称の手記という形が効果的だと思います。「あいつ(犯人=コークスクリュー)はすぐそばにいる気がする、すぐにでもあいつの正体を突き止めなければ」というリドル医師の手記は、本心からの焦りなのかそれとも・・・。
「何かに騙されているんだろうな、、、」と疑いつつもその先の着地点が見えず、引きずり込まれるように読み進んで行きました。なんだか非日常、良い意味で小説の歪んだ世界に酔わされた感じです。しかし、雰囲気で盛り上げるだけ盛り上げて肩透かしを食らわせるのではなく、最後にはそれなりのトリックや伏線回収など、現実的回答が用意されている点が、私としては高評価でした。
赤い右手 世界探偵小説全集(24)Amazon書評・レビュー:赤い右手 世界探偵小説全集(24)より
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No.13:
(4pt)

思わせぶり

1997年に国書刊行会から出た単行本の文庫化。
 Joel Townsley Rogersの『The Red Right Hand』(1945年)の翻訳だ。
 翻訳当初は怪作・傑作として話題になったものだが、文庫化されたので久しぶりに読み返してみた。
 思わせぶりなレッド・ヘリングがわんさと詰め込まれており、異常心理ものなのかと思わせつつも、きっちり合理的な結末を用意している。
 まさに快作だ。
 フラストレーションが激しく溜まるだけに、カタルシスもすごい。
 読むべき一冊。
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No.12:
(4pt)

本格ミステリより不条理サスペンスに思えましたが・・・

ある医師が田舎で奇怪な事件に遭遇し・・・というお話。
この作品は伝説の傑作として賞賛されてきたというのは何となく聞いたことがありますが、今回読んでみて本格推理小説というよりは不条理サスペンス、ホラーのように思えました。一部の本格ミステリ好きな方には探偵小説のコペルニクス的転回といわれているそうですが、私の読後感としてはあまりそういう風には思えませんでした。これは私が人生の30年近くを推理小説を読んできて、読みすぎで昔だったら驚いた所でも驚かなくなったり、病気の薬で脳が変な風になっているせいかもしれませんが、それでもあまり本格ミステリの大傑作に推すには躊躇いを感じました。つまらなくはないですが。
似たような傾向の作家を探すとヘレン・マクロイあたりが近しい気がしますがどうでしょうか。個人的にはマクロイも本格ミステリよりホラーの方が資質があるように感じるので。
かつて、ウェストレイクが生涯のベスト・ミステリに本書を挙げておりましたが、やはりこういう物を好きな人には訴求する熱気は感じました。
ミステリ史に残るらしい怪作。機会があったらどうぞ。
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No.11:
(4pt)

スッキリしない読後感。だがそれが面白い。

訳者あとがきに拠れば何故か一部でやたらと評判が高い様だが、パルプ・フィクションの分野で活躍した作者の作品で他に名が残っているのは無い様だから、奇跡的に一発当たったのだろう。実業家の謎の失踪とそれに絡む謎の怪人の暗躍の謎を、偶然巻き込まれた外科医が探って行くと云う体の一人称ミステリなのだが、あちこち関係無い所に話が飛んだり、話の途中で、これこれの登場人物は実は後で殺されるんだとネタバレしてしまったり、妙に思わせ振りな書き方で大事な説明を放置して寸止め状態の儘長々と読者をじらしたり、作者の技量が下手なのか巧妙なミスディレクションなのか区別が付かない儘読み進めなければならないので、傑作なのか駄作なのか、最後まで読まないと判断出来ないと云う難しい代物だ。あとがきでは熱に浮かされた様な文体抜きにしてこの作品は考えられないと云うコメントが紹介されているが、確かに、推理を後回しにして取り敢えず語り手の言うが儘に先へ先へと進んで行かなければならないこの作品の最大の魅力は、その強引な文体であることは否定出来ない。読後に思い返してみると、混乱した語り口が醸し出す悪夢的雰囲気こそがこの作品の高評価の要である気もする。

 諸々の手掛かりが犯人の正体をこの人だと声高に告げていると読者が思い込んでいると、終盤の謎解きでそれが見事に引っ繰り返される、と云うのはお決まりの展開の筈なのだが、綺麗に謎が解明されたにも関わらず、ここまでその謎解きが容易に信じられない、読後感がスッキリしない作品も珍しい。だがこれを傑作と呼ぶ人が居るのも或る意味頷ける。クリスティなどとはまた別の意味で、作品全体が非常にトリッキィな作りになっているのだが、これが偶然の産物なのか作者の技量なのか判別出来ない。評価に悩む怪作である。
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No.10:
(4pt)

ミステリ史上に名を残すカルト・クラシック

原題 The Red Right Hand(原著1945年刊行)
熱病に憑かれた如き癖のある独白体で猟奇と惨劇に彩られた一夜の顛末を描き、ミステリ史上に名を残すカルト・クラシックの復刊。
探偵小説におけるコぺルニクス的転回(国書刊行会版の小林晋氏の解説)とまで絶賛した批評もあれば、石上三登志氏の様に罵倒に近い酷評を下した例もある(小森収インタビュー集『はじめて話すけど…』による)、まさに賛否両論を呼んだ問題作。
読者を捉えて離さない、アクセル全開で疾走するような激しく、錯綜し起伏に富んだ展開、そして張り巡らされた伏線の妙は実に魅力的だが、読後釈然としない矛盾点が多々残るのは事実で、プロットとトリックの整合性を問うより、如何にもパルプ・フィクション的で過剰な扇情性を愉しむべき作品ではないだろうか。その意味ではエド・ウッドの映画に例えた山口雅也氏の批評が的確かもしれない。
究極の離れ技か?まぐれ当たりか?本書の評価は読者のミステリ観に大きく左右される事は間違いない。
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No.9:
(5pt)

でも、そんなのかんけえねー!

オチはミエミエです。

だけどこれ、推理小説って言うよか、恐怖小説ってやつだと思います。

ミエミエのオチなんか吹き飛ばす狂気的なギラギラ感と疾走感があって、そこにほどよく推理小説風味も加わって、実に実に読み応えのある恐怖小説になってました。なんで、
絶滅危惧種の某芸人のギャグ使わせてもらえば、でもそんなのかんけえねー!ってなもんで、イチオシです。
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No.8:
(4pt)

瑕疵も多いが、"離れ技"的ミステリを成立させている点は評価出来る

偶然手に取った作品だったが、黄金期には面白いミステリが未だ残っている(1945年発表)ものだと感心した。最初の頁を繰った時は単なる叙述ミステリかと思い、少し進む内にサイコ物かと考え直したのだが、予想に反して、兎にも角にもある種の"離れ技"的ミステリを成立させている点は評価出来るのではないか。

余りにも偶然的要素が多過ぎる、一人称の記述主体である主人公の書きっぷりが曖昧模糊としている上に時間軸が頻繁に前後するので、結果的(あるいは意図的)にミス・リードの塊となってしまっている、登場人物達が当然疑って然るべき多くの物理的不自然さが平然とスルーされている等の要因で、読者が推理する事を完全に阻んだ瑕疵だらけの作品とも言える。

しかし、これらの諸要因のおかげで"離れ技"が成立している訳だから、やはり作者の手腕を買うべきであろう。主人公の文体と全体構成に作者は相当気を使ったと想像される。読んでいる間(だけでも)、読者を混迷に引きずり込めれば成功との思い切った判断が好結果を生んだのではないか。ミステリ・マニアの方は一度は目を通しておいて損はない作品だと思う。
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No.7:
(4pt)

アンチ叙述トリックミステリーの怪作

伏線に誘導されて叙述トリックかそれともサイコミステリの類か・・・と想っていたら、いきなり外された。
想うに最初は叙述ものの積りで書いていて、途中で気が変わったのではないだろうか。パルプマガジン・ライターだと云うが、もしかしたら、あまり細かい所まで考えずに書くタイプの人だったのかも知れない。
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No.6:
(5pt)

妙な、そして熱い酩酊感に浸れる怪作?快作?

さまざまな書評に誘われて、本作を読んだ。
その参考にした書評の評価がまちがっていなかったことを、痛切に実感した。
まさに奇跡のような作品であり、傑作である。

ただし、端正なミステリではない。
破天荒といったら良いのか、ジグソーパズルのような作品といったら良いのか、実に表現に困る作品である。
一度、きちんと作っておいて、それを解体して不均衡に積み上げた、という感じである。
ゴッホの絵みたいだ、といって分かっていただけるだろうか。

本作の中盤まで、まさかこれが本格ミステリであるはずがない、という調子で、ストーリーが進行していく。
怪人が跳梁跋扈し、スリラーとか思えないような天海である。
しかし終盤になって、本作がまさに本格ミステリだったことが分かると、真相の意外性もともかくだが、本作のイメージの逆転という意外性に、大きなショックを感じてしまう。
本作が傑作と評されるのは、おそらくこのショックの大きさによるものだろう。
これは、ロスコー「死の相続」を読んだときのものと似ている。

いくつかの書評では、著者が意図してこのような作品になったとは思えない、と書かれている。
私も、そう思う。
たまたま、偶然に、しかし、それが好結果を生んだということだろう。
だから、唯一無二の作品なのである。
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No.5:
(5pt)

異様な熱気を孕んだ、悪夢のような怪作

結婚式を挙げに行く途中のカップルが、奇異な見てくれのヒッチハイカーを拾ったことで、惨劇の幕が開かれた。コネティカット州山中の脇道を舞台に繰り広げられる恐怖の連続殺人劇。不運にも事件に巻き込まれた医師の「わたし」ことハリー・リドルは、自分のそばを通り過ぎたという殺人鬼が乗った車に、何故か気づかなかった。殺人鬼は被害者の右手を切断して持ち去り、今度はリドルの命を狙っている。リドルは事件の経緯を手記に書きながら、懸命に推理をめぐらすのだが……。一人称の記述者――ということで、××××を想起する方も多いと思いますが、それこそ作者の思う壺。普通はありえない“偶然”の連続、時系列がやたらと前後する記述などによって読者をミスリードし、レッド・へリングだけに意識を向けさせようとする手腕は実に見事です。明らかにアンフェアな要素も多々あるものの、異様な熱気を孕んだサスペンスフルな文体と、驚愕の真相は一読忘れがたく、他に類を見ない、怪作といえるでしょう。
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No.4:
(4pt)

論理性無用のおもしろさ

 読後、最も不満に感じたのは『アクロイド殺害事件』を引き合いに出しての「推理小説におけるコペルニクス的転回」との評。
 読んでいる間は文句なしにおもしろい。真犯人が判明してからのサスペンスも見事であり、カルト的名作との評価もうなずける。しかし『アクロイド』や、あるいはカーの『死者はよみがえる』みたいな、ミステリを読みなれた読者をだましてやろうという意図でアンフェアとの境界を狙った計算しつくされた小説ではないだろう。細かいつじつま合わせに頓着せず豪快に(あるいは安易に?)暴走した結果が、アンフェアとの評価につながっただけの話ではないだろうか。逆につじつま合わせを優先させていたら、こういうおもしろさは出なかったと思われる。
 論理的整合性にこだわらなければ、お勧め。
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No.3:
(5pt)

これはすげえです。

いままで推理小説歴30うんねんですが、こーんなおもしろい本は本当にひさしぶり。無駄な伏線という伏線が張り巡らせてあって、ほとんどがミスリード。そのうえ、わざととしか思えない偶然が続くのですが、それが返って効果的!115ページからの描写がものすごいです。読んでいて意識が朦朧としてくるような超おすすめ本。
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No.2:
(4pt)

熱狂型ミステリ

なんか熱にうなされたようなミステリというのが第一印象の小説ともかく妙にふわふわした感じの、物語の語り手が本当にいかれているんではないかという書き口は読みづらいことこの上ありませんしかし、事件の起きた順番を全く無視して思いついたことをただ述べているノンストップな文章は不思議と惹かれるものがあり、最後の意外な結末に驚かされます冷静になって考えてみると犯人のやっていることは必然性のないことばかりで実際こんな事をしたら犯罪がすぐに露見するだろうというものですがそれを全く感じさせない、むちゃくちゃな文章はカルト人気を得るに相応しいといえます
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No.1:
(4pt)

考え抜かれた反則技

これはとんでもないミステリです。いや、ミステリと言い切ってしまっていいものかどうかも迷います。不可能犯罪を描き、それをあっと驚く方法で解決するという点ではまさしくミステリなんですが、このあっと驚かす方法というのが人を食った内容で反則スレスレ、と言うより完全に反則だな、これは。ところがこの反則技がよくできていて、時制をメチャメチャにした記述、大胆不敵な伏線の張り方、入り乱れる偶然などで混乱させられ、読み終わったあとには、よくやったもんだと感動さえ覚えるほどにものの見事にだまされてしまいます。そんなわけで、「こんなの反則だ!」と一概に怒ってしまえないのが、余計に悔しい。『考え抜かれた反則技』なんですね。ただ、語り口が絶妙の上に不思議な勢いがあって、ホントに考え抜いて書いたんだか勢いで書いたらこんなのができあがったのかわからなくなってくる。これも計算のうちだとしたら、スゴイ作家です、ロジャーズという人は。
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